ファイブスター代表取締役CEO 王子傑氏特別インタビュー
コンテンツのボリュームと深さに自信。中国旋風を巻き起こせるか!?

3月17日収録



 “5つ星のエンターテインメントを提供すること”を目標に日本進出を果たした新手のオンラインゲームパブリッシャーであるファイブスターオンライン・エンターテイメントは、3月17日に東京秋葉原で発表会を開催し、4月2日より正式サービスを開始する「モンスターヴェルト・オンライン」を筆頭に全6本もの新規タイトルを発表した。

 同社の大きな特徴として挙げられるのは、中国大手ゲームメーカーであるナインユーの100%子会社、つまり中国メーカーの日本法人であるところだ。これまで日本のパブリッシャーを通じて中国産タイトルが運営されるケースはあったが、中国メーカー自らが日本で開発・運営を行なうというケースは今回が初めてだ。これは世界のオンラインゲーム市場における中国市場のプレゼンスの増大を感じさせると同時に、世界一のオンラインゲーム輸入国であった中国が、順調に力を蓄えていった結果、見事に輸出国へと転化を遂げたことを実感させてくれる出来事だ。

 今回は、発表会に合わせて来日したナインユーとファイブスターオンライン・エンターテイメントの両社の代表取締役CEOを兼務する王子傑(たけし)氏と、王子氏の右腕として日本法人の実質的な責任者であるファイブスターオンライン・エンターテイメント COOの冨永一喜氏のおふたりに、中国産タイトルの強みと日本展開の抱負について話を伺った。

 余談だが、おふたりは共にコナミグループの出身。王子氏は、コナミの中国法人科楽美軟件有限公司の出身で、冨永氏はコナミデジタルエンターテインメントの出身である。現時点で「だからどうなる」という話は一切ないが、日本市場と日本のユーザーに対してすでに日本企業と変わらぬほどの理解があり、インタビュー中で語られているように、PC以外のゲームプラットフォームへの展開も十分可能性があるという点で、非常に興味深いメーカーといえそうだ。



■ 中国産タイトルの強みとは「ボリュームの大きさと深み」

ファイブスターオンライン・エンターテイメント代表取締役CEOの王子傑(たけし)氏。ナインユーグループ総帥でもある。元コナミグループ出身ということもあり流ちょうな日本語を操る
王子氏が発表会で示したスライド。現在3,000億円の中国オンラインゲーム市場規模が、2013年には倍の6,000億円を見込む。王子氏の自信の背景には、この予測にリアリティを感じさせる過去の倍々ゲームの実績がある

編: 無事日本での発表を迎えられた感想を聞かせてください。

王子氏: これまで1年半にわたり事前準備をしてきた甲斐があったと感じています。

編: 日本市場に対してどういった感想をお持ちでしょうか。

王子氏: 日本のオンライン市場については、まずはユーザーのクオリティが高い。マナーも良いし、客単価もアジアに比べて高いです。ユーザー層と数という点では今1つです。コンソールゲームがメインという中でどれほど大きくなっていくか楽しみです。

編: 今回数々の中国産タイトルを見せていただきましたが、中国産タイトルの強みは何でしょうか。

王子氏: ボリュームの大きさと深みです。ボリュームで言えば日本産オンラインゲームの5倍6倍あるのは当たり前です。

編: なるほど。ゲームの質という点ではいかがでしょうか。

王子氏: ストーリー性、アイテムの数、システムの数、システムの複雑さ、ユーザー間のインタラクティブ性も中国製のものの方がしっかりしている。中国ではオンラインゲーム激戦区になっていますが、約7割を占めるのは中国産タイトルです。海外は特に韓国製が一時はやりましたが、どこも韓国からの輸入は激減していて、シェアも落ちています。

編: それは中国の政策によるものではありませんか?

