【特別企画】Facebookのソーシャルゲームを大紹介!
定番の「FarmVille」から最新作「The Agency:Covert Ops」まで。日本のあのゲームも参戦!?
Facebook日本語版のフロントページ |
Facebookの躍進が著しい。アクティブユーザーは全世界で4億人を突破し、2009年にはアクセス数でGoogleを抜いて話題になった。Facebookを世界一のSNSへと押し上げた原動力が、無数のアプリケーションの存在だ。その中でも特にソーシャルゲームと呼ばれるSNS内のデータベースを活用したゲームは、この数年急激に進化を遂げて1つのゲームジャンルとして確立した。
数千万人のユーザーが遊ぶソーシャルゲームは、巨大なビジネスチャンスとして低迷を続けるゲーム業界の中でも期待を集めている。Facebookと共に成長したソーシャルゲームは、日本でも「mixiアプリ」のスタートを皮切りにPCや携帯サイトで多くのユーザーを集めている。その模様については【特別企画】「mixiアプリ」がわかる! ソーシャルゲーム入門で詳しくお伝えしたとおりだ。
今回のレポートでは、mixiアプリを取り上げた前回に続いて、いま世界中が熱い視線を注いでいるソーシャルゲームの本家本元ともいえるFacebookのソーシャルゲームをいくつかのジャンルに分けて紹介していく。Facebookのソーシャルゲームは、無数のバリエーションがあり、到底すべてを紹介することはできない。そこで今回は、ソーシャルゲームの基本形を作った名作ゲームと、最新のゲームから注目の作品をピックアップして紹介する。
■ 日本からも熱い視線が注がれているFacebookのソーシャルゲーム
Facebookのメインページ、ニュースフィードには常にプレーヤーやデベロッパーからの最新情報が送られてくる |
2009年に台湾で国民的な大ヒットを飛ばした「開心農場」 |
Facebookはもともとアメリカで大学生が交流するサイトとしてスタートした。2007年に、Facebook内で動くアプリケーションを開発するためのAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェイス)を公開したことがきっかけで、アプリケーションが急増。特にゲーム分野では「FarmVille」(Zynga)の大ヒットにより、ソーシャルゲームという新たなジャンルのゲームを生み出した。
Zyngaのほかにも、エレクトロニック・アーツ(EA)の傘下に入ったPlayfishや、CrowdStar、RockYou!など、ソーシャルゲームを開発する専門の大手デベロッパーが生まれ、大きな利益を上げている。2010年にアメリカ、サンフランシスコで開催されたゲーム開発者向けの国際カンファレンスGDCでも、ソーシャルゲームの注目度は非常に高かった。海外では、大手のゲーム雑誌やゲームサイトもソーシャルゲームを、コンソールゲームと並んで大きく扱うようになっている。
Facebookは、日本ではいまだ会員数が90万人強と伸び悩んでいるが、ソーシャルゲーム自体はmixiアプリや携帯ゲームで遊ぶ機会が増えてきている。日本のパブリッシャ―にも言葉の壁を乗り越えて、巨大な市場へ勝負を挑む動きが出始めている。5月には、「モバゲータウン」を運営しているDeNAがFacebookで「Bandit Nation(日本名:怪盗ロワイヤル)」のサービス提供を開始した。また、アメーバブログを展開しているサイバーエージェントのコミュニティサービス「Ameba Pico」は開始から約2カ月半で100万人の利用者を集めている。
実際に、筆者もFacebookでゲームを楽しんでいるが、ジャンルの多彩さと、完成度の高さに驚かされる。昨年、台湾で「開心農場」が大ブームを巻き起こした際、仕事そっちのけで遊んでしまう人が多数いたことで社会問題になったが、実際に遊んでみると気持ちがわかる。
Facebookのソーシャルゲームには、ユーザーの欲望をくすぐる装置が巧みに設置されていて、プレイへの欲求を掻き立てる。例えば1週間連続でログインすれば特別なアイテムがもらえたり、毎日1つしかもらえないプレゼントを集めるとレアなアイテムに交換してくれたりといった塩梅だ。それからアップデート頻度の多さにも驚かされる。複数のゲームで遊んでいると、毎日どこかでお祭りが行なわれているような状況だ。
