キューエンタテインメント、オンライン事業説明会を開催
PS3「エンジェル戦記」やiPhone/iPod touch「ルミネス」などを公開
内海州人氏 |
キューエンタテインメント株式会社は9月9日、同社のオンライン事業の取り組みについての説明会を、スター研修センター目黒にて開催した。
発表会ではまず、同社代表取締役CEOの内海州人氏が挨拶し、「弊社はコンシューマーゲームの会社というイメージを持たれていると思うが、現在の事業規模の半分以上はオンライン事業になっている」と同社の現状を説明した。その上で、「他社との差別化という点において、PC、コンシューマー、モバイルという全てのプラットフォームにオンラインゲームを提供していることがユニークだと思っている。しかし小さな会社なので、広い範囲をカバーするのは非常に難しい。そこでパートナーの皆様からサポートを受けてそれぞれの事業を展開している。パートナー様とどのような仕事をしているのか紹介し、我々がどこに向かっていくかをご紹介したい」と発表会の趣旨を述べた。
■ コンシューマー向けの展開――PS3「エンジェル戦記」を9月16日より無料配信
森健志氏 |
桐田富和氏 |
まずコンシューマー向けの展開について、同社取締役 オンライン事業本部 本部長の森健志氏が説明を行なった。まず現在プレイステーション 3で配信中のMMORPG「AngelLoveOnline」について、現在までにPS3でのクライアントダウンロード数が123,000件に達し、同時接続数もPS3でのサービス前と比べて約75%増えていると発表した。特に9月3日に新型PS3が発売されてからの数日は、普段の倍以上のダウンロード数を記録しており、今後も伸びると予想しているという。
さらにPS3版とPC版のユーザーを比較したデータも公開。PS3では本体の所有層も関係して9割が男性となっているが、PCでは半々の男女比となっている。また購買行動(決済金額)は、PS3、PCのユーザーでほとんど変わらないというデータもあり、PS3で初のアイテム課金型オンラインゲームが順調に推移していることを示した。
そして2作目となるPS3用オンラインゲーム「エンジェル戦記」については、9月16日よりサービスを開始すると発表された。今回もソフト無料、基本プレイも無料のアイテム課金型で提供される。「AngelLoveOnline」で培ったノウハウを活かし、ゲームへのログインに必要なQIDをPSNアカウントに連携させ、毎回の入力を不要にした。またインターフェイスもPS3向けのアレンジが加えられている。
ここでゲストとして、ソニー・コンピュータエンタテインメント株式会社 シニアバイスプレジデントの桐田富和氏が応援メッセージを送った。「PS3版は女性比率が9%ということだが、新型PS3も好調で、今後は女性も伸びるのでは」と男女比の話題に一言述べてから、「『AngelLoveOnline』がPS3でのオンラインゲームのビジネスの成功を確証し、PSNアカウントの拡大にも大きく貢献してくれたことに感謝したい。成功の背景には、PSN上のさまざまなコンテンツ連動があったからではないか。新規ユーザーを獲得するプロモーションにもなり、既存ユーザーの満足度を上げることにも繋がったのではないか」と語った。
■ PC向けの展開――新作ブラウザゲーム「NikQ」
君塚靖征氏 |
吉村広氏 |
次にPCでの展開について、キューエンタテインメント オンライン事業本部 運営部副部長の君塚靖征氏が、新作ブラウザゲーム「NikQ」について述べた。「NikQ」は既報のとおり、9月11日までクローズドβテスターを募集、15日からクローズドβテストを実施予定となっている。
君塚氏は本作を、「ネコの騎士団を編成して戦うシミュレーションRPG。株式会社バンダイナムコゲームス開発による純国産タイトルで、ストーリーも楽しいゲームに仕上がっている」と紹介。動作環境については、「WindowsでFlashが動けばいい。また動作保証はしないが、検証時点ではMacでも動作している」と語った。
続いて開発元のバンダイナムコゲームスから、コンテンツ制作本部 ディレクターの吉村広氏を招き、一問一答の形でゲームの内容や開発方針について紹介していった。まずネコをテーマにしたことについて吉村氏は、「多くの方に気軽に遊んで欲しいと思い、身近なモチーフとして猫を選んだ」と説明。また「ネコ達が必死に戦う様子や、ネコの愛らしさを表現するのに苦労した」とも述べた。
ゲーム内容については、「ぼこすかバトルというシステムに最も力を入れた。たくさんのネコに対して、フライパンなどをがんがん叩いて指示を出すというシンプルなシステム。同時に奥行きのある3ラインシステムを採用して各個に指示を出せるようにし、シングルでもマルチでも奥深い戦略性を持たせている」と説明している。
君塚氏へは、バンダイナムコゲームスとの協業について質問があった。「弊社のオンラインゲームのノウハウを活かして、運営しやすいシステム開発をお願いしている。ブラウザゲームには以前から注目していたが、2007年ごろにバンダイナムコゲームス様からタイトル紹介を受け、ネコたちの可愛さに一目ぼれした」と語った。
