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クルマのプロがレースゲームを斬る! ――その1「F1 2017」
「楽しかったですね!「F1 2017」とPS4を貸してくださいよ!」(奥川)
2017年9月26日 12:00
レースゲーム。それはRPGやアクション、格闘ゲームなどと同じく、毎年何本ものゲームが発売されており、とても人気のあるジャンルだ。ゲームが好きでクルマが好き、と言う人なら1度はプレイしたことがあるだろう。かつてはゲーム性の高いレースゲームも存在したが、今では“いかに実車に近づけて作られたか”という、シミュレーター性の高いものが人気となっている。そんなタイトルの中から今回は「F1 2017」を選んで紹介してみたい。
なお今回の企画は、通常のゲームレビューと異なり、いわゆる“自動車界のプロ”にレースゲームをプレイしてもらい、その感想を読者の皆さんに届けるもの。実際のクルマに数多く触れてきた人たちにとって、レースゲームはどのように映るのか。そのあたりのインプレッションを中心にお届けする。
第1回目のコメンテーターは奥川浩彦さん。企業の広報代理業を営む会社のCEOでありながら、数多くのカーレースに出向き、写真を撮影。仕事柄、そのスジでは知らない人はいないという存在だ。
【プロフィール】
奥川浩彦
元メルコ(現バッファロー)の広報として、インプレスに限らず、PC関連の媒体では知らない人はいないという存在。2006年に独立して起業。今はアイピーアールという広報代理店を営む傍ら、趣味が高じて仕事になったカーレースの写真撮影に、ライティングに活躍中。Car Watchにも寄稿している。F1日本GPの公式サイトで連載を掲載中。
マシンやコースの再現度はバッチリ
まずは「タイムトライアル」モードでテスト走行をすることに。往年の名車から現代の車種までそろっていることにまず驚く奥川さん。「やっぱり日本人として記憶に新しいのは『マクラーレンMP4/4』とか『MP4/6』ですかね」。
今回走行してもらうサーキットは、オーストラリアグランプリの舞台となる「アルバート・パーク・サーキット」。息子さんがオーストラリアを訪ねた際、歩いてきたそうだ。「ここはテレビでしか見たことがないけど、コースの再現度はばっちりですね」と驚いていた。
「コースは覚えている」という奥川さんは、確かに初見とは思えないほどスムーズな走りを見せる。「最近のゲームはリアルだから、ゲームやシミュレーターでコースを覚えて本番に臨むプロレーサーも多いんです」。覚えているから走れる、のではなく、走るために覚えるのが現代のモータースポーツだという。
ある程度マシンの感覚も理解できたところで、ほかのF1マシンと一緒に走ってもらうことに。腕試しの舞台は「チャンピオンシップ」モードの「2017フォーミュラ1 公式チャンピオンシップ」。実際のグランプリと同じく、オーストラリアGPから始まってアブダビGPで終わるという、全20戦を戦っていくモードだ。それぞれのラウンドもフリー走行、予選、決勝と選んで進むことができる。
それぞれ、マシンはフェラーリ。ドライバーはキミ・ライコネンを選んでみた。「1コーナーにマシンがごちゃつくところは結構リアルですね」と奥川さん。「邪魔されてマシンにぶつけられると、手を上げて怒るんですね」。
ただゲーマーでは無い人にとっては、DUALSHOCK4での操作は「G29」などのハンドルコントローラーと比べると少しプレイしにくいのも事実。あっという間に抜き去られてしまった。「しょうがないからちょっと待って周回遅れにしてみますか……あ、来た」。追い抜いたマシンについていく。すると青旗(※)を振っているコースマーシャルが……。「これまたリアルですね。ペナルティを受けたりして(笑)」。
※後方からスピードの速いマシンが迫っていることを知らせるために振られる。青旗を出されたマシンは走行ラインをあけなければならない
それにしてもCPUのマシンは速い。追い抜こうとベタ踏み状態で走らせるが、コーナーでライン取りに失敗してスピン。壁にぶつかって前輪が壊れてしまい、あえなくリタイアに。「この壊れ方もかなり本物に近いですよね。ライコネンもリタイアした雰囲気で去って行くところがいいですね」
