驚きの進化を遂げたレーシングシム「Forza Motorsport 3」プレビュー
よりリアルに、より遊びやすく。全ての面で大幅スケールアップ!

【Forza Motorsport 3】

10月22日 発売予定
対応機種:Xbox 360
価格:7,140円(通常版) / 8,190円(リミテッド エディション)
CEROレーティング:A(全年齢対象)


通常版パッケージ

 「Forza Motorsport」は、Microsoft Game Studios傘下のTurn 10 Studiosが開発する人気レースゲームシリーズだ。シリーズの目指す方向性はレーシングシミュレーターとして完成度を高めること、そして幅広いユーザーに楽しみやすいゲーム環境を提供することにある。

 マイクロソフトは、そのシリーズ最新作「Forza Motorsport 3(以下、『Forza 3』)」を来る10月22日に発売する。「Forza 3」では、前作で好評を得たカーシミュレーションエンジンや、車体デザインの作成機能、オンラインでの流通機能を引き継ぎつつ、全ての面で大きくスケールアップ。シミュレーターとしてもゲームとしても、想像を超える進化を遂げた。

 

 そして今回マイクロソフトに取材し、マスターアップした本作の全貌を捉えることができたので早速レポートしたい。作品を解説してくれたのは、開発元Turn 10 Studiosにてシニアゲームデザイナーを勤める谷口潤氏。そこで紹介された「Forza 3」での様々な改良や新機能は、どれも非常にインパクトが大きく、驚きに値するものだった。

 なお、「Forza 3」は9月24日より開催される「東京ゲームショウ2009」にてプレイアブル展示される。レースゲームのファンの皆さんは是非実際に体験してみよう。

「リミテッド エディション」には容量2GBの特製USBメモリー、特製キーチェーンが付属。また5種類のスペシャルカーパック、Turn 10 Studiosが製作した歴代のパッケージ掲載車両が収録されたゲーム追加コンテンツダウンロードカードが同梱されている


■ 前作で欲しかったシステムが続々実現。さらにリアルに、遊びやすく、大幅な進化を遂げる

作品の紹介を行なってくれたTurn 10 Studiosの谷口潤氏
前作よりもさらに高詳細になったグラフィックス。インゲームでは1080p、60fpsのゲームプレイを保証する
コックピットビューの搭載は本作における大きなトピックのひとつだ
任意地点にまき戻す「リワインド」機能は、レース中いつでも使える

 今回マイクロソフトの代田橋オフィスで行なわれた取材では、Turn 10 Studiosの谷口潤氏によるゲームの解説に加え、短時間ではあるが実際にプレイすることもできた。今回紹介された本作のバージョンは、実際に出荷されるマスター版に相当する、開発チーム用のスペシャルビルド。完成の域に達した「Forza 3」の様々な面を見ることができた。

 まず、ゲームシステムや内容の面でどのような改善・新機能が加えられたかについてまとめよう。大きなものだけに絞っても、以下のように多くがリストアップできる。

・登場する400車種の全てにコックピットビュー(車内視点)を搭載
・シミュレーションエンジンが強化され、「横転」を実現する
・前作を大幅に超える100以上のコースを収録
・インターフェイスを全面的に刷新。より便利で使いやすいものに
・いつでも任意の地点からレースをやりなおせる「リウィンド」機能を搭載
・従来のドライビングアシスト機能にビギナー向けの「オートブレーキ」を追加
・キャリアモードが刷新。200以上のイベントを搭載
・カーエディット機能が大幅に進化し、より高機能で使いやすいものへ
・エディットカーのデザインパーツや、チューニングセットアップを流通可能に

 まず、「よりリアルに」という方向性の進化について紹介しよう。レースシミュレーターとしてシリーズ待望の進化と言えるのが、全車種にコックピットビューを実現した点だ。美しく表現された車内空間が完全再現され、右スティックで視点を動かし見回すことができるだけでなく、走行中には縦横のG(加速度)を臨場感たっぷりに体感することができる。

 またシミュレーターエンジンの強化点として、これまでは車メーカーとの折り合いの点や、そもそものシミュレーション部分で実装が難しかったとされる「横転」の挙動が再現されるようになった。例えば、コーナリング時にオーバースピードで横滑りしつつ、コース外の不整地に突っ込んだような場合にそれが起きやすい。横転した車両は深刻なダメージを受け、ビジュアル的にも、走行性能的にも大きな変化が起きる。

 こういった変更でレースシミュレーターとして進化を見せつつ、幅広いユーザーが快適にレースを楽しめるための決定的な機能が搭載される。それが「リウィンド」機能だ。この機能は、コードマスターズのレースゲーム「GRID」で搭載された「フラッシュバック」を無制限に使えるようにしたもので、レース中いつでも、任意の地点にゲームを巻き戻し、ミスを帳消しにできるのだ。ただし、「リウィンド」の使用はレース結果に記録され、オンラインランキングでは「リウィンド」を使用しなかったタイムとは別扱いとされる。使用するかしないかは、プレーヤーの選択しだいだ。

