Electronic Entertainment Expo 2009現地レポート
SCEA 2009 E3 Press Eventレポートその2
「THE LAST GUADIAN」、「Gran Turismo5」、「FF XIV」が映像出展!
「God of War III」や「UNCHARTED2」など9本のPS3タイトルを紹介
Sony Computer Entertainment America (SCEA) は、ロサンゼルス市内の大講堂(The Shrine Auditorium)で「SCEA 2009 E3 Press Even」を開催した。本稿ではPS3向けの9本の作品を紹介したい。
会場で電撃的に発表された「FINAL FANTASY XIV」、「THE LAST GUADIAN」、「Gran Turismo5」といった日本で開発された作品。その残虐性も含めたパワフルな演出が光る「God of War III」、派手な演出で迫りくる危険を、爽快なアクションで突破していく「UNCHARTED2」といったタイトルは前作の特長をさらにパワーアップし、会場中から喝采を浴びていた。どのタイトルもPS3というハードを持っていてよかったと思わせること請け合いの注目タイトルである。
● 巨大な怪物と少年の物語「THE LAST GUADIAN」。独特の幻想的な雰囲気に注目
少年を見つめる巨大な怪物。怪物の表情が人間くささを感じさせないからこそ、「生き物」としての交流ができそうで、好感を持った |
「ICO」や「ワンダと巨像」を手がけたチームによる最新作が「THE LAST GUADIAN」である。今回会場では、世界観やコンセプトを紹介するムービーだけで、発売日などの情報は発表されず、映像に関しての説明も全くなかったが、作品を期待させるムービーだった。
暗闇からこちらに向かって歩いてくる、鳥のような足を持つ巨大な生き物と、何かに追われて必死に走る少年の姿が交代で映し出される。少年は暗闇を抜け光の差す場所に走っていくが、足場がないことに気がつかず、そのまま落ちそうになり、必死に縁につかまる。そこに鳥の足を持った怪物が現われる。
少年の何倍もありそうな巨大な体を持つ怪物の顔は、白い体毛に覆われ、その巨大さにもかかわらず、子犬のようなうるんだ大きな目を持っている。怪物はゆっくりと少年に近づき、優しく服をくわえ、少年を助け上げた。怪物は巨大な頭を少年にこすりつけ、少年はゆっくりと怪物の頭をなでると、怪物は気持ちよさそうに目を細める。少年が怪物の体をよじ登り背にまたがると、怪物は背中の翼を広げて天高く飛翔していく。
場面が変わり、巨大な怪物と少年の初めての出会いと思えるようなシーンが映し出される。大きな怪物におっかなびっくりで近づく少年と、それを不思議そうに見る怪物。巨大な遺跡の中を怪物の頭の上に乗って運んでもらったり、崩れる橋の上をわたっていく怪物にしがみつく少年、水の中を泳ぐ怪物の体にしがみつきながら進んでいくシーンなどが次々と映し出される。
遺跡を必死に走り、目もくらむような高さに張り巡らされた通路を駆け抜ける少年、彼を追うような厳つい鎧に身を包んだ戦士の姿、少年の体に刻まれた入れ墨や、怪物の体に何本も突き刺さっているように見える槍のような突起物も意味を考えさせられる。最後は怪物の暖かな羽毛に包まれて心地よさ下に眠る少年と彼を守るかのように座る怪物の姿が描かれる。ストーリー、世界観、そしてゲーム性にも期待させられるムービーだ。
● 敵を力のまま引きちぎり、屠る! 残虐性の中に力強さを感じさせる「God of War III」
角を一気に引き抜く。残酷で過激な描写は健在 |
発表会の最後に紹介され、もっとも会場を沸かせた作品が「God of War III」である。これまでのシリーズ同様ギリシア神話をモチーフとした世界観で、パワフルなスキンヘッドの超人クレイトスが活躍するアクションゲームである。2010年3月に発売予定だ。
今回は、序盤のステージのデモプレイが行なわれた。骸骨の騎士達を拳と、伸縮自在の鎖のついた2本の剣でバラバラにしながら進んでいくクレイトス。死体を食っているハーピーに飛びかかり、つり上げられながら剣をたたきつけ、より高い場所に移動する。クレイトスを待ち受けるのは巨大な体を持ったケンタウロスだ。
クレイトスは鎖のついた剣の他、炎の矢を放つ弓矢、衝撃波を放つグローブのような武器など多彩な攻撃でケンタウロスにダメージを与えていく。ゾンビのような雑魚敵に囲まれる場面もあったが、クレイトスは難なくはじき飛ばす。ある程度ダメージを与えていると、ケンタウロスの上にボタンのマークが輝く。
「God of War」にはCSアタックというシステムがあり、指定されたボタンを押すことで特別な殺し方で敵を倒す。倒し方はかなり残虐なもので、本作のセールスポイントの1つだ。ケンタウロスは地面に横たえられてから、あらわになった馬の腹部を刃物で切り開かれ、内蔵を引きちぎられて絶命した。
