Game Developers Conference(GDC) 2010現地レポート
PlayStation Moveファーストインプレッション
かつてない精密な操作感が生む新しいゲーム体験に注目!
Sony Computer Entertainment America はサンフランシスコのConcourse Exihibition Centerにて「Playstation GDC Press Conference 2010」を開催した。このカンファレンスで、プレイステーション 3用「PlayStation Move モーションコントローラ」と「PlayStation Move サブコントローラ」、そして対応タイトルの一部が発表された。発表会ではPlayStation Moveが北米では2010年秋に発売されること、PS3用カメラ「PlayStation Eye」とゲームそしてPlayStation Moveをセットにして100ドル以下で発売されることが発表された。
プレスカンファレンスではPlayStation Moveに対応した複数のタイトルが紹介された。発表会後、会場の隣のホールでは発表会で登場したタイトルの試遊台が設置されていた。本稿ではこれらのファーストインプレッションを紹介していきたい。今回のタイトルでは「PlayStation Move モーションコントローラ」のみを1本、もしくは2本使うプレイスタイルがほとんどで、「PlayStation Move サブコントローラ」を使うタイトルは「SOCOM4」一本だった。
剣を振り敵拳闘士と戦ったり、リアルな卓球のラリーができる「Sports Champions」、ストリートファイトで迫力の殴り合いができる「MOTION FIGHTERS」、世界観のユニークなガンシューティング「SHOOT!」など、PlayStation Moveならではのタイトルが目白押しである。
発表会でのデモンストレーション。コントローラーを使ったプレーヤーの楽しさが伝わってくる |
■ 剣闘士、卓球、ボーリング……1つ1つが本格的に楽しめる「Sports Champions」
会場で最も人気を集めていた「GLADIATOR DUEL」。こればかりプレイしている人も |
きちんとラケットにボールを当てる精密さと、素早さが要求される「TABLE TENNIS」。写真は発表会でのデモ |
「Sports Champions」は複数の対戦型スポーツが楽しめるゲーム。会場では「GLADIATOR DUEL」と「TABLE TENNIS」の2つのゲームが楽しめた。「GLADIATOR DUEL」ではプレーヤーは剣闘士になり、左手に盾、右手に巨大なハンマーを持っている。操作するプレーヤーは両手に1つずつ「PlayStation Move モーションコントローラ」を握る。右手のコントローラーを振るとハンマーを振り、左手はトリガーボタンをひくことで盾を構える。敵の隙をつき剣を当て、攻撃された場合は盾で受けるのが基本的な戦い方だ。
キャラクターの姿は通常は3人称だが敵との距離が近づいたときなどは1人称に変わる。敵のモーションは凝っていて攻撃は迫力があり、こちらの攻撃が当たるとよろよろとよろけ、大きな攻撃が当たると吹っ飛ぶ。敵と向かい合い激しく戦う様子は闘技場の殺伐とした雰囲気がよく表現されていると感じた。
今回のバージョンでは敵に男女の2タイプがあり、男の敵は空高くジャンプしたり奪取で距離をとったりと身軽な感じだった。女性キャラクターは足を止めて正面から打ちかかってくる初心者向けの敵キャラクターだった。対戦するNPCに今後どのような個性が付加されるかも期待したい。試合はラウンド制で敵の体力を減らすと勝ちになる。重厚な雰囲気ながらゲーム性はライトで、敵を下からすくい上げるように攻撃すると、敵は空中に吹っ飛び、そのまま追加攻撃を行なうと空中コンボが決められる。また両手を同時に跳ね上げるとキャラクターがジャンプし、そこから一気に両手を振り下ろすとダウン攻撃が行なえた。敵を「叩きのめす」感触がリアルだった。
「TABLE TENNIS」はボールの挙動、コントローラーとのシンクロがリアルな感触をもたらす。「PlayStation Move モーションコントローラ」を利き手に握り、サーブの時は手首をひねることでちゃんと回転もかけられ、卓球の持つ精密さとスピード感をきちんと再現していると感じた。こちらの敵キャラクターはまだ動きがこなれておらず、手のみでボールを追う「手打ち」のようなモーションだったが、今後改良されるだろう。
今回体験できたのは基本的なラリーのみだったがこれが意外と難しい。きちんとした場所にラケットを出し、きちんとした強さで打ち返さなくては相手にボールを返せないのだ。「Wiiスポーツリゾート」に収録されている卓球ゲームは、ある程度ラケットを振ると手軽にラリーを楽しめるバランスだが、本作のラリーは本格的である。実際に卓球の腕を上げなくてはならない深さを持っている印象を受けた。
もうひとつ、本格的なボーリングゲーム「Bowling」も出展されていた。ストロークを縦に長くとるのに必要なのか会場の出口近くに展示され、プレーヤーは「PlayStation Move モーションコントローラ」を握った手をダイナミックに振り、ボールをピンに向かって投げていた。発表会のムービーでは「Sports Champions」はこの他にも、コントローラーをゴルフクラブにしたりアーチェリーにしたゲームのプレイも紹介されていた。他にどんなスポーツタイトルが収録されるか楽しみだ。
