Taipei Game Show 2011レポート

台湾X-LEGEND、MMORPG「Finding Neverland Online -聖境伝説-」レポート
15の職業を育成可能、ギルドタウンも持てる要素の充実が魅力


2月18日~22日開催

会場:台北世界貿易中心

入場料:150台湾ドル


X-LEGEND CEOのNelson Chang氏。かわいらしいデザインとスタイル、遊びやすさ、様々なシステムを重視し、今後もMMORPGを開発し続けると語った

 ベクターで2011年春に運営予定のMMORPG「Finding Neverland Online -聖境伝説-」(以下、「聖境伝説」)は、かわいらしいキャラクターと、多数のゲームシステムが盛り込まれている作品だ。今回、Taipei Game Show期間中に本作の開発元のX-LEGEND Entertainment(X-LEGEND)を訪問し、話を聞いた。

 X-LEGENDは「グランドファンタジア」や、「ナインテイルオンライン」、「ホーリービースト」などを開発した台湾デベロッパーだ。X-LEGENDは2002年に設立され、第1弾の「ホーリービースト」以来、MMORPGを開発し続けているメーカーである。「グランドファンタジア」は日本を含め各国でヒットしたことで、MMORPG開発に自信をつけたX-LEGENDは、昨年は80人だった人員を1年で300人まで増やし、さらに多数のスタッフを雇い入れ、積極的に新作タイトルに着手しているという。

 「聖境伝説」はMMORPGを作り続けてきたX-LEGENDらしい、たっぷりとやりこめるキャラクタービルドに加え、自分たちで街を作れたり、多彩なPvPが楽しめたりとシステムも充実している。グラフィックスは細かいところまで描き込まれており、アバター要素は衣服への着色システムや、ギミックの入った衣服など多彩だ。注目するところの多い作品である。


現在、300名ほどのX-LEGEND。ちなみに、昨年の2月ごろは80人だった。さらにスタッフを投入し、開発体制を強化しているという



■ こだわりのデザインと、自由度の高いキャラクタービルドシステム

本作のマスコットキャラクターアルパカ。しかめっ面なのが面白い
プレーヤー達が掘り出された鉱山が最初のダンジョンとなる
ベースレベルが上がることで様々な職業に就ける

 今回、ゲームの各要素に関して説明を行なったのは、「聖境伝説」のプログラム部門のテストエンジニアPenny Yah氏と、企画部門のThem氏(ニックネーム)だ。また、海外運用部門COOのHoward Chang氏は運営に関する説明を担当した。

 「聖境伝説」は、ネズミや熊、カメなど何種類もの動物が2足歩行をし、服を着て、人間のような世界を営んでいる世界が舞台となる。人間族も同じように彼らと生活をしている。一見のどかに見えるこの世界は、実は種族間の対立が起きている。プレーヤーはかつての英雄で、クリスタルに封印され地中に埋められていたが、助けを求める人々に掘り起こされ、この世界で目覚める。プレーヤーはこの世界に平和をもたらすために旅立つことになる。

 「聖境伝説」は台湾では2010年12月に基本プレイ無料アイテム課金制で正式サービスをスタートした。現在の会員数は60万人で、最大同時接続者数は4.5万人。2011年1月には香港でもオープンβテストがスタートし、日本に続きアメリカでもサービスが決定している。

 台湾ユーザーの間で最も評価されているのが職業システムだという。本作には「ベースレベル」と「職業レベル」があり、ベースレベルを上げることで様々な職業を選択できるようになる。最初は「魔法使い」か「ウォリアー」だけだが、近接攻撃型の「盗賊」、遠距離型の「ハンター」、回復の得意な「テンプラー」といった職業が選べる。これら5つを基本職業として、職業のレベルを上げれば、さらに同系統の上位職を選べる様になり、最終的に全15職業となる。例えばウォリアーのレベルを上げると、回避の高い「ライダー」、盾の防御が巧みな「パラディン」といった職業も選べ、それぞれレベルを上げられるのだ。

 カテゴリーが同じならば、スキルを組み合わせることでより上位の特性を得ることができる。パラディンのスキルをメインに、ライダーのいくつかのスキルと、ウォリアーのスキルを活用、といった事もできるのだ。魔法使いや盗賊など系統が違う職業のスキルは組み合わせができないが、ベースレベルは上がっているので育成は容易になる。職業はいつでも、何度でも変更可能で、上級者は幾つもの系統のレベルを上げ、多彩なスキルを組み合わせマルチな能力を発揮できるのだ。

 「聖境伝説」のグラフィックスの質感は柔らかく、明るい。特に空の表現が美しい。空を見上げると、鳥が飛んでいたりと細かい演出もある。時間による風景の変化にも力を入れていて、夕方には空が赤く染まり、夜は様々な場所が照明でライトアップされる。街の中心にあるオブジェクトは、昼には見えない魔法陣が浮かび上がったり、風景を細かくチェックするのが楽しい作品だ。

 アバター要素にも力が入っており、外見だけ変えるアイテムも用意されている。服装の色を変えるアイテムも販売されていて、自分なりのカラーコーディネートができる。背中装備では、「びっくり箱」があり、プレーヤーの操作で中の人形が出たり引っ込んだりできる。蓋を開けてちょっと顔をのぞかせる状態にできたり面白い。

 また、本作は乗り物として登場する「アルパカ」が、本作を象徴するマスコットとなっている。しかし、一般用のものはなぜか仏頂面なのだ。これは台湾ではアルパカをしめす言葉が「のろま」といったネガティブな意味を持つからだ。新年イベントでは目がぱっちりした黄金色に輝くアルパカが手に入ったという。また、アルパカはロード画面のゲージとしても登場しており、ロードゲージの右端にいるキャラクターに向かってアルパカが歩いていき、ロードが完了するとキャラクターがうれしそうに抱きつく。こういった細かい演出にも感心させられた。

