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今度の「NFS」はハリウッドスタイル+いいとこどりの権化!

「Need for Speed Payback」ファーストインプレッション

6月12日~14日開催

会場:Los Angeles Convention Center

EA Play会場の「NFS」コーナー。定番シリーズだけあって人気も高い

 「E3 2017」の開幕に先立ち、Electronic Artsのファン向けイベント「EA Play 2017」がハリウッドで現地時間6月10日より開催されている。このイベントでは「Battlefield 1」や「Titanfall 2」といった既存タイトルの最新DLCに加え、年内に発売される新作タイトルも複数プレイアブル展示されていた。

 シリーズ物の中でも、前作から大幅に毛色が変わったというのが「Need for Speed Payback」である。カーレースゲームの定番として長い寿命を誇る「NFS」シリーズは、2015年版「Need for Speed」でプレイステーション 4/Xbox One/Windows PC向けにリブートしたばかり。「Need for Speed Payback」はそれに続く今世代のハイエンド機向け2作目となるが、ゲーム内容は全く方向性を変えたものになったようだ。

【Need for Speed Payback 公式ゲームプレイトレーラー】

毎年趣向が変わる「NFS」。今年はこれだ!

ドカーンと登場。派手なシーンまみれの今作は会場のメインスクリーンを占領していた
バックストーリーや人物描写に力が入るのも旧EA BlackBox作品の特徴

 ムービーをご覧いただいても一目瞭然だが、シリーズのファンが一発でわかるように言うと、今作「Payback」は、2011年の「Need for Speed: Run」の直系子孫である。アクションレーシングを基本に、いわゆるハリウッドスタイルのど派手な演出とストーリーに沿い、ただひたすらカーアクションのおいしいところを味わっていくゲームだ。

 そもそも「NFS」というのはいわば悪食なシリーズで、年ごとに大きく趣向を変えてきた。シリーズの制作を複数のスタジオが隔年で持ち回り、それぞれの特徴を出してきたためだ。

 近年のパターンとなっていたのは旧EA Black Boxが製作するストーリー演出重視の「NFS」と、Criterion Gamesが開発するオープンワールド&対人戦重視の「NFS」という2系統。2011年まではこれに加えてSlightly Mad Studiosが担当するシム寄りの「NFS」というのもあったが、現在は離脱して「Project Cars」シリーズを展開中。このため近年では1作ごとにEA Black BoxとCriterionの色が交互に出てくる形となっていた。

 さて、今作の開発を担当したのはEA傘下のGhost Games。2013年から本作シリーズの開発を継続しているスタジオで、その中身は旧EA Black Boxを母体に、Criterion GamesのNFS開発チームと、「Forza Horizon」シリーズのデベロッパーとして知られるPlayground Gamesの一部が合体したというものである。

 というわけで開発元は前作「Need for Speed (2015)」と同じでありながら、やっぱり毎作趣向が変わるというスタイルは継続中。前作はCriterion的なゲームだったというということで、今作は旧EA Black Boxが最後に全面担当したハリウッドスタイルの「NFS」、「Need For Speed: The Run」の系譜を色濃く感じさせる内容というわけだ。

屋内会場ではじっくりプレイできた

カーアクションの美味しいところをぎゅうぎゅうに詰め込んだ。誰でも楽しめる!

こいつを奪えば奴らに大打撃
ターゲットを追いかけろ
ぶつけてはじいてぶっ飛ばせ
多少の無茶は承知の上
さらなる追手が迫る!
もたもたしてるとすぐゲームオーバーに

 さて、本作の位置づけを明確にするため前置きが長くなってしまったが、本作の特徴はとにかく「映画のような『NFS』」ということである。「Payback」という副題の通り、本作のストーリーは「復讐」をテーマとしているようで、プレイアブル出展されていた部分も「にくい組織への復讐として、輸送中の超高級車(ケーニグセグ・レゲーラ:時価2億円超)を強奪する」という内容だ。

 ストーリーを描くカットシーンにつづいて、ゲームパートのほうでは3人の主人公の視点が切り替わりつつ進行していく。まずはひとりめの主人公で輸送トラックを追跡。つづいて無線連絡を受けた2人目の主人公の視点にてカーチェイス&バトルが始まる。

