東京ゲームショウ2010レポート

SCEJブースレポート
PS3、PSP、PS Move対応タイトルなど新作をバランスよく出展
~整理券はお早めに~


9月16日~19日 開催(16日、17日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料


 SCEJブースは、PS3、PlayStation Move(PS Move)、PSPの各タイトルをファーストからサードまでバランスよく配置。3D立体視に特化したコーナーを常設するなど、意欲的な展示を行っていた。なお、PS Move専用と対応タイトル、3D立体視体験タイトルのプレイは“整理券”方式となっており、注目度が高いタイトルはビジネスデイにも関わらずアッという間に配布終了となっていた。一般公開日は特に混雑が予想されるため、PS Moveと3D立体視に興味がある人は早めに同社ブースの整理券コーナーに足を運ぶべきだろう。ここでは、本日までにプレイできたファーストタイトルを中心としたレポートをお届けする。



■ PS3「Killzone 3」

 前作の2倍以上という広大なフィールドで激戦を繰り広げるFPSファン注目の1作。ブースでは「Intruder Fight」、「Jetpack」、「WASP」といった3つのゲームが選択可能。筆者は「Jetpack」、「WASP」をそれぞれプレイすることができた。

 「Jetpack」は、ネーミングのとおりジェットパック兵でプレイする体験モード。第三者視点では気持ちよく飛行できそうなデザインだが、実際の使用感はジャンプを強力にブーストするといったイメージ。ブーストの持続時間が思いのほか短いため、目的のポイントまで一気にジャンプしないと、手前で「ストン」と落ちてしまいがち。通常の移動はすぐ慣れるが、戦闘で効果的に使おうと思うならそれなりに練習が必要だ。

 「WASP」は、最初から強力な連射式ロケットランチャーを装備したモード。すぐ近くに予備弾が落ちているため、残弾を気にすることなく戦車や敵兵を気持ちよく蹴散らしていける。本作は通常の試遊台のほか、3D立体視、PS Move版がそれぞれ出展されている。後者ふたつは整理券が必要なため、確実にプレイしたい人には通常の試遊台をおすすめする。2011年発売予定で、価格は未定。



■ PS3「モーターストーム3(仮)」

 大自然のなかで最速を競うアグレッシブなレースゲーム「モーターストーム」シリーズ最新作。今作は地震によって崩壊した大都市が舞台。レース中は、ビルの崩壊や地面の隆起など、さまざまなアクシデントが発生。ライバルとの激しいバトルの痕跡がコースに残るため、プレイのたびに臨機応変な走りが要求される。

 試遊台では、スーパーカーとレーシングトラックから好きなほうを選んでプレイ。体当たりや妨害上等、地震は起こるわ噴火した火山から溶岩弾が振ってくるわ、文字どおりハチャメチャな展開がプレーヤーを待ち受ける。コースレイアウトはかなり起伏に富んでいるが、基本的に「都市部」がモチーフなので、オフロードよりも恩ロード向けのクルマのほうがやや有利……かも。これならバイクでも相当戦えそうだ。2011年発売予定で、価格は未定。



■ PS3「リトルビッグプラネット2」

 クリエイティブな魂を刺激してやまないUGC(ユーザー・ジェネレイテッド・コンテンツ)で世界中のファンを魅了した「リトルビッグプラネット」の続編。リビッツ(アバターよろしく自由にエディットできるキャラクタ)やステージを適当に触って遊ぶだけでも十分楽しいが、やり方次第でアクション、レース、シューティングなど自在にゲームが作れるほどクリエイト機能が強化されており、やる気次第で無限の可能性が広がっていく。

 会場ではボタンを早押しするミニゲーム、プリセットされたコースをひとりもしくは最大4人でプレイ可能。コースは体験プレイ用ながら多彩なギミックが盛り込まれており、マルチプレイの楽しさは十分感じられた。限られた時間と範囲ではあるが、リビッツのエディットも楽しめる。PS Moveに対応。2011年発売予定。価格は5,980円。



■ PS3「トーキョージャングル(仮称)」

 20XX年、人類がひとり残らず消えうせた大都市・東京を舞台にしたサバイバルアクション。プレーヤーは生き残った動物となり、食料を確保しながら生き抜いていく。キャラクタは、愛玩犬としての宿命をかなぐり捨てた自立を目指すポメラニアン、宿敵の駿馬を探し放浪する競走馬、はたまた家族のぬくもりを求める百獣の王ライオンか(原文ママ)。肉食から草食まで、選択は自由。群れるか、孤高を貫くか。オンラインランキングでは他プレーヤーと生存期間を競うこともできる。

