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【特別企画】あえて1歩も歩かず紹介する「NieR:Automata」のフィールドの魅力

美しく、もの悲しい世界から立ち上るクリエイターのセンス

2月23日発売予定

価格:7,800円(税別)

 「NieR:Automata(ニーア オートマタ)」がいよいよ2月23日に発売される。本作はプラチナゲームズが開発を担当しており、その“アクション性”を強くアピールするため、アクション要素を凝縮した体験版が年末に配信された。この体験版は、プラチナゲームズならではのアクション性の高い戦闘、独特の世界観提示し、なによりも衝撃の展開で話題を集めた。

配信されている体験版では激しいアクションをたっぷり楽しめる

 ただ1つ強調しておきたいのは、今作は激しくカッコイイアクションを存分に楽しむことができるが、本質的には“RPG”である。ヨコオタロウ氏が描く深く、ダークで、もの悲しく、そして独特のユーモアを持つ世界観とストーリーを思う存分楽しめる上に、広大なフィールドをたっぷり歩き回り、探索することができる。「この先に何があるのか」その好奇心がゲームを進めていく。

 「NieR:Automata」のフィールドを歩くのは、楽しい。そして驚きに満ちている。少し歩くと隠された場所が見つかったり、驚きの光景が広がっていて、この驚きは、ぜひプレイして確かめて欲しい。そこで今回は、序盤のフィールドである「廃墟都市」、「砂漠地帯」の2つのフィールドを“あえて一歩も動かない動画”で見せたいと思う。カメラを回転させて見せるだけだが、魅力的な雰囲気や、気になるオブジェクトが確認できるはずだ。発売後はこの世界を思いっきり駆け回って欲しい。

人類が去った戦いの地、「廃墟都市」、「砂漠地帯」。2Bはそこで何を見る?

 「NieR:Automata」の主人公2B(トゥ・ビー)は“アンドロイド”だ。彼女は人類に作られた新型の戦闘用アンドロイドであり、「ヨルハ部隊」の1員だ。そして戦場は“地球”。地球は異星人とその尖兵である「機械生命体」によって占拠され、人類は月に逃げ延びた。

2Bと9Sはこの世界の謎に迫っていく
廃墟都市は巨大な植物がビルを覆っている場所も
どこまでも砂が続く砂漠地帯

 人類はアンドロイドを地球に送り込み地球奪還を目指すが、決定的な効果は出せず長い膠着状態に陥ってしまった。人類はその状況を打破すべく最新のアンドロイドによる部隊、「ヨルハ部隊」を投入する。しかし、ヨルハ部隊の1人2Bは、戦いの中で徐々に“真実”に直面し、その心を揺らすことになるのだ……。

 2Bとその相棒9S(ナイン・エス)は、地上地域を探索することとなる。この世界ではすでにアンドロイド達が投入されており、機械生命体と果てしない戦いを繰り広げている。そして機械生命体の中には争うこともせずただ無目的に動いているような者達もいる。この世界はどうなっているのか、2Bと9Sにとって世界は謎に満ちている。

 繰り返すが本作「NieR:Automata」はRPGである。しかし、明確な目的地が常に提示され、そこに向かって移動し続けるいわゆる“一本道”のタイプではなく、広大な地域が提示され、様々な謎や秘密が隠されているオープンワールド世界で展開されるRPGとなっている。メインクエストによって新たな地域への道は提示されるものの、サブクエストや、宝物、そして意外な地形など様々なものが隠されている。

 探索にもアクション性が盛り込まれており、2段ジャンプや空中ダッシュを駆使することで一見行けない場所に行けたりもする。迷い込んだ所には意外に強い敵がいる場合もあるが、回復アイテムとコンボをうまく駆使することで格上の敵を倒せたりする。絶望的な状況をアクションで切り抜ける楽しさは本作の大きな魅力だ。

