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【特別企画】ネクソンに「アラド戦記」のBOT問題について聞いてみた
BOTは内容非公開ながら現在対処中。「ネクソンの運営を信じて頂きたい」





 株式会社ネクソンが運営しているWindows用オンラインアクションRPG「アラド戦記」に、大きな異変が起こっているのをご存じだろうか。

 「アラド戦記」は、もともとはNHN Japanが日本での運営を行なっていたが、2009年3月にネクソンジャパンへ完全に移管された。対人戦の駆け引きの熱さや、今までになかったゲーム性が人気を呼んで、非MMORPGタイプのゲームとしてはダントツの人気を誇る。2009年にもウェブマネー主催の「WebMoney Award」でグランプリを取ったばかりだ。

 「アラド戦記」に発生している異変とは、BOT(外部ツールによって動く無人キャラクター)問題だ。NHN Japan時代からBOTに悩まされており、移管によって状況が改善することを多くのファンが期待していた。しかし、移管後は、むしろBOTが激増する結果となってしまい、2009年後期は、BOTのキャラクターによってすべてのチャンネルが埋まり、一般のプレーヤーがまったくログインできないという事態にまで発展してしまった。

 2010年1月現在、まったくログインできないという状態は解消されたものの、依然として至る所にBOTが目に付く状態に変化はない。運営サイドにより、BOT対策は行なわれているらしいが、解決に向かいつつあるのかそうでないのか依然としてよくわからないままだ。

 “らしい”と書いたのには、理由がある。ネクソンは、遊べば誰でも気がつくBOTの問題について一切口をつぐんでおり、BOT対策の状況が外からは一切わからないようになっているからだ。そこで今回、GAME Watch編集部では、ネクソンにBOT問題について疑問をぶつけてみた。このレポートでは、ネクソンからの回答を紹介するとともに、「アラド戦記」の現状について報告したい。



■ 「アラド戦記」にはびこるBOT。運営の対策はどうなっているのか、質問状を送付

対策後にもダンジョン入り口には、無機質な名前のBOTの姿が目に付く。なぜか「鬼剣士」が多い
対策前のチャンネル選択の様子。まったくログインできなかった

 「アラド戦記」は、韓国のデベロッパーNeople(現在は韓国Nexonの子会社)が開発した2D横スクロールタイプのアクションMMO。少々レトロな見た目とは裏腹に、やり込み度の高さや対人戦の駆け引きの面白さなどが好評で、そのゲーム性は多くのプレーヤーに高く支持されている。

 サーバーは2つで、その中は細かいチャンネルに分かれているのだが、その区分けはダンジョンの適正レベルごとになっている。例えば、初心者エリアの「エルブンガード」はレベル1〜3用で、このレベルのキャラクターは「エルブンガード」という名前の付いたチャンネルで該当のダンジョンのミッションをクリアすればボーナスが付く。野良のパーティーを組むときには人の多い適正レベルチャンネル、ギルドや知り合いで行動するときには人の少ないチャンネルでプレイというスタイルが一般的だ。

 ところが、2009年後半から深刻化したBOTによるチャンネル占有のせいで、チャンネル移動ができないどころか、まったく入れないという事態が起こってしまった。また、ようやくログインできても、ゲーム内にいる大量のBOTのために正常なプレイが阻害されるという有様で、2009年年末に掛けてはその問題が「アラド戦記」以外のコミュニティにまで聞こえてくるほどになった。

 ウェブ上で問題を糾弾したり、ニコニコ動画などに問題のシーンを掲載したりと、ユーザー側から対策を求める運動が起こり、編集部にも問題を指摘する投書が届いた。編集部でも独自に調べて観たところ、確かにBOT対策について不透明な部分があるよう感じられた。そこで編集部ではこの問題に関する質問を作成して、ネクソンジャパンにぶつけてみた。

 質問は大きくわけて3つの項目について聞いた。

(1)BOTで溢れかえっている現状をどのように認識しているのか
(2)BOT対策のためにどのような対処を行なっているのか
(3)BOT問題をどのように解決に導くつもりなのか

 1と2については、ちょうどこの企画と前後して、なんらかの対策が行なわれたもようで、チャンネルが満員でログインできない状況が改善された。蔓延していたBOTも一時的に姿を消していたが、取材途中にも再び復活しつつある。1月に行なわれた対策の内容は発表されておらず、事後の報告も一切行なわれていない。そのためユーザーは、なにかが起こったということしかわからず、確証が得られない宙ぶらりんな状態で、そのことで発生する不安が運営への不信につながっているという面もある。それでは運営サイドの見解を聞いてみよう。



・BOTで溢れかえっている現状をどのように認識しているのか?

