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今なお進化し続ける「スト3 3rd Strike」EVOJ2024決勝戦レポート

こく兄の全一ダッドリーやオオヌキのブロられ鳳翼など、四半世紀かけて磨いたテクニックで観客を魅了

【EVO Japan 2024 presented by ROHTO】

会期:4月27日~4月29日

会場:有明 GYM-EX(ジメックス)

 2024年4月27~29日の3日間、日本最大対戦格闘ゲーム大会「EVO Japan 2024(以下 EVOJ2024)」が有明GYM-EX(ジメックス)で開催された。参加型eスポーツイベントとして最大で、対戦格闘ゲームメイン7タイトルのチャンピオンを決める大会だ。EVOJ2024の大会総エントリー人数は9,264人となり、テレビの一般ニュースとしても取り上げられるまでに成長している。

【EVO Japan 2024メインタイトル】

 本年のEVOJ2024では、2021年から2024年に発売され、現在最も注目されいる格ゲータイトルが6タイトル選ばれる中、1999年に発売された「ストリートファイターIII 3rd STRIKE: Fight for the Future(以下、3rd Strike)」が、EVO 2004に梅原大吾(以下 ウメハラ)選手が起こした「3rd Strike」の奇蹟「背水のの逆転劇」から20周年記念としてメインタイトルに選出された。

ストリートファイターIII 3rd STRIKE: Fight for the Future

 EVOJ2024の記念タイトルである「3rd Strike」は、令和の時代に、どのような戦いを繰り広げるのか非常に楽しみであった。大会レポートをお届けしたい。

【背水のの逆転劇|Official Evo Moment #37, Daigo vs Justin Evo 2004 in HD】

参加者464人の大規模個人戦大会。洗練された攻略と大胆な攻防で観客を魅了する選手達。

 EVOJ2024のメインタイトルは、ダブルエリミネーショントーナメントの個人戦で運営される。「3rd Strike」のエントリー人数は、464人。大会規模は3rd Strike最大規模の団体戦「CooperationCup」に相当する。Pool(グループステージ)は32に及び、Day1では、464人から24人に絞られ、Day2ではSemifinalsでTop6を決定後、Finalsで優勝者を決める。

 3rd Strikeは25年間遊ばれ続けているゲームである。当然参加者は強豪揃いだ。彼らの攻略は洗練され、体力を奪う事は容易ではない。彼らは対戦相手の攻略の知識が自分と同様であると信じ、時には通常では考えられないハイリスクな選択を用いて相手の体力を奪いにいく事も多い。

 次の動画を見て欲しい。Round2の配信台で行われた、こく兄選手(ダッドリー)とあつお選手(ヤン)の負けたらトーナメント敗退となるLosersの一戦だ。

 フルセットフルラウンドで迎えた最終ラウンドで、あつお選手がEX蟷螂斬をヒットさせ、体力1ドットでダウンしたこく兄選手のダッドリーに起き攻めを仕掛ける場面である。

【こく兄の全一ダッドリー】

 あつお選手の足払いが届かないと判断したこく兄選手は、起き上がりにEXショートスイングブローを出して差し替えしに成功。その勢いのまま起き攻めを繰り返しヒットさせ大逆転となる。

 EXショートスイングブローからSAコークスクリューブロー(以下 コーク)でダウンを奪ったとは言え、あつお選手のヤンは体力はまだ7割ある状態。起き上がりに無敵技を出して交わされこく兄選手に反撃されてもラウンドを失う状態では無い安全圏。

 一方、こく兄選手のダッドリーは、体力もミリで弱攻撃ヒットどころか、必殺技を2回ガードしても負ける状況だ。ダッドリーの起き攻めは強力でループ性が高いとは言え打撃技だ。ヤンの無敵暴れとの相性は最悪だ。それにも関わらず、起き攻めを通して逆転を成功させたのだ。

 「3rd Strike」の醍醐味である「洗練された攻略」と「大胆な攻め」が集約されたシーンである。

EX蟷螂斬を当てるユン
足払いを重ねるユン
EXショートスイングブローを出すダッドリー
SAコークから
起き攻めで下段攻撃を重ねる
その後大胆に中段攻撃を出してヒット
SAコークから
起き攻めで下段強攻撃を重ねて空中に浮かし
ダッキングアッパーで追撃する

