米EA、新作アクションゲーム「BRUTAL LEGEND」を正式発表
斧とギターを手に、ヘビーメタルなファンタジー世界を暴れ回れ!!

【BRUTAL LEGEND】
発売時期:2009年秋予定(北米、欧州)
価格:未定


イメージイラスト

 米Electronic Artsは、現地時間の3月24日、新作アクションアドベンチャーゲーム「BRUTAL LEGEND」のプレスプレビューを、サンフランシスコにあるDouble Fine Productionsの本社オフィスにて開催した。本作はプレイステーション 3及びXbox 360向けに、今年の秋頃に北米・欧州で発売予定。日本語版は現在のところ未定となっている。

 この発表会が行なわれた3月24日はちょうどGame Developers Conference 09の会期中であり、GDC会場のMoscone Centerから1キロほどの近場にある開発スタジオに直接取材に向かい、「BRUTAL LEGEND」のプレイ映像を見ることができた。ゲームの存在自体は2007年から一部で知られていたものの、ゲーム内容を詳しく見ることができたのは今回が初めてのことだ。


プロデューサーのTim Schafer氏Double Fine Productions、スタジオ内部の様子スタジオの壁面には設定資料がズラリ



■ ファンタジーにヘビーメタルのあらゆるネタを詰め込んだ、破天荒なアクションアドベンチャー

主人公、Eddie Riggs。コンサート中に昏倒し、気がついたらこの世界に飛ばされていたらしいが、一瞬で適応
伝説の斧をゲット!
ギターを打ち鳴らせば電撃攻撃となる

 本作「BRUTAL LEGEND」は、ゲームデザイナーTom Scafer氏率いるDouble Fine Productionsが開発するアクションアドベンチャーゲームだ。本作はDouble Fine Productionsの作品としては2作目にあたり、2005年に発売された一作目のPS2/Xbox/PC用アクションゲーム「PsychoNauts」は欧米メディアから数々の賞を獲得している。日本ではほぼ無名だが、欧米では知る人ぞ知る実力派のスタジオということで、本作にもそれなりの注目が集まっているようだ。

 本作最大の特徴はその世界観だ。一言で言うと、「ゴシック系ファンタジー世界をヘビーメタル漬けにしてみました」という感じになる。神殿などミステリアスな建築が立ち並ぶファンタジックな世界で、主要登場人物は全員ヘビーメタル野郎という、一見して冗談にしか見えない舞台設定なのだ。

 今回の発表会では、プロデューサーのTim Schafer氏が自らゲーム内容を解説しつつ、デモプレイを進めるという形でゲーム序盤の展開を見ることができたのだが、その突飛な世界観を楽しめるようになるまで時間はかからなかった。

 冒頭、主人公であるメタルバンドのリーダーEddieが突然この世界に降り立つ。場所はカルトな匂いのする神殿内部で、そこには英雄にしか使えないという巨大な斧があった。赤いコート姿の狂信者達が襲いかかり、Eddieは身を守るためにその斧を手に取る。斧の一撃で敵を粉砕、次にギターを弾いてみると、そのサウンドで電撃が巻き起こり、次なる敵も粉砕。最後にジャンプして地面を踏みしだくと、大地が揺れ、神殿が崩壊し始める。この斧、ギター、ジャンプという3つ要素が、本作の基本アクションとなる。

 狂信者を叩きのめしながら進んでいくと、そこには何やら神秘的な祭壇がある。Eddieがその祭壇に立ち、ギターで激しいサウンドを掻き鳴らすと、封印が解け、祭壇の周囲に祀ってあった機械部品が命を取り戻す。組み立てると、それはEddieの愛機となる車両、「Deuce(別名 Hot Rod)」だった。狂信者の群れの中に紛れ込んでいた若い女性、Litaを引き連れ、愛機Hot Rodで敵を蹴散らしながら遂に神殿を脱出。そしてEddieは、この世界に訪れた脅威に立ち向かおうとする男、Lars Halford(やはりメタル野郎)と出会い、次なる冒険に出かけるのであった。

狂信者的なクリーチャーとの戦闘。斧でなぎ倒すアルバムのカバーアートにありそうな意匠のモンスター世界はファンタジーで、とてもメタルだ


■ 独自の世界観と勢いで突っ走る作品。メタル好きなら笑えるシーンが盛りだくさん

現地のレジスタンス的な組織のヘッド、Halfordと出会う
Headbanger達を引き連れて命令を下す。これも序盤以降は基本アクションになってくるようだ

 それ以降はオープンフィールドな世界を中心にゲームが進行していくのだが、本作はファンタジー世界にヘビーメタルの要素をある意味強引にねじ込み、おバカな展開を見せることに力を注いでいるようで、デモプレイ中は笑いが絶えない。各所でメタル系の小ネタ、大ネタが仕込んであるのだ。

 例えば、Halfordと合流した後にすぐ取り組むことになる鉱山内部での戦いでは、悪の勢力により奴隷化された「Headbanger」(ヘッドバンカーのもじり)達が、メタルコンサートではおなじみのヘッドバンキングの動きで壁面に頭を打ち付け、トンネルを掘り続けているのだ。哀れなHeadbanger達は同じ動きをし続けた結果、首の筋肉が異様に肥大しているという有様で、この世界においてはこういう「種族」という扱いになっている。

 Eddieの一行は、ギターを使ってメタルな旋律を奏でつつ、Headbanger達の洗脳を解いていく。そしてEddieのサウンドにしびれたHeadbangerは忠実なしもべとなって、Eddieの一声で様々な命令に従うようになるのだ。攻撃を命令すれば、鍛え上げたヘッドバンキングで障害物を破壊し、敵をやっつける。メタル系のネタを無理矢理ファンタジックな世界に適用し、完全にギャグと化した演出とアクションで、プレーヤーは数分おきに度肝を抜かれ、爆笑してしまうというノリである。

 Headbanger達を開放し、手兵を手に入れたEddie一行。次なる冒険はいかに? というところでデモプレイはここで終了したが、探索あり、集団戦あり、ボス戦ありと、ゲームそのものはしっかりとアクションアドベンチャー的に展開していくようだ。この世界が一体なんなのか、Eddieは元々居た世界(おそらく現実世界)に戻れるのか、わからないことが多いままではあったが、とにかく勢いだけは凄いゲームであると感じた。

 プロデューサーのSchafer氏によれば、EAの他のタイトルと同じく「BRUTAL LEGEND」を世界で展開していきたいという意向のようだ。ただ本作は、ヘビーメタル+ゴシックファンタジーという特異な世界観であり、熱心なメタルファンでないとわからないネタが大量に仕込まれていること、また、敵を斧で倒す際に、首や腕などのボディパーツがちぎれ飛ぶといった過激な表現が見受けられることから、日本法人による国内展開があるかどうかは全く不透明だ。

 ひとまず、本作「BRUTAL LEGEND」が、欧米でどのような評価を受けるかを関心を持ちつつ追いかけてみたい。現時点では、本作は北米・欧州をターゲットに、今年秋頃の発売を予定しているが、もし国内版の可能性が浮上すれば、改めて弊誌でご紹介したいと思う。

ファンタジーとヘビーメタルを強引に融合させ、本気ともジョークとも取れない面白演出が続出する「BRUTAL LEGEND」。BGMあるいはゲーム内の音響演出として有名楽曲も多数カバーされるとの情報もあり、どのような作品になるのかは未知数だ。テーマ的に日本国内への展開は難しそうではある


(2009年 4月 6日)

[Reported by 佐藤カフジ]