■ 群がる敵をコントローラーで撃て! ノリノリの演出とセンスが楽しいガンシューティング「SHOOT!」
敵に対してポインターを動かし撃ち抜いていく。PlayStation Moveのレスポンスの良さを体験できるタイトルだ |
出展されたタイトルの中でゲームの完成度が高かったのがガンシューティングの「SHOOT!」である。「PlayStation Move モーションコントローラ」を銃に見立て、ポインティング機能で画面に表示される標準を動かして敵を撃っていく。ゲームの世界観はロボット型の敵が街を占拠し、プレーヤーは銃を手に立ち上がる、といった感じの展開だ。
イラスト調の輪郭線を強調した絵のタッチや、狭い空間をゾンビのように進んでくるロボット達に弾を打ち込むとぼろぼろと体が崩れて倒されるところなど独特の世界観とシンプルな操作性が面白い。ロボットは複数の種類がいるが、最初のステージのためかプレーヤーの前で立ちはだかり撃たれるのを待つというものも多い。弾を撃ち込むと丸い体にひびが入り、装甲版がひしゃげ、内部のメカをまき散らしながら倒れる。敵の他にボーナス得点をもらえる的や隠しアイテムが出る窓が光っていたり、一瞬で画面を判断し、弾を撃ち込まなくてはならない。
会場のプレーヤー達は素速く照準を動かし、攻撃を敵に当てていた。「PlayStation Move モーションコントローラ」のポインティング機能はかなり優秀だと感じた。敵の他に突然出てきてプレーヤーに誤射を誘う市民や警官のキャラクターもいる。特に髪の長い女性のキャラクターは手を上に上げ悲鳴を上げている姿で画面に居座り続け、かなり邪魔だ。ゲームは走る地下鉄の中での戦いを経て、地上へ出る。地上でプレーヤーを待ち受けるのは巨大ロボットだ。巨大ロボットはミサイルも撃ち込んでくる。巨大ロボットの重量感のある動きも楽しかった。
興味をそそられたのが、「SHOOT」は“映画の撮影である”という演出が取り入れられているところだ。スタート時やゲームオーバー時にカチンコが入る。映画の撮影という設定ならば、ロボット達と戦うストーリーだけではなく、全く違う世界で戦えるのかもしれない。序盤のステージでもセンスがおもしろく、次はどんな場所を見せてくれるか楽しみだ。
【SHOOT!】 | ||
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突然現われる雑魚ロボット、地下鉄から列車、そして地上に待つ巨大ボスと展開の多彩さが楽しい |
■ 頭突きやつかみも駆使して倒せ! ルール無用のガチンコバトル「MOTION FIGHTERS」
会場で最もプレーヤーがのめり込んでいたのがこの「MOTION FIGHTERS」だろう |
「MOTION FIGHTERS」は白黒映像のような独特の色彩の画面で、ストリートギャングが戦いを繰り広げるというリアルタッチの格闘ゲームだ。プレーヤーは「PlayStation Move モーションコントローラ」を両手に1つずつ握り、ボクシングのようにPlayStation Moveを握り込んだ拳を前に出すことで敵を攻撃する。アッパーやストレート、ボディなどの内訳も可能だ。
ボクシングの構えのように「PlayStation Move モーションコントローラ」を顔の前でそろえるように構えるとキャラクターも同じように防御の構えをする。この時にモーションコントローラをそろえたまま左右に動かすとキャラクターは頭を振って平行移動し、体をのけぞらせるとスウェーバックする。プレーヤー自身が実際のボクサーになったかのような感触が楽しい。ただしパンチには少しラグがあるようにも感じた。敵の防御の崩れた場所を的確に当てたいのだが焦って拳を振っても、そのままのスピードではパンチは届かず、ほんの少しだけ遅れる感じだ。このずれはまだ改良が必要だと感じた。
本作での戦いはリングの上で行なうルールのある戦いではなく、「ケンカ」だ。PlayStation Moveをそろえた防御の姿勢のまま前に勢いよく振るとボクシングでは反則の頭突きを繰り出す。またトリガーボタンをひいたまま敵にフックを見舞うとそのまま敵の体を抱え込むことができる。そのままもう一方の腕で固定した敵の頭に攻撃を加えることが可能なのだ。また勢いよく左右にコントローラーを振ることで回転で加速したバックハンドアタックも出せる。多彩な技で戦える作品となりそうだ。
「MOTION FIGHTERS」はやはり戦っているプレーヤーの「本気」っぷりが楽しい。背を丸め敵に近づき、脇を締め鋭いパンチを画面に繰り出す。ボクサーそのものになったような高揚感が味わえるゲームだ。リアルタイプのグラフィックスが一層プレーヤーをのめり込ませてくれると感じた。
【MOTION FIGHTERS】 | ||
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本気パンチや素速いアッパーを繰り出す人もいれば、頭突きを多用する人も。「MOTION FIGHTERS」では様々な戦い方がみれた。ユーザーなりの必勝法を見つける楽しさがある。左は「MOTION FIGHTERS」をプレイする弊誌ライターの西川善司氏 |