クレイトス達が戦っている背後では、動くマグマのような巨人が城壁を破壊しながら進んでおり、クレイトスは彼を倒すために巨大な石弓にとりつき、照準を巨人に向ける。そのとき画面の手前から、3つの山羊の角と蛇のしっぽを持つキマイラが近づいてくる。クレイトスはキマイラのしっぽを切り落とすが、キマイラは弱るどころか逆に機敏になってクレイトスを翻弄する。
徐々にダメージを与えひるんだところを、クレイトスはキマイラの頭を踏みつけ、地面にはわせた後、山羊の角をへし折り、それを突き刺してとどめを刺した。クレイトスの戦いはとてもパワフルで、彼が活躍するたびに会場からは歓声が上がっていた。テンションがあがってきたところで、デモプレイは終わってしまい、会場からは大きく不満の声が出たほどだ。筆者自身、もっとクレイトスの活躍を見たかったと感じた。
クレイトスの活躍はかなり残酷だが、その野蛮な力強さには大きな魅力が感じられる。「God of War」シリーズのウリはまさにクレイトスの活躍と、神話世界ならではの迫力にある。本作はそれをきちんと継承し、パワーアップしていると感じた。触ってみたいタイトルである。
【God of War III】 | ||
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強大な敵にも恐れもせずに立ち向かい、殲滅していくクレイトス。神にすら立ち向かう戦士の強さを堪能できそうだ |
● 危機また危機の連続を、切り抜けていく爽快感がさらにパワーアップ「UNCHARTED2」
広がる視界に会場から感嘆の叫び声があがった。舞台の美しさにも注目したい |
「UNCHARTED2」もまた会場を大きく盛り上げたタイトルだ。2009年中の発売を予定している。今回はデモプレイが行なわれた。崩れかけた建物が並ぶ街の中で、主人公は高い塔を上っていく。塔を登り切った主人公の前に広がるのは街全体を見下ろす大パノラマ。ごちゃごちゃした街の向こうには、切り立った巨大な山脈が見える。
風景はどこまでも続く広さと密度を持っていて、その描画の見事さに会場からは歓声が上がった。崩れた建物をどんどんわたっていく主人公。足場が不安定なところが多く、遙か下方に街が見えるのが恐ろしさを倍加させる。
大胆に進む主人公を、突如現われたヘリがつけねらう。容赦なく浴びせられる機銃弾を避けながら進む主人公。時には建物の壁そのものも破壊される。逃げる方向には敵が待ちかまえていて、主人公は彼らを打ち倒しながら進んでいく。逃げる足場もどんどん崩れて、時にはわずかな手がかりにしがみついて進んでいくことも。ピンチ、ピンチの連続である。
主人公は、敵が待ちかまえるビルの一室で膠着状態になる。ヘリはミサイルまでも使い、味方もろとも主人公を抹殺しようとする。そのとき、ビル全体が激しく揺れたかと思うと、床が激しく傾き始める。あまりの攻撃の激しさにビルが折れ、隣のビルに向かって倒れていくのだ。家具も破片も、敵も全てが窓の外へ滑り落ちていく。隣のビルが迫っていくが大きな衝撃と共に傾きが止まる。危ういバランスで止まっている建物の中を、隣のビルに向かって移動する。
遠景、ヘリに追われ進む主人公、しつこく追いすがるヘリのミサイル攻撃、傾くビルと、観客は場面場面ごとに興奮した声を上げていた。この活躍を自分の手で生み出すことができればたまらなく楽しいだろうと感じた。プレイする日を心待ちにしてしまう作品である。
【UNCHARTED2】 | ||
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危機また危機の息もつかせない展開。自分の腕でそれを突破できればものすごく楽しいだろうと感じた |
● 突如発表されたオンラインタイトル「FINAL FANTASY XIV」。「FINAL FANTASY XIII」はムービーでの出展
突然発表された「FF」シリーズ最新作。「FFXI」の後継作として作られていた作品にナンバリングが振り当てられたようだ |
今回の、「SCEA 2009 E3 Press Event」で「PSP Go」の発表と共に大きなサプライズとなったのが、「FINAL FANTASY XIV」の発表だろう。「FINAL FANTASY XIII」のデモ映像が流された後、イベントで様々なタイトルを紹介したSCEAのPresident and CEOを務めるJack Tretton氏が「『FINAL FANTASY XIV』はPS3版が最初に発売されます」と発表したとき、会場は一瞬ざわめき、「What?」といった声も聞こえた。
「FINAL FANTASY XIII」が発表されてから発売までまだまだ時間がかかっている現状、いきなり次のナンバリングタイトルが出る話というのは正直、筆者も現実感が薄く、驚きよりも「本当なのかな?」という疑問を感じた。しかし、Tretton氏が合図をすると共に、美しく雰囲気たっぷりなムービーが開始され、最後に「FINAL FANTASY」シリーズのイメージイラストを手がける天野喜孝氏のイラスト共に「FINAL FANTASY XIV」のタイトルが映し出されると、会場からは大きな拍手があがった。
