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【A 5th Of BitSummit】対戦アクションから、VR+音声によるホラーゲームまで、気になるタイトルをチェック
2017年5月21日 15:36
5月20日、21日と京都市勧業館「みやこめっせ」で開催されている、インディゲームの祭典「A 5th Of BitSummit」だが、主役である各メーカーのすでにリリースされた作品から現在開発中の作品まで多数のタイトルが出展されている。
リリースされるプラットフォームは、それこそWindowsPCからAndroid/iOS、プレイステーション 4、Nintendo Switch、ニンテンドー3DSなどなど、多彩なわけだが、もっとも多いのはもちろんSTEAM(WindowsPC)だ。作成の障壁が低く、やれることが多いだけに当然だろう。そして開発者が揃って口にするのが「STEAMはユーザーとの距離が近い」という声だ。
ただ会場を見ていると、発売からそれほど経っていないにもかかわらず、Nintendo Switch用タイトルが多数見られた。作品によってはNintendo Switchでリリースした後でSTEAMで展開するというタイトルもあった。任天堂がインディシーンに対して力を入れているのはもちろんのことだが、どこでも気軽にプレイできるという、それだけの魅力がNintendo Switchにあるとも言えるかもしれない。
本稿では会場を見て回って、気になったタイトルを取り上げていく。ただ、「A 5th Of BitSummit」は小さなブースが多数用意されており、すべてのタイトルをプレイして回るのはなかなか難しい。あくまでも筆者個人として気になったタイトルを取り上げてみたい。
「シルバー事件HDリマスター」プレイアブル版を出展
グラスホッパー・マニファクチュアが「シルバー事件HDリマスター」プレイアブル版を出展している。
さすがにHD版だけあって非常に美しく、1999年にプレイステーション用にリリースされたタイトルとは思わせない作りだ。というか、グラフィックスが美しくなったことで、ゲームの世界観をより些細に感じ取ることが出来、これぞ完成形と言える仕上がりになっている。
現在はPS4版のリリースを待っている状況だ。
VRなのに、音で周りを見る? ホラータイトル「STIFLED」
VRタイトルと言えば、プレーヤーを巡る世界観を作り上げ、些細に描いていくことで仮想現実を感じさせるタイプが多いが、台湾のメーカーGATTAI GAMESの「STIFLED」は一風変わったホラーゲームに仕上がっている。
事故現場の自動車から離れるとほぼ真っ暗なのだが、音声を感知すると周りの風景がワイヤーフレームで描かれたように数秒表示されるのだ。この風景を手がかりに所々で音声を発して周りの風景を確認しながら、おっかなびっくり歩を進めていくことになる。
通常はプレーヤーが「あー」とか声を発するとマイクが音を拾って周りの風景がわかるようになる。ただそれだけではなく、たとえば水の上を歩くとパチャパチャ音がするので、声を発しなくても周りの風景が見えるようになる。さらに、足下に落ちている石を拾って遠くに投げれば、落ちた音を感知してその周りの風景が見える。様々な状況から、工夫しながらステージを進んでいく。
ただこの世界には恐ろしいモンスターが潜んでいるのだ。あまりに大きな音を発すると、モンスターがプレーヤーの存在に気付いてしまい寄ってくる。音を発しなければ周りの雰囲気を知ることはできず、かといって大きな音を出すとモンスターの餌食となる。このジレンマとバランスがこのゲームの肝となる。
デモプレイでは建物の中に入り下水道を進んでいく中でモンスターと近接遭遇した先で終了となった。なかなかどきどきが止まらないゲームに仕上がっている。歓声は2017年末を予定。対応システムはPlayStation VR、HTC Vive、Oculus Rift。
何度でも遊びたくなる中毒性の高い対戦アクション「BACK SLASH」
1対1で繰り広げられる対戦アクション「バックスラッシュ(BACK SLASH)」。こちらもまたノスタルジーを感じるビットテイストのグラフィックスが懐かしい。ただ、それだけにゲーム自体は非常にスピーディな展開で、手軽に遊べる一方で、「もう一勝負!」と遊びたくなるテンポのゲームに仕上がりつつある。