王子氏: まったく無関係だと思います。許認可制のために入れなかったり、許認可に失敗したりしたタイトルはありますが、それはあくまで一部だと思います。

編: 王子さんは、中国で中国産のタイトルがシェアを伸ばしているのは、純粋に中国メーカーが実力をつけてきたからというご意見ですか。

王子氏: 開発力はアップしているし、マーケットが成熟すればするほど、ユーザーのテイストはローカル化してきます。ストーリーベース、文化的なバックグラウンドの部分ですね。膨大なユーザーを前にして、システム自身が拡大していく必要があります。

編: 中国には、韓国や台湾のタイトルだけでなく、日本のタイトルもやってきているわけですが、なかなか成功していません。関係者に言わせれば許認可制の影響で独自の会社を作れず、やりたいようにやれないからだといいますが、王子社長はなぜ日本のタイトルが成功しないと考えていますか?

王子氏: 日本の企業が中国で直接サービスすることは制限されていますが、ライセンスアップという形をとればゲーム自身がサービスされることには制限はありません。日本製のゲームはグラフィッククオリティがよくて、いくつか優秀なものもあります。しかし、オンラインゲームの核となる企画などの部分で考えますと現地のものと比べると浅いのです。今のところ成功事例がなかなかでていないと思います。

 我々もスクウェア・エニックスのものやバンダイナムコゲームスのタイトルをサービスしていますが、ユーザーが要求するボリュームに達するまでに時間がかかります。しかし、ユーザーはそんなに待ってくれるわけではない。中国国内のタイトルは1カ月間に2回も3回もアップデートされるのに、海外産のタイトルはコミュニケーションの問題があったり、ユーザーの反応をいかに取り入れていくかという点で大きく水をあけられています。

編: 今回の発表で驚いたのは開発力の部分です。従来の「Audition」のパブリッシャーという印象を払拭する内容でした。現在、どのような開発体制を敷いているのでしょうか。

王子氏: 会社としては4月9日で7年目に入ります。皆さんには韓国産タイトルの運営元という風に見えるかもしれませんが、水面下で開発には創業当初から力を入れてきました。当初60名から現在では800名を超えています。年末までには1,000名体制に整えたいと考えています。会社全体の半数の人数を開発に割いていきたいと考えています。

 過去に自社開発タイトルがそれほど出なかったのは、精鋭主義にこだわり、ハイクオリティに固執してきました。クオリティをあげるために開発期間で言えば3年を超えているものもありますし、平均で2年から3年の間まで来ています。今年は転換期を迎えています。投資ラインの拡大や時間的な投資とやってきましたが、これからはほぼ量産体制ができあがっています。今回紹介したタイトルはすべて中国で開始されるタイトルです。さらに来年ハイクオリティなMMORPGがリリースされます。毎年4~5タイトル出来上がる予定です。

編: 発表会では上海、北京、アモイ、東京と4つの開発スタジオを発表されました。それぞれの開発体制と役割を教えてください。

王子氏: 基本的にはグループ内の競争ですね。東京スタジオは2008年に出来上がったばかりですので、他の開発センターと異なり、日本での運営に向けた中国産タイトルの再開発のために投入されています。人数、規模の拡大を見て、中国国内で動いているタイトルにも参加して欲しいと考えていますが、いまのところは日本マーケットに対する再開発に当てています。

 上海、北京、アモイはそれぞれ競争関係でもあれば、協力関係もあります。北京ではハイクオリティなMMORPG制作中心、上海はカジュアルゲーム、コミュニティ、一部のMMORPGの開発に当てています。アモイの開発センターはもう少しグラフィッククオリティを落として、アメリカ製のゲームエンジンをベースにしたゲームを開発しています。ゲームジャンルはRPGともカジュアルともやっていますし、今回お見せした最後のタイトルもアモイ開発センターの初タイトルとなっています。MMORPGは北京開発センターが作ったものです。

 自社開発以外にも投資したラインもグループ外でいくつか持っています。その1つが今回お見せした、近未来のMMORPGです。ドライブゲームだとご覧になった方もいましたが、そうではありません(笑)。今回はどうしても開発のバージョンアップの時期が固定になっています。発表会の時期がバージョンアップの間でして古い素材しかありませんでした。今日のためにわざわざライン全体を動かすのも問題ですので、古い素材しか見せられなかったのですが、かなり大型のMMORPGになっています。

編: 15の開発ラインがあるとおっしゃっていましたが、一般的に言って多すぎませんか?