いったん小休止。収録されているマシンとサーキットを眺めることにする。「さっきも話しましたけど、思い出のマシンと言えば『MP4/4』と『FW14B』ですね。サーキットだと鈴鹿は外せませんね。海外のサーキットで印象に残っているのは、やっぱり行ったことのあるモナコかな。モナコはあとで絶対にプレイしてみたい。あとマレーシアもいいですね」
ちなみにコース選択中、「日本ショート」というサーキットが収録されていることに気づき「東コースだけかな? マニアですね(笑)」と述べ、周囲を驚かせた。
ということで、鈴鹿サーキットをフリー走行することに。マシンはMP4/4だ。「いやーこの頃はハンドルがシンプルですね」
もちろん毎年取材に行っているコースなので、隅から隅まで把握しているという。「まだ開催されていないから仕方ないですけど、今シーズンから1コーナーの仮設スタンドがなくなるんですよね。立体交差の左手前が木になってますけど、金網なんですよね」と、鋭い指摘も。
また「F1 2017」では、コースだけでなく天候や時間を変えられる。「ナイトレースができるサーキットだと、夜が選べるんですね。シンガポールとかアブダビとか。鈴鹿は照明設備がないから夜は選べないんですね」
まずは天候を変えてプレイする。雨のマレーシア「セパン・インターナショナル・サーキット」でのプレイだ。マシンはFW14Bを選択した。
「さすがに雨だと視界が悪くて運転しづらいですね。タイヤも滑るし」。リアルな作りになっている実感だ。ラインに乗って走らないと、外れた瞬間に雨がタイヤに乗ってしまい、滑る。「何となくマシンがずんぐりむっくりに見えますね。時代かな」
「マレーシアには撮影にも行っているので、ちゃんと再現されているのがわかりますね。余談ですがセパン・インターナショナル・サーキットって、プレスに原付を貸してくれるんですよ。ノーヘルでそれに乗って各コーナーを回って撮影しました」
さて夜のコースである。アブダビの「ヤス・マリーナ・サーキット」を走ることに。今回は、フェラーリのF2002を選択した。
「ちゃんと暗いサーキットが再現されていますね」。空が暗い中、コースを照らす照明とマシンの質感、建物の明かりなどがとても美しい。コースが下をくぐる「ヤス・ホテル」も本物同様、紫にライトアップされている。「コースの再現度もほぼ完璧!」と興奮気味だった。
最後はモナコへ。天候は「夕暮れ」にした。「リアルではないけどね(笑)」。マシンはどうするかと考えたが「ここはやっぱりMP4/6ですね。黄金期のマシンで走りたい」。
「ここまでいくつかマシンを操縦したけど、それぞれ異なるエンジン音もちゃんと再現されてますよね。とてもマクラーレンっぽい音が出ている」と、音の再現度も納得していた。
さすがに好きなコースだけあってチェックも細かくなる。「路面の起伏感も再現されてますね。カジノからミラボーは左側がちょっと盛り上がっているんだけど、それを外すようにライン取りがされているのも優秀」、「あそこに新しくできたホテルがちゃんと作られてる!」、「モナコグランプリ75周年のエンブレムも貼られていますね。へぇ~」などなど。そのあたりは、奥川さんならではの視点だ。
プレイを終えた感想としては「楽しかったですね!」と一言。「2000年の頃には時間があったので『Grand Prix 3』を結構やりこみました。とてもリアルにできていて、いったん遅れるとラップごとにタイムを刻んで取り戻さなければいけない。スピンなんてしたらやり直しでしたね。その当時を思い出しました。ひさびさにプレイすると、遊んでみたい誘惑に駆られる(笑)」。
ただ残念なこともあるそうで、それは「タバコの宣伝がないこと」。今では規制も厳しくなっているので、タバコメーカーの広告は外されてしまうのが残念だと語る。しかし、総じて再現度の高い作りには「大満足」と奥川さん。帰り際に「プレイステーション 4 貸してくださいよ(笑)」とねだっていた。
ファンにオススメの「とてもリアル」なF1シミュレーター
プレイ中のコメントとして印象に残ったのが「とてもリアルだね」という言葉。今どきのレースゲームでは、マシンのスペックも向上しているので、まさにシミュレーターというクオリティまでに進化しているのはご存じの通り。F1ファンであれば、きっと満足するに違いない1作。ぜひプレイしてみてほしいものだ。
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