Electronic Entertainment Expo 2009現地レポート

Eidosブースレポート:得意のアクションアドベンチャー3作品を出展
イチオシTPSの「Just Cause 2」、チビ忍者が主人公の「Mini Ninjas」、そして新「BATMAN」

6月2~4日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 

 英国のゲームパブリッシャーEidosは、2009年4月、スクウェア・エニックスグループの一員となった。その後初めてのE3となる今回、Eidosがどのような展示を行なうか気になっていたところだが、例年通り中規模のブースを構え、独立したゲームパブリッシャーとしての展示を行なっていた。

 今回、Eidosが出展した最新タイトルは3つ。クローズドルームで限定公開されていた「Just Cause 2」をはじめ、「BATMAN: Arkham Asylum」、新IPの「Mini Ninja」と、Eidosの得意ジャンルである3Dアクションアドベンチャーが揃った。




■ EidosイチオシのオープンフィールドTPS「Just Cause 2」
 高評価を受けた前作を大きく上回るスケールで2010年登場

オープンフィールドで展開するダイナミックなアクションがウリ
本作の紹介を行なったシニアゲームデザイナーのPeter Johansson氏
グラップリング・フックの基本アクション
車の側面に取り付き、そのまま射撃や移動ができる。カーチェイスアクションの新たな領域だ
爆発がとにかく派手である

 Eidos傘下のAvalanche Studiosが開発する「Just Cause 2」は、広大なオープンフィールド空間を自由に駆け巡り、さまざまなミッションを達成していくという3人称視点シューティングゲーム(TPS)だ。

 このシリーズ、ゲームジャンル的には「GTA」や「Mercenaries」シリーズに近い雰囲気を持つが、最大のウリは多彩なアクションだ。主人公が装備するグラップリング・フックを使って宙を舞い、車両や航空機に取り付いたり、そのままパラグライダーを開いて空からロケットランチャーで「爆撃」したりと、とにかくアクションゲームとしての自由度が群を抜く。

 その基本を打ち出した初代作の「Just Cause」は、2006年に発売され好評を博した。日本でも2007年にエレクトロニック・アーツからXbox 360版が提供されている。国内ではいまひとつマイナーではあるが、一部では「GTA」や「Oblivion」以上の評価を受けたこともある。

 本作「Just Cause 2」は2010年の発売を目指して開発中であり、提供を予定しているプラットフォームはプレイステーション 3、Xbox 360、そしてPCだ。前作に比べてアクションの多彩さが増し、さらに迫力のある戦闘が可能になったほか、オープンフィールドのマップが拡大し、今回は400平方マイルという巨大なバトルフィールドが実現している。

 まずアクション部分に関しては、物理エンジンを積極活用してプレーの幅を広げている。グラップリングフックで敵同士を結び付けて拘束したり、それをバイクにひっかけて引きずったりといったものをはじめ、ドラム缶をフックで振り回して敵にぶつける、あるいは敵そのものを空中に放りあげて射撃する……などなど、数え上げたらきりがないほどのパターンがある。

 主人公の超人的な身体能力を生かしたアクロバティックなアクションにも注目だ。特に圧巻なのはカーチェイス。グラップリング・フックを使ってAIが操作する車両に飛びつき、屋根に乗ったまま銃撃できるのはもちろん、クライマーのような動きで車両の前面、側面に張り付き、車両そのものを盾にしたまま他の車両に対して攻撃をかけられる。動きはとてもアナログ的で、ぬるぬると気持ち悪いほどの身のこなし。まさに未体験のアクションだ。

 またフィールド上には破壊可能なオブジェクトが多数用意されており、敵の防御を崩すために活用できるようになっている。たとえば巨大な水槽タンクを破壊すると大量の水が一気に流れ出し、周囲の兵士を押し流してしまうような塩梅だ。可燃性のガスタンクなどであれば、もっと劇的なことになる。

 ゲームフィールドにも注目。完全にシームレスな空間として構築された巨大マップは、総面積400平方マイル。その各地にびっしりとミッションや収集物に関する地点、施設が配置され、非常に高密度なゲームプレー空間を構成している。

