キュー、WIN「エンジェル戦記」先行体験レポート
画面全体が戦場と化す爽快2Dアクションゲーム
キューエンタテインメント株式会社は、Windows用バトルアクションMMORPG「エンジェル戦記」を日本国内でサービス展開すると発表した。開発は「AngelLoveOnline(ALO)」を手がけた台湾UserJoy。
「エンジェル戦記」は、台湾では「天使之戀2 Online」というタイトルでサービスされている。「天使之戀 Online」は邦題が「ALO」なので、タイトルからすれば続編のように見えるし、2Dのグラフィックスのテイストは「ALO」そのものだ。しかし「エンジェル戦記」のゲーム内容は、大量のモンスターを一網打尽にする爽快感を前面に押し出したアクションゲームになっており、ジャンルの異なる別作品と考えていい。キューエンタテインメントもそこを強調すべく、「ALO2」ではない新たなタイトルをつけたのだという。
サービススケジュールは、5月11日よりクローズドβテスターの募集を開始し、5月27日よりクローズドβテストを実施予定。オープンβサービスおよび正式サービスは2009年夏開始予定としている。
今回は日本向けにローカライズされた「エンジェル戦記」を、キューエンタテインメントにて一足先に体験させていただいた。「ALO」と異なる点も踏まえつつ、「エンジェル戦記」の生み出す爽快アクションについてお伝えしていきたい。
■ ギリシャ神話をモチーフとした世界観。プレーヤーは天使となり、世界を守る
プレーヤーが最初に降り立つガイア大陸。左上には空中に浮かぶ島のようなものも見える |
視点は見下ろし型で、NPCをクリックすれば会話が始まる |
街の通路は石造りで、ギリシャ神話らしく神の石像なども配置されている |
キャラクター作成時には、髪型、髪色、肌色が豊富に用意されている |
「エンジェル戦記」はギリシャ神話に基づいた世界観で、いわゆるパンドラの箱を中心としたストーリーになっている。ゼウスより授かった禁断の箱をパンドラが開けてしまったことが原因で、世界各地に異変が生じてしまい、人々は不安と恐怖に包まれてしまう。困った人々は神々に助けを請うものの、神々も異変の原因がわからないという。そんな中、アテナだけがその異変を背後で操る強大な力に気づき、真相を探るため、天使達に協力を求める。プレーヤーは天使の1人となり、世界を守るために冒険を始める。
プレーヤーが冒険を開始する舞台は、広大なガイア大陸。2Dグラフィックスで描画されたフィールドは、神殿や神を模した石像などが配置されており、ギリシャ神話の世界観が再現されている。また街やフィールドでは、昼夜や天候の概念が導入され、時間によって明暗が変化したり、雨や霧が出たりといった表現がリアルタイムに変化していく。
視点は、プレーヤーを画面中央に据えた俯瞰視点。操作方法は、移動したい場所を左クリックで指定し、そのまま押しっぱなしでカーソル方向に移動し続ける。NPCを左クリックすると会話が始まる。この辺りは「ALO」など一般的なMMORPGとほぼ変わらない操作感だ。体験プレイではゲームパッドには対応していなかったものの、現在検討中だという。
キャラクター選択時には、性別、身長、髪型、髪色、肌色がカスタマイズ可能で、さらに生年月日と血液型まで選択できる。肌色に至っては26種類もあり、赤や緑などの奇妙な肌色のキャラクターも作成できる。
選べる職業は、「ファイター」、「ウィザード」、「プリースト」、「ハンター」の4種類。「ファイター」は近接攻撃に特化しており、防御力が高い。所持スキルによってプレイスタイルが変わるのが特徴的で、攻撃を重視したければ二刀流のスキルを取得して、右手と左手別々に武器を装備して攻撃できる。逆に防御を重視したければ、盾のスキルを取得して盾で敵の攻撃が防げる。もともと防御力が高いため、パーティー戦では壁役にもなれる頼もしい職業だ。
