プレミアムエージェンシー、「千鳥ワールドステージアライアンス」を発表
違いを作るのは「開発企業間のネットワーク」。新世代のゲーム開発ミドルウェア&サービスがスタート

3月9日正式発表

 

 株式会社プレミアムエージェンシーは、マルチプラットフォームに対応する新ゲームエンジン「千鳥エンジン」と、同エンジンの利用を推進するゲーム開発企業向け会員サービス「千鳥ワールドステージアライアンス」を発表した。

 この発表に先立ち、GAME Watchではプレミアムエージェンシーへの取材を行なったので、その経緯、狙いについて詳しくお伝えしたい。ゲームエンジンのライセンス事業を日本の企業が行なうということが珍しいだけでなく、独特の会員制サービスが対になっている点で、「千鳥エンジン」はゲームエンジンビジネスにおいてとてもユニークな存在になろうとしている。ゲームエンジンの機能、サービスの内容をはじめ、「ワールドアライアンス」が何をもたらそうとしているのか。プレミアムエージェンシーがスタートする独特のゲームエンジンビジネスについてお伝えする。



■ 世界初?! 「月額会員制」で開発ノウハウを共有していくゲーム開発ミドルウェア

「千鳥ワールドステージアライアンス」のロゴ
「千鳥エンジン」の技術解説をするR&Dセクションのテクニカルディレクター伊藤成一氏
同一のデモアプリケーションを5機種で動作。左から順にPC、PS3、Xbox 360、Wii、PSPとなっている

 株式会社プレミアムエージェンシーは東京都渋谷区に本拠を置くゲーム開発企業だ。2003年に設立された若い企業ではあるが、ゲーム開発から映像作品向けのムービー制作まで幅広いコンテンツを手がけ、現在173名の開発スタッフを抱える大所帯の開発スタジオとなっている。

 同社がゲーム関連で単独で開発を担当した作品はプレイステーション 3(以下PS3)の「四季庭」(SCE)、「Dress」(SCE)、マルチプラットフォームゲーム「Bakugan Battle Brawlers」(Activision)などがあり、最近では北米パブリッシャーの英語圏向けゲームタイトル開発なども手がけている。また、PS3「GENJI-神威奏乱-」、Wii「MAD WORLD」など、映像制作部分で参画した有名タイトルもあり、その開発力は業界第一線級。アニメ、特撮関連でも数多くの制作参画作品がある。

 そのプレミアムエージェンシーがライセンス事業を開始するゲームエンジンが「千鳥エンジン」だ。「千鳥エンジン」はマルチプラットフォーム対応のゲームエンジン/ゲーム開発フレームワークで、3Dグラフィックス、サウンド、ネットワークといったゲーム開発に必要な機能を幅広くカバーする。現在の対応機種は6種類。PS3、Xbox 360、PCといったHD世代のゲーム機に加え、Wii、PSP、PS2といったSD世代ゲーム機を同時にサポートする。

 「千鳥エンジン」では、対応する6機種間でのマルチプラットフォーム開発を支援するため、グラフィックス、モデル、アニメーション、各種プログラム、サウンド、カメラ、ライティングなど様々なデータや技術要素を共通化し、各プラットフォーム間で共有可能な設計となっている。また、アーティスト用のエフェクト作成ツールやUIツールが提供され、各種コンテンツの制作効率を向上させる仕組みもサポート。

 構成的にはEmergent Technologiesの「Gamebryo」を想像させる「千鳥エンジン」だが、プレミアムエージェンシーがスタートするライセンシングビジネスには特筆すべきポイントがある。「千鳥ワールドアライアンス」という、ゲーム開発企業向けの会員サービスが同時並行的に提供されるのだ。

 「千鳥ワールドアライアンス」には、ゲーム開発企業向けの2種類のメンバーシップとして「上級会員」と「一般会員」がある。そのいずれにも共通して、会員企業は「千鳥エンジン」の正規版を利用できるほか、オンラインでの技術サポートがプレミアムエージェンシーより提供される。また、「千鳥エンジン」を使ってゲームタイトルを商品化する際にはタイトルベースのライセンス費が必要となるが、会員企業では割引が適用されるほか、ロイヤリティが無料となる。

