E3 2011レポート

Razer、PC用モーションコントローラー「Razer Hydra」を出展
その他、E3会場で見かけた面白ハードをまとめてご紹介!


6月7日~9日 開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center



 今年のE3ではSCEと任天堂から相次いで新ハードが発表されるなど、新しいモノ好きにとって興味の尽きない忙しい日々が続いた。E3会場に軒を連ねた大小様々なメーカーも負けじと各種のゲームデバイス製品を展示し、家庭用からPC向けまで、無数のガジェットが話題を提供していた。

 中でもPC向けゲームデバイスメーカーの雄として大型ブースを構えていたRazerは、得意のマウス・キーボード製品からモーションコントローラーまで幅広く新製品を取り揃え、終日多くの人でごった返す盛況ぶりだった。

 その盛況の原動力となっていたモーションコントローラー「Razer Hydra」は、まさに新機軸のPCゲームデバイスだ。なにしろPCでモーションセンシングを使ったゲームというのは前例がない。ないにも関わらずなぜかデバイスがある。正体不明のデバイスならば、触ってみるのが一番だ。本稿ではこのRazerブースを始め、ゲームデバイス系メーカーのブースを一巡りして見つけた面白ハードをまとめてご紹介していこう。



■ どんな使い道があるのか?! 両手に握ってFPSを操るモーションセンサー「Razer Hydra」

Razerブースは「Razer Hydra」の試遊ブースが大人気
両手にモーションコントローラー。これが「Razer Hydra」
「Razer Hydra」のリミテッドエディションパッケージには「Portal 2」の特別版が付属

  Razerブースで人気を集めた新デバイス「Razer Hydra」は、6軸のモーショントラッキング能力を持つモーションコントローラーだ。片手用のデバイスが左右1対でセットになっており、両手を使って操作するという独特のデバイス。今月中の出荷が北米で予定されており、価格は139.99ドル。現在プリオーダー受付中とのこと。

 任天堂Wiiのヌンチャクに似たコントローラーにはアナログスティックと多数のボタンが付いている。2つのコントローラーは左右の手で持ち、ワンセットで使うように設計されている。強いていうとプレイステーション3のコントローラーSIXAXISを2つに分けた感じだ。

 6軸センサー搭載ということで、「Razer Hydra」では左右それぞれの手の並行移動と回転、ひねりを検出することができる。同時に、親指部分にあるアナログスティックを使ってさらに4軸の操作を行なえる。これでどんな操作を行なうかはゲーム次第といったところだが、Razerではゲームメーカーと協力して専用のゲームを用意しているのだ。

 「Razer Hydra」のリミテッド・エディションに付属するのは、Valve「Portal 2」のスペシャルバージョン。「SIXENSE MotionPack DLC」という専用ステージデータが付属したものだ。会場ではこのバージョンの「Portal 2」でしばし遊ぶことができた。

 基本操作は、右手コントローラーを振って照準、左手コントローラーを振ってジャンプというもの。これに加えて左手スティックで移動ができる。1と刻印されたボタンを押せばアイテムを拾うことができるが、「Hydra」でのみ可能な操作ができるのはここからだ。

 アイテムを持った状態で右手コントローラーを前に突き出すと、それに合わせてアイテムが遠ざかり、保持する位置を調整できる。さらに右手を傾けるとアイテムがそれに合わせて傾く。そうしつつ、ボタンを押しながら左手コントローラーを右手から離していくと、アイテムがビヨーンと引き伸ばされる。回転させながらこの操作を行なうことで、箱を板状にすることもできた。


【Razer Hydra×「Portal 2」】
腕を伸ばすとアイテムを保持する距離を替えられる。ボタンを押しながら両腕を広げるとアイテムを伸縮できて、回転を加えて好きな形に。なんとも不思議な操作感覚だ

Razerスタッフの神業ぶりを見せつけられる

 なんとも不思議だが、「うどんを打つときに両端を持ってビローンと伸ばす操作」とイメージしてもらえれば近いかもしれない。モーションセンスされた両手がそれぞれフリーに動かせるので、両手の距離関係を元にした操作でゲーム内のオブジェクトと今までにないインタラクションができるのだ。少なくとも「Portal 2」のスペシャル版は、これを使って解くステージが入ってくる模様である。

 もちろん、これまでにない操作体験のため、はじめは相当ぎこちない動きになってしまう。正確にポイントして、前に進んで、箱を掴んで、狙った場所に落とすのも一苦労という塩梅だったが、しばらくプレイしているうちにまずまず、スムーズに操作できるようになった。Razerのスタッフに至っては、これを使って箱を5、6個も縦に積み上げていく神業を披露。センサー側が相当正確でなければできない芸当だ。

 「Razer Hydra」を純粋に既存のFPSを操作するデバイスとして考えると、やはり使い慣れたマウスのほうが素早く操作できる。しかし、キーボード+マウス操作よりも明らかに増えた操作軸をうまく活用できれば、マウス操作では不可能な面白いゲームができそうだ。そのためには「Razer Hydra」に最適化されたゲームの供給が欠かせない。