 また、こういった「より遊びやすく」という方向性の一環として、ドライビングアシスト機能に「オートブレーキ」機能が搭載される。このアシスト機能をONにすると、アクセルを常時ベタ踏みしていても適切な速度コントロールが行なわれる。プレーヤーはステアリングだけを制御すれば良いので、レースはとても簡単なものになる。腕の立つドライバーには無用のものだが、手軽に遊びたいライト層、あるいはカーエディット中心に楽しむユーザーは本当にプレイしやすくなりそうだ。また、各種アシスト機能も「リウィンド」と同様に、使用・不使用によりオンラインランキングの記録は別枠扱いとなる。

 そして全てのユーザーにとって嬉しいのがユーザーインターフェイスの刷新だ。ゲーム全般を通じて白を基調とするシンプルで一覧性に優れたインターフェイスが採用され、レースイベントの選択、車のチューニングなど、様々な機能に素早くアクセスできる。また、各種の自動化機能が搭載されたことも大きなポイントだ。

 例えば、車のアップグレードでは、目的のクラスを指定すれば全てのパーツを適切にセッティングしてくれる「クイックアップグレード」が搭載される。オート設定したアップグレードの詳細内容を閲覧することも可能だ。また、前作の「キャリアモード」に相当する新しい「シーズンプレイ」では、その時々のプレーヤーのレベルや所有する車のクラスに応じて、適切なイベントが自動的に提案されるという「オート・イベント・セレクター」機能を搭載し、レースへのアクセシビリティが大幅に向上している。これにより、前作の倍以上となる200以上のレースイベントをスムーズにプレイできる。

 また、「シーズンプレイ」は前作の「キャリアモード」とは異なり、ひとりのレーサーとして数年間のキャリアをカレンダーに従って進行していく仕組みになっている。ゲーム本編として一応の「終わり」があるわけだ。ドライビングだけでなく、レーサーとしての体験も追体験できる仕組みになったことで、より強い感情移入を持って各種のレースイベントを楽しめそうである。


ゲームエンジンの強化により、映像のクオリティがさらに向上している。美しい車体表現のみならず、コースの風景も遠くまで描写され、抜群の臨場感だ。レース中のフレームレートはフルHD解像度で60fpsを確保している


■ 日本のレースシーンをリスペクトして作成された峠のコース「Fujimi Kaido」
 ドリフトのうまさを競うモードも搭載!

「Fujimi Kaido」のコース内容を紹介する谷口氏
スペシャルな「6画面環境」で「Fujimi Kaido」をプレイ。家庭用ゲーム機でここまでできる時代だ

 今回、作品の紹介を行なってくれた谷口氏が初公開したコースがある。シリーズの初代「Forza Mortorsport」作にもあった「Fujimi Kaido(富士見街道)」だ。このコースは日本のレース文化とは縁深い「峠」を再現したもので、北関東の架空の峠をモデルとする。

 谷口氏によれば、「Fujimi Kaido」コースは今作で復活するにあたり大幅にリファインされ、初代作の倍以上となる全長16kmの長大なサーキットとして表現された。これはシリーズを通じて最も長いサーキットであるということで、詳細に作りこまれた日本らしい風景とともに、開発陣の力の入れようがよく伝わってくる。

 ちなみに、開発陣には日本の人気漫画「イニシャルD」の熱心なファンが幾人も居るそう。そこで「Fujimi Kaido」のコースでは、作品へのリスペクトとして、作中に登場する「秋名山」の風景を再現するようなポイントもそこかしこにあるそうだ。これはいかにも、日本のレースゲームファンならぐっときそう。

 そして、このコースをプレイするにあたって最も大きなポイントは、走行タイムではなく「ドリフトポイント」を競う「ドリフト」モードがゲームに実装されたことだ。ドリフトの点数は、ドリフトアングル、スピード、コースのイン側、アウト側、サジェスティッドラインに対するプロクシミリティ(近接度)といった評価軸により決定される。

 なお、このドリフトモードはマルチプレーヤーモードで楽しめるようだ。車両を「ドリ車」仕様にカスタマイズし、危険なドリフト走行を決める。走行シーンのリプレイデータをコミュニティに発信したり、動画に変換して「Forza Motorsport」公式サイト上にアップロードする機能も搭載されているので、プレイする側も、鑑賞する側も、楽しみの幅がますます広がりそうだ。

 ちなみに、取材現場に用意されていたスペシャルな「6画面環境」で、実際にこのコースをプレイすることができた。製品版でサポートされるのは前作と同様の5画面までということで、この環境はデモ用の特別なセットアップだ。視野の広い環境でプレイすることで、「Fujimi Kaido」で表現された日本の峠らしい風景を臨場感たっぷりに楽める。ちなみに、本作で多画面環境を構築するためには、モニター台数分のXbox 360本体をシステムリンクで接続し、それぞれの本体に「Forza 3」のゲームディスクが必要となる。