 さらに面白いのは、会員企業向けに提供される開発者コミュニティサービスだ。会員企業はプレミアムエージェンシーが主催する技術交流会や各種ワークショップへ参加でき、「千鳥エンジン」に関する開発ノウハウの共有や、人材育成支援、共同開発の相談といった交流の「場」を得ることができる。プレミアムエージェンシーが中心となって、ゲーム開発企業間の情報交換を促進するネットワークを構築するというわけである。

 これに似た試みはEmergent Technologiesのゲームエンジン「Gamebryo」に付帯する開発者コミュニティサービス「PULSE」に見ることができる。オンラインでの情報共有が主となっている「PULSE」は北米を中心に全世界を対象に提供されているが、形態的にゲームエンジンのオマケ的な形で提供されていることもあって、参加率は必ずしも高くない。特に利用企業の関係者からは「日本からの情報共有が皆無」と言われている。

 しかしこの点、「千鳥ワールドアライアンス」では異なる展開が見込める。まず、ゲームエンジンのライセンシングと開発者コミュニティサービスが形式上別のものになっていること。次に、開発者コミュニティサービスが決して安くはない金額の月額費用によって得られる権利であること。形としては開発者コミュニティが「主」であり、ゲームエンジンが「従」である。「千鳥エンジン」を安く利用するために会員になった企業でも、費用対効果を上げるため技術交流会に積極的に参加するという流れが大いに期待できる。そうなれば情報集めのためだけに会員になる企業も現われることだろう。


【「千鳥ワールドアライアンス」会員特典】
上級会員通常会員
  • 1.千鳥エンジン正規版提供
  • 2.オンライン技術サポート
  • 3.オンサイト技術サポート
  • 4.商利用ロイヤリティ無料
  • 5.商利用ライセンス費割引
  • 6.アップデート早期配布
  • 7.技術交流会・ワークショップ参加
  • 8.既存開発環境とのマッチング検証
  • 1.千鳥エンジン正規版提供
  • 2.オンライン技術サポート
  • 3.商利用ロイヤリティ無料
  • 4.商利用ライセンス費割引
  • 5.技術交流会・ワークショップ参加
  • 月額 50万円月額 35万円

    「千鳥ワールドアライアンス」では、「千鳥エンジン」の利用サポートを行なうだけでなく、ゲーム開発企業間のネットワークを構築して業界の活性化を図る。マルチプラットフォーム開発に対応する開発技法の共有も積極的に行なっていくようだ



    ■ 現代的なシェーダー世代のゲーム開発に必要な機能を幅広く搭載する「千鳥エンジン」

    「千鳥エンジン」の技術概要
    HD世代ゲーム機上では、高品質の映像効果を作り出せる「葵」ライブラリーが利用できる
    ポストエフェクトだけでなく、シーンのジオメトリーに対する特殊効果も多数備える

     「千鳥エンジン」そのもののは、ゲーム開発に必要な技術要素を幅広く提供するプログラムモジュールとツール類の群である。現行のゲーム機のほぼすべてとPCに対応することもあって、あらゆるゲーム開発に利用できる点がメリットのひとつだ。

     内容的にも、現代的なゲーム開発に必要となる高度な機能がカバーされている。特にHD世代のゲーム機向けの開発で武器となるのが、「千鳥エンジン」とセットで提供されるシェーダーライブラリー「葵(アオイ)」だ。このライブラリーは3Dシェーディング効果や各種ポストエフェクトを加えるもので、シェーダー機能を持つPS3/Xbox 360/PC向けに提供される。

     「葵」で提供される3Dシェーディング効果としては、天候の変化、季節の変化、時間の経過といったものがある。シーン内のジオメトリーをリアルタイムに変更しながらレンダリングすることにより、樹木の紅葉、落葉や、降雪による地面の盛り上がりといった形状面の変化もプロシージャルに再現できる。ポストエフェクトとしてはブルームやグロー、被写界深度効果はもちろん、ソフトフォーカス、周辺減光、ブラー、各種カラー調整など、30種以上の機能が実装されている。