ログインできない状況については、現在は改善されている
対策後も、再びBOTが増殖を始めている

――BOTの蔓延について、運営サイドではどのように問題を認識されていますか?

 日々、BOTに対する問い合わせが増えてきていることは認識しており、一般プレーヤーの皆様がゲームにログインできないなどの弊害が大きく、重大な問題であると認識しております。

――昨年末頃は、サーバーが常に「満員」状態で入れない状態になりましたが、どうしてそんなことになったのでしょうか?

 弊社では日頃からBOT対策を講じ、対応しておりましたが、年末以降にBOTの数が急増したため対応しきれず、そのような結果になりました。

――問題が顕在化した当時のBOT対策は、どういった点が不足していたのでしょうか?

 BOTが急激に増加したので、対応策を実施するための情報が不足しており、流入数が対処数を上回り、結果として一般プレーヤーの皆様がログインできない状態になってしまいました。ご迷惑お掛け致しました事をお詫び申し上げます。

――1月14日ごろからBOTが減ったという指摘もありますが、何らかの対策が行なわれたのでしょうか?

 対策を実施しました。不正者に情報を与えないため、詳細対策内容、実施日時については公開できないことをご理解下さい。

――BOT対策についてユーザーに一切告知をしないのは、どういった理由なのでしょうか?

 告知を行なう事は事前に不正者へ情報を与え、対策や調査をされる事に繋がります。そのために、事前事後の告知を行なっておりません。ご不満に思う方もいらっしゃると思いますが、プレーヤーの皆様にはご理解頂きたいと思います。

――今後同じような問題が起こった場合の対処方法は、どのように考えておられますか?

 情報収集の迅速化、開発会社との連携を強化し、問題が発生したら直ちに対応できる体制を構築している道程です。



・BOT対策のためにどのような対処を行なっているのか?

「競売場」のあるチャンネルには、エンドレスに高速で売買のチャットを垂れ流しているキャラクターがいる

――現在でもゲーム内でエンドレスな一般チャットの垂れ流しや、RMTの宣伝シャウトなども目にしますが、これらへの対策はどうなっているのでしょうか?

 目視で巡回を行ない、対応を実施しております。しかし、複数IDを使用されているため、完全にゲーム内から排除することが困難な状況です。

――BOTが供給する大量のアイテムが、ゲーム内の経済バランスを崩していますが、この問題の解決のために、何らかの対策は取られていますか?

 BOTや不正者に対しては随時対応しております。ゲーム内の経済バランスについてはBOTによって一時的に価格が上下する可能性があると思いますが、大きく崩壊しているとは考えておりません。

――BOTがチートでレベルを上げたり、ダンジョン内の敵を一瞬で殺したりしています。偶然野良のパーティーで一緒になったプレーヤーが被害を受ける例もあるようですが、これらのチート対策は行なわれているのですか?

 クライアント、セキュリティ対策(ハックシールド)を随時更新し、セキュリティーを強化しておりますが、実際は不正者とセキュリティーの強化がイタチゴッコになっており、完全に防ぐことは難しいと考えております。今後も継続して調査を行ない、より高いセキュリティーを達成すべく、作業を行なってまいります。



・BOT問題をどのように解決に導くつもりなのか?

――BOTやRMTに対する今後の対策について、話せる範囲で教えて頂けますか?

 先ほども申し上げましたが、対策の公開は不正者への情報を与えることに繋がるため、お伝えすることができません。今後も継続的に対策を行なってまいりますので、是非ともネクソンの運営を信じて頂きたいと思っております。

――また、10月に発生した競売所の不具合によって、誤BANされたプレーヤーへの対処が不適切だと言われていますが、なんらかのサポートが行なわれているのでしょうか?

 競売所の不具合に関連したBANの対応は行なっておりません。誤BAN報告のあったプレーヤーについては、その対応が正当なものであったか再調査行ない、その都度対応を実施しております。

――誤BANされた場合のその後の対処はどのような手順で行なわれるのですか?

 再調査の結果、問題がなければ制裁を解除しております。

――ユーザーの要望や苦情に対して、定型文のメールが戻ってくると言う不満がありますが、実際に届いた意見はどのように活用されているのでしょうか?

 定型文での返信については、メール返信する担当者のサポートに差異が生じないようにすることで、サービスの均一化を行なうためのものであります。頂いたご意見につきましては、運用担当者や開発会社でも共有し、確認をしております。今後の対策への参考にさせて頂いておりますのでご安心下さい。

――BOT問題によって、運営への信頼度が揺らいでいると思います。今後の運営方針についてお伺いできますか?

