SCE、PS3「KILLZONE 3」マルチプレイβテスト体験レポート
ハードコアな戦い、各職業での役割、複雑なマップ……期待が高まるゲーム性


2011年発売予定

価格:未定


 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントは2011年発売予定のプレイステーション 3用シューティングアクション「KILLZONE 3」のマルチプレイβテストを10月25日~11月14日の期間で実施している。

 このテストは北米と欧州のPlayStation Plus会員を対象に実施しているもので、「KILLZONE 3」のマルチプレイを体験できる。今回は、「Warzone」、「Guerrilla Warfare」、「Operations」の3つのゲームモードが実装されていた。今回、日本のメディアもこのテストに参加することができたので、最新バージョンの出来具合をレポートしていきたい。


■ 3つのゲームモードを体験。どの職業を育てるかでもプレイスタイルが大きく変化

 「KILLZONE 3」はオランダのGuerrilla Gamesが開発しているFPSだ。「KILLZONE 3」は地球が多くの他の惑星に植民を行なっている時代が舞台となる。植民惑星の1つヘルガーンの住人ヘルガストは、突如ヴェクタ星の首都へ侵攻を開始。ISA(惑星間戦略同盟)はこのヘルガストに立ち向かっていく。前作、「KILLZONE 2」ではISAの反撃により、ヘルガストはヘルガーンに撤退、ヘルガーン上での戦いが描かれた。

 「KILLZONE 3」は「KILLZONE 2」のラストシーンから始まる。ヘルガストのリーダーのヴィサリを倒したものの、ヴィサリが最後に放った核爆弾によりISA侵攻軍は壊滅的な打撃を受けてしまった。ヘルガスト軍の勢いは衰えず、過酷な戦いは続いていくのだ。

 「KILLZONE 3」は、E3 2010開催に先立ち、2010年6月3日に日本でメディア向け試遊会を開催している。本作では、「KILLZONE 2」のゲームエンジンに大幅な改良を加えたものを採用し、広大なフィールドに映画以上の演出を盛りこみ、PS3の能力をフルに使うべく開発が進められているという。

ISAによる小型浮遊揚陸艇イントルーダーでの敵地への急襲。Operationsではミッションの合間に両軍の様子がカットインされる

 今回体験できたマルチプレイβテストでは、ISAとヘルガストに分かれて対戦を行なう。ゲームモードは「Guerrilla Warfare」、「Warzone」、「Operations」の3つが用意されている。

 Guerrilla Warfareは最もカジュアルなゲームモードで、いわゆるチームデスマッチモードとなる。制限時間内に相手プレーヤーを多く倒したチームが勝利となる。Warzoneは5つのミッションを連続でプレイしていくボリュームのあるゲームモード。ミッションには1人のプレーヤーがターゲットとして指定され、味方チームは彼を守るという“ASSASSINATION”、シンプルなチームデスマッチ“BODYCOUNT”、一定時間ポイント付近にとどまることで拠点を奪える“CAPTURE & HOLD”、攻撃チーム側に爆弾設置ポイントが提示され防御チームはそれを防ぐ“SEARCH & DESTROY”、マップ上に現れるスピーカーを自軍に持ちかえる“SEARCH & RETRIEVE”の5種類が用意され、ターゲットになる順番はランダムで決定する。

 Operationsはストーリー要素を持たせたゲームモード。今回はヘルガスト側の雪原の基地が舞台となり、ISA側が兵士を運ぶ小型浮遊揚陸艇「イントルーダー」による急襲が行なわれるというシチュエーションだった。ミッションの合間に短いカットシーンが挿入される。結果によってこのカットシーンも大きく異なってくる。ISA側が負けると、捕まってヘルガストにこづき回され、ヘルガスト側が負けると基地が爆破されるシーンを見ることができた。

