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学生有志の「ゲームをみんなで楽しむ」心が生んだe-sports大会開催!

決勝は大接戦! PS4「コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア」学生大会

8月25日 開催

会場:e-sports SQUARE

 大学生有志による団体「学生FPS部」は、プレイステーション 4用FPS「コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア」を使用した大会「第3回Call of Duty Undergraduate Championship」のオフライン決勝大会を8月25日に開催した。

 「第3回Call of Duty Undergraduate Championship」は、「コール オブ デューティ」シリーズを使用した大会で、「学生FPS部」が主体となり大会ルールの策定からイベントの実施まで行なっている。同作の日本のパブリッシャーをつとめるソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア(SIEJA)が大会運営に協力しているが、大会そのものは完全に学生の手によって行なわれている。

 今年の大会では、5月4日から参加募集が開始となり2度のオンライン大会を経て、決勝に駒を進めた8チームが、会場となった秋葉原のe-sports SQUAREにおいて激突した。大会は機材トラブルに見舞われ30分ほど推してしまうものの、10時30分過ぎに開幕した開会式では各チーム代表者による意気込みを聞き、そのまま試合に入った。

 学生によるイベント運営ということで、裏方さんを務めるのが学生であることはもちろんのこと、要所でステージ進行を担当した司会者も、試合を盛り上げた実況中継者と解説者もすべて学生だ。特にこの日1日を通じて試合を盛り上げ続けた実況担当のコバトンさんとセザットさんは今回のイベントの陰の功労者かもしれない。

 この日の試合は準々決勝からスタート。準決勝、決勝と順次行なわれた。

開会式の様子
実況と解説を担当したお2人。一日中盛り上げ続けた
ステージ上でインタビューなどを行なった司会者ももちろん学生
「Hard Point」のルール
「Uplink」のルール
「S&D」のルール。試合前にはルール解説と、ポイントをわかりやすく解説するなどの工夫も行なわれていた
「第3回Call of Duty Undergraduate Championship」の決勝大会のトーナメント表

決勝はドラマチックな展開に! 「787B vs iTem eSports」

 決勝戦は、解説陣をして「勢いがスゴイ」と評されたチーム「787B」と、チームの結束力も高く安定した試合展開をみせる「iTem eSports」とが対決することに。準決勝までは3回戦う中で先に2試合先取した方が勝ちとなるBO3だったが、決勝では5試合中先に3試合先取した方が勝ちとなるBO5を採用。正式ルールを採用することで、より本格的な戦いとなった。

 決勝の第1試合のルールは「Hard Point」で、マップは「THROWBACK」。試合展開は決勝までの勢いそのまま787Bが要所要所で撃ち勝つ展開となり、終始押し気味に。特にMr.ZERU選手がこの日、好調をキープしキル数を稼ぎiTem eSportsを圧倒。最終的には250対125という結果となった。メンバーのミスをカバーをしっかりと行なうのはもちろん、逆に敵チームにはカバーさせずに試合の流れを変えさせることなく押し切ったのが凄かった。また、試合中は常に声を掛け合い、チームワーク面でも優れていた。

 第2試合のルールは「Uplink」で、マップは「PRECINCT」。実はiTem eSportsはこのUplinkを得意としており、解説陣によると「iTem eSportsがUplinkで負けたのを見たことがない。iTem eSportsのUplinkはヤバい!」と言いきるほど。

 その言葉通りの展開で、試合開始早々30秒でiTem eSportsが1点先取し、すぐに2点を追加。手堅い攻めで先行し、優位性を際立たせた。ところがここで787Bが逆襲。ボールを持ったままゴールに飛び込むことで2点一気に取り返すと、すぐさま1点を取り同点に持ち込む。ここで、iTem eSportsは1点取り返し3対4とリードしたままで前半を折り返した。

 しかし後半になると様相が一変。第1試合同様に、787Bが撃ち勝つ場面が見られ、5対4と逆転すると一方的な展開となり、最終的には11対6で787Bの圧勝で幕を閉じる。iTem eSportsのセオリーとも言える戦い方をさせなかった787Bの戦い方が光った。解説陣をして「iTem eSportsがUplinkで負けるのを初めて見た……」と口にしたほどだ。