 試遊台は、ポメラニアンのみ使用可能。ウサギを追いかけるも転んでしまい、狩猟対象のウサギに嘲笑されるシュールなシーンからゲーム開始。R1と方向キーで獲物に忍び寄り、L1を押してターゲットカーソルが赤になったとき△ボタンを押すと不意打ち成功。獲物を食べると画面左上のサバイバルゲージが増加。△ボタンで3回食べると獲物のグラフィックスが骨に……。仕留めた獲物をそのまま放置して、呼び寄せたカラスを捕食するといったテクも存在する。野良猫の縄張りを力ずくで奪うなど、試遊台で遊んだだけでもかなりブラックな仕上がり。ネタとしてのインパクトは申し分ないだけに、今後の仕上がりに期待したい。今冬発売予定。価格未定。



■ PS3「スライクーパーコレクション」

 海外で人気の怪盗アクションゲーム「スライクーパー」シリーズ1~3をBlue-rayディスク1枚に収録。音声はローカライズ&フルボイス、HD化されたトゥーンシェードグラフィック、1~2は演出を一新、3は完全新作など、単なるパッケージにとどまらない豪華版となっている。

 体験版は、警察署に忍び込むシーン、室内でのステルス行動、小船のホロを使ってトランポリンのように跳ねたり、水辺の杭に乗ったり、ロープの上をつたうなど、多彩なアクションが楽しめる。一部、前述の杭など細かい足場での操作に独特のテンポというか“コツ”みたいなものがあるが、全体の難易度はそこそこ。2011年1月発売予定で、価格は未定。3D立体視に対応。




■ PS3「SOCOM:U.S. Navy SEALs 4」

 東南アジア某国を舞台にしたチームコンバットゲーム。頻発する海賊行為を警戒すべく召集されたNATO平和維持軍を襲う、突然の内戦。急変する情勢下、孤立した残存部隊は絶望的な戦いを強いられる。現代戦をテーマにした人気シリーズ。今回はオリジナル開発元「Zipper Interactive」がPS3版を担当。定評あるドラマ性やマルチプレイのほか、新要素を加えることで「究極のSOCOM」を作り上げるとしている。

 試遊台は、正門から攻撃してくる敵兵を退けて突破口を確保。押し寄せる敵兵と激戦を繰り返しながら次々とチェックポイントをクリアしていく。カバーリングなどインフォメーションがしっかりしているため、普段あまりこういった現代戦テーマの作品をプレイしない人でも、さほど混乱せず先に進めるはず。チームへの指示や空爆・砲撃要請など、ポイントとなる要素が早い段階で確認できるのもいい。購入を検討している人は、この機会にぜひプレイしていただきたい。2011年発売予定で、価格は未定。PS Moveに対応。




■ PS3「RED DEAD REDEMPTION」

 モンスタータイトル「グランド・セフト・オート(GTA)」シリーズを世に送り出した米Rockstar Gamesの新作アクションゲーム。北米では5月21日に発売され、すでに500万本以上のセールスを記録。1911年のアメリカを舞台にした“西部劇”版GTA、といった雰囲気。プレーヤーは広大なアメリカ西部を旅しながらストーリーを進めていく。初回得点は、鋭い射撃とデッドアイに必要なメーターが倍回復する「冷血の暗殺者」スペシャルコンテンツコード、Bill ElmとWoody Jacksonによるオリジナルサウンドトラックが付属する。

 本作はCEROレーティング:Z(18歳以上のみ対象)。ジョン・フォード作品など、西部劇が好きな人にはたまらない1本。筆者はそこまで熱心なファンというわけではないが、「GTA」直系の自由度とからみあうシリアスな会話シーンにグイグイ引き込まれてしまった。「体験時間が限られてるのに、いちいち会話シーンなんてたらたら見てらんないよ」という人もいそうだが、余裕がある人はそのあたりも念頭に置きつつプレイしてみてはいかがだろうか。西部劇が好きなら、必ず琴線に触れるものがあるはずだ。10月7日発売予定で、価格は7,340円。




■ PS3「グランツーリスモ5」

 先日のメディアブリーフィングでも注目を集めた、もはや“いちゲーム”にとどまらない多大な影響力を誇るオンラインカーライフシミュレーター。物理挙動シミュレーションエンジンを刷新し、シリーズ最高峰のリアリティと運転性を実現。収録車種は1,000台を超え、レース中の天候変化、車体のダメージ表現、さらにはオンラインコミュニティ機能の充実など、その進化はとどまるところを知らない。

