ファイブスター、新作アクションMO「クロスブレイブ」の先行体験会を開催
なめらかに動くキャラクター、戦闘スキルや成長システムの使い心地は?

2月16日収録

ファイブスターオンライン・エンターテイメント本社



ファイブスターオンライン・エンターテイメト運営事業部プロデューサーの駒形重紀氏

 株式会社ファイブスターオンライン・エンターテイメントは、3月からクローズドβテスト(以下、CBT)を予定しているWindows用の新作オンラインアクションMO「クロスブレイブ」のプレス向け体験会を開催した。

 「クロスブレイブ」は、ファイブスターの親会社に当たる中国9youが開発している横スクロールタイプのオンラインアクションゲーム。「アラド戦記」や「アンリミテッドハーツ」と同じように、MO空間のダンジョンで敵を倒してエリアを開放していく。大きな違いは、本作はキャラクターや空間が3Dで作られていることだ。3Dでなめらかに動くゲーム画面は、このゲームのファンが集うSNSにも紹介されて期待している人も多いだろう。

 この体験会ではゲームを始めてすぐにプレイすることになるチュートリアル付近と、テスト用の最強キャラクターを使ってのパーティープレイを体験してきた。また、今後のサービス予定を運営事業部プロデューサーの駒形重紀氏に聞いた。



■ 3Dで作り込まれた緻密な世界観が魅力の横スクロールアクションゲーム

初期街の様子。「Tab」キーでマップを確認することができる

 「クロスブレイブ」は中国の大手ゲームメーカー9youが開発しているオンラインアクションゲームだ。9youは「モンスターヴェルト・オンライン」を作った会社で、運営を行なうファイブスターオンライン・エンターテイメントは9youの子会社になる。

 近年「アラド戦記」などのMOアクションゲームが好評を博してきたが、「クロスブレイブ」は同じジャンルの中で初めて3Dポリゴンモデルを使ったゲームになる。開発は、厦門のスタジオで約3年、100人以上を動員して行なわれたのだそうだ。

 2010年の1月下旬に中国で2,000人程度のαテストが行なわれた。その際も、サーバーのトラブルはほとんどなかったそうで、「ゲームの安定性には自信を持っています」とプロデューサーの駒形氏は語る。ちなみにOSはすでにWindow7 64bitにまで対応している。

 使用できるクラスは3種類。「剣闘士」は中距離攻撃を得意とする。「武術家」は近距離攻撃、「魔導師」は遠距離からの魔術攻撃を得意とするクラスだ。それぞれのクラスはレベル25になると上位職に転職できるようになる。現在は「剣闘士」と「魔導師」が女性、「武術家」が男性とクラスによって性別が固定されているが、「夏くらいまでには、性別を選べるようにしたいと思っています」(駒形氏)とのことだ。

 3Dキャラなので、動きはとてもなめらかで、グラフィックスも美しい。アバターも含めた装備はもちろんグラフィックスに反映される。装備のバリエーションの多さは、2Dゲームには決してマネのできない部分だ。背景も3Dで作り込まれているので、奥行きがある。だた街の店など、せっかく細かく作り込まれているのに入れない場所が多く、移動できる場所はあくまでも直線的なのは非常に残念な部分だ。

 これまでの横スクロールアクションゲームでは、拠点となる街は1つしかなかったが、「クロスブレイブ」には複数の街が存在している。CBTまでに実装されるのは、初期街の「ヴァンクール」とその次に訪れる港町「エンポリア」の2つ。他に貴族が暮らす大都市「アードリガ」と、精霊の里「アルカーナ」が順次登場する予定だ。

 今回は試す事ができなかったが、本作には豊富な生産の要素がある。生産は、装備やポーション、ステータスを一時的に強化するアイテムなどを作ることができる。生産スキルを上げるにも、攻撃スキルと同様経験値が必要だ。簡単な戦闘をひたすら繰り返して生産だけを上げることもできなくはないので、生産に特化したキャラクターを育てることもできる。

 またこちらも体験することはかなわなかったが、対人戦もある。現在は1対1のみだが、ギルド戦もあり、最大16人のバトルロワイアルが楽しめるそうだ。


チュートリアルのための村町にいる転送士に頼めば別の街に送ってくれる貴族の町「アードリガ」
精霊の里「アルカーナ」港町「エンポリア」街ごとに入れる戦闘マップが異なっている