 本作のフィールドは魅力たっぷりで、風景だけでなく、歩いているだけで意外なものが見つかったり、興味を惹かれるオブジェクトが見えたりする。しかしそういった「歩く楽しさ」は、製品版で味わってほしい。

 そこで今回はあえて“一歩も動かず”、2つの場所を紹介したい。「廃墟都市」と、「砂漠地帯」だ。本作の世界は人間が地球から脱出して長い時が過ぎた世界。建物は残っているものの完全な廃墟となっている。廃墟都市は緑に覆われ、巨大な植物が生い茂っている。鳥や鹿などの野生動物も闊歩している。いくつか中には入れる建物があったりもする。巨大な木の根を伝っての移動も可能だ。様々な秘密が隠されている。

【「NieR:Automata」、廃墟都市】
かつて人が住んでいた都市は今は巨大な植物に被われている

 砂漠地帯は謎に満ちた場所。ごつごつした岩の地域なども確認できる。ここの機械生命体の多くは明確な敵意をもっており、中には仮面をつけたものも。砂は滑り、時には思わぬ方向に進んでしまうことも。この地域にはどのような謎が潜んでいるのだろうか……。

【「NieR:Automata」、砂漠地帯】
荒涼とした砂漠。荒涼とした砂漠。遠くに地形や遺跡が見える。BGMにもぜひ耳を傾けて欲しい

 RPGは膨大な時間を“探索”に費やすゲームジャンルである。宝物や隠されたものがないか、プレーヤーはひたすらマップの隅々まで歩き、隠し通路がないかを探し、一度探索した場所を何度も移動したりする。「NieR:Automata」のフィールドもまた探索の楽しい世界だ。しかもこの世界は美しく、そしてヨコオ氏のセンスによりもの悲しい雰囲気を持っている。この荒涼とした、寂しげな世界はプレーヤーの心を強く浸食していく。

イメージイラストの“雰囲気”はゲームのグラフィックスに活かされている

 しかし、自分の体の中を乾いた風が通り抜けるような“寂しさ”は、決して不快ではないのだ。それは本作のフィールドがまさに“絵のように美しい世界”だからだろう。崩れた建物を押しのけ、突き崩すように伸びる木々の力強さ、太陽は優しく地上を照らし、地上も豊かな緑が覆っている。人がいなくなってしまったからこその植物の楽園、自然の力を確かに感じさせる。

 砂漠では、砂丘をなでていく風の表現がいい。砂煙の中ですべてがかすむ世界は独特の静寂と、“安らぎ”を感じさせる。どこまでも続く砂の世界は、その先に何があるのか、確かめたくなってしまう。そして、「NieR:Automata」では、このセンス溢れる世界を実際にどこまでも旅することができるのだ。これはとても幸せな体験だ。

 この世界の美しさは、写実的な描写ではなく、イラストレーターの描く絵から匂い立つ独特な雰囲気を再現しようとしているから生まれている。巨木の枝の生え方、コンクリートを覆うツタの表現、砂煙でかすむ太陽などすべてにセンスを感じるのだ。欧米のゲームは進化したグラフィックス表現でリアルな風景を描き出す方向に進化していると感じたが、「NieR:Automata」はグラフィックス表現の技術を、より幻想的で、テーマ性が感じられる世界の描写に傾けていると感じた。今回のムービーで、ぜひ確かめてほしい。

 加えて、世界に彩りを加える岡部啓一氏の楽曲にも耳を傾けて欲しい。ムービーを見るときは、必ずBGMも一緒に聴いてほしい。このBGMと、グラフィックスが生み出す雰囲気が、クリエイターの世界に没入する楽しさを実感させてくれる。「NieR:Automata」は、本当に探索と冒険、そして旅が楽しい作品だ。今回はあえて本作の“雰囲気”を紹介したくて、このような構成にしてみた。ゲーム本編の感触などは、発売日に掲載するレビューでお届けしたい。

*記事アップ時に動画が見えなくなっていました。申し訳ありません。