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中国オリジナルのPlayStation VRタイトルをさっそく体験してきた

豊富なゲームジャンルで、VRならでは、中国ならではの魅力がたっぷり!

7月27~30日開催

会場:Shanghai New International Expo Center

 中国最大規模のゲームショウChinaJoyが7月27日開幕した。ソニー・インタラクティブエンタテインメント上海(SIE上海)は、昨年より少し小ぶりのブースに、29台のPS4、13台のPlayStation VRを展開し、計62タイトルをプレイアブル出展していた。本稿では、昨日のプレスカンファレンスで話題を集めていた中国オリジナルのPS VRタイトルについて、体験レポートも交えながらご紹介したい。

SIE上海のPS VR体験コーナー。2階建てになっている
「MONSTER OF THE DEEP: FINAL FANTASY XV」をはじめ29タイトルのVRコンテンツを体験することができた
メディアセッションでは各タイトルのクリエイターが参加した

 今年、いかにSIE上海が中国オリジナルのPS VRタイトルを重視していたかを雄弁に物語るエピソードとして、ChinaJoy初日に海外メディア向けのブリーフィングが開かれたことが挙げられる。これまでは海外から中国という流ればかりだったが、中国展開開始から3年が経過し、ようやく中国から海外へという新たな流れが、しかもPS VRから生み出されようとしているわけだ。

 海外メディア向けのブリーフィングで紹介されたのは、SIE上海イチオシの「Legion Commander」、「KILL X」、「The Walker」、「Stifield」の4タイトル。それぞれクリエイターが出席し、ゲームの紹介が行なわれた。いずれも発売時期、価格、展開地域は未定ということだが、ゲームは「Stifield」を除いていずれも試遊可能な状態にあり、今年から来年に掛けて次々に発売されるという手応えを持った。

 「Legion Commander」は、「ハースストーン」に代表されるカードゲームを、リアルな3Dグラフィックスで描き、しかもコマンダー視点からVRで楽しめるようにしたゲームだ。世界観はオーソドックスなファンタジー世界で、オーク、ヒューマン、エルフ、3つの種族に計9人のコマンダーがいて、それぞれ固有のスキルを持つ。3つの種族それぞれが、固有のユニット/スキルを持ち、プレーヤーはその中から6つずつ選んでデッキを構築し、敵と戦うことになる。

 実際にプレイしてみて驚いたのは、カードゲーム世界の主人公になったかのような臨場感でゲームプレイが楽しめることだ。元帥杖のようなバトンをPlayStation Moveで操作し、ユニットカードやスキルカードを選ぶと、即座にその効果が3Dグラフィックスで表現される。ユニットカードなら戦場にユニットが出現し、奥の敵陣に向けて侵攻を開始し、スキルカードなら、ドラゴンが炎を吐いたり、戦場を凍らせたり。しかもそれが目の前で行なわれるため、迫力たっぷりだ。

 プレイする前は、カードを読むには解像度が足りない気もしていたが、カードにはイラスト、名前、コストしか書かれておらず、その心配は無用だった。ゲームは、今回体験したPS VRに加えて、PS4単体でのプレイにも対応しており、PS VRを持っていなくても遊べる。VRバージョンについては、画面そのものはまったく動かないため、VR酔いがまったく発生しないのも好印象を持った。

 ゲームモードは、対AI戦に加えて、オンラインマルチプレイにも対応するということで、ラダーによるランキングもサポートするという。また、ゲーム映像を簡単にシェアする機能も用意されており、なかなかよく考えられていると感じた。

【Legion Commander】
ゲームエンジンにはUnityを採用している
基本的な世界観はオーソドックスなファンタジー
デッキはユニット6、スキル6とかなりシンプル
操作はカードを選んで置くだけのシンプルさ
ラダーによるランキング
ペットコレクション要素もある
シェア機能も用意

 「KILL X」はホラー要素の強いアクションシューターだ。両手にPlayStation Moveを持ち、片方に懐中電灯、片方に武器を手に、異形の魔物がいるダンジョンを奥へ奥へと進んでいく。

 ゲームの雰囲気は、まさにホラーゲームで、絶えず音でプレーヤーを脅かし続ける。VR酔いを避けるために、ボタンで90度ずつ向きを変えるシステムを採用しているため、アクション性はそれほど高くないが、その分、電源を付けたり、モンスターを倒すための武器を揃えたりなどの謎解きの要素もあり、じっくりたっぷり恐怖体験が味わえる。

 まだβ版のためか、操作性に難を感じたが、VRによる本格的なゲーム体験を求めているVRファンには待望のゲームになるだろう。また、こちらもPS4単体でのプレイに対応するとしている。

【KILL X】
現代を舞台にしたアクションシューター
主人公のGULU
サポートキャラクターのCookiePi
様々な武器
モンスターたち
今回体験したクリフステージのイメージ

【「KILL X」スクリーンショット】

Renyi Technology CEOのWilliam Chen氏

 「The Walker」は、今回もっとも強く印象に残ったタイトルだ。William Chen氏。Chen氏は、旧スクウェアを皮切りに、Activision、Disney Interactive、Tencent、Shandaなどで様々なゲームを手がけてきた人物で、そのChen氏が設立したRenyi Technologyが開発している最初のタイトルとなる。

 「The Walker」の何が印象に残ったかというと、何と言っても世界観が良い。上海のレトロ感のある下町が舞台になっており、そこに中国古代の妖怪、いわゆるキョンシーが出現し、プレーヤーはキョンシーハンターとなって、銃や剣、それから道教のお札を手に戦いに挑むことになる。

 実際のゲームは、自分は特定の位置から動かず、360度至る所から攻めてくる敵を撃退していく「Arizona Sunshine」スタイルのガンシューティングゲームになっている。銃とお札が遠距離攻撃、剣が近接攻撃になっていて、上手く切り替えながら攻撃を凌いでいく。今回の体験では、説明してくれるスタッフがいなかったため、敵の攻撃を回避する方法や、リロードの仕方などがわからなかったが、手応えはかなり良かった。

 リリース後は、DLCでオンラインプレイのサポートも検討しているということで、日本展開も視野に入れているということだった。まさに中国ならではのVRタイトルとして、日本展開を強く期待したいタイトルだ。

【「The Walker」トレーラー】

【The Walker】
William Chen氏の経歴
Renyi Technologyのデビュー作が「The Walker」となる
中国古代の妖怪が現代に蘇る
「The Walker」のセールスポイント
銃と呪文を組み合わせて、巨大な妖怪に立ち向かう
将来的にはマルチプレイもサポートする

 最後の「STIFLED」は、シンガポールで開発されているアドベンチャーゲーム。真っ暗な画面に線のみで描かれた世界を舞台に、音を頼りに進んでいくアドベンチャーゲームになっている。このタイトルのみ体験できなかったため、インプレッションはお届けできないのだが、トレーラーでは、クリエイターのセンスが光るビジュアルデザイン、サウンドエフェクトで、VRゲームに一石を投じる作品となりそうだ。

【Stifled - Microphone Demo Trailer】