 というわけでRazerでは、この「Portal 2」を筆頭に多数の対応ゲームを確保しようとしているようだ。現時点では125のタイトルが“対応”しているとのことだが、それらのタイトルがどこまで「Hydra」に最適化され、どのような操作系を提供するかは今後また検証が必要になりそう。ともかく新しいガジェット好きなら、いちどは触ってみなくてはという面白いデバイスなのは確かなので、日本での登場も楽しみにしておきたい。


【Razerブース】
RazerによるゲーミングPCのコンセプトモデル「SwitchBlade」は参考出展。動作ゲームやアプリのジャンルに応じてキーボードの機能と表示が変わるという仕組みがある
上記の「Razer Hydra」ほか、Xbox 360/PCゲームコントローラー「Razer Onza」やヘッドセット「Razer Chimaera 5.1」など発売されたばかりの新製品をズラリと展示
第4世代センサー搭載マウスの展示のほか、各種コラボモデルも。「STARWARS: Old Republic」モデルのセットや、「Dragon Age II」モデルのマウスがやたら格好よかった



■ Playseatsブースには「Forza 4」コラボシートも! その他のデバイス総まとめ

プレイシートがこれでもかと展示されていたPlayseatsブース
「DiRT3」コラボモデル
「Forza Motorsport 4」モデルも発見!

 コアなレースゲームファン御用達のプレイシートメーカー Playseatsのブースでは、新旧各種のプレイシートが展示されていた。中には子供用のプレイシートまであったのは驚き。さすがアメリカという感じだ。価格帯としては200ドル台から800ドル近辺まで、幅広いラインナップが用意されている。

 日本ではセクトインターナショナルが代理店販売をしているPlayseatsだが、最近は各種レースゲームとのコラボレーションモデルに力を入れているようだ。会場には「DiRT3」デザインのシートも発見。ハンドルを固定するパーツのデザインが変わっており、足元の自由がより効きやすい配置になっているなど細かい配慮が光っていた。

 そしてE3の会期最終日には、今年注目のレースゲーム「Forza Motorsport 4」のコラボモデルも発見。「Forza 4」スペシャルデザインのシートに、Fanatec製の高級コラボハンコンを組み合わせており、早速触りまくってみた。

 シートまわりは「DiRT3」モデルと基本的には同レイアウトだが、ペダル固定ユニットの構造がFanatec製ハンコン向けの特別デザインになっている。この個体はどうやらプロトタイプのようで発売時期や価格などは不明だが、「出たらセットで買っちゃう!」というファンは筆者を含めて多そうだ。Playseatsサイトでの正式発表を待ちたい。


【Playseatsブース】
そこかしこでプレイシートの遊び心地を確かめる人の姿が見られた。中には子供用のものもあってビックリ
「Forza Motorsport 4」モデルのシート&Fanatecのコラボハンコン。色彩が統一されており、見た目にも格好いい



【Triovizブース】
このブースでは3D立体視に古来使われてきた赤青メガネの進化系のようなもの「INFICOLOR 3D」というメガネを発見。価格は30ドル程度だそう。原理的には赤青メガネと同じなのだが、光学的に分離する周波数をうまく調整しているようで、メガネを通してみてもきちんと3D画面がカラーに見えるのがウリだ。視聴には従来の2D-HDテレビが使えるが、ゲーム側で専用のSDKを使ってレンダリングする必要があり、まだ5本しか対応タイトルがない

【N-Controlブース】

このブースではXbox 360に取り付けるものすごいデザインのアクセサリを展示。「The Avenger」という名前のこれは、取り付けると各ボタンから触手が伸びて、親指をスティック上に維持したまま、B、Y、Xボタンを人差し指や中指で操作できるようになるアイテムだ。FPSプレーヤー御用達といったところか。トリガーにも紐が付いていて、指を通しておくことでトリガーに指をかけなくても薬指や小指で引くことができる(何のために……?)。PS3版も用意されるといい、とにかくすごい自信だ

【TurtleBeach ブース】
オーディオペリフェラルメーカーTurtleBeachのブースではPS3、Xbox 360、PCに対応する各種ヘッドセットを展示。画像はPC/Xbox 360用「EAR FORCE Z6A」。5.1chサラウンドサウンドを左右8つの物理スピーカーで再生してくれるヘッドセットで、99ドル程度と手頃な価格でリリースされている

【AR-Drone ブース】
ここ数年、毎年ブースを出しているAR-Drone。iPhoneを使って操縦する空飛ぶラジコンで強化現実を楽しもう!というオモチャなのだが、最近ではマルチプレーヤーゲームにも対応して、別売で画像のパイロンやループを販売しているようだ。強い慣性が働くので操縦にはコツが必要だが、しばらく遊んでいると自由自在に操縦できる。という気がして油断すると即クラッシュ。いちど河川敷や公園で気が済むまで遊んでみたい

(2011年 6月 11日)

[Reported by 佐藤カフジ]