 会場では、3D立体視が体験できる試遊台が用意されている。後述の「3D立体視」でも触れるが、昨今流行の3D立体視技術はレースゲームと殊のほか相性がいい。個人的には「ゲーセンの『コンチネンタルサーカス』からいく年月……ついにこういう時代がきたのか」と(時代性もあり、実現しているクオリティはもはや天地の差があるのだが)大変感慨深いものがある。正直、一般公開日で3D立体視の整理券を取るのは大変かと思うが、なるべく多くの人に“相性の良さ”から生じる高レベルの臨場感を味わっていただきたいと思う。11月3日発売予定で、価格は7,980円。3D立体視に対応。




■ PSP「ゴッド・オブ・ウォー 降誕の刻印」

 ギリシャ神話をモチーフにした大人気アクションアドベンチャーのPSPシリーズ最新版。今回は、伝説のスパルタ戦士「クレイトス」の過去に迫る“原点回帰”ともいうべきストーリー。オリュンポスの髪が似についに肩を並べるに至ったクレイトスは、いまやスパルタの生きる伝説となっていた。だが彼は、名誉を手に入れるも程なくしてオリュンポスの神々に復讐の誓いを立てる……。

 体験版は3つの難易度が選択可能。スタートしてすぐ巨大クリーチャーが出現する惜しげもないダイナミズムは、まさに「ゴッド・オブ・ウォー」ならでは。圧倒的な存在感で迫りくるクリーチャーとクレイトスの対比は、携帯機でも抜群のスリルと臨場感を味あわせてくれる。11月11日発売予定で、価格はUMD版が4,980円、ダウンロード版が3,800円。




■ PSP「パタポン3(仮)」

 4拍子のリズムに合わせてボタンをタイミングよく入力し、小さな生き物“PATAPON”たちを操作するコマンド・カーニバルゲームのシリーズ最新作は、なんと“RPG”に進化。冒険の拠点となる“アジト”を中心に、パーティを編成したり、戦闘クエストが楽しめる。

 出展バージョンは、9種類のクラスが存在。前衛、中衛、後衛と役割が3つに大別されており、それぞれ性能が異なる。このうち“ヒーローのクラス選択は特に重要で、選択次第でパーティ全体の個性が決まるという。セットしたスキルや装備で戦闘力が変化するので、今までにない楽しみ方ができそうだ。なお、出展バージョンは本シリーズ初体験の人向けに“RPG”ではなくタイココマンドを中心にプレイするモードも用意されている。発売日、価格ともに未定。




■ PlayStation Move ~専用/対応ソフト~

 SCEJがTGS2010に出展したPS Move専用および対応タイトルは、以下のとおり。大半は以前の弊誌記事などでご紹介しているため、詳細については割愛させていただく。ここでは、専用タイトルと対応タイトルについて簡単に触れていきたい。

 

    【専用タイトル】
  • 「シューティングスタジオ」、「スポーツチャンピオン」、「つみきBLOQ」、「TVスーパースター」、「肉弾」、「Beat Sketch !」、「Heroes On The Move(仮)」、「フリフリ! サルゲッチュ」、「フレ!フレ!ボウリング」、「街スベリ」、「Me&My Pet」、「Moveでパーティ」、「無限回廊 光と影の箱」
    【対応タイトル】
  • 「タイガー・ウッズ PGA TOUR 11(英語版)」、「バイオハザード5 オルタナティブ エディション」、「PixelJunk lifelike(仮)」、「Power Smash 4」、「KILLZONE 3」、「ハスラーキング」、「HEAVY RAIN -心の軋むとき-」、「リトルビッグプラネット2」、「BIG 3 GUN SHOOTING」

 専用タイトルは、呼んで字の如くPS Moveがないとプレイできないもの。対応は、コントローラーとPS Moveどちらでもプレイできるもの。ビジネスデイの限られた時間でざっと触った程度だが、現時点では“対応”タイトルは「PS Moveでもプレイできますよ」というものが大半。ただし、本来の肉体的モーションを方向キーやボタン操作で置き換えていたスポーツ系タイトルは例外。セガ「Power Smash 4」やエレクトロニック・アーツ「タイガー・ウッズ PGA TOUR 11(英語版)」は、出展タイトルのなかでは典型例といえる。

 一方の専用については、「Me&My Pet」に代表されるPS Moveの機能を多数利用しているものと、競合他社の体感デバイスとそう変わらない使い方まで、それなりに振幅がある。PS Moveは、PlayStation Eyeカメラ(USBカメラ)とPlayStation PS Move(モーションコントローラ)から成る周辺機器。カメラ側では、音声認識、顔認識、個人識別、リップシンク、ヘッドトラッキング、ポーズ認識、固有物体の識別が可能。モーションコントローラー側は、フルカラーLED、RGB24bitで発光するスフィア、3軸加速度センサー、3軸ジャイロセンサー、3軸地磁気センサーを搭載。以前の記事でも触れたが、位置検出精度の高さは“ポインタを静止させたときの挙動”ですぐわかる。価格と性能を考慮すれば、競合他社よりも全体バランスの面で頭ひとつ抜きん出ているイメージだ。