 もうあとがないiTem eSports。だが、得意の「Uplink」での試合を落としたこともあり、意気消沈気味。第3試合のSEARCH & DESTROYでも4ラウンドを失い、もう敗戦が濃厚になった。ところがここでジャンプからの射撃でキルを決めるというスーパープレイが見られ、iTem eSportsのメンバーも思わずハイタッチが飛び出すほど。ここで、iTem eSportsが自信を取り戻し試合の流れが明らかに変った。4対1と押し込まれていたが、1ラウンドずつ取り戻し、遂に逆転。787Bもここで意地を見せ5対5の同点に持ち込むも、iTem eSportsの勢いは変らず5対6でiTem eSportsが一矢報いる結果となる。

メンバーのスーパープレイに、iTem eSportsチームでは皆でハイタッチ

 1試合取り替えしたとはいえ、危機的な状況であることに変らないiTem eSports。第4試合は「HardPoint」で、マップは「SCORCH」。先制したのは787Bだったが、iTem eSportsもダブルキルなどで激しい攻めをみせアッという間に逆転。その後は堅い守りをみせ、787BのmysteryScorpion選手から猛攻を受けることもあったが、1歩も引かない。最終的に守り切り、189対250で遂にタイにまで持ち込んだ。一方あれだけ声出しを行ない盛り上がっていた787Bは、会話も減っていく状況に。前半とは完全に立場が逆転した。

 2試合ずつ取り、遂に最終戦にまでもつれ込むという誰も想像しなかった激しい展開になった決勝戦。最後に笑うのは787Bなのか? iTem eSportsなのか? はたしてどちらなのか?

 ラストはルールが「SEARCH & DESTROY」でマップは「CRUSHER」。First Bloodは勢いを取り戻したiTem eSports。そのまま先行するも787Bもここで持ち直し、着実に点を重ねていく。ここでもmysteryScorpion選手が的確なカバーを行ない5対2と遂に王手を掛ける。iTem eSports側も1点返すも、787Bが最後のセットを取り、「第3回Call of Duty Undergraduate Championship」の優勝を勝ち取った。

 勝ち取った瞬間787Bの選手は立上がり抱き合ったりハイタッチなどでその幸せを分かち合った。また両チーム共に誰ともなく握手を求め合い、お互いの戦いをたたえ合った。

逆に押し込まれた787Bだったが、最後の踏ん張りで流れを引き戻した瞬間、787B側もメンバー間でハイタッチ
787B優勝の瞬間! 皆で抱き合って喜び合うメンバー
そしてすべての戦いのあとには対戦者同士、笑顔で握手するさわやかな場面も
studentfpsclubのライブビデオをwww.twitch.tvから視聴する

ゲームを楽しむ心が大会を続けさせる!

 冒頭の挨拶を初め、終了後に出場者にお話を伺った時も、話題として出たのは「『コール オブ デューティ』のオフライン大会は貴重」ということ。ゲームの大会は、競技人口に左右され、同じシリーズでもヒットする作品とヒットしない作品ではユーザー数が極端に違うこともあり、実際のスポーツなどとは違い、その年ごとに競技人口が変ることが多い。実際、今年の大会への応募者数は昨年の1/2にとどまっているという。

 しかしそれでもゲームを楽しみたいというユーザーはいるわけで、「学生FPS部」としてはゲームを共に楽しめる“場所”を作り続けていきたいとしている。代表を務める三橋裕也さんは「機材トラブルでぐだぐだなままスタートした。スタッフへの指示出しも良くないところがあった」と反省しきりだったが、出場者達が口を揃えて「こういった大会の場を作ってくれたことに本当に感謝したい」とコメントしていたことが何よりの答えだろう。

 やりたいという気持ちはあっても実現は難しい。その行動力には脱帽するばかりだが、その一歩を踏み出すのはさらに難しい。だが、ゲームが好きという気持ちを持つ人たちは多い。その横の繋がりを活かせば、こういったことが実現できるわけだ。

 またSIEJAは表だっては動いていないが、その大会運営のアドバイスなども含めて協力体制を敷いている。メーカー側もただセールスのためだけでなく、ユーザー側にたって手をさしのべることでゲームを長く楽しんで貰えるのであれば、それに勝ることは無いだろう。

 三橋さんは来年もまた代表として大会運営を行なうか(そもそも大会を開催するかも含め)考えていないと言うが、ぜひともこの流れを止めないで、皆でゲームを楽しむ“場”の創設を続けて欲しいところだ。

優勝した787B。モットーは「楽しむこと! そこに勝利はついてくる!」。その言葉通り優勝を勝ち取った。オフライン大会とオンラインでの戦いとの違いについて、やはり会場で観客を前にしての戦いは、試合の流れが大切とのこと。決勝で追い込まれた時も、ゲームを楽しんでいつものことを出し切れたのが良かったという