「ウィザード」は、遠距離からの魔法による範囲攻撃が得意で、攻撃力も高い。その反面防御力が低めだが、防御魔法の一部には敵からのダメージを一部吸収できるものもある。また瞬間移動を唱えれば、敵の追撃から逃れられる。防御力が低く、敵に囲まれると倒されやすいため、中級者向けの職業だといえる。
「プリースト」は、回復魔法を中心に、ステータス異常の治療や他プレーヤーの蘇生、補助魔法などが使える。攻撃魔法の威力もそこそこあり、一定のダメージを吸収できる防御魔法もある。短時間で力を発揮する職業が「ウィザード」ならば、「プリースト」は長期戦やパーティプレイに向いた職業といえる。
「ハンター」は、弓による遠距離攻撃を得意としつつ、ナイフで敵に致命的な一撃を与えるスキルもあわせ持つ。回避性能が高いため、敵の攻撃を避けやすく、罠を仕掛けて敵の足止めもできる。射撃スキルと近接攻撃スキルを組み合わせることによって、バリエーション豊かな戦闘ができるのも特徴的だ。
キャラクターの成長要素としては、レベルによるステータスの増加以外に、スキルにもレベルが設定されており、スキルを習得して強化することでプレーヤー独自の戦闘スタイルを確立していく。スキルには、全職業共通のものや、職業固有の魔法や技、奥義などがあり、「ALO」のように技法を自由に組み合わせていくのではなく、あらかじめ選択した職業の中でキャラクターを成長させていく。
二刀流か盾を装備するかで攻撃型にも防御型にもなれる近接職の「ファイター」 | 防御力は低いが、遠距離からの強力な範囲魔法が得意な「ウィザード」 |
回復魔法や補助魔法などで長時間戦闘が行なえる「ウィザード」 | 弓とナイフを使いこなし、罠を仕掛けて敵の足止めもできる「ハンター」 |
■ エリア毎に様々な仕掛けが用意されたバトルフィールド
本作は大きく分けてMMOとMOの2種類のフィールドで構成されている。プレーヤーが大勢集まる街はMMO空間で、イメージ的にはマッチングロビーのような感じだ。そこで仲間を募集して最大5人のパーティを組み、MOのバトルフィールドに移動してモンスターと戦う。
ガイア大陸内に存在する37種類のバトルフィールドには、それぞれ推奨レベル帯が設定されており、さらにフィールドごとに「ノーマル」、「ハード」、「エキスパート」の3段階の難易度が選べる。難易度によってモンスターの強さが変わるのはもちろん、入手できるアイテムも変わるという。プレーヤーは、街やバトルフィールド内で受注したクエストをクリアするため、低い難易度のフィールドから順番にクリアしていくという流れになる。なおバトルフィールド作成時には、経験値の取得を個人にするか分配(全員で平均化)にするか、またパーティ以外のプレーヤーの途中入場を許可するかなどを設定できる。
各バトルフィールドは複数のエリアで構成されていて、ある条件をクリアすると、次のエリアに進めるようになる。条件としては、エリア内の敵の殲滅、キーアイテムの入手、仕掛けを作動させるなどがある。そして最後にいるボスモンスターを倒せばバトルフィールドクリアとなる。エリア毎の目標が明確で、バトルフィールド内の地図も表示されていたため迷うことなく進められた。
バトルフィールド選択時には、難易度、経験値の分配方法、途中参加の可否が設定できる | エリアごとの条件をクリアすることで、次のエリアへの封鎖が解かれる | このエリアでは、トーテムポールが次のエリアへの道を開いてくれる |
■ 簡単操作で爽快アクション。範囲攻撃とコンボで一網打尽!