■ スピーディな戦闘は、打ち上げてコンボを狙う攻撃が基本

3クラスとも、打ち上げて追撃コンボという基本は同じだ

 体験プレイでは、最初のキャラクター作成からチュートリアル戦闘、最初の戦闘マップのボスまでを試した。キャラクターの外見でカスタマイズ可能なのは髪型とフェイスパターンで、各5種類ずつ用意されている。フェイスパターンは日本人の好みに合わせて、やや薄い顔に作り直している。ただ、顔の作りは全体的に海外ゲームライクで、確かにあまり日本人好みではないが、ゲームが始まってしまうとほとんど気にならない。

 キャラクター作成の後は、チュートリアルステージで、最初に操作について説明を受けたあと簡単な戦闘を体験することになる。内容はクエスト形式になっていて、レベルも上がるのだが、基本的にずっと会話が続いて単調なのと、なかなか戦闘を体験できずじれったさがあるため、現在チュートリアルを全面的に見直しているという。最初のCBTには現在の形のままだが、OBT以降は「ある程度戦闘のアクション部分から始めて、面白さを体験してもらいたい」(駒形氏)という戦闘要素の強いチュートリアルへと差し替えられるようだ。

 戦闘は「アラド戦記」と同じく、2D横スクロール形式の複数のエリアに分かれたフィールドで、そのエリアにいるモンスターを全て倒せば次のエリアへの入り口が開くというスタイルだ。画面は視点が固定なので、2Dに思えるが、全て3Dで作られているので、キャラクターが奥へ行くと少し小さくなるし、範囲攻撃には左右と高低だけでなく、奥行きへの当たり判定もある。

 攻撃は「J」キーで通常攻撃、「K」キーで打ち上げ攻撃が出る。「J」キーの攻撃は「剣闘士」の場合には4回連続でヒットすると4回目がダウン攻撃になるので、打ち上げた敵にコンボを入れるのが序盤の基本的な戦い方になる。なお、詳しくは後述するが、操作はゲームパッドにも対応している。

 中距離が得意な「剣闘士」では、敵を打ち上げるとかなり前に飛ぶので、追いかけていって追撃するような感じだった。見た目の重そうなモンスターは打ち上げても余り高くまでは持ち上がらず、すぐに落下するのでコンボを入れるタイミングがシビアだ。攻撃のレスポンスはよく、コンボには爽快感があるが、移動速度は少し遅めに思えた。

キャラクター作成画面チュートリアルは村で簡単なクエストを受けることで進むマップには、NPCの場所が表示される
村の外で戦闘のチュートリアルクエストを受けることができる最初の敵はゴブリンやイノシシだモンスターの輪郭が赤く光っている間は、打ち上げ攻撃が効かない



■ 成長システムは少々複雑。手動のレベルアップは危機回避にも使える

画面右下の矢印のアイコンがレベルアップ可能を示すサインだ

 本作はレベルアップのシステムが少々変わっている。戦闘で貯まった経験値はストックされていて、レベルアップはプレーヤーが手動で行なわなくてはならない。レベルアップが可能なくらいに経験値が貯まると、画面右下に矢印のアイコンが表示される。この状態で、ステータス画面にある「レベルアップ」のアイコンを押せばレベルアップする。レベルアップ時は、HPやMPが全回復するので、戦闘中に経験値が貯まったら、ここ1番の緊急手段として使うこともできる。

 レベルアップすると、基本ステータスを上げるための「潜力」という数値が貯まっていく。この数値は、HPに関わる「体質」や「智力」、「腕力」などに好きなように振り分けることができる。振り分けると、どれだけステータスが上がるかがパーセント表示されるので、それを見ながら自分好みのキャラクターを育てていくことができる。駒形氏によると、クラスによる成長の差はないそうなので、どこにポイントを振るかで、魔法攻撃に強い「剣闘士」やタフネスな「魔導師」といった育成もできる。

 経験値は、スキルを覚えるためにも使用する。スキルは街にいるそれぞれのクラス専用のNPCに話かけて覚える。覚えるためには経験値の他に、クエストをクリアするともらえる「スキルポイント」が必要だ。ものによってはお金も必要となる。

 覚えたスキルは、ランクを上げることができる。このランクが一定以上でなければ、レベルを上げることができない。キャラクターをレベル5にするには、スキルが2つ以上ランク5でなければならないし、6にするためにはスキルのランクも6にしなくてはならない。そのため現状では、スキルを先行して覚えるとか、スキルを覚えずレベルだけを上げるといった成長の自由度が少ない。

 複雑な割には画一的な成長になってしまう現行のシステムは、「MMORPGに慣れている人ならいいですが、単純にアクションゲームを遊びたくて入って来る人には複雑すぎるかもしれない」(駒形氏)という理由もあって変更するかもしれないと語っていた。