プレーヤーは、6つある流派の中から2つを選択しゲームをスタート。プレーヤーの容姿は選択した流派の組み合わせによって様々に変化。各流派にはそれぞれ3つの必殺技が用意されており、プレイ中にゲージが貯まると6つの必殺技(2つの流派×3つの必殺技)の中からランダムでいずれかの必殺技が発動する。
プレーヤーは、スクロールするステージ内で相手と戦いを繰り広げ、パンチとキックという通常技と、前述の必殺技を駆使して相手を倒すのが目的となる。展開によってはステージ内が破壊されることもあり、そこからアイテムが出てきたり、逆にギミックが発生し、ダメージが発生することもある。
とにかくスピーディな展開で、やめ時を見極めるのが難しい1本だ。リリースは秋を予定しており、その前にNintendo Switchで発売される。また、現状は流派は6つだが、増やすことも検討されているという。ただ、制作は1人で行なっていると言うことで、開発は時間との戦いとなっているようだ。
ついに完成間近か? 「Million Onion Hotel」がプレイアブルで出展
Onion Gamesが「勇者ヤマダくん」の前から制作していたゲームと言うことで、半ば伝説化しつつある「Million Onion Hotel」が2年ほどの時を経てついに完成の時を迎えそうだ。
その独特のグラフィックスと展開でファンの多い「Million Onion Hotel」だが、今回はプレイアブル版をプレイすることができた。ゲームを始めると、5部屋×5部屋に区切られたホテルには、ランダムにタマネギが登場する。これらをタップすると赤く変わる。このタマネギが縦・横・斜めに5つ揃うとビンゴとなる。さらに2つ同時にそろえると制限時間が延びるといったボーナスが付く。ただ、この2つ同時まで待てずについついタマネギを5つそろえてしまう。このジレンマがゲーム性に繋がっており、戦略性となっている。
進めていくと、堅いため何度もタップしなければならない鉄仮面を被ったタマネギや、何度もタップしないとロケットのように飛んでいかないお邪魔なアスパラガスなど、変なキャラクターが続々と登場。Onion Gamesらしい展開となる。最後にはなぜか爆発し、キノコ雲があがるなど危ないやら謎展開であるやら、爆笑してしまった。
それほど待たずにプレイできるようになると言うことなので、楽しみにお待ちいただきたい。
自分が動いているときだけ時間が進む「SUPERHOT」
近未来風の世界観の中で展開される銃撃戦を描いた「SUPERHOT」。真っ白なステージのあちこちにいる真っ赤な敵。ただ、プレーヤー側が動かなければ時間は進まないため危険は無い。ところが、こちらの銃弾は遠いと当たらない。このためどうしても動いて近づくなど時間の進めなければならない。こういった風に、時間が進まないという利点をあえて崩すことでゲーム的な駆け引きを生み出すシステムが、非常に面白い体験を生み出していた。
独特の世界観を持つ「夜の採掘鉱(仮)」など
zato氏のブースで出展されているのが「夜の採掘鉱(仮)」というアドベンチャーゲーム。女の子をキャラクターを操作して独特の世界観で描かれたステージを探索していく。こういったタイプのゲームはどれだけステージ内を描いていけるかにかかっているが、zato氏が「どれだけ世界観を作り込めるかに振り切ったゲーム」というだけあって、モノクロの輪郭とあちこちに取り入れられた極彩色の背景は非常に印象深い者に仕上がっていた。
ただ、様々な悩みがあるようで、「プレーヤーの導線作りが難しい。(たとえば)5メートル進めばアトラクションが発生するのに、3メートル行ってなにも起こらないともうその先には進まない」とかたり、プレーヤーに見せたい物を見せるためにどうやって演出していくかの悩みがあるという。
そういった意味では、今回のイベントで不特定多数の来場者にプレイしてもらうことは非常に良い経験になったようで、ゲームの完成に向けて1つ階段を上れたのではないだろうか。完成まではまだまだ1年以上かかると言うことだが、その完成を楽しみにしたいところだ。
BishopGamesStudioのブースに出展されていたのが「LIGHT FALL」。モノトーンに近いグラフィックスで影絵のようなキャラクターを操作して進めていく。「LIMBO」などに代表されるこういったゲームもかなりあるが、その多くはゆったりとした展開が特徴的だ。これはパズルを主体とするアクションであることから、そのゲームのテンポが決まっているが、「LIGHT FALL」はかなりスピーディにスクロールしていく展開で、少し違った印象を受けた。
予定では11月にSTEAMでリリースされ、2018年春にPS4、Xbox Oneでリリースされる予定となっている。