EAJ、プライベートショウ「EA SHOWCASE TOKYO 2009」を開催
日本オリジナルタイトル「少年鬼忍伝ツムジ」など14タイトルをプレイアブル出展

9月23日開催

会場:MUSEUM CAFE MADO LOUNGE

 

 エレクトロニック・アーツ株式会社は、9月23日、都内イベントホールにて、2009年度後半に発売を予定しているタイトルを一堂に集めたプライベートショウ「EA SHOWCASE TOKYO 2009」を開催した。

 「EA SHOWCASE TOKYO 2009」は、日本のメディアだけでなく、明日より幕張メッセにて開幕する東京ゲームショウを取材するために来日している全世界のメディアを対象にしたもので、過半数が海外メディアという、さながらE3やGDCのプライベートイベントのような様相を呈した。今年、東京ゲームショウへの出展を見送ったEAとしては、他社に勝るとも劣らないホリデーシーズン向けの豊富なラインナップを東京ゲームショウに先駆けてアピールする狙いがあるものと見られる。

 イベントは、最初に1時間ほどのタイトルプレゼンテーションが行なわれ、その後、個別に用意されたブースで自由に試遊、取材が可能という、いつものスタイルで行なわれた。本稿ではイベント全体の模様と、今回最大の注目作である「少年鬼忍伝ツムジ」のインプレッションをお伝えしたい。注目タイトルの詳細については別稿にてお届けする。


【EA SHOWCASE TOKYO 2009】
まるでここは日本ではないかのような海外メディアの多さだった。出展タイトルはPS3からDSiウェアまで全プラットフォームを網羅した14タイトル。ゲーム業界を代表するグローバルパブリッシャーだけにバランスの良さが際だっている印象だ



■ メディア初披露の日本オリジナルタイトル「少年鬼忍伝ツムジ」。海外からの注目も高い

挨拶を行なうエレクトロニック・アーツ代表取締役社長のRex Ishibashi氏
取材に協力して頂いた「少年鬼忍伝ツムジ」プロデューサーの村上貴宏氏。「シムシティDS」、「ポピュラスDS」等、数々のDS向けタイトルを手がけてきたDSタイトルのスペシャリストである
「少年鬼忍伝ツムジ」のタイトルロゴ

 発表会の開幕を飾ったのは、海外メディアには初披露となる「少年鬼忍伝ツムジ」のプロモーションムービーの披露だった。「FIFA 10」や「Battlefield Bad Company 2」ではなく、日本発のニンテンドーDSタイトルである「少年鬼忍伝ツムジ」を開幕に選んだところが日本開催らしい部分であり、それこそが日本開催の理由のようだ。

 ムービー終了後にエレクトロニック・アーツ代表取締役社長のRex Ishibashi氏が登壇し、「メディアの皆さんに日本オリジナルタイトルである『少年鬼忍伝ツムジ』をご紹介できることを大変嬉しく思います。エグゼクティブプロデューサーのTakahiro Murakamiがブースにいるので質問があれば何でも聞いてください」と日本発のタイトルを猛プッシュした。

 「少年鬼忍伝ツムジ」は、日本では5月1日の正式発表後に、「コロコロHOBBY GP in SUZUKA」や「ワールドホビーフェア」等のイベントで試遊会が行なわれてきた経緯があるが、発表会での出展は今回が初となるだけに、メディアの注目がもっとも高かったタイトルといっていい。これまで「未定」としていた発売時期も「2010年春」と発表。現時点では日本のみでの発売ということだが、反応次第ではワールドワイドでの展開も考えていくという。

 プレゼン終了後にさっそくプレイしてみたが、任天堂の「ゼルダの伝説」シリーズを筆頭とした日本の良質なタッチペンスタイルのアクションアドベンチャーゲームの形をしっかり踏襲したタイトルという印象を持った。丁寧なチュートリアル、こまめなカットシーン、ウィットに富んだクエスト内容、飽きさせないシナリオ展開、ストレスを感じさせないインタラクションなど、実に良く練り込まれており、どこからどうプレイしてみても純国産の手応えを感じさせるゲームだ。

 開発元は大阪に本拠を置く独立系デベロッパーのニューロン・エイジ。カプコンやバンダイナムコゲームスなどのタイトルの開発協力を行なってきた実績を持つ。開発着手からすでに2年ほど経過しており、現在開発進捗度は70%。来春の発売に向けて急ピッチで開発を進めているという。

 プレイしていて特に感心したのは、謎を解くための「聞き取り」のプロセス。村人達は、基本的に何者かに脅されたり、何か問題を抱えているため、本当のことを喋らないケースが多い。このため、本作では本音を探るために床下や屋根裏に潜入して“盗聴”する。床下に忍び込み、匍匐スタイルで少しずつ前進して、対象の真下へと近づいていく。十分に近づくと吹き出しのアイコンが表示され、それをタッチペンでクリックすることによって、上の会話が盗み聞き出来る仕組みだ。

 潜入時は、主人公が動くたびに円形のノイズが発生する。慌てて近づくと円が大きくなり、ゆっくり進むと円の大きさは最小となる。円に対象者が接触すると気づかれて潜入失敗となる。このためタッチペンをじわじわ動かして細心の注意を払いながら潜入していくことになる。序盤は時間をかけてゆっくり操作すればいいだけだが、中盤以降は様々なトラップが張り巡らされ、どんどん潜入が難しくなると言う。思わず笑ってしまうようなシーンだが、単なるネタに終わらず、ミニゲームへと昇華させているところが素晴らしい。