最後に今後の意気込みとして君塚氏は、「ライトユーザー層はもちろん狙っているが、さらにライトユーザーにもなっていない、ゲームを遊んだことがない人にも触れて欲しい。クローズドβテスターの募集では、『今までテスターに応募したことがないけれど、ぜひやりたい』という声もきている。わかりにくいところを極力なくし、すぐゲーム内容がわかることに注力してサービスしていきたい」と述べた。
■ モバイル向けの展開――iPhone/iPod touch用「ルミネス」など2タイトルを配信
北側敦司氏 |
「ガーディアンハーツオンライン」は17万登録を記録 |
モバイル向けの展開については、キューエンタテインメントの森氏と、同オンライン事業本部 コンテンツ部 マネージャーの清竜也氏が説明。まず、株式会社ディー・エヌ・エーが運営しているモバイルポータルサイト「モバゲータウン」において、6月から提供を開始したオンラインRPG「ガーディアンハーツオンライン」において、3カ月間での累計登録者数が17万人を突破したことを明らかにした。本作では今後もデータの追加など行なっていくという。
会場にはディー・エヌ・エー ポータル・コマース事業本部 プロデューサーの北川敦司氏が招かれ、「『モバゲータウン』では1年前からアイテム課金型の本格的ゲームを展開してきた。キューエンタテインメントさんとはオープン当初から話をしていて、満を持して登場した、私も期待しているタイトル。キューは無料のアイテム課金による開発と運営の経験値が高い。このノウハウを『ガーディアンハーツオンライン』でも存分にいかして売り上げを伸ばしてほしい」と応援メッセージを送った。また「モバゲータウン」では先日、ゲームAPIをオープン化すると発表しているが、キューエンタテインメントもこれに参加し、ゲームを出すという話をしているという。
瀬川圭一郎氏 |
続いてモバイルの話題として、キューエンタテインメント オンライン事業本部 マーケティング部部長の瀬川圭一郎氏より、iPhone/iPod touchへの参入が発表された。タイトルは、「LUMINES -TOUCH FUSION」と、「Q'pid FINGER PUZZLE(仮)」の2本が発表されている。
「LUMINES -TOUCH FUSION」は、同社が長年手がけている音楽と映像を融合させたパズルゲーム「ルミネス」シリーズの作品。iPhone向けに新たに作り起こしたスキン(楽曲とグラフィックスのパッケージ)を搭載し、音楽も新規で作ったという。操作も指1本でできるなど、iPhoneならではのアレンジを加えている。さらにiPhone OS 3.0にも対応し、追加スキンを販売するという。配信時期は9月予定で、「なるべく早い時期に出したい」としている。
もう1本の「Q'pid FINGER PUZZLE(仮)」は、画面上に表示されたマーカーを触って、画像を元に戻していくというゲーム。1台の端末を2人で操作することを前提としたデザインで、瀬川氏は「異性の方と同時に遊んで、指が触れ合うようなゲームを開発してしまいました」と説明していた。こちらは2009年秋の配信予定。
iPhone OS 3.0に対応し、スキンの販売も行なわれる「LUMINES -TOUCH FUSION」 | 2人で遊ぶ、マルチタッチスクリーンを活かした「Q'pid FINGER PUZZLE(仮)」 |
■ 水口氏が「Eden」プロジェクトの片鱗を語る
水口哲也氏 |
発表会の最後に、会場に来場できなかったキューエンタテインメント代表取締役CCOの水口哲也氏からのビデオレターが上映された。まず前述の「LUMINES -TOUCH FUSION」について配信を行なうという報告があり、続いて「最近、UBIと一緒に作っているEdenというプロジェクトにかかっている。シナスタジア(共感覚)の新しい音楽と映像のゲームになると思う。完成はまだまだ先だが、楽しみにして欲しい」とコメントした。
Edenについてはこれまでほとんど詳細が語られていないが、今回重要なキーワードが語られたと言っていいだろう。さらに深読みすれば、今回は「オンライン事業説明会」なので、何かしらオンライン要素も絡んでくるのかもしれない。今後の情報に一層期待したい。
■ 会場で発表された新作3タイトルをプレイレポート
コンシューマー感覚の操作方法で、GUIもPS3向けに改良されている |
会場には新タイトルとして、PS3版「エンジェル戦記」と、iPhone/iPod Touch用「LUMINES -TOUCH FUSION」、「Q'pid FINGER PUZZLE(仮)」の試遊機が用意されていたので、実際に遊んだ感触をお伝えしたい。
「エンジェル戦記」は、キューエンタテインメントが運営中のMMORPG「AngelLoveOnline」の神話や天使といった世界観を受け継いだ上で 大量のモンスターを一網打尽に倒していく爽快感がプラスされたオンラインアクションMMORPG。既にWindows版は6月24日より正式サービスが開始されている。詳しいゲーム内容はこちらの記事をご覧いただきたい。