 目標のトラックに接近すると、周りを固める護衛車両が襲い掛かってくる。うまくスピードを調整して横っ腹にタックルをぶちかましたり、お尻をガツンと押して路肩の障害物にぶつけてやったり。勢いと角度がうまく決まると敵車両は哀れにも吹っ飛び、しめやかに爆散!という感じである。このあたりのアクションは簡単すぎず難しすぎず構成されていて、プレーヤーが苦戦していると敵が進んで殺されやすい位置に入ってきたりなど、とってもCriterion風味の親切設計。

 こうして護衛車両を片付けると、本丸のトラックに突貫してコンテナのドアをぶち破るカットシーンへ。ちなみにトラックがある地点に到達するまでに護衛を片付けられないと「逃げられた!」として即座にゲームオーバーとなり、このパートを最初からやり直し、シナリオどおり格好良く決まるまで繰り返す形になる。このあたり完全にEA Black Box風味。

 ドアをぶち破るとトラックはさらに暴走。「逃げる気か!」と驚く主人公たちの表情でカットシーンが終わり、トンネルを出たところからの追跡パートがスタート。対向車にもお構いなしで突っ込む暴走トラックのせいで、爆発炎上する一般車両でぐちゃぐちゃのハイウェイを追跡するハメに。

 こうしてプレーヤーを取り巻くシチュエーションが加速度的に「ヤバい」ものになっていく。今度はトラックが街に入るまでになんとかせよと、さらに数を増した護衛車両と壮絶なクラッシュバトルを展開だ。どうにか制限時間内に勝利してトラックに接近。今度は暴走するトラックに横付すると、プレーヤーの車両に同乗していたもうひとりの主人公がルーフ伝いに飛び移る!というスタントアクションのカットシーンへ突入。

 なんやかやで無事ターゲットの奪取に成功。3人目の主人公が乗るケーニグセグ・レゲーラが、V8・1500馬力の咆哮とともにトラック後部から弾丸のごとき加速で飛び出す。あとは爆速で逃げるだけ。フルスロットルで離脱を図っていると……目前には警察のヘリが!

 という引きで、今回プレイできたパートは終幕。製品バージョンではこれに続いて、警察ヘリの追跡をあんなこんなで撃退していくカーアクションを楽しめるのだろう。ついでに、3人の主人公が織りなすストーリーがどうなるかも気になるところ。

 というわけで本作「Need for Speed: Payback」では、カーアクションの1番かっこいいところばかりを散りばめたストーリー演出により、誰でも極限のバトルを体験できるようになっていることが特徴だ。旧EA Black Box組と旧Criterion組の、いいところが上手に組み合わさることで、これまでで最高の「NFS」になることが期待できそうだ。

今作とても充実しているカスタマイズ機能。外見を徹底にいじくれる
カーペイントも「Forza」シリーズ並の本格派になりそう

 なお本作では、従来の「NFS」シリーズでは薄かった車両のカスタマイズ要素が本格的に実装されていることもポイントのひとつ。外装各部やタイヤを含む数十の部分を、たくさんのパーツ候補から組み合わせて選択し、好み丸出し、あるいはプレーヤー自身が考えもしなかったような意外性のある見た目に仕立て上げることが可能だ。カーペイントについてはコミュニティでの共有機能も存在を確認した。総合的な自由度は「Forza」シリーズ並みが期待できる。このあたりは旧Playgroundsチームの活躍かも。

 ただし細かくカスタマイズできるのは見た目だけで、性能については別立てでわりと大雑把な調整ができるだけに留まる。このあたりはアクションレースゲームとしてバランスが破綻しないよう、あえて機能の複雑化を避けた部分だろう。「NFS」に求めるのはややこしいカーセッティングや緻密なハンドリングではなく、ただひたすらのかっこよさと爽快感。そこだけはブレない最近の本シリーズである。

 以上のように、シリーズを手がけてきたスタジオが総力を挙げた本作。シリーズの持ち味を存分に出しつつ、総合的な完成度も高そうだ。購入確定という方は、予約すると以下の車両が特典として手に入るキャンペーンがすでに開始されているので、ぜひチェックしてみよう。

予約特典に含まれる車両:
・Nissan 350Z 2008
・Chevrolet Camaro SS 1967
・Dodge Charger R/T 1969
・Ford F-150 Raptor 2016
・Volkswagen Golf GTI Clubsport 2016