王子氏: 色々なジャンルをカバーしていこうということが1つと、開発ラインをモジュール化していくことです。ラインが多くなれば、開発の部分が比例して増えるのではなく、中核技術部門が重要になります。サーバーエンジンだけではなく、次世代のオンラインゲーム開発に必要な技術。たとえばモーフィング技術だったり、数学モデルの環境反応モデルの研究なのです。徐々にモデル化していき、開発効率をアップしていこうとしています。今は15ラインを敷いていますが、グラフィックスのリソースにはかなりの手間がかかります。1部カーネルプログラムの部分は将来的に共通して使える部分はずいぶん増えてくると思います。

編: 開発費はどれぐらいですか。

王子氏: タイトルごとにかなり幅がありますね。もっとも高く投資をしているタイトルでは、日本円で約30億円かけているものがあります。平均でも4億円~5億円はかけています。カジュアルについては2億円~3億円程度のものもあります。MMORPGについては4億円がスタートになっています。日本で考えているほど安くはありません。開発コストはかなり上がっています。

編: ちなみに、現在は9youで運営されている自社開発タイトルはいくつありますか?

王子氏: 現在は「モンスターヴェルト・オンライン」とダンスゲームの2本だけです。中国で運営しているものはほとんどがライセンスが中心になっています。今年は転換期を迎えており、ほぼ中国のマーケットシェアに出ている数字と同じく、約7割が自社開発で、3割をパートナーのライセンスタイトルにしていこうと考えています。



■ ナインユーグループの自社開発体制について

ファイブスターオンライン・エンターテイメント COOの冨永一喜氏
冨永氏が発表会で示したスライド。中国での豊富な運営経験を元に、日本運営においても自信を見せる

編: ゲーム性の部分について詳しく聞かせてください。発表会で仰った「3.8億人のユーザーが生み出す奥深いゲーム性」とはどういったことを指しているのでしょうか。

王子氏: まず3.8億という数字については、弊社ではポータル化されていますので、いろいろなジャンルをやってきているアカウントがあります。カジュアル系、ライト系のユーザーとハードコアのRPGを遊んでいるユーザーがいます。私たちの構造でいくと、ライトユーザーのほうが若干多いです。今後はその比率が変わっていくだろうと思います。我々は最初にダンスゲームの成功がありました。女性の比率は非常に高く半々くらいです。特徴的なのはその部分です。今後その状態が保っていける保証はないため、ハイクオリティなRPGの比率が高まります。

編: なるほど。そうしたユーザーらによる「奥深さ」とはどういった意味ですか?

王子氏: 中国では300名のカスタマーサポートのスタッフ、100名のユーザーリサーチを行なっているスタッフがいます。計400名です。社員数1,700名に対して400名ですので、およそ25%のスタッフがユーザーサポートに当てられています。それだけ多くのユーザーの意見を取りまとめる部門があるわけです。日々25%のスタッフが直接お客様の声を聞いているわけです。

 上海にある本社1Fにはユーザーが直接集まってゲームを遊んだり、弊社に対して意見や不満を述べる場所があります。そうした場所からすべて吸い上げて開発にフィードバックしていきます。中国は日本よりも厳しい市場環境の中でやっていますので、いかにユーザーの声を拾ってより早く形にしていくかが非常に重要です。日々聞いて、日々伝えて、日々アップデートしていく。結果多くの方が、あれがいいこれがいい、こうしたいということを実現していくことがゲームへのクオリティにもつながっていくわけです。そこで培われたものが日本市場に投入されていくということが、「3.8億人のユーザーが」という表現になります。

編: しかし、オンラインゲームゲームの世界でも、政治の世界でもそうですが、万人の意見を聞いていくと非常に無個性な状態になってしまいます。3.8億人という数字には正直なところあまりピンと来ませんが、実際にオフィスでどのようなやりとりが繰り広げられているのか興味がありますね。

王子氏: それはぜひ本社を見ていただきたいと思います(笑)。上海の本社のHQは人民広場の真ん中にあります。毎日色々なユーザーに来ていただいて、テストプレイをしていただいています。もちろんそのまま吸い上げるのではなく、フィルターをかけて本当に有効性のあるものを取り入れています。

 もう1つは開発自身に奥深さを持たせていくことが必要です。そのまま既存タイトルを真似するのではなく、プロジェクトごとに新しい目標を立てています。8割は既存の成功モデルの継承やレベルアップが図られていますが、2割から3割については新しい創造性を求めていかなければいけない。次世代のゲームについてはいくつかの奥深い技術的な革新を考えています。中国の大学と提携して研究しています。未来の発展につながるように、すくなくとも5つの大学と提携して、一緒にやっていこうとしています。

編: そのいわゆるR&D的な部門は、800人の開発チームとはまた別のところにあるわけですか?