FIELD MEDICは能力をアンロックすることで戦闘ポッドをつけることができる

 ヘルガスト、ISAどちらにつくかは、ランダムに決定される。両軍のキャラクター性能の違いはないようだ。選べる“職業”は5種類。ENGINEER(工兵)、MARKSMAN(スナイパー)、TACTICIAN(戦術兵)、INFILTRATOR(撹乱兵)、FIELD MEDIC(衛生兵)だ。各職業は倒されたときの再出現時にいつでも変えることができる。

 ENGINEERはマップにある補給ポイントを直せる。補給ポイントでは弾薬の補充ができる。補給ポイントには所属があり、敵側の補給ポイントを破壊し、ENGINEERが修理することで自軍の補給ポイントに変更できる。特殊能力としては、修理の他、固定砲台を設置できる。

 MARKSMANは光学迷彩により自分の姿を隠すことができる。また、レーダーを一定時間攪乱することが可能だ。TACTICIANは一定時間範囲内の敵を感知できる。敵の位置を示すマークが画面内に現われ正確に把握できるだけでなく、味方のミニマップにも敵が映し出される。また、浮遊砲台と言うべきロボットを呼び出すことができる。

 INFILTRATORは敵軍に味方と誤認させる姿に変装できる。さらに高い走破能力を持っている。FIELD MEDICはその名の通り味方を蘇生させる兵士だ。「KILLZONE 3」では倒れてしまっても蘇生を待つこともできる。FIELD MEDICがいれば、すぐに戦線復帰が可能だ。また、FIELD MEDICは浮遊する戦闘ポッドを従わせることができる。戦闘ポッドはプレーヤーについて来て、敵を感知すると機銃で攻撃する。

 戦闘経験値を積むことでレベルが上がりUNLOCK POINTSを獲得できる。各職業の特殊能力は最初から持っているものもあるが、このポイントを使って習得するものもある。UNLOCK POINTSを使うことでさらなる強化も可能だ。また、UNLOCK POINTSは各職業の使用武器も増やすことができる。どの能力を伸ばし、どの武器を使うか、自分のプレイスタイルに合わせた成長が可能なのだ。また、レベルが上がることで階級も上がり、体力やアーマーも増強される。


 

左はイントルーダーから基地に飛び降りるISA兵士。右はライフルのスコープから。MARKSMANは狙撃ポイントが重要となる

■ 凝った仕掛のあるマップ。プレイを重ねることで見えてくる奥深い駆け引き

巨大なExo-Skeleton。Corinth Highwayのマップで登場する
Exo-Skeletonのコクピット画面。まさに無敵気分が体感できる
接近戦は距離や相手との位置で攻撃が変化。ナイフを突き立てられれば、相手はその場で絶命、FIELD MEDICでも復活できない

 今回のマルチプレイβテストではWarzoneで「Frozen Dam」、「Corinth Highway」、「Turbine Concourse SE-6」という3つのマップでプレイすることができた。Guerrilla WarfareとOperationsは「Frozen Dam」の一部のマップを使ってのプレイとなった。

 Frozen Damはヘルガーンの北極に当たる地域で、このマップは広大で、入り江などもある。ダムの施設はさまざまな場所に階段があり、攻撃を受けたためか穴が空いた場所もあって上下の移動、そして敵との駆け引きも複雑になっている。開けた雪原地帯には、巨大なパイプがあってここに身を隠すことも可能だ。

 Corinth Highwayは大きく開けた空間のある都市のマップ。見晴らしの良い場所がある一方で、崩れたビルの中、瓦礫の下に走る通路など閉鎖された空間もある。ここでは数メートルはありそうな2足歩行の兵器「Exo-Skeleton」に乗ることができる。この兵器に乗ると機銃とロケットで攻撃ができ、歩兵のマシンガン程度では中々ダメージを受けない。筆者も乗ってみたのだが、かなり無敵気分を味わうことができた。倒すためには同じようにExo-Skeletonに乗るか、ロケットランチャーをアンロックして使うしかないだろう。