 「聖境伝説」ではフィールドのモンスターやダンジョンのデザインにも力を入れており、特にダンジョンはストーリーに合わせたテーマを持ってデザインしており、台湾ユーザーに好評だという。「市長の夢」というクエストで登場するダンジョンは、金銀財宝がうなっていて、市長の欲張りぶりがよくわかる。モンスターはこそこそと隠れていきなりプレーヤーに襲いかかり、夢を見ている市長の性格をよく表している。この他、ピラミッドのダンジョンではパーツが飛んできて目の前で結合したり、モンスターの登場パターンも注目ポイントだ。


左から「聖境伝説」のプログラム部門のテストエンジニアPenny Yah氏、企画部門のThem氏(ニックネーム)だ。また、海外運用部門COOのHoward Chang氏。
様々な職業レベルを上げることが可能。同系列の職業レベルを上げ、スキルを獲得すれば、カスタマイズが可能に
細かく美しいフィールドのグラフィックス。昼夜の違いも楽しい。戦闘は様々な演出が盛り込まれにぎやかだ
服装は染色が可能。キャラクターがアクションによってコロコロと表情を変えるのも楽しい。右は背負うアイテムのびっくり箱だ
テーマがもうけられたダンジョン。ストーリーとの関連性の強さも人気だという



■ ギルドで街を持つことが可能。PvPシステムも充実し、今後は新種族も登場

建物を建てる。どんなアイテムを作成できるようにするかなど、ギルドで方向性を決めることが可能だ
1月26日に実装された「鼠人」。今後はさらに新種族が投入されるという

 「聖境伝説」はデザインやキャラクタービルドだけでなく、ゲームシステムも充実している。その中でも、「街を作れる」というのは、大きなセールスポイントだ。街はギルド単位で持つことができ、NPCからインスタンスフィールドを購入することで、ギルドが管理できる。

 街には何カ所か建物を設置できる場所が設定されており、アイテムの材料となる「生産施設」、薬を作れる「錬金施設」、武器や防具を作れる「工場」、各施設を機能させるNPCを雇える「宿屋」、さらにモンスターを呼び出せる「祭壇」の5つがある。祭壇ではお金でモンスターが呼べ、討伐イベントなどをギルドの意志で開催できる。各施設や宿屋はお金をかけることでアップグレードできる。

 ギルドが作った街は、ギルド員以外のプレーヤーも訪れることができる。街で作ったアイテムは販売することが可能で、税金を徴収できる。優秀なアイテムを提供できるギルドは人気を集めているという。

 PvPも人気を集めるゲーム要素だ。本作では様々な職業を育て上げ、組み合わせる自由度の高いキャラクタービルドを実現している。毎日3回、3対3のPvPトーナメントが開催されている。現在のレベルキャップはベースレベル、職業レベル共にレベル50までだが、コアプレーヤーは幾つもの職業をレベル50にし、対戦相手の傾向を分析、勝つための組み合わせを模索する。選択肢の多さが、勝つ可能性を上げるが、読み間違ってしまうこともある。ユーザーはどう組み合わせるかを熱心に攻略している。

 この他、「拠点戦」というPvP要素もある。こちらはギルド単位で拠点を取り合う、「攻城戦」的なコンテンツだ。拠点を取った場合は、守護モンスターを仲間にできる。拠点ではレア素材が入手でき、強いアイテムが作れるようになるので多くのギルドが狙っている。

 そして、1月26日に実装されたのが「鼠人」である。その名の通り、鼠の外見をした種族で、大きな耳がかわいらしい。こちらはクリスタルから出現したのではなく、故郷から冒険を求めて出発する。通常キャラクターとはまた違ったストーリーが展開していく。今後の実装予定であるが、鼠人には製作スキルが用意されていて、これまでNPCを等してできなかった生産ができるようになるほか、新しいアイテムも生産もできるようになるという。今後の予定としては、さらに新しい種族の追加、新マップ、新ダンジョン、さらに自分だけの部屋が持てるアバター要素と、さまざまなポイントでの拡張を計画しているという。

 説明会の最後に、「聖境伝説」のディレクターを務めるNaco Hung氏が登場し、ユーザーへのメッセージを語った。Hung氏は「日本の方も、ぜひ『聖境伝説』の世界に入ってみてください。私達は皆様を失望させない、クオリティーの高いゲームを作っています。是非触れてみてください」。続いてデザイナーを務めるLusing Wu氏は「現在急ピッチでローカライズ作業を進めています。もうすぐ皆さんにお見せできると思うととても楽しみです。いろいろなコンテンツに触れてみてください」と語った。


現在のギルドタウンでは決められた場所にしか建物は建てられない。今後の拡張にも注目だ
鼠人は専用のストーリー、スキルが用意されている。人間と違う特性をどう活かすかもテーマとなる。右はエンジニアレベルを上げることできることができるロボットスーツ。人間キャラクターにも用意されている
左から、「聖境伝説」のディレクターを務めるNaco Hung氏、デザイナーのLusing Wu氏。右はイベント時のスクリーンショットだ



【晴空物語(仮)】
現在開発中のMMORPG。人間型に変身できる神獣がプレーヤーキャラクターとなる。種族間の対立がテーマとなっており、国を消滅させられた人々の物語が描かれるという

【タイトル未定】
こちらは現在タイトル未定のMMORPGだ。プレーヤーは時空を移動できる能力を持ち、様々な時代で、歴史の鍵を握る人物を操ろうとする一族と戦う。歴史上の人物などが登場する

(2011年 2月 22日)

[Reported by 勝田哲也]