 マップが広くなるとグラフィックスが大雑把になるのが世の中の常だが、本作はスケールとディティルのトレードオフを非常にうまく解決しており、スクリーンショットでご覧のとおりのクオリティを達成。まだ開発中の実機デモにも関わらず、この映像がXbox 360上で30fps以上のパフォーマンスで動作していた。ゲームエンジンは内製のオリジナルということで、スタジオの技術力はかなりの水準にあるようだ。

 本作の発売日は欧米で2010年を予定している。日本版についての情報はまだないが、Eidosの主力タイトルであるだけに、しっかりと扱われることを期待したい。日本での販売を親会社のスクウェア・エニックスが担当するのか、それとも前作の日本版を発売したエレクトロニック・アーツが担当するのか、そのあたりにも注目したい。


【Just Cause 2 トレーラー】

前作の良いところをさらにパワーアップさせた本作「Just Cause 2」は、2010年の発売を目指して開発中だ。Eidosがイチオシするタイトルなので、今後も注目していきたい




■ チビ忍者、自然の調和を取り戻すため、悪のサムライ将軍に戦いを挑む。
 イラスト風のグラフィックスがかわいらしい、新IP「Mini Ninja」

ほのぼのとした色調で表現された世界で、チビ忍者が大冒険
レベルデザインを担当するUlrik Hauen-Limkilde氏がゲームの解説をしてくれた
主人公の忍者、Hiroと烏天狗
くの一、Suzume
Hiroの親友、Futo

 Eidos傘下のIo-Interactiveが開発する3Dアクションアドベンチャー「Mini Ninja」は、2頭身のチビ忍者が、悪のサムライに戦いを挑むという新IPだ。本作はEidosブースの半分を使って大規模にプレイアブル出展されており、今年の主力タイトルとしてプッシュしたい意気込みをひしひしと感ずることができた。

 「Mini Ninja」の対応プラットフォームは、プレイステーション 3、Xbox 360、PC、Wii、ニンテンドーDSとなっており、ブース内ではPC以外の全バージョンを試す遊ぶことができた。ここではプレイステーション 3およびXbox 360版の内容を中心にゲーム内容をご紹介しよう。

 作品の舞台は、イラスト風のやわらかなタッチで描かれた、日本的な世界だ。悪のサムライ軍団が忍の里を襲撃し、主人公のチビ忍者「Hiro」が立ち上がる。様々な体術と忍術を駆使して、サムライ軍団を倒し、自然の調和を取り戻すことがゲームの目的だ。

 かつての海外製のゲームでは、色々とデタラメな描かれ方をしてきた「日本」という舞台だが、本作はその点がかなりしっかりしている。主人公にミッションを与える烏天狗や、敵となるサムライたちのデザインは的を射ているし、マップを彩る様々な意匠も、日本的なムードから大きく外れていない。唯一おかしくおもえたのは、竹藪にパンダが生息していることくらいだ。

 さて、本作でプレーヤーが操作するのは忍者である。忍者刀を使った攻撃のほか、さまざまな体術、忍術を使って戦闘を組み立てることが可能だ。そのほかにも、マップ上にいろいろと生息している犬やウサギ、猪といった動物に出会えば、その姿に変化することもできる。大型の動物に変化すれば戦闘で活躍でき、足の速い動物になれば素早く移動できるなど、いろいろと応用できるようだ。

 敵方のサムライにもいろいろなタイプがいる。普通のザコサムライは足軽大将に統括されており、グループ単位でパトロールしていたりする。と思いきや、超大型のボス級サムライがいたり、足軽槍兵が鉄壁の防御を敷き、通路を封鎖してしまうことも。

 そういった多種多様な敵に対応するため、プレーヤーは常に複数の忍者を切り替えてプレーすることができる。試遊台のバージョンでは、オーソドックスな能力をもった主人公「Hiro」のほか、敵を混乱させるトリッキーな忍術を使うくの一「Suzume」、巨大な木槌を使う近接パワー型の忍者「Futo」を使うことができた。

 例えば「Suzume」は、特殊な忍術を使って敵を無力化し、道を切り開くという戦い方ができる。「Futo」のほうは、タフな体と攻撃力を生かして、ボス級の大型キャラクターとタイマンを繰り広げるのに最適だ。