王子氏: 両方です。そういった部署も中には用意しています。一部の人は大学との技術、モーフィング技術、将来モンスターを100個作れば、1万個全く形の異なるモンスターが自動で出来上がるといった技術を研究しています。

編: 日本の運営ではどういった個性を出していきたいですか。

冨永一喜氏: 当然我々としては中国で開発されたものを出していくということで、1つはボリュームですね。なんでもかんでも入れれば良いというわけではありませんし、皆さんが何をして欲しいのかということは聞いていきたいと思います。他社さんと比べても対応は早いと思います。日々やりとりはしていますが、その場で決めてその場で動きます。発表会で申し上げた「アバターが3日で作れる」というのはウソではなく、実際にそういう体制ができています。後はいかに聞いて、後ろ側に聞いているボリュームの中からいかに取捨選択していこうかということをやっていきたい。そこにないものは、我々のデザインの開発を中心に作っていこうと。それも3日、4日でできますのでやっていきたいです。

編: 端的に言ってアップデートの実装スピードよりも、ユーザーのコンテンツの消費スピードが速いオンラインゲームは、直に遊びつくされて飽きられてしまいます。しかし、これが逆になれば理論上は永遠に遊び続けることができます。ファイブスターさんが実現しようとしている世界は、そのような世界という風に理解していいですか?

冨永: とはいえ、楽な環境ではありませんし、日々他社さんからも色々なタイトルが出てきています。日本のオンラインゲームの限られたシェアの中で他社さんと競争してパイを取り合ってしまうのは果たして本当に良いのかといえば業界のためにもあまり良くない。もっと広げていかなければいけないと思います。我々が提供できるものはコアユーザーさんに楽しんでいただけるものもありますし、ライトな方にも楽しんでいただける、ゲームシステムであったり、遊びやすさであったり、テイストであったりということもございます。できるだけ多くの方に遊んでいただきたい。もともと限られた市場で勝負するのではなく、市場を広げながら勝負をしていきたいです。その中でボリュームとクオリティを反映する体制でやっていきたいです。

編: 「柔軟な発想に基づいてやっていきたい」とのことですが、まずは何からやっていきたいですか。

冨永: 技術的な側面と運営的な側面があると思いますが、本当はPCだけでやりたくないのです。コンシューマもあるかもしれないし、特に携帯電話です。コミュニティでありゲームでありエンターテインメントであるということを考えると、PCの特定のハードを持っていなければ遊べないというのは必ずしもそのタイトルにとって良いことではないと思います。携帯電話であったり、場合によってはハードウェアのコンソールも視野に入れてやろうと考えています。

 オンラインゲームに限らず他の会社さんと何かやることも考えたいです。アパレルかもしれないですし、飲料かもしれないです。一緒にゲームを作る感覚でやっていきたいです。ただし日本のオンラインゲーム市場はそれほど認知されているわけではありませんし、他の業界の方にとってみても注目されているわけではない。まずは我々がオンラインゲームの楽しさを広げていくところからやっていかなければいけないと思います。本当はプロモーションに力を入れて色々と記事を書いていただくということも必要でしょうし、ゲームがついてこないというだけになってしまう。そこにはボリュームもあるし、きちんと練られたゲームが用意されている。我々はそこに提供して、きちんと意見を聞いてやっていきたいです



■ 「モンスターヴェルト・オンライン」の今後の抱負について

日本産、韓国産、台湾産、いずれでもないなんとも形容のしがたいキャラクタデザイン。中国産のカルチャライズにより独自の個性を発揮している
グラフィックスは、日本や台湾で支持される暖かみのある柔らかい質感。可愛らしいキャラクターと豊富なアバターをウリにしている