     「千鳥エンジン」および「葵」の技術開発を担当するR&Dセクションのテクニカルディレクター、伊藤成一氏によれば、こういった機能の多くは、プレミアムエージェンシーがかつて手がけてきたゲームタイトルの技術資産を蓄積してきたものだ。特に紅葉や積雪といった、他の3Dエンジンでは標準的ではないシェーディング機能は、PS3「四季庭」開発時に実装されたもの。実際のゲームで使われた技術が多数投入されているということで、用途さえマッチすればその実用性は折り紙付きだ。

     それでも、現在のところ「千鳥エンジン」や「葵」に実装されている機能はまだまだ拡張できると考えられており、引き続き最新の研究に基づいたグラフィックス機能を積極的に追加実装していく姿勢のようだ。伊藤氏によれば、PS3「KILLZONE 2」などに最新のゲームに使われ始めているDeffered Shadingも「千鳥エンジン」に実装するつもりだという。Deffered Shadingではレンダリングパイプラインの再設計が伴われるため、その際に従来技法との互換性をどう維持するかがポイントになるようだ。

     このように「千鳥エンジン」ではHD世代ゲーム機向けの開発を支援する一方で、SD世代ゲーム機向けの開発を同時並行的に進めるための仕組みもある。取材現場では、PC、PS3、Xbox 360、Wii、PSPで動作するデモアプリを見ることができた。このアプリは、入力装置周りを除くプログラムコードは同一で、表示のための3Dデータやアニメーションデータも同一のもの。今回のデモプログラムに関しては、主に社内でデータを作成したのみで、特に大きなプログラム作業はすることなく作成できたそうだ。

     このデモアプリケーションはPSPでも十分に動作するスペックの3Dデータを利用しているため、HD世代ゲーム機ではややディティールに乏しく見えるシーンもあった。しかし実際のゲーム開発では、全体のデータアセットのうち必要な部分を機種ごとに切り替えて管理する方法で、HD世代機向けの高品質データとSD世代機向けの軽量データの並行利用に対応できるという。

    「千鳥エンジン」および「葵」によるレンダリング結果のスクリーンショット。各種のシェーダー機能はリアルタイムにON/OFFやパラメーターの調整ができ、映像の品質と実行パフォーマンスを容易にチェックすることができる



    ■ 「元気のあるゲーム業界に」。山路和紀氏にショートインタビュー

    インタビューに答えてくれたプレミアムエージェンシー代表取締役社長兼プロデューサーの山路和紀氏
    2月よりプレミアムエージェンシーの取締役CCOに就任した大場規勝氏もその場に同席(写真左)。これから千鳥エンジンを使ったオリジナルのゲーム開発を手がける予定だという
    全機種をサポートする「千鳥エンジン」と、HD機をサポートする「葵」の関係について解説する山路氏

     取材の最後に、「千鳥エンジン」、「千鳥ワールドアライアンス」を統括するプレミアムエージェンシーのCEO兼プロデューサー、山路和紀氏にお話を伺った。日本初のユニークなミドルウェアビジネスで目指す先はどこにあるのか、「ワールドアライアンス」では具体的にどのような取り組みを行っていくのか、そのあたりを中心に質問をぶつけてみた。

    編集部: まず、「千鳥エンジン」と「千鳥ワールドアライアンス」の狙いについて教えてください。

    山路氏: 海外のゲームエンジンが国内でうまく広がっていないという原因のひとつにサポートの問題があると考えています。言語の壁もあり、現場で問題に直面した開発者がメールを書いてサポートを求めても返答に時間がかかるということがあるようです。そういった実情をお聞きしていますので、我々としては日本語できちっとサポートしていくことが主眼にあります。

     一方で我々は香港、台湾、シンガポール等で教育関連の事業にも携わらせていただいている中で、やはりアジアでのゲーム開発への意欲の高まりを感じてます。我々としては、英語、中国語、ドイツ語、韓国語を使えるスタッフもおりますので、日本だけというわけではなくアジア圏ほか全世界のデベロッパーに向けても活動を展開していきたいと考えています。