バトルフィールドでは大量の敵が襲ってくるため、範囲攻撃で一網打尽にする爽快感が味わえる |
バトルフィールドでのモンスターへの攻撃は、マウスとキーボードの両方が使用できる。マウスの場合は、モンスターを左クリックでロックオンして、もう1度左クリックで攻撃開始。あとは自動で攻撃を続けてくれる。キーボードの場合は、TABキーを押して近くのモンスターをロックオン、次にショートカットに登録した攻撃やスキルに対応したキーを押せば攻撃が始まる。戦闘中も複雑なコマンド入力などはなく、一般的なMMORPGと同じような感覚でプレイできる。
モンスターは大抵の場合、複数同時に襲い掛かってくる。それに対してプレーヤーは1対ずつクリックしていくわけだが、攻撃スキルの大半は範囲攻撃になっている。序盤から使える基本攻撃さえも範囲攻撃になっているので、1対1できっちり敵を倒していくのではなく、複数の敵を集めて1度に倒していく爽快感が味わえる。
その範囲攻撃をさらに爽快にさせてくれるのがコンボシステムだ。連続してモンスターを攻撃した回数がカウントされ、その数字に応じて一時的にクリティカル率が上昇していくもの。武器や魔法で攻撃を行なった回数ではなく、モンスターにダメージを与えた数なので、モンスターを大量に集めればコンボ数もグングン伸びていく。またコンボ数に応じて表示される「GOOD」、「COOL」、「EXCELLENT」といった表示も見ていて気持ちがいい。
一定量のダメージを受けると自動的に回復アイテムが使用される「オートポーション」機能 |
「そんなに大量のモンスターと戦うと体力の回復が大変なのでは?」と思われるかもしれないが、そういう時に役立つのが「オートポーション」機能だ。これはHPやMPの回復アイテムを専用スロットにセットしておき、HPやMPが事前に設定しておいた割合を下回った場合に、その回復アイテムが自動で使用されるもの。これによって回復アイテムのショートカットキーを押す手間が省け、戦闘だけに集中できる。回復アイテムの所持数は確認しておく必要があるが、これがあれば一撃で倒されない限りは生き残れるという便利な機能だ。
またペットを呼び出して一緒に戦わせることも可能。ペットは戦闘に参加することで経験値を得て成長していき、様々な形態に変化していく。ペットは1人のプレーヤーが同時に6匹まで呼び出せるようになっており、プレーヤーの周囲のどの位置に配置するか、また積極的に攻撃する、反撃に徹するなどの指示も出せる。パーティー時にプレーヤー5人全員が呼び出せば、最大で30匹のペットが戦闘に加わることになる。画面中がペットだらけになってしまいそうで、爽快なアクションの演出にも一役買いそうだ。
さらにフィールドには、一定時間ステータスが大幅に上昇する「機甲」という乗り物が用意されている。「ALO」にも戦闘や採集用の機甲が用意されているが、本作の機甲は戦闘専用。呼び出せるアイテムではなく、バトルフィールドの各所に置かれている。一定のダメージを受けたり、エネルギー残量が0になると消えてしまうので長時間は使えないが、攻撃力や防御力はかなり高い。低レベルのプレーヤーが乗って高レベルのプレーヤーと一緒に戦ったり、ボスモンスターを相手にする時にとっておいたりと、うまく活用していきたい。
コンボを続けていくとGOODなどの表示が出現し、プレーヤーのクリティカル率が一時的に上昇する | プレーヤーの左下にいるのがペット。プレーヤー1人につき最大6匹まで呼び出し可能で、5人パーティーなら最大30匹だ | 機甲にのれば一気に攻撃力が上昇するものの長時間は使用できないため、先にモンスターを集めておく必要があるだろう |
■ キャラクター表示が大きくなったペーパードールなどサブコンテンツも充実
可愛いパンダの着ぐるみなども用意されたペーパードール |
本作は「ALO」では味わえなかったアクションの爽快感を目指した作品でありながらも、「ALO」など他のMMORPGで不満に感じられたポイントや、今時のトレンドを片っ端から押さえた丁寧な作りになっている。これにより、プレーヤーは爽快なアクションだけを存分に楽しめる。