編: 「モンスターヴェルト・オンライン」についてですが中国での状況を教えてください。

王子氏: サービスしてから1年経過しています。同接2万人程度です。最高で3万人くらい行きました。運営状態としては安定しています。しかしながら中国市場は世界一の激戦区です。「西遊記」などの人気タイトルは数多くありますので、その中でこれだけの成績をあげています。

編: 中国で最大同接3万人というと、比較的苦戦している印象がありますね。

王子氏: 苦戦しているというより、「モンスターヴェルト・オンライン」はもともと海外向けがメインのタイトルです。日本以外にも台湾・東南アジアに向けて版権の販売を行なっています。順次サービスを開始しています。

編: 日本展開第1弾に本作を選んだ理由は何でしょうか。

王子氏: 日本市場を研究した結果でもあります。グラフィックス的にもマッチしやすいです。おかげで開発チームも中国国内よりも海外をメインにサポートしていこうとしています。また、ファイブスターエンターテインメントは資本関係も100%の子会社ですので、ライセンスゲームによくあるような会社間の交渉などの問題も無くスムーズにサービスが提供できると思います。中国で開発するスタッフの数も40名程度いますし、日本では6名がデザイン・グラフィックスの再制作のための専属スタッフとして在籍していますので、日本のユーザーから何かあればすぐにでも反応できる体制を整えています。

編: 先月実施されたトライアルテストの手ごたえを教えてください。

冨永: 手ごたえとしては予想以上に良かったです。5日間同接を落とさずに来ましたし、ユーザーさんにも概ね楽しい要素を見つけていただいて、パーティーを組んでみたりと色々遊んでいただけたと思います。反省点としては画面の不具合がありました。上海も含めて社内でテストして出てこなかった問題が出てきました。完全に我々の準備不足ですが、ゲームのボリュームがあるにもかかわらずきちんとご説明できませんでした。ゲーム内のチュートリアルというよりもゲームシステムの説明だったり、これはこんなことができるゲームですよ、こんな楽しみ方がありますよということをこちらからご提案することも必要だったと思うのですが、それが追いつきませんでした。

編: ビジネスモデルは基本プレイ無料のアイテム課金のモデルになりますが、どういった商材を用意していくつもりですか。

冨永: 1つはアバターです。それ以外に、スキルカードをパワーアップしていくための合成アイテムや、レベルが上がってきますと体力が回復しにくくなってきますので、その体力をいつでも充填できるような補助剤もあります。後はペットを育てるための設備、餌等です。かなりアイテム数はあります。アバターだけで2,000種類はあります。

編: 2,000ですか。それも1つもボリュームといえそうですが、もの凄い数ですね。

王子氏: 日本で2年間更新できるだけのコンテンツを既に揃えています。そこからユーザーさんの反応を見ながら選択していきます。

編: 日本独自のアイテムというのはどういったものを考えていますか。

冨永: まずはアバターです。見た目だけではなく、攻撃力がアップするなど機能を持たせたアバターです。

編: となると、「モンスターヴェルト・オンライン」では、お金を使うとゲームが有利に進むということですか。

冨永: もちろんそれはトレードオフになりますので、武器を買う、スキルカードを合成するのにお金はかかります。我々のゲームで実際に戦うのはペットなのですが、ペット1人のステータスだけでは勝ち負けが決まらないのです。スキルカードの組み合わせやスキルカードのレベルや、ペットが身につけている武器防具、ターン制ですのでどちらが早い遅いといったことも影響します。そのため優位に進めることにはつながるとは思いますが、必ずしも勝てるとは限らないというものになると思います。

編: 客単価はどれくらいを想定されていますか。

冨永: 日本の平均が4,000円前後といわれていますので、3,000円から4,000円くらいになると思います。

編: 想像していたより控えめですね。

冨永: やっていくなかで明らかにはなってくると思います。売るものも非常に多く、1個3,000円以上のアイテムもあります。値付けをしながらユーザーさんの反応をお聞きしながらやっていきたいです。

編: 発表会の中でクローズアップされていた「3日間でアバターを作る」宣言ですが、わざわざあれを発表したのは理由は何ですか?