 競合3社で体感デバイスが出揃った今、多くのユーザーは「各社で何が違うのか」と、ごく自然に考える。安価で十分な性能を実現したWiiリモコン、ボーン認識で“手ぶら”という離れ業をやってのけたKinect。これはあくまでも筆者の私見にすぎないが、PS Moveは“空間認識”でアドバンテージおよびマージンがあるように感じられる。一番わかりやすいのは、立方体を扱う「つみきBLOQ」。気になる方は、このあたりを意識しつつPS Moveを体験してみてはいかがだろうか。


【パワースマッシュ4(セガ)】


■ 3D立体視対応 ~表現との相性~

 先日のブリーフィングでも触れられたが、ソニーはグループ全体で“3D”を戦略のひとつに据えている。当然SCEJも例外ではなく、TGS2010に以下の3D立体視対応タイトルを出展している。

 

    【3D立体視対応タイトル】
  • 「絶体絶命都市4」、「KILLZONE 3」、「グランツーリスモ 5」、「Sly Cooper Collection」、「つみきBLOQ」、「肉弾」、「ハスラーキング」、「Me&My Pet」、「モーターストーム3(仮)」、「Power Smash 4」

 立体視は「モチーフに関連した体験があればより臨場感が増す」といわれるが、それ以前にもっとも伝わりやすいのが「前後の動き」をメインに据えたものだ。レースゲームやFPSなどは特に相性がよく、3D立体視の恩恵を受けやすい。「映画もゲームも3D、3Dって、何がそんなに凄いんだよ!」という人は、同社ブースで「グランツーリスモ 5」や「モーターストーム3(仮)」の整理券をもらうのが一番手っ取り早い。ボールが四方に転がる「ハスラーキング」も、体感しやすいタイトルのひとつだろう。ちなみに「KILLZONE3」でもいいが、筆者のような重度の3D酔い体質の持ち主には絶対的におすすめしかねる。

 エンターテイメントとしての昇華具合も含め「黎明期」以外の何物でもないというのが現状だが、それだけに“本気”で作られた成果物を体験するのは、いちゲームファンとして今後の糧にもなる。TGS2010はまとめて体験するのに格好の場につき、興味がある人はぜひ一度足をお運びいただきたい。


【ハスラーキング】


「Killzone 3」:(C)Sony Computer Entertainment Europe. Published by Sony Computer Entertainment Inc. Developed by Guerrilla.
「モーターストーム3(仮)」:(C)Sony Computer Entertainment Europe. Developed by Evolution Studios Ltd.
「リトルビッグプラネット2」:(C)Sony Computer Entertainment Europe. Published by Sony Computer Entertainment Inc. Developed by Media Molecule.
「トーキョージャングル(仮称)」:(C)Sony Computer Entertainment Inc.
「スラクーパーコレクション」:(C)Sony Computer Entertainment America LLC.
「SOCOM:U.S. Navy SEALs 4」:(C)Sony Computer Entertainment America LLC.
「レッド・デッド・リデンプション」:(C)
「RED DEAD REDEMPTION」:(C)2005-2010 Rockstar Games, Inc.
「グランツーリスモ5」:(C) Sony Computer Entertainment Inc. Manufacturers, cars, names, brands and associated imagery featured in this game in some cases include trademarks and/or copyrighted materials of their respective owners. All rights reserved. Any depiction or recreation of real world locations, entities, businesses, or organizations is not intended to be or imply any sponsorship or endorsement of this game by such party or parties.
Produced under license of Ferrari Spa. FERRARI, the PRANCING HORSE device, all associated logos and distinctive designs are trademarks of Ferrari Spa. The body designs of the Ferrari cars are protected as Ferrari property under design, trademark and trade dress regulations.
「ゴッド・オブ・ウォー 降誕の刻印」:(C)Sony Computer Entertainment America LLC. Developed by Ready At Dawn Studios LLC.
「パタポン3(仮)」:(C)Sony Computer Entertainment Inc. (C)Rolito/Interlink
「パワースマッシュ4」:(C)SEGA. All trademarks used herein are under license from their respective owners.
「ハスラーキング」:(C)2010 Sony Computer Entertainment Europe. Published by Sony Computer Entertainment Inc. Developed by VooFoo Studios.

(2010年 9月 18日)

[Reported by 豊臣和孝]