今回はそんな魅力あふれるソーシャルゲームを、以下にジャンルに分けて紹介していく。もちろんすべて英語のゲームなのだが、Facebookには英語が母国語ではないユーザーも多いため、英語が読めなくても感覚的に理解できるゲームが多いので積極的にチャレンジしてみてほしい。
■ ジャンルの幅広さと、更新速度の速さには驚くばかり
Facebookのソーシャルゲームは非常に数が多い。今回は紹介のために、ゲーム性や内容から大きく8つに分けてみた。
(1)農場系……野菜を育てることが柱になっているゲーム。
(2)レストラン系……飲食店を初めとした経営シミュレーション的なゲーム。
(3)ペット系……動物を飼ってコミュニケーションを取る育成系ゲーム。
(4)マフィア系……キャラクターを育てて何かと闘うようなゲーム。
(5)コンストラクション系……「シム・シティ」(エレクトロニック・アーツ)のように街を開発していくゲーム。
(6)コミュニケーションツール系……アバターサービスやチャットツール。
(7)パズル系……純粋なパズルゲーム
(8)その他……上記のカテゴリに入らないもの
実に多様なソーシャルゲームだが、どのゲームにも共通した特徴がある。ゲームをプレイしていると、頻繁に「share」というウインドウが現われる。「share」するとそのプレイの状況が友達のニュースフィードに描き込まれる。誰それが新しい作物を植えたとか、誰それが何かを見つけたとか、ゲーム内の状況を第三者に知らせるための情報が盛り込まれている。中には「迷子の白熊を助けて」とか「エネルギーが足りないから分けて」とか「サーモンを送って」というようなおねだり系の依頼もある。
また他人からの招待や情報提供が集まった「リクエスト」のコーナーには、ゲーム内からプレゼントが贈られたというお知らせや、友達が送った新しいゲームへの招待が書き込まれる。フィルタリングもなにもせずにいると、ニュースフィードはゲームからの報告でぎっしり埋まる。
これらは見た人間をゲーム内に勧誘する「アクティビティ・フィード」と呼ばれる顧客勧誘の仕組みだ。Facebookには、メインメニューに「ゲーム」という項目があるが、そこで見ることができる情報は、現在自分が遊んでいるゲームで何人の友達が遊んでいるかということや、友達がどういったゲームで遊んでいるかということで、ジャンル分けされたゲームの中から好きなものを探すという仕組みにはなっていない。新しいゲームとの出会いは、このアクティビティ・フィードがきっかけになることがほとんどだ。
もう1つの出会いは、ゲーム中にあちこちで見かける自社広告だ。新しいゲームが出ると、既存のゲームの中でキャンペーンをしてユーザーを誘導することが多いので、ユーザーは例えばZyngaならZyngaのゲームばかりを複数遊んでいたりすることが多い。そのため大手の寡占が起きやすく、新規メーカーの参入の難しさにつながっている面もある。
2009年までは、各社が独自の課金決済システムを用意していたが、2010年からはFacebookが一括管理する「Facebookポイント」がスタートした。また以前は、ゲーム内通貨のプレゼントと引き替えに、デベロッパーが広告契約をした会社のサイトで会員登録をさせるような広告手法がとられていたが、飛ばされる先に詐欺的なサイトが混じっていたことから問題視されて、現在は大手を中心に自主規制する動きが広がっている。
ソーシャルゲームは、じっくり長く腰を据えて遊ぶタイプのゲームではないが、他のジャンルのゲームに比べると開発期間やコストが低いため、飽きるよりも速いペースで新作が登場している状態だ。今年に入って発表されたゲームは、アニメーションやポリゴンを使った動的なものが多くなってきた。この5月には、イギリスのMMO開発会社Monumental Gamesがフル3DのFacebook用MMOG「Little Horrors」を発表している。
Facebookのソーシャルゲームは、Facebookに会員登録していれば、ワンクリックで気軽に始めることができる。友達と一緒に遊んでいるという感覚がありながらも、人間関係に煩わされることなく気に入らなければすぐにやめることもできる。そういうある種のドライさも魅力の1つだ。
以下に、紹介しているゲームはいずれもそのジャンルの中では代表的なヒット作だ。日本のソーシャルゲームがお手本としているこれらのゲームには、人を引き付けてやまない魅力がある。ぜひその魅力を自分自身で体験してみて欲しい。
■ 編集部オススメのソーシャルゲームをラインナップ!
