ファイブスター、「モンスター・ヴェルト・オンライン」一日社員イベントを開催
農園、ペット、プロモーション方法などを参加者と運営スタッフが熱く討論

6月13日開催

ファイブスター・オンライン・エンターテイメント本社



 株式会社ファイブスター・オンライン・エンターテイメント(以下、ファイブスター)は、同社が運営しているWIN用MMORPG「モンスターヴェルト・オンライン」のユーザーと共に企画会議を開く「一日社員との企画会議」という、一風変わったイベントを開催した。当初は8人のユーザーが参加し、持ち寄った企画や意見を手にして積極的な意見交換が行われた。

 この記事では、5時間に及んだ話し合いの様子や、会議の中でユーザーから出された意見や、運営から出された「モンスターヴェルト・オンライン」の今後の方針について報告したい。



■ 運営チームとユーザー8人による世にも珍しいオンラインゲームの企画会議イベント

「モンスターヴェルト・オンライン」
スキルカードを使って育てたペットを戦わせる

 オフラインイベントの会場となったのは、東京渋谷の中心地であるセンター街の近くにあるファイブスター・オンライン・エンターテイメントの本社会議室。会議にはたくさんの応募者から抽選で選ばれた8名のユーザーが参加した。ユーザーは男性6名と女性2名、全員が課金ユーザーでデータベースを作っているという熱心な人から、平日は仕事の都合であまり時間がとれないという社会人まで色々な状況でプレイしているユーザーが集まっていた。

 「モンスターヴェルト・オンライン(以下『モンスターヴェルト』)」は、中国の大手ゲームメーカー、ナインユー・インターナショナル・リミテッドを親会社に持つファイブスターが初めて運営するMMORPG。MMORPGとしては珍しいエンカウント方式のターン制バトルを採用していて、プレーヤーの連れているペットがメインとなって戦う。ペットを捕獲したり、育成したり、簡単な条件を満たすと所有できる農園で作物を育てたりと、育成要素が戦闘以上に大きなポジションを占めているのも特徴だ。

 そう言ったゲームの特徴もあって、ユーザーから出る意見にも、ペットや農場に絡むものが多かった。当初は前半に開発について、後半に運営についての話し合いが行なわれる予定だったが、最終的にはユーザーが出してくる意見や疑問に答えていく形の話し合いになった。参加したユーザーもノートや紙に意見をまとめたものを多くの人が持参してきていて、会議は当初3時間で終わる予定だったが議論が白熱して、1時間以上も延長された。

 このようなイベントは、オフラインイベントが一般的なオンラインゲーム業界でも珍しいが、ファイブスター自身も今回が初めてで、第1回の今回は手探り状態となった。中国の開発スタッフは同席しなかったが、日本の運営スタッフを通じて、メッセンジャーを利用したリアルタイムのコミュニケーションも実現していた。運営側で参加していたのは、取締役CCOの冨永一喜氏、運営事業部長の御手洗達生氏、運営事業部チーフプロジェクトリーダーの永田康弘氏、運営事業部サービスディレクターの駒形重紀氏、デザイン開発部長の園田和弘氏、デザイン開発部アートディレクターのhiziri氏ら運営に携わるトップのスタッフが揃った。


取締役COOの冨永一喜氏運営事業部長、御手洗達生氏運営事業部チーフプロジェクトリーダー、永田康弘氏
運営事業部サービスディレクター、駒形重紀氏デザイン開発部部長の園田和弘氏デザイン開発部アートディレクター、hiziri氏


■ 参加者以外からも要望の多いカフェ倉庫の拡張を予定

狭い会議室の中は熱気ムンムンで、熱い意見交換が行なわれた
プレーヤーが多くの時間を過ごす農場

 最初に運営側から参加者に「今ハマっている事はなんですか?」という質問が出された。「農園をいじって新アイテムを取りに行く事」、「育てたいモンスターを探して捕まえることだが、平日はプレイ時間が短いので農園の水やりと収穫で終わってしまう」、「見たことがないペットを他のプレーヤーが連れているのを見つけたら、そのペットの情報を収集すること」などの意見があったが、やはり日本で人気のある農園について意見を述べる人が多かった。

 中には「ハマれる部分が少ない。すでにメインのペットはレベル上限に達していて、その後遊べる要素がない」という厳しい意見もあった。総じて、戦闘や農園など既存の要素は楽しんでいるが、エンドコンテンツに当たるものがまだ見えておらず将来にわたって楽しめるコンテンツが追加されるかどうかが、今後も続けていく要因になると考えている様子だった。

 農園は個人が所有できるハウジングのような要素で、野菜や家畜を収穫したり、中にオブジェクトを飾ったり、NPCのお客に向けてカフェを経営したりすることができる。カフェで料理を売るとNPCから励ましのメールが来たりもする。他のプレーヤーの農園を見に行く事も可能だ。要素が多いので、多くのプレーヤーがプレイ時間のかなりの部分を農園の中で過ごすことになる。それだけに農園についての意見はひときわ多く出された。