 プレーヤーの皆様の声を真摯に受け止め、運営プロセスの再点検を行ない、改善できる点は改善する方針です。

――サポート体制や、ユーザーとのコミュニケーションについて、今後具体的に変更していく予定はありますか?

 現時点で具体的な予定はございませんが、今後もサポートの迅速化、正確性の向上に努めてまいります。

――ユーザーへのメッセージをお願いします

 BOTやチートの存在がプレーヤーの皆様に与える影響が大きい事も認識しており、弊社では全てのタイトルにおいて常に対応を行なっております。しかしながら、システムやゲームデザイン上、運営会社と開発会社で完全に排除することは難しいと認識しており、その点につきましてはプレーヤーの皆様にもご理解頂きたいと思っております。

 一般のプレーヤーの皆様に楽しんで頂ける環境を提供するため、弊社は引き続き、不正者の取締りを強化してまいります。ご指摘頂きました通り、BOTへの対決姿勢を示すことでプレーヤーの皆様に評価頂けることも理解しておりますが、弊社と致しましては情報公開がより不正者を招く事に繋がるという認識から、具体的な内容をお伝えできないのが心苦しいですが、皆様からのご意見には目を通し、対策を実施していることはご理解頂きたいと思っております。今後とも「アラド戦記」をよろしくお願い申し上げます。



■ 対策は評価できるが、絶対的な情報量が不足。透明性のある運営に期待

 編集部としては、運営サイドのBOTやRMTとの対決姿勢と、BOT問題に打ち克とうという覚悟を示してほしいと期待していたのだが、そういった強い意志が感じられなかったのが残念だ。多くのオンラインゲームがBOTやRMTに悩まされており、最近では刑事事件に発展した事例などもある通り、なかなか1企業の努力だけで問題をすべて解決するのが難しい状況であることは間違いない。

 だが、1度はBOTに悩まされながらも、継続的な対策を入れることによって、駆逐に成功した例がないわけではない。いたちごっこになろうとも、絶対に許さないという強い姿勢で挑まないと、もっとも大切なユーザーからの信頼を失ってしまうのではないかと危惧する。

 「アラド戦記」でもう1つ気になったのが、告知の方法だ。事前にいつ対策を行なうかという情報を出さないのは、至極当然のこととして理解できるが、対策後にもなんのアナウンスもないのは、やはり運営社としてユーザーへの説明責任を果たしていない。情報を出さない理由は「不正者に情報を与えないため」ということだが、だからといって何の情報も出さなくていいということにはならないだろう。

 運営のBOT対策に対する姿勢は、今やユーザーがプレイするゲームを選ぶ重要な基準の1つになっている。裏を返せば、それだけBOTの被害が深刻で、多くのユーザーが不愉快な思いをしているということだ。だからこそ、BOT対策への決意や道筋を常にユーザーに示して行くのは、対策それ自体と同じくらい重要なことではないかと思う。

 残念ながら1月の対策以降姿を消していたBOTキャラクターが、またぞろサーバー内を闊歩しつつある。筆者もログインしてみたが、ユーザーに交じって名前の読めないキャラクターが、明らかにチート行為だと思われる方法で立ったままレベルアップを続けているところに出くわした。

 ユーザーも完全にBOTを排除しなければだめだと思っているわけではないだろう。それがとても困難だということはわかっているが、それでもBOTを容認することなく、戦い続けてほしいと多くのユーザーは考えているのではないだろうか。例え一時的にログインできなくなっても、この運営なら必ず何とかしてくれるという信頼があればユーザーは離れないだろうが、自分たちの方を向いていないと感じれば失望して離れていってしまうだろう。

 ネクソンがBOT対策を放棄しているとは思わない。むしろ対策よりも、不足しているのはユーザーへの的確なアナウンスではないか。ユーザーが怒っているのは、対策の遅れ自体よりもむしろ何をしているのか見えてこない運営の姿勢に対してだ。すべての情報を出してほしいとは思わないが、せめて事後に対策を行なったというアナウンスを出したり、継続的な対策についてのロードマップを提示してユーザーを安心させる必要があるのではないだろうか? 今後の具体的な予定は今のところないということだが、より一層の対策と情報公開に期待したい。


Copyright(c)2009 NEXON Corporation and NEXON Co., Ltd. All Rights Reserved.
Copyright(c)2009 NEOPLE Inc. All Rights Reserved.

(2010年 1月 29日)

[Reported by 石井聡]



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