 この「Fujimi Kaido」コースを使い、華麗なドリフトパフォーマンスを見せるプロモーション動画があるので、是非一度見てみて欲しい。


【チーム Blackjackによる「富士見街道」ドリフトパフォーマンス】

本作では「Fujimi Kaido」のほかにも鈴鹿をはじめとする日本のコースや、大量の日本車が登場する。車をドリフト仕様に揃え、オンラインでドリフト走行会を開くのも楽しそうだ


■ カスタムカーのエディット・流通システムも大幅進化!
 新しい「ストアフロント」システムやランキングシステムで、カスタム要素の流通を促進

Turn 10 Studios謹製のスペシャルペイントカー。予約特典として入手できる
エディットに使う基本パーツは200種類以上。前作よりも作りやすくなっている
「ストアフロント」。ユーザーが製作した様々なクリエーションが流通する
ゲームの様々な側面を紹介してくれた谷口氏。DLCの予定なども質問してみたところ、車種・コースの追加は確実で、その他にも何かユニークな施策を考えているようだ

 前作「Forza 2」で大きな話題を呼んだカーペイント機能。様々な意匠を施されたカスタムカーが作られ、ゲーム内マーケットを大いに盛りげたものだが、今作ではこの点もさらに進化を遂げている。大きな点ではエディット機能が強化されたことと、流通機能が極めて洗練されたものに変貌したことが挙げられる。

 まず、カーペイントで使えるレイヤー数が、前作の1,000枚から4,000枚に大幅向上している。ペイントに使える基本パーツ数も、今作では400種類近くに増えており、前作より効率よく目的のデザインを作れるはずだ。その上で重要な新機能となるのが、カーペイントが「デザイン」と「バイナル」という2つの概念に分類されたことだ。

 「デザイン」は、各車両に施されたペイントそのものを指す。車両そのものを取引するしかなかった前作とは異なり、今作ではこの「デザイン」だけを配布・販売することが可能となっている。「デザイン」は車両形状が異なると適用できなくなるので、同車種間でのみ利用することが可能だ。

 もうひとつの「バイナル」は、車両形状に関係することなく流通させることのできるデザインパーツの概念だ。例えばロゴ、キャラクターなどの意匠を単体で作成し、車両に貼り付ける前の状態にしたものが「バイナル」となる。「デザイン」と同様に「バイナル」も配布・販売することができ、例えば他のプレーヤーが作った「バイナル」を組み合わせて、独自のデザインカーを作ることもできる。これによりカーペイントの効率性、自由度が爆発的に広がりそうだ。

 また、ゲーム内マーケットで流通できるものの種類がさらに広がっている。特に、多くのプレーヤーにとって「チューニング設定」の流通システムは有用なものになるだろう。これは、車両のパーツ構成と詳細なチューニング設定がパッケージ化されたものだ。例えば、あるコースでタイムを出すために最適の設定を作り、配布・販売することができる。使う側としては、チューニングの知識が無くても最善の設定でレースを楽しむことができるわけだ。

 他にも、ゲーム内で撮影したスクリーンショット(『フォト』)や、リプレイデータもゲーム内マーケットで流通可能な項目となった。過去のシリーズで勇名を馳せたドリフトチーム「Project Blackjack」のような華麗なドライビングを、一般の動画サイトを検索することなく、ゲーム内で見ることができるというのは本当に楽しみだ。ちなみに谷口氏によると、「Project Blackjack」のメンバーの一部は、現在Turn 10 Studiosのスタッフとして活動しているとのことだ。間近で見るにつけ、彼らのドライビングテクニックは本当に凄まじいらしい。

 「デザイン」、「バイナル」、「チューニング設定」など、ユーザーが作成した流通可能なアイテムは、前作のゲーム内マーケット機能を大幅に拡張した「ストアフロント」にて入手や配布が可能だ。配布側のユーザーは「マイストアフロント」にてお店を開き、簡便なインターフェイスで販売価格(無料でも可能)、配布可能数などの流通方法を設定することができる。

 検索システムも強化された。「レーティングシステム」の搭載がそのひとつだ。各ユーザーは、流通アイテムのそれぞれや、配布しているユーザーに対して5つ星の評価を与えることができる。これにより、アイテムやそのクリエーターがランキングされ、優れたクリエーションを簡単に見つけることができるという按配だ。

 総合的に見て、「Forza 3」で加えられた進化の内容は、事前に想像していたものを大きく超えるものになったと言えそうだ。レースゲームとしての面白さはもちろん、シミュレーターとしても、ユーザーによるクリエーションの場としても、前作以上の楽しみが広がっていそうである。

 9月24日より開催される「東京ゲームショウ2009」のマイクロソフトブースにて本作がプレイアブル展示される模様なので、来場される読者の方々には是非その内容を確かめて欲しい。




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