 Turbine Concourse SE-6ではジェットパックが使える。一定時間空に浮かび上がることができるジェットパックは使いこなせば戦闘で相手の予想を超えた動きができそうだ。このマップでは巨大な「スペースエレベーター」があり、このエレベーターが起動していると電磁パルスでジェットパックが使用不可になり、レーダーも効かなくなる。スペースエレベーターは大迫力で本作が「SF」であることを強く意識させてくれるオブジェクトだ。

 ここからはインプレッションを語っていきたい。まず、最初の感触としては、「KILLZONE 3」はかなりハードコアなFPSであるという印象を受けた。マップは影が濃く、構造も複雑で敵を見つけにくい。SMGやLMG等の武器も集弾率が低く、パニックになると至近距離でも当てるのが難しい。

 いくつかの職業を体験してから、経験値を稼ぐ方向が見えてきた。まずはFIELD MEDICだ。他プレーヤーについて回り、援護に徹し、倒れたときは蘇生していく。一緒に倒されることも多かったが、蘇生することでも経験値が得られた。次に経験値を稼ぐのに良いと思ったのは、ENGINEERだ。破壊された補給ポイントを直す、敵の補給ポイントを破壊し、自軍のものにする。何度も敵に殺されながら、こうやってじりじりと経験値を稼ぎレベルを上げ、UNLOCK POINTSを獲得した。

 ゲームがはっきり変わったのは、UNLOCK POINTSによりTACTICIANの「RECON」という能力を獲得してからだ。この能力は一定時間、範囲内の敵を表示することができる。敵はマップ表示だけでなく、視界に実際にいる位置が表示される。マーカーは壁や障害物も貫通して表示されるので、待ち伏せしている敵や、回り込もうとする敵をはっきりと把握できる。この能力を使うと先制攻撃ができる確率が跳ね上がり、筆者でも敵を倒すことができるようになった。TACTICIANのRECONを獲得したことで、1試合後との獲得経験値は大きく増加した。

 こうなってくると、戦い方が見えてくる。TACTICIANで敵と戦うのは経験値を稼ぐのに有効だが、ENGINEERがいないといつの間にか補給ポイントをつぶされて自軍がどんどん不利になる。弾の消費が激しく、生き残るためにはこまめな補給も大事なのだ。また、FIELD MEDICがいてくれればもしもの時に心強い。

 INFILTRATORはTACTICIANのRECONをごまかすことはできないが、視界内では本当に敵か味方かわかりにくい。うまいプレーヤーはこの職業で敵を倒しまくるのかも、と感じた。キャンプを張るMARKSMANもやっかいだ。MARKSMANの光学迷彩は短時間ではあるがキャラクターの姿を完全に消すことができるので、例えば後ろを取って追いかけられている時でもカモフラージュして物陰に飛びこむとこちらに気がつかずいってしまったりする。

 今回、改めて「KILLZONE 3」のゲーム性を体験することができた。敵に撃たれるとすぐ倒されてしまったり、マップが複雑だったりと、かなり歯ごたえがあり最初は取っつきにくい。しかし、ゲームルールを覚え、本作ならではのリズムがわかってくるとゲームがどんどん楽しくなってくる。TACTICIANのRECONは強力すぎるかな、と思ったがこの能力があることで敵と互角に戦える。敵との駆け引きもプレイを重ねるごとに習熟していった。

 「KILLZONE 3」はこれまでのシリーズ同様、歯ごたえのあるエキサイティングなゲームとなりそうである。発売はもちろん、可能ならば日本のユーザーが参加できるマルチプレイβテストも期待したいところだ。


 

ナイフを使った攻撃は、カメラが別アングルになることも。Exo-Skeletonにはマシンガンでは難しい。止めるにはどうすれば?

(C)Sony Computer Entertainment Europe. Published by Sony Computer Entertainment Inc. Developed by Guerrilla.

(2010年 11月 9日)

[Reported by 勝田哲也]