 もうひとつ動画を見て欲しい。こちらもRound2で配信されたLosersの試合で、ストリートファイターレジェンドプレイヤーであり、有名ストリーマーでもある大貫晋也(以下 オオヌキ)選手とカナダの強豪、Chi-Rithy選手の春麗同キャラ対決である。オオヌキ選手はChi-Rithy選手に1試合を奪われさらに1ラウンド取られ後が無い状態から1ラウンドを取り返した最終ラウンドである。

【オオヌキのブロられ鳳翼】

 オオヌキ選手は、SAゲージが2本ある状態でSA鳳翼扇をヒットさせ先手を取る。起き上がりに裏を取って相手を画面端に投げ、起き攻めを仕掛ける。

 中段攻撃から強キックを出すも、Chi-Rithy選手にガードされ、Chi-Rithy選手はオオヌキ選手の立強キックの膠着に、反撃の中足払いを出したところで、オオヌキ選手に読まれ「ブロッキング」されてしまう。

 この「ブロッキング」を見越してChi-Rithy選手は中足払いをキャンセルして鳳翼扇を出す通称「ブロられ鳳翼」を行いカウンターを試みる。

 オオヌキ選手は、この「ブロられ鳳翼」で発動した鳳翼扇を、さらに中足払いでカウンターを取り、鳳翼扇を決める。オオヌキ選手の強キックから最後の鳳翼扇まで2秒間の出来事で、観戦者には異次元の攻防である。

 現代の3rd Strikeにおけるキャラクター対策は、深いレベルに達していることを実感できる。

オオヌキ選手の強キックをガード後
中足払いで牽制するChi-Rithy選手
それを見越してブロッキングするオオヌキ選手
Chi-Rithy選手が仕込んでおいた「中足ブロられ鳳翼扇」が発動
襲ってくる鳳翼扇を中足払いでカウンターするオオヌキ選手
そのままキャンセル鳳翼扇を行い大ダメージを奪う。この間2秒

 なお、この後、オオヌキ選手はChi-Rithy選手に次の試合を取られ残念ながら敗退が決まった。こく兄選手も次に対戦した、TEAM Laplace所属のプロゲーマーであるMOV選手に負け敗退してしまう。2人の実力をしても本大会を勝ち上がる事は難しく、如何に過酷なトーナメントであるかを感じさせた。

 上記のシーンは本大会のほんの一例だ。数々の名シーンが配信されアーカイブにとして残っている。記事の最後にアーカイブのリンクをまとめたので、まだ視聴されていない方は是非、アーカイブから視聴することをオススメする。

決勝はSHO選手とボス選手の同キャラ対決。EVOJ2024本番まで共に練習し続けたふたりが決勝戦で相まみえる

 最終日のFinalsに残った選手は、Winners「ボス選手」「Ucc(牛!?)選手」「SHO選手」「無敵ゴリラ(力丸)選手」4名、Losers「まいける選手」「やっくん選手」2名の計6名となる。

左から、やっくん、まいける、ボス、牛!?、SHO、力丸 ※敬称略

 その中でGrand Finalに勝ち上がったのは、Winners「SHO選手」とLosers「ボス選手」であった。お互い使用キャラはユンで同キャラ戦。日々ユンの研究に勤しみ対戦を重ねてきた戦友である。

 Winnersを勝ち上がったSHO選手は、Grand Finalまで対戦相手に1セットも取らせない無類の強さを見せていた。対するLosers側を勝ち上がったボス選手は、Winners FinalでSHO選手に敗れており、リベンジマッチとなる。

左:SHO選手、右:ボス選手

 ボス選手は先の対戦では、1セットも取れない完敗を喫していた。このままではSHO選手を崩せないと判断したのか、対戦相手の手癖や行動パターンを重視した「人読み」を重きに置いた戦略を1セット目から多用する。

 初戦の1ラウンド目が決する場面で象徴する動きがあった。SHO選手のユンから体力を奪い、あと一撃で倒せる場面になり、ボス選手が雷撃蹴でSHO選手をガードさせる。お互いが密着状態になった場面で、SHO選手がバックジャンプを行う。ボス選手は雷撃蹴の着地直後に無敵必殺技のEX二翔脚を出してバックジャンプしたSHO選手にヒットさせ、このラウンド奪う。

 ボス選手は、着地直後にEX二翔脚を出しているが、相手の行動を確認せずにEX二翔脚を出しているように見える。SHO選手が打撃と投げに対して両対応である「遅らせ投げ抜け」を選択していれば、ボス選手が負けていた非常に危険な状況だったにも関わらずだ。