 カフェの倉庫の拡張については、すでに「対応待ち」のリストに入っており、開発スケジュールと相談の上、対応が取られるとのことだ。また、NPCから送られてくるメールで、メールボックスが一杯になってしまうので、メールボックスの機能性を上げて欲しいという意見もあった。他にも1日に1回はログインして世話をしなければならない状況を緩和するために自動水やり機と自動エサやり機が欲しい、農園を凍結状態にすると農作物が全滅してしまうので、これを一時的に状態を保存するような形にできないか、もっと置けるオブジェクトに個性を出して欲しい、ペットの出し入れをしてくれるペット管理人が農園内に欲しい、などたくさんの要望が出された。

 永田氏は「カフェに対する不満、ペットの不満については、メールでの要望にも同じような意見があって、クローズドβテストで僕らが感じているようなことは、皆さんも感じていてこれをどうやって直して行こうかという所です。簡単に着手できることはやっているのですが、根本的にシステムを1から作り直さなくてはいけない要素があったり、表面的にいじっても面白くない要素があるので、時間のかかる要素とそうでないものを分けて考える必要があります。もちろん全部やっていきたい。なんとか皆さんの声を開発に届けて、解決していけたらいいなと、改めて思っています」と語っていた。



■ テストサーバー、生産要など参加者が様々な要素を提案

主に受け答えをした永田氏。会議室の中には終始笑いが絶えなかった
コミュニティ要素の不足を不満に思う参加者が多かった

 参加者はレポートにまとめた企画や意見を持ち寄っており、その中から運営に提案も飛び出した。一般のプレーヤーが入れるテストサーバーを用意して実装前に意見を聞いた方がいいのではという提案に対しては、「実際に考えてはいます。中国では一般ユーザーの他にナインユー会員のような方がいて、外向けのテストをする前にテストサーバーにアクセスしてもらい、レポートを書いてもらうといったような事をやっています。うちもそういう事をしてもいいかなと思っています」(冨永氏)との回答だった。

 また、長く遊べるシステムとして生産要素を入れてはどうかという意見もあった。現在「モンスターヴェルト・オンライン」には武器や防具などの生産要素はない。そこに生産や強化の要素を入れると、面白いのではないかという意見だった。運営側からは「検討はしています。初めて中国の開発に話をしに行った時に、武器の生産や解体など色々な案を持っていったのですが、中国側はそういった要素についてはまったく想定をしていなかったので難しいと言われました。農園についても、始めは対応してくれなかったのですが、たくさんの要望がでてだんだんと聞いてくれるようになってきたので、生産についても改めて話を持っていってもいいかもしれません」(永田氏)という開発のエピソードが語られた。

 ペットはオスとメスがいれば出産システムで子供を作る事ができるが、そこにさらに新しい要素を追加してはどうかという提案もあった。例えば外見的な変化があったり、ステータスにボーナスがついたりという変化があれば、出産システムがもっとユーザーの交流に役立つのではないかという意見で、参加者には賛同者も多くいた。また、プレーヤーが騎乗できるペットに関して、入手難易度を下げて欲しいという要望に対して、運営側から「もし課金アイテムとして卵が入ったらどう思うか?」という質問がでた。参加者からは、「ゲーム中で手に入るペットと色分けをするなどして差別化してくれたらお金を払ってでも手に入れたい」と言う人と、「プレイ時間がかかってもいいからゲーム内で入手するという人の棲み分けができて良いのでは」などの答えが集まった。

 本作は1人でできる要素が多い事もあり、ゲーム内でのコミュニティー形成を促進するような要素の導入を望む声も多かった。例えばギルド領地で仲間同士の対人戦を楽しめたり、現在やや使いづらいチャット周りの仕様を改善して欲しいなどの意見があった。チャットについては「UIを含めて、いろいろと仕組みを変えていきたいです」(永田氏)と運営側も問題改善に意欲を示した。



■ 7月頭からネットカフェと提携してキャンペーンを開始

日本オリジナルのペットをデザインしているhiziri氏が、参加者に頼まれてイラストを描くシーンも

 総じて運営方針や運営の体制については好評で、良い運営をしているという評判を聞いてこのゲームを始めたという参加者もいた。定期メンテナンスが伸びた場合のお詫びとして提供される、ドロップ率上昇ボーナスに関しては「クセになるから、やらない方がいいのでは」などと言う声まで上がっていた。「普通だったらやらないのはあり得ないという意見がたくさん来るんです。僕はオンラインゲームに関わるのはこのゲームで10タイトル目くらいなんですが、今まで見たことがないようなリアクションをするお客様がたくさんいて、そんなふうにドロップ率をいたずらに上げないでくれと、すごく心配してくれる人がいてありがたくて、いいユーザーに恵まれたなと常に思っています」(駒形氏)も驚きを語っていた。