・農場系
農場の周囲を飾る木立ちからも、果物が収穫できる |
「FarmVille」(Zynga)
累計会員数7,000万人以上、デイリーアクティブユーザーが2,000万人を越える大ヒットゲーム。畑を耕し、ショップから種を購入して撒く。種には、それぞれ収穫までの時間が設定されており、長く放置しすぎると枯れてしまう。
お金が貯まってくると、家畜を飼ったり、果樹を植えたり、家を建てたりすることができる。土地を拡張するためには、友達を誘うか課金が必要。友達の農場を訪ねて肥料を撒くと、普段よりも少し大きい立派な作物が実る。稲を植えれば水田になり、朝顔には支柱を添えるという作物の描写に対する情熱は見事の一言。デコレーション用のアイテム数も多いので、農場系の中ではもっとも凝ったジオラマ作りが楽しめる。
みっちりと埋まってしまった土地。こうなるともう拡張しなければ何も置けない | リアルな描写の作物。米の実り具合がかなりいい感じ | レベルが上がると、4マスいっきに耕せる耕運機が導入できる |
ほんわかムードの、かわいい農場系ゲーム |
「Country Story」(Playfish)
Playfishの持ち味でもある可愛いキャラクターを活かした、ほんわかした雰囲気の農場ゲーム。家畜の世話をするとハートマークを浮かべて喜んだりと、少しペットゲーム的な雰囲気もある。本作の特徴はクエストがあることで、クエストに支持された材料を集めたり、用事をこなしていけばお金とレベルを効率よく稼ぐことができる。
作物を収穫できる木は、4回収穫すると枯れてしまう。しかしその時、木の精が現われる。この木の精を集めると「マジックツリー」を手に入れることができるというファンタジックな要素もある。デコレーションアイテムも可愛らしいものばかりで、「FarmVille」のようなリアル系のゲームとは一線を画したファンタジー農園が楽しめるゲームだ。
くせのない可愛い絵柄が特徴 | クエストで街の人と出会うことができる | デコレート用の家具はおもちゃのような可愛さ |
・レストラン系
常に料理を提供できる環境を作り上げることが目標だ |
「Cafe World」(Zynga)
料理の製作に重点が置かれたゲーム。といってもこれまでにあったレストラン経営シミュレーションゲームとはずいぶん異なる。プレーヤーはシェフになって料理を作り、友達をNPCのウェイターとして雇ってレストランを営むところまでは常識的だが、料理は、例えば「ハンバーガー」は調理時間5分で13皿、「ホームスタイル ポット ロースト」は実時間で丸2日間かかるが1,208皿できるといったように、料理ごとに製作時間もかかる金額もできる量もまちまちなのだ。
料理は完成後長時間放置していると腐ってしまうので、目を離す機会が多い人が短時間で完成する料理を作ると、見た時にはいつもキッチンにハエが舞っているという悲しい状況になる。かといってあまり時間のかかるものばかりだと、売る料理がなくなってしまう。調理時間と自分の生活サイクルを調整しつつ、いかにロスを少なく店を回転させていくかを考えるのが楽しい、戦略性の高いゲームだ。
メニューをみながら、状況にあった料理をチョイスする | ちょっと目を離した隙に恐れていた悲劇が……。料理が腐ってしまった | コンロや家具は自由にカスタマイズ可能だ |
アイテム数が多いので、テーマを決めてかからないと、アッというまにカオスな空間に |
「Restaurant City」(Playfish)
店の経営に主眼を置いたゲーム。友達をNPC従業員として雇う部分は同じだが、職種はシェフ、ウェイター、ジャニター(掃除をする人)の3種類ある。4時間働かせると、休ませるか食事を与えなければ倒れてしまう(ただしこの仕様は不評のようで、まもなく修正が入って時間が伸びる予定)。プレーヤーは、材料を集めてレシピを完成させ、そのレベルを少しずつ上げつつ、それと同時に店を広げながら、クオリティの高い店を目指していく。
本作の面白さは、なんといっても店作りだ。高級店、和風、カントリー、SF、オカルト、ファンタジーと圧倒的な量を誇るパーツを組み合わせて、様々なジャンルの店を演出することができる。友達以外の店も見に行くことができるので、店巡りをしているだけでも楽しいひと時を過ごせる。特に、ランキング上位の店が集う「Gourmet Street」は必見だ。
店の外観もカスタマイズできる | 毎週現地時間の火曜日に、新しいアイテムが追加される | アバターの外見もかなり細かいカスタマイズが可能だ |
・ペット系
部屋にはテレビやベットがあって、暇な時はテレビを観たり、ベッドに転がったりしている |
「Pet Society」(Electronic Arts)
形や目鼻、耳を組み合わせて作った自分だけのペットを育てるゲーム。ペットは普段部屋で自由に暮らしているが、ボールや縄跳びで一緒に遊んだり、ご飯を与えたりとコミュニケーションをとる事ができる。つまむと謎の声をだしたりと、感情表現も豊かだ。
