ジンガジャパン、mixiアプリモバイル「ファームビレッジ」を発表
孫正義氏や笠原健治氏も出席して日本進出第1弾タイトルを祝福


12月1日 開催

ジンガジャパン本社


Zyngaの日本進出第1弾は、代表作「FarmVille」の携帯版ローカライズ

 ジンガジャパン株式会社は12月1日、新作ゲーム記者発表会を開催し、日本進出第1弾タイトルとして携帯向け新作ソーシャルゲーム「ファームビレッジ」を正式発表し、同日正式サービスを開始したことを明らかにした。

 ジンガジャパンはソーシャルゲーム最大手の米Znygaとソフトバンク株式会社が共同出資し、携帯アプリ「まちつく!」などを開発したソーシャルゲームベンチャーウノウ株式会社を買収して設立した日本法人。「ファームビレッジ」はジンガジャパンとしての初ローンチタイトルとなる。サービス開始は本日12月1日からで、mixiアプリモバイル専用タイトルとなる。利用料金は海外と同じ基本プレイ無料のアイテム課金制。ソフトバンクモバイルのユーザーにはプレミアムとして、アイテムと交換できるコイン500枚が提供される。

 発表会にはジンガジャパンの代表取締役ロバート・ゴールドバーグ氏のほか、出資元であるソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏、独占提供先となるミクシィの代表取締役社長笠原健治氏ら錚々たる顔ぶれが揃った。


ジンガジャパン代表取締役社長ロバート・ゴールドバーグ氏ソフトバンク代表取締役社長 孫正義氏ミクシィの代表取締役社長 笠原健治氏

ゴールドバーグ氏はZyngaが目指す「リアルソーシャルゲーム」という概念を説明した

 米Zyngaは2007年に設立されたソーシャルゲームのデベロッパー。Facebook向けのソーシャルゲーム「FarmVille」の成功で急成長を遂げ、現在は月間アクティブユーザー(MAU)2億460万人、世界中に17以上のスタジオと1,400人の社員を抱えるナンバー1ソーシャルゲームデベロッパーに成長し、アメリカでいま最も注目されている企業の1つとなっている。

 その日本法人が出す新作ゲームの発表会というだけあり、会場にはテレビや主要新聞など多くのメディアが集まり注目の高さを伺わせた。ゴールドバーグ氏はZyngaのソーシャルゲームのコンセプトを「ソーシャルファースト、ゲームセカンド(ソーシャル性が1番、ゲーム性は2番)」という言葉で紹介。リアルな人間関係に基づいたコミュニケーションツールとしてのゲーム「リアルソーシャルゲーム」という考え方を強調した。そして「シリコンバレーのいいところと、日本のゲームを融合させたい」と語った。

 ソフトバンクの孫氏は、今や世界最大のトラフィックを誇るFacebookの全トラフィックのうち3分の1がZyngaによるものだというエピソードを紹介した後、「Zyngaを得たものがトラフィックを得、ユーザーを得ます。もちろん日本ではソフトバンクが仲間として頑張っていきます」と合弁の意義を説明、「私がソフトバンク以外の発表会にやってくることはほとんどありません。そのくらい大切な位置づけとして捉えています。これから大いに成長していくジンガジャパンに期待していただきたいと思います」と意気込みを述べた。

 今回アプリが提供されるプラットフォーマーとして出席したミクシィの笠原氏は「世界最大のソーシャルアプリプロバイダーであるZyngaさんから、世界で1番使われているアプリケーションを提供いただけることを非常に嬉しく思っています」と挨拶。「ソーシャル性を非常に大切にしてeメールやショートメールに変わるものだというソーシャルゲームのコンセプトは、弊社の方向とも非常に合致している」とアプリがmixiに提供されることになった理由を推察した。




■ 元祖農場系ゲームの味を活かした「ファームビレッジ」

Facebook版の「FarmVille」は現在でもソーシャルゲームのトップに君臨する超人気ゲーム
「ファームビレッジ」のQRコード

 今回発表されたソーシャルゲーム「ファームビレッジ」は、Zyngaの代表作で農場系ゲームのブームを作りだした大ヒットゲーム「FarmVille」の要素を携帯ゲームとして開発したものだ。野菜や果樹、動物を育ててお金を稼ぎ、デコレーションで自分だけの農場を作っていく。友達の農場に手伝いに行ったり、プレゼントをやり取りして協力しながら農場を大きくしていく。

 ゲームの特徴は以下の3つ。

・これまでの農場系ゲームに比べて、農場が圧倒的に広い
・デコレーションアイテムで好きな農園を作っていくことができる
・農場の世話を通じた友達とのコミュニケーション

 ジンガジャパンのゼネラルマネージャー山田進太郎氏は「ウノウの専門知識と、Zyngaのイノベーションが一緒に新しいゲームを作っているという形です。アメリカから10人くらいのスタッフが来て技術の交流やインプリメントを行なっています」と開発体制を説明した。

 また、ウノウからジンガジャパンになったことで、開発体制に変化があったかという質問に対しては「Zyngaには3年間のアドバンテージがあり、統計ツールなども非常に洗練されたものがあるので、それを使ってゲームを改善している。なるべく数字や統計に落とし込んで当たる確率を高くすることは、個人的にも勉強になる」と語った。

 モバイルのmixiアプリには、すでに「サンシャイン牧場」などの農場ゲームが先行している。後発ゲームが不利と言われるこのジャンルで勝算はあるのかという質問には、「」アメリカで『FarmVille』が出た当時にも、同様の農場系ゲームはたくさんあり同じような状況だった。「その中で勝ち残ったのようにソーシャル性とゲーム性があれば十分勝っていけると思う」(山田氏)と答えた。

 ヤフーには、PC向けのプラットフォームである「Yahoo! モバゲー」もあるが、当面は携帯向けにフォーカスした作品をローンチしていく。Facebook版「FarmVille」は全世界のインターネット人口の2割がプレイしているが、日本版「ファームビレッジ」の目標は日本のインターネット人口の2割程度のユーザーだとゴールドバーグ氏。今後はZyngaの人気作品を日本向けに発表していく予定だが、「日本にはゲームのイノベーションの歴史がある」と日本で開発したゲームを世界市場に発信してく可能性も示唆した。

 「FarmVille」のローカライズは、日本進出第1弾としては予想通りすぎるほどの鉄板だ。しかし数億のユーザーを抱えるゲームのローカライズ版とは言え、既に先行している人気農場系ゲームが複数ある中で、日本でどれほどのユーザーを集めることができるかはまだまだ未知数。緻密なデータ分析によるマーケティングに定評がある会社だけに、今後どのように日本の市場に切り込んでいくのか動向を見守りたい。


野菜や果物を育ててお金を稼いでいく今までの農場系ゲームにはない広大な敷地を自由にデコレーションしていける


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(2010年 12月 1日)

[Reported by 石井聡]