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PS4&スマホによる新たなエンターテインメント「PlayLink」体験レポート
スマホUIをベースに多彩なアイデアを盛り込んだ、UK発らしい愉快なパーティーゲーム
2017年6月16日 16:52
E3 2017では、Sony Interactive Entertainment America(SIEA)ブースの隣に、Sony Interactive Entertainment Europe(SIEE)のブースが設置されていた。昨年まではMicrosoftがブースを置いていた場所で、そこに半分のスペースを割いて出展していたのが、SIEE主導で開発が進められている新サービス「PlayLink」だ。
「PlayLink」は、SIEのプレスカンファレンスでも特に情報はなく、事前告知もなく、完全にサプライズ出展だった。SIEEといえば、過去にカラオケゲーム「Singstar」や、カメラを使って遊ぶエンターテインメント「EyeToy」、オンライン上のバーチャルコミュニティ空間「PlayStation Home」など、数々の野心的なコンテンツの生みだし手として知られる。この「PlayLink」も、SIEEを中心に、UKのデベロッパーと協力してすでに複数のローンチタイトルを完成させている。
欧米でのサービス開始は7月4日を予定し、PlayStation Plusユーザーにローンチタイトルとなる「THAT'S YOU」を無料で提供するという、気軽に導入しやすいビジネスモデルを採用している。残念ながら日本でのサービスについては未定となっているが、日本展開にも期待したいところだ。それでは以下、「PlayLink」のサービス概要と、公開された各コンテンツについて紹介したい。
「PlayLink」とは、PS4と、スマートフォン(iOS/Android)を組み合わせて、4~6人で楽しむパーティーゲームのプラットフォーム。PS4とスマートフォンに、それぞれ対象のアプリケーションをインストールし、アプリを起動させた状態で、PS4にスマートフォンを繋いでプレイする。スマートフォンをゲームコントローラー代わりに使うだけではない、というところがPlayLinkの最大の特徴だ。
参加者の自写像をネタに楽しむクイズゲーム「THAT'S YOU」
ローンチタイトルとなる「THAT'S YOU」は、まず最初にスマホで自分を撮影し、その自写像をテーマにした問題に挑むクイズゲーム。といって問題の内容は、「この中でもっとも○○しそうだと思う人は誰か?」という答えのないもので、最も多い回答を選んだ人全員に得点が与えられる。あるいは、写真に手を加えて、誰の写真がベストかを投票させるものや、特定の写真と一番似ている写真(といいつつ、基本的に似ていない写真ばかり)を選ばせたり、様々なバリエーションが用意されている。
スマホを使った単純な投票、選択に加えて、写真撮影や、写真の加工など、スマートフォンが本来持つ機能を活かしているところが大きな特徴で、1度遊ぶとノリがわかってくるが、本来はハチャメチャな写真を撮った上で、その上でジャンジャン突っ込みを入れながら楽しむパーティーゲームだ。このイギリス的なノリは、ちょっと日本人の感覚からすると若干の距離があるが、まさにパーティーの場で楽しみたいゲームだ。
ゲームの外にも隠された謎がある!? 「Hidden Agenda」
今回プレイした中では、もっともリッチなゲーム体験ができて、個人的にも強い印象に残ったのが「Hidden Agenda」だ。ゲームとしての基本的な建て付けは、「Until Dawn」のように、映画を見ているような感覚で、ときおり挿入されるQTE(Quick Time Event)でイベントを突破していくタイプのアドベンチャーゲームだ。
「Hidden Agenda」は、このQTEを、参加者全員で選ぶようになっており、判断の基準は多数決だったり、全員で意思を統一しなければならないものもあったり、参加者同士での話し合いが前提になっている。選択にあたって制限時間などはないため、ゆっくり選ぶことができるが、この選んだ選択によってその後の物語がドラマティックに変化していく。