    編: 月額会員制というシステムに驚きました。定期的な技術交流会も開かれるとのことですが、具体的にはどのように取り組んでいくのでしょうか。

    山路氏: 実際にフタを開けてみないとどれくらい集まるかはわからないのですが、それぞれの地域でそれなりの数のデベロッパーさんからご賛同いただけるようであれば、我々としてはそういった地域の皆様とともに、コミュニティ形成の活動をしていければと考えています。現実的には、香港、台湾、シンガポールなども、「千鳥エンジン」を使って学んでいる学生さんたちが一杯いらっしゃいますし、今後学校を卒業したら起業したいという人たちが当然いるようです。そこに対して継続的に働きかけていくことで我々としてはアジアのクリエイターをどんどん盛り上げていければ、というふうに考えています。

     また、コミュニティを作るためとはいえ月額会費がかかるということは、当然矛盾する部分もあります。単に広げようと思ったら無料でアライアンスを組む、という考え方もできるわけですが、やはり「千鳥エンジン」というものを実際に皆様に提供して、ゲームの制作に集中していただける環境を作るためには、きちっとしたサポートを継続的にやっていく必要があります。例えば、各デベロッパーが自社の開発ツールを「千鳥エンジン」に適用したい、といったケースへの対応は大事だと思います。月額会費については、各社の経営者の方々ともご相談しながら、「新たにスタッフをひとり雇うよりは安いよね」と言っていただけるよう、いろいろとリサーチをかけた上で決めました。

    編: 「千鳥アライアンス」のスタートとなる今年、1年で何社くらいの会員を獲得したいと考えていますか?

    山路氏: 国内に関しては、まずは1社、2社、3社と着実に増やしていきたいなと思っています。それからアジアについては、またちょっと違った形を考えています。学生たちが社会に出て行くなかで、既存の開発企業にはいる人もいますし、独立していく人たちもいますので、そういった方々を中心にして、もしかしたら日本よりは多くなるのではないかなというふうな感覚を持っています。そういう意味では、日本を1とすれば、アジア、北米、ヨーロッパ、どこまで含むことになるかわからないですけれども、グローバルの割合が2、3になるような形で連携を行なえるのではないかと思っています。

    編: ゲームエンジンの価格競争力的な部分もあって、アジア圏はターゲットになりうるということでしょうか。

    山路氏: そうですね。1ゲームデベロッパーとしての立場としてはライバルを増やしてばっかりと見られるかもしれませんが(笑)。世界の様々な地域のデベロッパー同士が、互いに簡単に協力できるような関係を構築できれば嬉しいと思っています。全然違ったカルチャーでライバルとして行く方向もありますけれども、こういう形でアライアンスを組めば、アジア向けのコンテンツを協力して作りましょうよという話ができるようになると思います。

     エンジンは同じですし、アセットを作る時にもフォーマットが同じですからやりやすいですよね。そういう話が出てきたら、我々としてもそのために「千鳥エンジン」をグレードアップさせることもできるでしょうし、ビジネス的な交流、文化的な交流を促して、日本とアジア、世界から面白いものが沢山でてくるようになるための基盤になっていければと思っています。

    編: ミドルウェア業界では近年、教育機関と連携して学生さんにゲームエンジンを使ってもらうという取り組みが盛んになりつつありますが、そのあたり「千鳥エンジン」ではいかがでしょうか。

    山路氏: もちろん、我々も積極的に進めていこうと思っています。「千鳥エンジン」のコンセプト自体は、既存の大型エンジンとは違って、名前の通り軽快に、色々なフォーマットに対応するというところに特徴があります。ゲームデザイン的にも幅広いものに対応できるフレキシブルな土台になっています。

     例えば、学生さんたちも海外大手のFPS系エンジンを使ってゲーム開発を学んだら、やはりFPSばかり作りたくなるのではないかと思うんですよね(笑)。僕たちとしては新しいゲームアイディアを何でも生み出せるプラットフォームになれればと思いますし、それがハイエンドだけではなくて、PSPでもWiiでもということになりますので、使っていただける方に幅広い選択肢を提供できればと思っています。

    編: なるほど。幅広い目的で使えることが「千鳥エンジン」の特徴であるということですが、その他にも機能的なアドバンテージはあるのでしょうか?