■ まだまだ多数のゲームが登場。PlayStation Moveは登場時から多彩なラインナップが期待できる
「参考出展」のプレーヤーが画面に文字を書けるギミック |
他にも幾つものタイトルが出展されていたが、「参考出展」としてPlayStation Moveのデモンストレーション用のコンテンツを特にピックアップしたい。ゲームにフォーカスされていないぶん、コントローラーの機能性、ゲームへの可能性が感じられるデモンストレーションだった。
PlayStation Moveを両手に握り、EYETOYのカメラの映像をテレビに映し出すことで、プレーヤーの体型そのままのロボットが映し出される。ロボットの絵はそのまま背景を変えたり、ロボットの手をトリガーボタンで開閉させてものをつかんだりできる。PlayStation Moveの映像を剣や盾に変えたり、ラケットに変えたりもでき、現実の映像に2重写しでゲーム画像が重なるのが面白い。
この他にもプレーヤーの操作で頭が持ち上がり、長い体をくねくねと動かすことができる竜のデモンストレーションもあった。他プレーヤーの竜にぶつけるようにコントローラーを相手の方に振って対戦するのだ。トリガーを引くと炎を吐けるのも面白い。またリアルタイムストラテジーも出展されていた。戦車の集団が戦うという画面で、ユニットの方向の指示、射撃をコントローラーで行なえるのだ。また戦車の砲塔からの視点に変えることもでき、こうすることでコントローラーをポインティングデバイスに変えられる。
PlayStation Moveはこれらのタイトルの他にも、プレーヤーの顔を取り込み、アバターのドレスアップや様々なミニゲームができる「TV Super Stars」。プレイしている自分の姿を見ながらミニゲームに挑戦する「MOVE! Party」、そしてリアルなTPSにPlayStation Moveの操作性を取り入れた「SOCOM4」、画面の中のペットにアプローチする「Eye Pet」、そして試遊台は登場しなかったが「リトルビッグプラネット」も対応タイトルとして紹介された。これらのタイトルの日本への発売はまだ未定だが、今後の続報を楽しみにしたい。
【参考出展】 | ||
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デモはE3のデモで発表されたものも多かった。左が自分がロボットになってしまうもの、中央がストラテジーゲーム、右が画面の中のプレーヤーが武器を持つものだ。パズルなどもあり、PlayStation Moveをどう使うか、に様々なアイデアを詰め込んでいるのを感じる |
【TV Super Stars】 | ||
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自分の顔をカメラで記憶させ、オリジナルスターを作れる「TV Super Stars」。きれいに飾り立てるだけかと思ったが、壁に書いた的に、人間をとばしてぶち当てる「人間大砲ゲーム」などバラエティー番組のようなユニークなゲームが満載だ |
【Eye Pet】 | ||
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カメラにしか写らない不思議なペットとコミュニケーション。膝の上に乗っかるペットをなでたり、コントローラーで風船などのアイテムを作り一緒に遊んだり、様々なことができる |
【MOVE! Party】 | ||
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自分の顔をカメラに記録させ、ゲームキャラクターとして他のプレーヤーとパーティーゲームを楽しむ「MOVE! Party」。今回はラケットになったコントローラーで落ちてくる星をキャッチ |
【SOCOM4】 | ||
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現在開発中の新作TPS「SOCOM4」がPlayStation Moveに対応する。今回唯一のサブコントローラー対応タイトルだ。操作そのものはサブコントローラーで行なうが、視点移動と射撃をPlayStation Moveで行なう |
【Little Big Planet】 | ||
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試遊台は出展されなかったが、発表会でデモプレイが行なわれた「Little Big Planet」。1人が従来のコントローラーでキャラクターを動かし、もう1人がPlayStation Moveでオブジェクトを動かすなどして援護する。息のあったプレイができるととても楽しそうだ |
□Sony Computer Entertainment America のホームページ(英語)
http://us.playstation.com/
□Game Developers Conferenceのホームページ(英語)
http://www.gdconf.com/
□Game Developers Conferenceホームページ(日本語)
http://www.gdconf.com/japan/index.html
(2010年 3月 11日)