PS3版はWindows版と同一サーバー上で遊べる設計で、ストーリーやゲームシステムに違いはないが、ゲームパッドで快適に遊べるようにインターフェイスが改良されている。左アナログスティックで移動し、方向ボタンでターゲットと項目の選択、L1ボタンで決定と、街中を移動するには左手だけで事足りてしまうほどの簡単操作になっている。またWindows版は敵をターゲットしなければ攻撃できないが、PS3版では敵の近くで○ボタンを押せば自動的に1番近い敵をターゲットして攻撃してくれる。
スキルを使う場合は、L2、R1、R2を押すだけで、それぞれのボタンに対応したショートカットスロット内のスキルが使用できる。□ボタンを押すと2段目のショートカットに切り替わり、最大6つのショートカットがゲームパッドで使用できる。右アナログスティックがマウス代わりになっているので、アイコンにカーソルを合わせてもスキルを使用できる。
アイテム欄やステータスなどのメニュー選択画面は、ゲームパッドで操作しやすいように、リング状のインターフェイスに変更されている。方向ボタンの左右を押すとメニューアイコンが回転するようにスライドし、くるくる回しながら目的のメニューを素早く選択できる。
PS3のUSB端子にマウスとキーボードを挿せば、Windows版と同じような操作も可能ではあるが、ゲームパッド1つでも十分遊べ、さらに直感的に楽しめると感じた。ただ、チャットについてはキーボードが欲しいのは致し方ないところで、ゲームパッドとキーボードを併用して遊ぶといいだろう。
【スクリーンショット】 | ||
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耳、目、指で楽しめる「LUMINES-TOUCH FUSION」。指をスッと動かしてブロックを落下させる感覚が気持ちいい |
「LUMINES -TOUCH FUSION」は、上から落ちてくるカラフルなブロックを、同色で2×2以上の大きな四角形に揃えて消すパズルゲーム「ルミネス」のiPhone/iPod touch版。ブロックに指でタッチしたまま左右に動かすとブロックも左右に動き、タッチするとブロックが回転する。ブロックに触れたまま下向きに指を弾くとブロックが一気に落下する。ブロックに触れる位置が少しくらいずれていてもブロックは追従しており、レスポンスはよかった。
担当者によると、指を離す動作は人によって異なり、長めに触れて離す人、ゆっくり離す人と、それぞれの対応が難しかったそうで、最良のレスポンスを研究するのに3カ月ほどかかったという。その甲斐あって操作感は良好で、軽快な音楽に合わせて指をスッと動かす行為そのものが爽快だ。
選択できるゲームモードは、これまでの「ルミネス」と同じ図柄のブロックが落ちてくる「クラシックモード」と、背景やブロックの図柄がアニメ風の「コミックモード」の2種類。「コミックモード」の基本的なルールはこれまでと同じだが、ブロックを連鎖して消すことで背景にマンモスが出現したり、派手でコミカルな演出が追加されている。耳と目で楽しみながら、指で触れるスタイルは、また新しい「ルミネス」を見せられたと感じる。
【スクリーンショット】 | |
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男女ペアで線をなぞっていく中で文字通りの“触れ合い”が生まれる |
内海氏も挑戦。「なかなか難しい」と言いつつ、楽しそうに遊んでいた |
「Q'pid FINGER PUZZLE(仮)」は、男女ペアで“触れ合う”ことをコンセプトに作られたiPhone/iPod touch用のゲーム。画面には赤と黒の直線や曲線が数本表示されており、その線の先端に矢印の形をしたアイコンが表示されている。この矢印を指でなぞって動かしていき、全ての矢印が終端にきた状態を3秒維持できると成功というゲームだ。
“触れ合う”ということをテーマにしている本ゲームは、指が端末に触れる行為ではなく、男女の指が“触れ合う”ことを意味している。男性は黒の線を、女性は赤い線をなぞっていく中で、中央で交差した線であったり、男性と女性それぞれが2本ずつ指を使う線であったりと、意識せずとも自然にお互いの指が触れてしまう。軽く矢印に触れているだけだとすぐに矢印は元の位置に戻ってしまうし、指の動きが速すぎても元に戻ってしまう。
意図的に指と指が触れてしまうように設計されているゲームで、マットの上に手足をついて遊ぶ「ツイスターゲーム」の指版といった感じだ。ゲーム自体もなかなか難しく、遊んでいる最中に2人の間に連帯感も生まれてくる。宴会やパーティなどを盛り上げる、一風変わったグッズとして楽しめそうだ。
【スクリーンショット】 | ||
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(2009年 9月 9日)