今回プレイしたのは、白人女性警官と黒人男性警官が犯罪現場に乗り込み、容疑者の抵抗を上手に凌ぎながら、人質を救うというショートストーリーと、女性検事となって被疑者から情報を引き出すというショートストーリーの2つ。
このゲームでは、スマートフォンを操作して、画面内の自分のポインタを動かすようになっており、何かを選択する場合は、ポインタをボックスまで動かしたり、証拠を見つけるためにポインタを動かして部屋を捜索したり、なかなか慌ただしい。デモは短い時間で、ゆっくり考えたり、参加者で話し合ったりするゆとりがなかったため、結果としてはパートナーの黒人男性警官は殺されてしまい、被疑者からも情報が引き出せなかった。-ティーゲームとアドベンチャーゲームは、一見噛み合わせがあまり良くない印象も受けるが、お酒を手に、ディスカッションしながらゆっくり進めていくと、また違った感想になると思う。
そして「Hidden Agenda」のおもしろいところは、単に複数人でアドベンチャーゲームが楽しめるだけのゲームではないところだ。ストーリーが始まる際に1人だけ、タイトルの由来にもなっている“隠された課題”が与えられる。その課題は、ストーリーの方向性をあらかじめ指示する内容で、物語の最後に、誰が指示を受け取り、自分の意思ではなく与えられた指示に従っている人物なのかを当てるのだ。これがおもしろい。「『PalyLink』おもしろいかもしれない」と思った瞬間だった。
スマホを傾けて直接対決に挑むアクションゲーム 「FRANTICS」
「FRANTICS」はパーティーゲームの定番中の定番、参加者全員でバトルロイヤルにチャレンジするというミニゲーム集。まず最初に写真を撮ると、それに似た(全然似てないように思うが……)動物が選択される。その動物を操作してバトルに挑む。
今回体験できたミニゲームは、どんどんフィールドが割れて狭くなる氷のフィールドを舞台に、どつきあって最後まで生き残った参加者が勝利というものと、上空から落下し、途中でアイテムを拾ったり、障害物を避けたりしながら、最初に着地した参加者が勝利、というもの。
いずれもスマホを傾けて操作し、あとはタイミングに合わせてスマホの画面内のボタンを押すことでキャラクターがジャンプをしたり、パラシュートを開いたりなど、極めてシンプルなインターフェイスとなっている。アイテムを使うギミックや、ゲーム内のキャラクターからスマートフォンに電話が掛かってくるギミックなどもあり、子供同士で遊ぶと異様に盛り上がりそうなパーティーゲームだと思った。
UKらしいマニアックさに溢れたクイズゲーム「KNOWLEDGE is POWER」
「KNOWLEDGE is POWER」は、オーソドックスなクイズゲームだ。個性的なキャラクターから1つを選んで、自写像を撮ってそれにあてこみオリジナルキャラクターを作成する。その後は、多数決でカテゴリーを選び、あとはクイズに答えるだけ。
カテゴリーは、マンガ、アニメ、ゲーム、ホラー、90年代TVなど様々あったが、今回はデモ仕様のためか、出題数はそんなに多くなく、3問ほどで終わった。途中でいわゆるお邪魔アイテムを使えるタイミングがあり、1位の参加者が総攻撃を食らっていた。2位あたりにつけて、最終問題で一気に抜き出るという戦法が有効そうだ。
「KNOWLEDGE is POWER」は、正直な所、クイズの内容がマニアックすぎて全然よくわからず、あまり楽しめなかった。日本で展開するためには、質問そのものを入れ替えるようなカルチャライズが必須そうで、日本展開には時間が掛かりそうな印象を受けた。
あの「Singstar」がスマホでみんなで楽しめる「Singstar Celebration」
こちらはプレイアブル出展はされておらず、情報のみとなるが、SIEEの代表作であるカラオケゲーム「Singstar」が、PlayLinkにも登場する。通常のマイクのみならず、スマートフォンのマイクを使って、最大8人で歌えるというものになるようだ。
パーティー好きのUKらしいエンターテインメントプラットフォームと言える「PlayLink」。プレイステーションの新しい可能性の提案として歓迎したいところだ。