ヤフーとDeNA、ソーシャルゲームで業務提携
PC向け「Yahoo!モバゲー(仮称)」を晩夏提供
4月27日 発表
ヤフー株式会社と株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)は4月27日、ソーシャルゲームに関する事業提携を行なうことで合意したと発表した。
今回の提携により、PC向けのソーシャルゲームプラットフォーム「Yahoo!モバゲー(仮称)」を晩夏に開設。DeNAのモバイルサイト「モバゲータウン」で提供されているソーシャルゲームや定番タイトルをPC向けに移植し、さらに新規タイトルの開発・展開を行なうとしている。
またPCとモバイルの連携機能として、Yahoo!JAPAN IDとモバゲータウンIDの相互利用も行なわれる。ソーシャルゲームにおいても、PCとモバイルの双方から同じゲームを利用できる仕組みを提供するとしている。
このサービスに先駆け、初夏にはデベロッパー向けに開発環境の提供が順次開始される。開発環境は、DeNAが展開している「モバゲーAPI」を用いるとしている。
プレスリリースにおいて両社は、「Yahoo!JAPANの有する集客力・総合力、2,400万を超えるアクティブユーザーID数と、DeNAの有するモバイルで培ったゲーム開発・運営ノウハウ、1,800万人を超えるモバゲータウンの利用者基盤を融合させることで、大きなシナジー効果を発揮できると考えております」とコメントしている。
ヤフー代表取締役社長の井上雅博氏(左)と、DeNA代表取締役社長兼CEOの南場智子氏(右) |
両社はこれに合わせて、4月27日に合同記者発表会を行なった。発表会には、ヤフー代表取締役社長の井上雅博氏と、DeNA代表取締役社長兼CEOの南場智子氏が出席した。
今回の協業の狙いは大きく2点で、1つは幅広いユーザーに高品質なゲームコンテンツを提供すること。もう1つはゲームデベロッパーに新たなビジネスチャンスを提供することだとしている。
1点目の幅広いユーザーという点については、両社で見方が異なる。ヤフーとしては、SNSなどのソーシャルな分野での出遅れを自覚しており、DeNAと組んで「Yahoo!モバゲー(仮称)」を提供することで、Yahoo!JAPANというポータルにソーシャルなサービスを持ち込み、新たな顧客の獲得を狙っている。
DeNA側は、より高い年齢層への訴求を狙っている。モバゲータウンでのARPU(ユーザーごとの平均収益)は30代以上が高く、10代が低いという傾向があるという。しかしモバゲータウンでの年齢構成は、30代以上が28%と低い。それに対してYahoo!JAPANのゲームポータル「Yahoo!ゲーム」は30代以上が67%となっており、高いARPUが見込める30代以上を狙ったソーシャルゲームの展開を考えている。
双方の狙いを実現するためには、ユーザーの生活シーンに合わせた利用が必要だとしている。そのためPCとモバイルの共通プラットフォームを用意し、どちらからでも同じゲームが遊べて、同じコミュニティを利用できるようにするというのが、「Yahoo!モバゲー(仮称)」のスタンスだ。
もう1つのデベロッパーへのビジネスチャンスというのは、PCの「Yahoo!ゲーム」とモバイルのモバゲータウンにまたがる巨大なゲームコミュニティが生まれるという点そのものだ。想定しているデベロッパーは、mixiやFacebookでPC向けのソーシャルゲームを展開しているデベロッパーはもちろん、モバゲータウンでモバイルソーシャルゲームを提供しているデベロッパー、またPCオンラインゲームでモバイルでは実現困難なグラフィックスやアクション性を持ったタイトルを展開しているデベロッパーも考えているという。これは前述のモバゲーAPIを用いて、PCとモバイルが連動するゲームが提供できる仕組みを用意するという思想が前提にあるためだ。
ソーシャルネットワークをカバーしたいヤフーと、モバゲーAPIでもっと強くPCプラットフォームに打って出たいDeNAの、互いの思惑が一致したというのが今回の協業の柱といえるだろう。なお現在は「Yahoo!モバゲー(仮称)」を提供するという基本合意がなされたという状態で、詳細は今後両社で詰めていくとしている。
(2010年 4月 27日)