本来の装備のステータスはそのままにキャラクターの外観を変更できる「ペーパードールシステム」は、「ALO」からさらに強化された。本作のキャラクターは「ALO」よりも大きく表示されるため、よりペーパードールの利用価値が高まっている。アラビアン、レーサーなど「ALO」から引き継いでいるものや、パンダの着ぐるみなど「ALO」にはなかった新たなコスチュームも用意される予定で、ゲーム内イベントの報酬や、課金アイテムとして入手できるという。またレベルに関係なく着用できるため、キャラクターを作成してすぐにファッションが楽しめる。
ギルドシステムは単なるコミュニティ要素としてだけでなく、具体的なメリットが与えられる。ギルドに加入すると、ギルドメンバーに補助効果をかけられるギルドスキルが使用可能になる。そのほかギルドメンバーのログイン状況に応じて、回復アイテムと交換できるギルド専用通貨や、ボーナス経験値などももらえるという。
生産システムも「ALO」から引き続き用意されているが、本作では「ALO」のような生産職はなく、生産用のレシピが書かれたアイテムを持っていれば、誰でも自由に生産ができる。生産の流れは、フィールドにある資源ポイントから素材を採集して、素材同士を合成するというもの。他にもアイテム自体を分解して別のアイテムを入手するアイテム分解や、アイテム同士を組み合わせて別のアイテムを作り出すアイテム融合といった仕組みも用意されている。
装備品の強化も可能。強化ハンマーというアイテムと宝石を使用すれば、装備品に様々な効果を付与できる。また武器を強化すると属性効果に合わせた色に輝くエフェクトも発生する。
バザー(露天)の機能も大幅に強化されている。まずユーザーの混雑を避けるため、チャンネルや街の違いに関係なく入場できるバザー専用マップが用意されている。さらに、バザーで欲しいアイテムを見つけたが、もっと安いものを探したい時に、そのアイテムをリストに登録しておける「お気に入り機能」が用意されている。登録すると、バザー名とアイテム価格がリストに並び、価格比較ができる。さらに登録したバザーまで自動で移動する機能もついており、目的のバザーがどこにあったのかを覚えておく必要もない。
さらに新たな要素として、これまでに倒したボスモンスターがコレクションされる「ボスモンスター図鑑」が実装される。これを見れば、登録済みのボスモンスターがドロップするアイテムが確認できるため、クエストに必要なアイテムがどこで入手できるかなどを調べられるとともに、コレクション要素としても楽しめる。またプレーヤー同士が街中で1対1で戦う「デュエルシステム」も用意されている。PvP機能は今後、台湾版では実装済みの多人数戦や攻城戦のようなものも含め、複数の仕組みを実装予定だという。
アイテム合成や、装備を強化するためにフィールドにある資源ポイントで素材が採集できる | 「ボスモンスター図鑑」を利用すれば、全てのボスモンスターのドロップアイテムが確認できる | 「デュエルシステム」では、街中でプレーヤー同士の1対1の対決ができる |
なお本作について特筆すべき点として、動作環境の低さが挙げられる。アクションゲームになったことで、キャラクターのモーションが滑らかになるなどの変化はあるものの、基本的には2Dグラフィックスで動作は軽い。実際の動作環境は「ALO」と変わらない程度としており、実際にネットブックで軽々と動いているところも見せてくれた。この間口の広さも本作の魅力といっていいだろう。
(C)2009 UserJoy Technology Co., Ltd.
(C)2009 Q Entertainment Inc.
※画面は台湾版のものです。
□キューエンタテインメントのホームページ
http://www.qentertainment.com/
□「エンジェル戦記」のページ
http://www.angelsenki.jp/
(2009年 5月 1日)