ボス選手は雷撃蹴でSHO選手に襲い掛かる。
SHO選手はガード後バックジャンプを行う。
SHO選手は無敵必殺技「EX二翔脚」を出して、SHO選手のユンをKOする。

 ボス選手はその後も果敢に強引な駆け引きを行い、SHO選手を惑わすプレイを続ける。特に印象的だった場面は、二翔脚の連発だ。空振りも恐れない二翔脚の連発で1ラウンドを取ったが、常識では考えられない戦術だ。お互い長年身近で「3rd Strike」をプレイし続けたライバルである。自分をすべて知っている相手に、全力で挑むボス選手の気持ちが全面に現れる試合運びであった。

画面端の起き上がりに二翔脚を出すもガードされる
同様の場面で、もう一度二翔脚を出してSHO選手をダウンさせる。
直後のSHO選手の起き上がりに、二翔脚を重ねてヒットさせる。
さらに中キックを重ねてヒット。※同ラウンド中の出来事

 あらゆる手を使ってSHO選手に襲い掛かるボス選手。対するSHO選手はボス選手の動きの変化に戸惑ったのか、本大会初めて1セットを落としてしまう。その後もこれまでにない劣勢な場面に立たされるも、素早い状況判断で対応し、強力な幻影陣コンボ等の卓越した技術でしのぎ切る。残り2セットもSHO選手が連取し、EVOJ2024年「3rd Strike」部門の覇者となった。

SHO選手の幻影陣が始動
画面端に運んだ相手に虎撲子
攻撃力の高い強パンチ
最後は二翔脚。体力6~7割奪うコンボでボス選手を苦しめる
優勝が決まった瞬間のSHO選手
【「3rd Strike」部門決勝戦】

EVOJ2024覇者SHO選手の次の目標は本家「EVO 2024」優勝。SHO選手とボス選手はEVOJ2024に向けて2人で練習。

 優勝したSHO選手は勝利者インタビューで次のように語った。

SHO選手:応援ありがとうございます。グローバルセンス株式会社のSHOです。ウメハラさんとジャスティンさんの背水の逆転劇から20周年で、サード(3rd Strike)が有名になるきっかけの動画でしたが、まだまだこれからも楽しい試合ができるようになりますので、皆さんも是非サード(3rd Strike)を始めて欲しいなと思ってます。ラスベガス(EVO 2024)もサード(3rd Strike)が今回メインタイトルということで優勝狙いに行くので応援お願いします。

EVO2024で3rd Strike優勝 SHO選手

 決勝で戦ったSHO選手とボス選手は、エントリーから本番までの練習日は、一緒に練習したと語っている。時には2人で6時間を有する練習を行い、本番の決勝戦を迎えた2人は、どんな思いで決勝戦を戦っていたのだろうか。

「3rd Strike」はこれからも進化し続ける。コミュニティーは新規参加者を求めている。

 EVOJ2024のメインタイトルに選出された事で「3rd Strike」は大いに再注目された。「3rd Strike」コミュニティーは、一丸となってEVOJ2024に向けて真剣に取り組み、大会当日に最高のパフォーマンスを観客に届ける事で、「3rd Strike」の魅力を伝える事に成功した。

 「3rd Strike」ストリートファイターシリーズの節目となった作品である。ゲームシステムの完成度、キャラの操作性、音楽、効果音、グラフィック等々、シリーズ最高傑作の1つである事は間違いない。「3rd Strike」から得られるゲーム体験は他のゲームにはない魅力を感じる。

 ゲームコミュニティーも素晴らしい。3rd Strikeプレイヤーの多くは、ゲームセンターに足繁く通い、頻繁にイベントを開催し、新規プレイヤーが参加しやすい環境を維持し続けている。

 「3rd Strike」は、1999年から2024年現在までプレイヤーの力で留まることなく進化し続けているゲームである。今後もメーカーによるアップデートは期待できず、プロも存在しない世界だが、プレイヤーは「3rd Strike」に対する向上心とコミュニティーの存続を目的として活動し続けている。

 「3rd Strike」の世界に初めて触れた方や昔から気になってた方は、これを機会に3rd Strikeを始めてみてはいかがだろうか。コミュニティーは新しい参加者を求めている。

EVOJ2024 3rd Strike 配信先

【Round2
【SemiFinals>
【Finals