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Intel、WiGigを使用したVRワイヤレスアダプターを開発中!
画質・遅延とも完璧。HMDメーカー等へのライセンシングを進める模様
2017年6月17日 15:03
今年は「PC Gaming Show」へのスポンサードも行ない、ゲーマーへのアプローチを強めているIntel。北米の大手e-SportsリーグであるESLとの提携で実施しているIntel Extreme Mastersチャンピオンシップでは今年VR部門も開設するなど、ハイエンドゲーミング+VRを軸にしたPCゲーミング支援策を積極的に推し進めている。
今回、IntelのVR部門ジェネラルマネージャーを勤めるFrank Soqui氏への取材を通じて、Intelが現在開発中のVRヘッドセット用ワイヤレスアダプターを目撃。実際に使用したところ、完璧に理想的な性能を実現していた。そのあたりを中心にレポートをお届けしたい。
Intel入ってる!? 高性能VRワイヤレスアダプター「DisplayLink XR」
取材のためIntelのミーティングルームを訪れると、まず目に飛び込んできたのが、HTC Viveに直付けされたワイヤレスアダプターだった。これは「DisplayLink XR」という製品のプロトタイプで、米DisplayLinkとIntelが共同開発中のものだ。
このデバイスは60GHz帯を使う無線通信規格WiGigのレシーバーとバッテリー、信号処理チップからなるVRヘッドセット用のワイヤレスアダプター。PCでレンダリングされたVR映像を、ほぼ遅延や損失なくHMDに伝送する能力を持つ。
Intelではこのデバイスの機能のうち無線技術の実装を担当しているという。担当エンジニアによると、無線処理による追加の遅延は7ms以下であるとのこと。HTC Viveの場合、ユーザー操作→表示までの、いわゆるInput-to-Photon遅延はスペックシート上で22msを謳っているので、本製品を使用するとそれに+7ms、すなわちトータルの遅延は最大で29msということになる。
実際に使用してみたところ、その品質に驚いた。VR関連製品ではよくスペックシートと実際の感覚の間に大きな差があることも珍しくないが、この製品は別だ。応答性、画質とも、有線接続との違いが全くわからない品質が実現されていた。フレームレートも完璧に90Hz固定である。重箱の角をつつきたくても、隅々まで完璧だった。
それにしてもなぜIntelがこういったデバイスの開発に関わっているのかというと、もともとIntelはCPU製品だけでなくネットワークインターフェイスチップ(NIC)の開発製造でも業界最大手であり、次世代の高速WiFiであるWiGigや、無線を通じたディスプレイ信号伝送技術でも常に先行してきた。例えば、現在Windows 8.1/10やAndroidで標準搭載されている無線ディスプレイ機能「Miracast」は、IntelのWiDi 3.5をベースとして標準化された。本製品はそれらのノウハウをVR向けに応用・最適化したものということになる。
コンシューマー向け製品として発売されるのが非常に楽しみな「DisplayLink XR」だが、この形で直接販売されることはないという。
本製品の開発をメインで担当するDisplayLinkもE3内でブースを出しており、マーケティングエンジニアのJames Hirst氏に話を聞いた。そこで、同社はいわゆるテクノロジーベンダーであり、製品を直接消費者に販売するのではなく、開発した技術パッケージを各消費者向けのハードウェアベンダーにライセンスすることが主業務だという。
現在すでに複数の企業と製品化に向けた話し合いを進めているというが、具体的な社名は「まだ秘密」ということだった。ただ、最速であれば、市場投入は2017年末までに行なわれるであろうとも話していた。それから価格については、各ベンダーのポリシーによるため、それらの発表を待って欲しいとのことだ。
というわけで市場投入が楽しみな「DisplayLink XR」。現在のところ明確な弱点といえるのは、そのデカさと重さである。手で持った感触としては500g以上はあり、HTC Viveと合わせると1kg程度になる。また、デバイス自体がけっこうな熱を発生するため、後頭部がほんのり暖められるオプション付き。性能面では文句なしなので、製品化に向けてはこのあたりの物理的なデザインの改善が主要な課題になりそうだ。
いちばんの解決策は、はじめからHMDにビルトインすることだろう。そすればガワや配線やチップや基盤や冷却系統を共有でき、遥かに小型化・軽量化ができる。これはHMDメーカーには魅力的なアイディアのはずで、本家のHTCが本技術を新バージョンのViveに投入する可能性も考えられるし、同様の技術がOculusにライセンスされる可能性もある。いまはまだ何とも言えないが、とにかく、VRを次世代に進めるために必須の部分に、大変有望な技術が出てきたことは間違いない。






























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