 ゲームの構造としてはステージクリア形式をとる本作だが、ひとつのステージを構成するマップはオープンフィールドタイプで、自由な探索ができる。特に、サムライの本拠地である「城」のマップは、「プリンス・オブ・ペルシャ」ばりのアクションでよじ登ったり、死角を利用して潜入したりといった多様な展開が楽しめそうな構造だ。

 開発元のIo-Interactiveはスニークアクション「Hitman」シリーズも手がけた実力派である。本作「Mini Ninja」はかわいらしいチビ忍者が登場する作品とはいえ、ゲーム性にはスニークアクションの要素もしっかり組み込まれており、ハードゲーマーにも手応えのある内容に仕上がったようだ。

 日本的な風景、やわらかなタッチのグラフィックなど、全体的にセンスよくまとめられたゲームの風景は日本市場でもすなおに受け入れられそうだ。きちんとしたローカライズが行なわれれば、是非遊んでみたいと思わせるタイトルである。欧米での発売は2009年秋に予定されており、日本版については現時点で不明である。


【Mini Ninja トレーラー】

 コミカルな雰囲気に騙されそうになるが、戦闘、スニーキング、謎解き、探索要素など、しっかりと手応えのあるゲームになっている。日本版については現時点で不明だが、しっかりとローカライズされ、海外ゲームへの先入観を打ち砕いてくれる作品になることを期待したい



■ 映画とは違った設定で展開する「Batman: Arkham Asylum」 

アメリカンヒーローの代表格、BATMANが緻密に描かれる
本作の試遊台が多数設置されていたEidosブース
本作のウリ、「FreeFlow」アクション。スムーズに技が繰り出され、どんな動きもサマになる

 Eidosが夏にリリースするBATMANの新作ゲームは、Rocksteady Studiosが開発する「BATMAN: Arkham Asylum」。Gotham Cityのはずれにある病院「Arkham Asylum」を舞台とする3Dアクションだ。フォトリアリスティックに描かれたキャラクター、特に主人公バットマンの屈強な肉体が、アメリカンヒーローの魅力を強烈に表現している。対応プラットフォームはプレイステーション 3、Xbox 360、PCとなっており、最新世代のダークなグラフィックスを堪能できる。

 最新の映画「BATMAN: The Dark Knight」とは違った設定で展開する本作、最大の魅力は「FreeFlow」と呼ばれるコンバットシステムだ。キャラクターが繰り出す様々なアクションがシームレスに連結され、プレーヤーの思うままに華麗なコンボ攻撃を作り出すことができる仕組みである。

 ゲームの基本システムとしては、犯罪者が集う「Arkham Asylum」でさまざまな謎解きを繰り広げるという、アクションアドベンチャータイプになっている。BATMAN自身の超人的な能力や、X線スキャン、指紋照合、「Amido Spray」と呼ばれる特殊な装置を使ってJokerのもくろみを暴き、Gotham Cityに秩序をもたらすことがゲームの目的だ。

 Eidosブース内に多数設置されていた試遊台では、Jokerの手下との戦闘を確かめることができた。「Grapple」やマントを使って都市環境の中をアクロバティックに立ちまわったり、敵の背後から忍び寄って一撃必殺の攻撃で昏倒させる。正面戦闘では打撃やカウンター攻撃でバタバタとJokerの手先をねじ伏せていく。実にマッチョでスタイリッシュだ。

 また本作のプレイステーション 3版では、正義代表のBATMANだけでなく、敵方のJokerでプレーすることもできるとのこと。Jokerを使えるのは8つのチャレンジマップで、BATMANとは全く異なったアクションを楽しめるそうだ。

 本作はEidosとWarner Bros. Interactiveから、欧米向けに夏ごろ発売される予定だ。現在のところ、日本語版についての予定は不明である。


【Batman: Arkham Asylum ティザームービー】

「Unreal Engine 3」で再現されたBATMANの世界はダークでマッチョでスタイリッシュ。原作のファンであればぜひプレイしたいゲームに仕上がっていると思われたが、現在のところ日本語版のリリースがあるかどうかは不明。スクウェア・エニックスから何らかの発表があることを期待する




(2009年 6月 6日)

[Reported by 佐藤カフジ ]