街には服屋や家具屋、マーケットなどのショップと、他のペットと遊べるスタジアムやカフェ、釣りができる川がある。カフェで出会ったペットや、友達のペットを訪ねて一緒に踊ったり、楽しんだりすると経験値とお金が手に入る。
友達の家に遊びに行って、一緒に楽しむとお金が稼げる | ペットたちが住んでいる町の地図 | 街の家具屋には、部屋に置く家具を購入できる |
「Happy Aquarium」(CrowdStar)
上に物が詰めるスタッキングプロップスを上手く使えば、立体感のあるレイアウトを作れる |
mixiアプリでもサービスされている、アクアリウムを楽しむゲーム。魚を購入して育て、つがいをつくって増やす。ミニゲームや、魚のトレーニングでお金や経験値を得ることができる。また水槽の中ある宝箱から、1日1回お金が手に入る。友達の水槽を回って、代わりに掃除をしたり、宝箱からお金を分けてもらうこともできる。
魚を育てることと並んで重要なのが、水槽のデコレーション。フォーラムにある、水槽のスクリーンショットを紹介するトピックスには、自慢の水槽が数多く投稿されている。アイテムの意外な使い方を発見して、感心させられることも多い。他人に見せる楽しさを重要視したゲームだ。
餌をやったり掃除をしたりという魚の世話で経験値が貯まる | 5月に一新されたショップ画面。何がどこにあるのか分かりやすくなった | 魚や動物をトレーニングすると、水槽を叩いた時の反応が変わる |
・マフィア系
マフィアなだけに渋くてダーク。まるで映画の広告のようだ |
「Mafia Wars」(Zynga)
ビジュアル重視な育成系のゲームとは雰囲気の違う、戦いをテーマにしたシリアスなゲーム。マフィアを雇って、他のプレーヤーのマフィアと戦わせるゲーム。ミッションをこなして、マフィア組織を成長させることで経験値を貯める。
文字情報が多いので、英語が分からないととっつきが悪い部類だが、協力して何かをするというパターンの多いソーシャルゲームの中で、対人戦を楽しめるのが人気の要因だ。スキルポイントを振り分けて成長させるなど、キャラクターカスタマイズの自由度は高い。
レベルが上がると、伸ばしたい項目にスキルポイントを振り分けていく | 他のプレーヤーとの勝負は、このゲームのお楽しみ | 普段は「Job」をこなして経験値を上げていく |
主人公は男女から選べる。スパイアクションっぽいBGMがとても秀逸 |
「The Agency:Covert Ops」(Sony Online Entertainment)
米オンラインゲーム大手Sony Online Entertainmentがソーシャルゲーム参入第1作として5月にローンチしたスパイゲーム。腕利きスパイとなって、ミッションをこなしていく。ミッションは多数のミニゲームで構成されていて、パズル色の強いものから横スクロール型のアクションゲームまで実に多彩だ。友達やNPCを雇って行なうグループミッションもある。
キャラクターは能力だけでなく、外見もカスタマイズできる。さらに自分の部屋まで作れてしまうと、コンテンツの豊富さに驚かされる。遊べる要素が非常に多い半面、ソーシャルゲーム的な側面はそれほど強くない。
ミニゲームの1つ。左右の回路の絵を合わせる神経衰弱ゲーム | まさかの横スクロールアクションゲーム。難易度は結構高い | 筆者が大ハマリした探し物ゲーム。さっきあったはずなのに、というじれったさがいい |
・コンストラクション系
動物や植物の世話をしつつ、理想の動物園を作っていく |
「Zoo Paradise」(CrowdStar)
動物園を作るゲームでは「Zoo World」がメジャーだが、こちらは今年の春に出たばかりのCrowdStarの最新作だ。動物の飼育エリアや売店をアップグレードして儲けを増やしつつ、デコレーション用のパーツを使って動物園を作っていく。動物は、ゾウやキリンのような定番から、恐竜やユニコーンのようなファンタジックなものまで様々。
一定時間で儲けが貯まると、施設の上にお金の袋が表示される。それを順番にクリックしていくだけで、経験値とお金が貯まっていくという単純なゲームだが、アニメーションを伴うこのクリックが意外にも楽しい。アップグレードしていくたびに、施設のグラフィックスが変化するのも楽しみの1つだが、現状クリック後の挙動がおかしくなったり、配置したオブジェクトが正常に表示されないといったバグがあるのが残念だ。
アイコンを1つずつ押していくだけの簡単プレイ | ときどき落下してくる箱でボーナスゲームが楽しめる | レベルが上がると、買える動物の種類が増えていく |
・コミュニティ系
・その他
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(2010年 6月 1日)