冨永: 「アバターぐらい3日で作れて当然ではないか」ということです。発表した彼もコンソールのゲームの開発のデザインをやっていました。私もそうです。アバターを制作すること自体は1日~2日でできます。それを実際にやっていくわけです。

編: ユーザーイベント等で発表された「これ良いね」というイラストが3日後には実装されているといったこともあるわけですね。

冨永: そうです。

王子氏: 上海チームも共同で取り組みますからね。アバター制作はすべてアウトソーシングの会社4社で行なっています。800名に含めない人員が行なっています。中国で作ったアバターを東京でリタッチする時間を入れても3日間は十分すぎる期間だと思います。

編: カルチャライズについてですが、キャラクターのビジュアルに関してどんどん変えていくということを明言されていましたが、これは逆に言うと、そのままでは中国には合っても日本にはフィットしないと考えたからということですか。

冨永: そうです。ゲームがせっかく奥深くできていますので、そういうところで失いたくないのです。ゲームのテーマは、ペットと一緒に旅をして一緒に敵を倒していきましょうというものです。もちろん中国と日本で愛着の持てるペットの感覚は異なると思いますので、全部作り直すことにしました。

編: その他アバター以外にカルチャライズしている部分はありますか。

冨永: 後はほぼデザインになります。モンスターとNPCです。NPCはすべて作り直ししましたし、カードデザインなどです。手が加えられるところはすべて加えました。

編: パラメータは変えずに絵が変わっただけということでしょうか。

冨永: パラメータも変わっています。より簡単にしています。日本でやってみて難しいという判断です。

編: 「モンスターヴェルト・オンライン」は4月2日から始まりますが、どのような目標を設定されていますか。

冨永: できるだけ幅広い方に楽しんでもらいたいと思っていますし、自分のペットをたくさん連れて、できればペットのイラストやグッズを持って携帯ストラップかはわかりませんが人に自慢できるくらいにペットに愛着を持ってもらいたいと思います。男性女性も含めてのんびりとしてもらいたいです。



■ 新規5タイトルは順次日本でもサービス開始予定

具体的な事業計画は聞けなかったが、まずは「モンスターヴェルト・オンライン」を軟着陸させて、すべてはそれからといった印象だ

編: その後のラインナップについてですが、発表会では5タイトル見せていただきましたが、現在の開発状況を教えてください。

王子氏: すべて中国国内で今年中にサービスが開始される予定です。今回急遽この発表会で見せることが決まって、素材が間に合わなかったので、割と手元にあった古い素材を使ったものもあります。全体としては完成度はかなり高いと思っています。最後にお見せしたものは5月6月で中国でサービス開始予定になっています。

編: 5タイトルは日本ではどうなるのでしょうか。

冨永: 横スクロール型のアクションゲーム「Dungeon Heroes Online(仮)」は、おそらく年内に発表と展開もできると思います。

編: 残りのタイトルはいかがですか。

冨永: 来年には来ると思います。すべてをそのままやるのかどうかはゲームの状況を見ながらやっていきますが、ほぼ来年中にはサービスも含めてできると思います。

編: 6タイトルすべて展開すると確定しているわけではないということですか。

冨永: そういうこともありえます。もしくはもう少し先の展開なると思います。運営のキャパシティの問題も有ります。もちろん拡充はさせていきますし、基本的にはユーザーさんに自由に選んでもらえる体制を整えます。

編: 日本法人の今年の目標を聞かせてください。

冨永: まずは社名とロゴを知っていただくことです。「モンスターヴェルト・オンライン」でより多くのユーザーさんに遊んでいただいて、次のタイトルに期待していただきたいと思います。「中国のゲームもやるな」と思っていただければと思います。

編: 最後に日本のオンラインゲームファンに向けてメッセージをお願いします。

冨永: いよいよ展開ということにあたり、我々の会社をご存知でない方はまだまだ多いと思うのですが、できる限り皆さんのご要望をお伺いしていこうと思います。どしどしご意見やご要望を、不満も含めましてお伺いできればと考えています。

王子氏: 日本で最初のタイトルになりますが一生懸命やります。よろしくお願いします。

編: ありがとうございました。


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(2009年 4月 1日)

[Reported by 中村聖司]