 ネットラジオのポータルサイト音泉で配信している「農園娘」のコンテンツや、ニコニコ動画に開設した「ファイブスター・オンライン・エンターテイメント ちゃんねる」などのプロモーション活動についても意見が出た。「農園娘」については、どうしてああいったキャンペーンを行なっているのかという質問に対して「ファイブスター・オンライン・エンターテイメントもナインユーもまだ日本で認知度がありません。育成系に比重があり、エンカウント方式のゲームというゲームは少ないので、コアな方たちは来てくれても一般の人に情報が伝わりにくいんです。もちろんコアな方たちはロイヤルユーザーとしてどんどん遊んでもらいたいのですが、一般の方も来てくれないと事業として成り立ちませんから。このゲームと親和性の高いユーザーを探さなくてはなりません。どんな層が親和性が高いのかを考えた時に、やはりアニメを見ている層、それも声優が人気を呼ぶようなかわいいアニメを見ている層だと思うんです」(御手洗氏)と、「農園娘」結成の意味合いを説明した。

 また今後についても「いまはガッツリ遊んでもらって、7月に、その時点で彼女たちが考えたモンスターヴェルト・オンラインの改善点を出してもらう予定です」ということだ。またイラスト大会、ファッションコンテストや、第2回となるモンスターデザインコンテストなども予定されているようだ。7月の頭からは、あるネットカフェと提携してキャンペーンなどを行なう予定だ。



■ 7月にはコミュニティー機能が使いやすく進化する!

 一日社員イベントという世にも珍しいオフイベントは、予定を大幅にオーバーして終了したが、参加者もスタッフもまだまだ話したりない様子で、今後も同じようなイベントを定期的に開催していきたいと意欲を見せた。最後に、御手洗氏と、冨永氏が挨拶をしてイベントは終了した。

 「ここに集まったメンバーは、みんな5年以上オンラインゲーム業界やコンソールゲーム業界で働いている者ですが、まだまだよちよち歩きで、どういうサービスをすれば喜んでいただけるかなということを常に思って動いています。これからもこういった企画を継続的に行なっていきたいと思っています。いただいた意見の中には即答してあげたいなというものもありました。ただ、皆様の意見を聞きたいなということもありましたので、本日は受け答えというよりは今の要望をお聞きした形で次の展開に持って行ければいいなと考えています」(御手洗氏)

 「いろいろとご意見をお伺いできて、本当はもっと深く掘り下げていければいいなと思っていたのですが、いろんな改善点が多岐にわたっているという部分は認識できましたし、やらないといけないと思っている部分と重複している部分もありましたので、1つ1つやっていかなければいけないと思っています。農園の倉庫の拡大については上海からできるよと返答があってあとは時期の問題であったり、あとはギルド領地でPvPができるかということについても、できるということなので、いつになるかは他のアップデートとの兼ね合いもあるので、徐々にやっていこうと思っています。あとは今後のアップデートの話もありまして、実は『モンスターヴェルト・オンライン』は中国で実装されているけれど、日本では未実装のものがたくさんあって、PvPであったりギルドのものとか、あとは日本オリジナルのペットでまだ未実装なものもたくさんあります。スキルカードの拡張や、低レベルの日常クエストの増強もやろうと思っているので、できるだけ早い段階にお知らせをしていきたいと思っています。我々は立ち上げたばかりの会社で、タイトルの導入も結構慌ただしくやって来ましたので、準備不足だった部分もあります。特に認識しているのは、コミュニティーの形成に関わる機能が弱いという部分です。今はその機能の改善に力を入れて開発をしています。7月の頭には、よりは使いやすいシステムが入ると思います。来週、再来週にでもどんどん出して行きたい気持ちはあるのですが、時間をかけなければならないものもありますのでもう少しお待ち下さい。今後のアップデート計画については、出せるタイミングで出していきたいと思っています。情報は公式サイトやスタッフブログで公開していきます。引き続きご協力いただけると嬉しいです」(冨永氏)

 最初にこの企画のタイトルを聞いたときには、いくら一日社員といっても外部の人間との企画会議は、会議とは名ばかりのファンイベントのようなものになるのではないかと思っていた。しかし運営スタッフの話し合いへの真摯な取り組みは予想以上のもので、今回の会議のまとめでも、「さらに深い部分まで話し合いたかった」という言葉まで出て驚いた。参加したユーザーも独自に意見をまとめて、何枚ものレポートを持参するなどゲームに対する熱意や愛情が、主催者と参加者の両方から感じられる良イベントだったように感じた。あとはこのイベントで話し合われた内容がどの程度ゲームに反映されるかを見守って行きたいと思う。


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(2009年 6月 15日)

[Reported by 石井聡]