    山路氏: グラフィックスの面では、「葵」ライブラリーで多数のシェーディング効果が使えるようになっていますが、その中で一部、我々が海外大手のゲームエンジンに勝ってるなと思っているところは、季節変化のエフェクトなどですね。これは我々が日本でやっているからこその部分になっています。その他の部分でも、他社製のハイエンドゲームエンジンに匹敵するものがちゃんと揃ってますよという構成になっているかと思います。

     一方、海外のハイエンドゲームエンジンはHD世代ゲーム機の中だけに留まっている部分がありますが、「千鳥エンジン」では「葵」ライブラリの部分を取り除けばそのままSD世代のゲーム機でも動作しますよ、という強みがあります。例えばPS3やXbox 360では高品質なテクスチャーでディティールをアップさせますけれども、WiiやPSPのバージョンではそのまま生のポリゴンとテクスチャーで表示するという状態になります。こういった点でフレキシブルな開発ができるというのが1番の魅力かなと考えています。

    編: 今後、ニンテンドーDS、それからiPhone、Windows Mobile、Androidといったスマートフォンにも対応していく予定はありますか?

    山路氏: スマートフォンについては対応予定です。ニンテンドーDSについては私も若干迷ったのですが、今のところは、無理に「千鳥エンジン」でやる必要はないという判断をしています。スマートフォンについては、iPhone、Windows Mobile、Androidというのが対応予定の範囲に入っています。実際既に検証は始めていますが、製品として出せるようになるまでにはもうしばらく時間が必要です。

    編: 今回のビジネスターゲットとなるのは、独立系デベロッパー、中小、大手、あるいは個人も含めてどのあたりにあるのでしょうか。

    「元気のあるゲーム業界になっていって欲しい」という山路氏と、「実際のゲームをいかに面白くするか、という部分に注力するためにも、『千鳥』を是非使ってください」という大場氏。これからプレミアムエージェンシーから出てくるコンテンツにも注目したい

    山路氏: メインとなるのは中小のデベロッパーさんということになると思います。例えば、日本のデベロッパーさんは独自の開発ツールやライブラリーを持っていることが多いですから、それらを引き続き使っていただきながら、プラスして「千鳥エンジン」を使っていただければ、というふうに考えています。

     確かに現在、ハイエンドのゲームは製作コストも増加していますので、中小のデベロッパーさんにとってはなかなか新たなチャレンジが難しい状況です。「千鳥エンジン」活用していただければ、そうしたリスクをコントロールしながら、ゲームの面白さにフォーカスした開発ができると考えています。

     例えば、パッケージゲームで売るのは大変ですが、ダウンロードのゲームなら色々なチャレンジができるわけです。PLAYSTATION NetworkやXboxのLIVE Arcadeでやりながら、iPhoneともコンテンツが連動するようなことを考えれば、ゲームビジネスの可能性がもっと広がっていくのではないかなと思っています。

    編: なるほど。そういった中小のデベロッパーが連携して面白いものが生まれてきたら面白いですね。その中には「とりあえず技術交流会の情報だけ欲しいから、エンジンは利用しないけれども会員になる」、というデベロッパーさんも出てくるのでは?

    山路氏: それはもう全然オッケーです(笑)。ウェルカムでございます。月額費用で、「千鳥」という仮想的な技術サポートスタッフを雇っているというふうに考えていただければいいのかなと。そういった意味では、各社の基礎研究の効率化という部分でも選択肢を広げるものになっていければと考えて取り組んでいます。

    編: 最後に、「千鳥エンジン」のビジネスターゲットである中小のデベロッパーさん達に向けてメッセージをお願いします。

    山路氏:やっぱり、これからもオリジナリティのあるタイトルがどんどん生まれていくような、元気のあるゲーム業界になっていって欲しいなと思っています。そのために我々自身も1ゲームデベロッパーとして努力していきますし、「千鳥アライアンス」を通じて、たくさんのデベロッパーさんと協力していけたらと考えています。

    編: ありがとうございました。



    (2010年 3月 8日)

    [Reported by 中村聖司 / 中村聖司]