アクセサリー以外の装備は見た目に反映される戦闘終了後のアイテム取得画面。今は、かなりはずれ率が高いのだとか課金アイテムのショップへは戦闘中でも入ることができる
スキルの習得画面レベルアップはステータス画面のボタンを押して、手動で行なう装備にはレベルやクラスの制限がある



■ パーティープレイはゲームパッドで体験。コマンド入力は、なかなかシビア

「迷いの森」のボスは、巨大な木のモンスター

 体験プレイの後半は3台のパソコンを使って、駒形氏らに手伝ってもらって3キャラクターによるパーティープレイを試した。本作では最大4人のパーティを組むことができる。今回は3人パーティー用の体験プレイのために、スペックの違う3台のマシンが用意されていた。ハイスペックのパソコンなら、フルHDで遊ぶこともできるし、ロースペックならそれなりにといった形で、かなり幅広いスペックでのプレイが可能だ。

 パーティのメンバーは、レベル60にした「霊媒師」、「狂剣士」、「格闘家」。トライしたのは最適レベルが24のダンジョン「迷いの森」だ。森というだけあって、木や草の姿をしたモンスターが多く、ボスも巨大な木のモンスターだった。

 このパーティープレイでは、ゲームパッドでのプレイを試した。本作はキャラクターの移動と戦闘で使用するキーが対応している。駒形氏によると、「将来的にはチャット以外の全てのキーをゲームパッドで操作できるようにしたい」とのことだ。また、現在はキーコンフィグができないが、これも「将来的には対応させていきたい」と話していた。

 通常攻撃以外のスキルは、それぞれのスキルに格闘ゲームのようなコマンドが設定されていて、それを入力することで発動する。コマンドは例えば、↓→Aのように方向キーとボタンを組み合わせたものなのだが、かなり入力が難しいものもある。入力判定がシビアなのか、単に筆者が下手なだけなのか、短時間のプレイでは思い通りのスキルを絶妙のタイミングで出せるまでには至らず、結局ゲームパッドとショートカットキーを併用してのプレイになった。

 今回はいきなり最高レベルでスキルも全て覚えてのスタートということもあって、上手に使いこなすことができなかった。本来はスキルを育てていく過程で何度もクエストを繰り返しながら、だんだんと慣れてコマンドも暗記していくことになるのだろう。

 筆者は「霊媒師」を使用してみた。「霊媒師」は普段から自分と自分の周囲にいるにいる敵を弱体化させる魔方陣を張っている。攻撃は、魔法の矢を放ったり、巨大な氷の固まりで攻撃したり、天空から雷を振らせたりと、魔法を使った派手なものが揃っていた。

 画面右端を上から下まで埋め尽くしてもまだ全体が表示できない程巨大なボスは、木のモンスターだけに地上にしっかりと根を張っていて打ち上げることができない。協力プレイで戦略を練って戦っていく必要がありそうだ。


パーティー戦闘の様子。派手なエフェクトで、敵も味方も見えなくなってしまうこともあった



■ 2月末にSNS会員限定のファーストCBT、その後3月にも数回のCBTを予定

 2010年の1月22日に、「クロスブレイブ」のファンが無料で使えるコミュニティ空間「クロスブレイブSNS」が公開された。2月26日から予定されているファーストCBTは、「5StarsID」を持っているSNS参加者が対象だ。現在は1,000人程度が登録していて、募集は終了しているが、CBTに合わせて追加の募集を行なう可能性もあるので、一刻も早く本作で遊んでみたいという人は情報に注意しておいて欲しい。

 CBTでは、レベルキャップは60まで解放されるので、上位職も作ることができる。正式サービス開始時にはさらに上までレベルキャップが解放される予定だ。また、夏までに予定されているアップデートでは、ギルド戦や、ペットシステムなどが入る予定だ。ペットシステムは現在もあるのだが、根本的に見直している最中なのだそうだ。

 初めてプレイしてみた印象としては、中国産のオンラインゲームは成長システムが煩雑なものが多いが、本作もその例に漏れず、キャラクターを成長させるために沢山の手順が必要だ。この手順の豊富さをやり込み要素と見るか、煩雑でめんどくさいと見るかで評価が分かれそうだ。

 戦闘はオーソドックスな部分はしっかり押さえられているので、あとはどのくらい斬新さを出せるかが鍵になるだろう。短い体験プレイでは、なかなかスキルを駆使した戦闘の楽しさは味わえないので、その部分の楽しさを充分お伝えできていないのが残念だ。ぜひ、CBT以降に自分の手で体験してみて欲しい。


【スクリーンショット】
作り込まれた背景にも注目して欲しい。煙や火のエフェクトもよく動いている


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(2010年 2月 19日)

[Reported by 佐藤カフジ]