「FINAL FANTASY XIV」はPS3版が2010年に最初に発売される予定だ。映像では豊かな水が流れる緑の地、巨大なモンスターと戦う人々、船のような乗り物の縁から迫り来るモンスター、翼が生えた柱のような空を飛ぶ謎の機械、そして再び緑の遙かな地をチョコボに見える騎乗動物と共に見下ろす冒険者達が描かれる。映像の途中に「悠久なる時の狭間、神々に愛されしエオルゼアという地があった。この地を今、恐ろしい影が覆わんとしている。立て英雄達よ!」といったメッセージが流れる構成だった。
興味深いところは、キャラクター達のシルエットである。巨大な体躯を持ったキャラクターは腕が長く顔は毛に覆われていて、「FINAL FANTASY XI」に登場するガルガ族にそっくりだ。ラストの冒険者達が集うシーンではエルヴァーン族のようなキャラクタも見える。皮をつないだような戦士の鎧のデザインにも共通のデザインを感じさせる。今回はゲームの詳細な説明などには言及されなかったが、「FINAL FANTASY XI」と濃厚な関係を持っているタイトルのようである。
「FINAL FANTASY XIV」は仮に「FINAL FANTASY XI」の続編だとすれば、既存のプレーヤーにどんな変化をもたらすのか、タルタル族は登場するのかなど、次々と疑問が浮かんでくる。今後の情報が本当に楽しみなタイトルである。
【FINAL FANTASY XIV】 | ||
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新しい世界を舞台にする、といった印象の本作。PC版の発売も発表されている。「FFXI」との関係も気になるところ |
【FINAL FANTASY XIII】 | ||
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2010年春発売予定の「FINAL FANTASY XIII」。開発に難航しているような様子があっただけに、次のナンバリングタイトルの発表には驚かされた。ムービーからは世界観や仲間との絆が伝わってくる。ストーリーに大きく期待したい |
● これまでにない自由度と作り込みでオリジナルコースを作成できる「ModNation RACERS」
「ModNation RACERS」はかわいいキャラクタがゴーカートに乗って、はちゃめちゃなレースを繰り広げるゲームだ。2010年の発売を予定している。本作のセールスポイントはキャラクタのモデリング、車の選択肢の多さである。3頭身のシンプルなモデリングながら、パーツから模様、アクセサリなどを変えることで個性的なモデルに仕上げることができる。
車はバギータイプからキャデラックのようなアメリカンタイプ、スポーツカータイプなどのフレームに自由にカスタマイズができる。レースがスタートするとキャラクタが後ろを向いてアピールしたりと、多彩な表情を見せてくれる。レースは銃を前方に撃って妨害もできるタイプ。コースに配置されるアイテムを使って有利な展開を目指せる。
デモプレイで驚かされたのがコースエディットだ。なにもない空間に、走ることで道ができていったり、山を盛り上げたり、地面を掘ったりと、「シムシティ」シリーズのような感覚でコース外の地形も設定できる。オブジェクトには森や家なども用意されていて、さらに太陽の位置まで設定できる。コース全体の「風景」まで設定できるのだ。オンラインプレイはもちろん対応している上に、このコースを共有することもできる。プレーヤー達はどこまで想像力を駆使してコースを造るだろうか。
【ModNation RACERS】 | ||
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下がエディット画面。これほど自由にコースが造れるゲームは過去例がないだろう |
● その他のタイトル
【Assassin's Creed 2】 | ||
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UBI SOFTが、2009年のホリデーシーズンにPS3、Xbox 360、PCで発売予定。今作ではイタリアが舞台となる。新要素として、空を飛ぶことができるグライダー、手の内側から飛び出すナイフが両手になり同時に2人の敵を倒せる、煙幕を使って逃げる、といった要素が紹介された |
【「AGENT」、「Playstation Home」】 | ||
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Rockstar Games がPS3でのみ独占販売する「AGENT」というゲームの存在が明らかにされた。冷戦時代の東西の対立を描く作品になるという。この他、全世界で650万人のプレーヤーが「Playstation Home」を体験し、そのうち85%が再び世界を訪れるリターンユーザーとなったことが発表された |
http://www.e3expo.com/
□SCEAのホームページ(英文)
http://www.us.playstation.com/
(2009年 6月 3日)