 そのほかにも、ツボに“潜入”して盗み聞くようなシチュエーションがあったり、いきなりモグラ退治を頼まれてミニゲームにチャレンジしたり、遊び手を飽きさせない工夫が随所に凝らされている。同作エグゼクティブプロデューサーの村上氏は、「街をダンジョンに行くための中継地点にしたくなかった」と語る。完成度70%とはいえ、まだ未実装の要素も多いようで、今後、マルチプレイの対戦モードや、角力などのミニゲームの実装などを進めていくという。まったくEAらしくないタイトルだが、日本発のEAタイトルとして要注目のタイトルだ。

【少年鬼忍伝ツムジ】
「少年鬼忍伝ツムジ」は、タッチペンだけで遊べるアクションアドベンチャーゲーム。拠点となる街にも様々な謎解きが隠されている。2010年春発売予定



■ PS3からDSiウェアまでバランスの良いラインナップ

 さて、本日公開されたのは全14タイトル。ほとんどのタイトルはE3、もしくはそれ以前のプライベートショウで発表済みのもので、サプライズはなかったものの、ホリデーシーズン向けの完成度の高いバージョンがプレイできたのは収穫だった。

 今回の出展ラインナップは、基本的にすべて日本での展開を予定しているタイトルばかりとなる。逆に言うと今回出展されなかった、Pandemic Studiosの「The Saboteur」やBioWareの「Dragon Age: Origins」、Double Fine Productionsの「Brutal Legend」といった通好みのアクション/RPGタイトルは日本で発売されない可能性が高いと考えて良いようだ。

 出展傾向としては、PSP向け、DS向け、そしてそれらを含むモバイルプラットフォーム向けのダウンロード販売タイトルが激増していることだろう。かつてEAといえば、PCを含むハイエンドプラットフォームに強く、PSP向け、DS向けには弱い傾向があったが、それはもう完全に過去の話になっている。

 具体例を挙げるとWii向けの「デッドスペース エクストラクション」、PCを含むハイエンドプラットフォーム向けの「Battlefield Bad Company 2」、Valveの「Left 4 Dead 2」の3タイトルを除く11タイトルがモバイル専用あるいはPSP版を用意している。今回のラインナップには携帯ゲームやiPhone版は含んでおらず、それらも含めるとラインナップの過半数がモバイル向けという状況になりつつある。

 日本でもモバイルゲームを専門に取り扱う事業部「EAモバイル事業部」を新たに立ち上げ、現在展開のための準備を進めているという。現時点では発売時期はすべて未定とのことだが、近いうちに何らかの動きがあるものと見られる。

 今回出展された具体的なラインナップは下記の通りとなる。カッコ内のプラットフォーム表記は、展開予定プラットフォームで、すべて日本で展開するとは限らない点に注意してほしい。また特に注釈がない限り、発売時期は日本でのもの。「Left 4 Dead 2」については、日本でのパブリッシャーが未確定の段階であるため“発売未定”としている。

【FIFA10 ワールドクラスサッカー】
「FIFA10 ワールドクラスサッカー」(PS3、Xbox 360、Wii、PS2、PSP)
10月22日発売予定(PS3、Xbox 360版)
画像は上段がPS3/Xbox360版、下段がPSP版

【デッドスペース エクストラクション】
「デッドスペース エクストラクション」(Wii)
10月1日発売予定

【Army Of Two The 40th Day】
「Army of Two: The 40th Day」(PS3、Xbox 360、PSP)
発売時期未定(欧州:2010年1月8日、北米:2010年1月12日発売予定)

【Battlefield Bad Company2】
「Battlefield Bad Company 2」(PS3、Xbox 360、Windows)
発売時期未定(欧州:2010年3月5日、北米:2010年3月10日発売予定)

【ダンテズ・インフェルノ】
「ダンテズ・インフェルノ」(PS3、Xbox 360、PSP)
2010年発売予定(欧米:2010年2月発売予定)
画像は上段がPS3/Xbox360版、下段がPSP版

【Left 4 Dead 2】
「Left 4 Dead 2」(Xbox 360、Windows)
発売未定(欧米:2009年11月17日発売予定)

【ニード・フォー・スピード シフト】
「ニード・フォー・スピード シフト」(PS3、Xbox 360、PSP)
2009年11月12日発売予定

【ニード・フォー・スピード ナイトロ】
「ニード・フォー・スピード ナイトロ」(Wii、DS)
2009年12月発売予定
画像は上段がDS版、下段がWii版

【ぼくとシムのまち エージェント】
「ぼくとシムのまち エージェント ~極悪社長から世界をすくえ大作戦!~」(Wii、DS)
2009年10月1日発売予定

【MySims Camera】
「My Sims Camera」(DSiウェア)
発売時期未定(北米:発売中)

【チャームガールズクラブ】
「チャームガールズクラブ わたしのファッションモール/わたしのファッションショー」(DS)
2009年12月10日発売予定

【Sudoku】
「Sudoku」(PSP、DSiウェア)
発売時期未定(北米:2010年10月発売予定)
画像は上段がDS版、下段がPSP版

【TETRIS】
「TETRIS」(PSP)
発売時期未定(北米:2010年10月発売予定)


(C)2009 Electronic Arts Inc.

(2009年 9月 24日)

[Reported by 中村聖司 ]