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HTC自ら手がける新作VRFPS「Front Defence」で気が付くと米兵になっていた!
ヨーロッパ戦線で戦う米兵の気分を満喫できるリアルな挙動に感動
2017年1月22日 01:09
台湾台北市で開催中のTaipei Game Show 2017には、HTC Viveが大きめのブースを出展した。HTCはViveを製造するハードメーカーという垣根を越えて、VRの上質なコンテンツを世に送り出すプラットフォーマーであり、自らもコンテンツの生みだし手としてデベロッパー/パブリッシャーとしても活動を開始している。
2016年11月には、台北の三創生活園區に「Viveland」というVRのテーマパークをオープンした。2016年12月には、VRコンテンツのパブリッシング子会社Vive Studiosを立ち上げ、最初のタイトルとして2 Bears Studioが開発した「Arcade Saga」をSteamに配信している。
さらに、社内にVRコンテンツの開発チームを作り、今回紹介するVRFPSゲーム「Front Defense」の開発を進めている。今回ブースでは、こうした動きの中で核となっているタイトルの多くを、実際に遊んでみることができた。
また、それ以外にも、日本では2017年春に発売が予定されているスクウェア・エニックスの「乖離性ミリオンアーサーVR」や、プラサカプコン吉祥寺店でしか体験できない「特撮体感VR大怪獣カプドン」など、日本にいてもあまり体験する機会のないVRコンテンツを遊ぶことができたので、まとめてインプレッションをお届けしたい。
HTCが渾身の力で開発中のVRFPS「Front Defense」はすごかった!
「Front Defense」は、第二次大戦中のヨーロッパ戦線最前線らしき場所が舞台のFPS。開発は、Viveの発売元であるHTC。社内に専門の開発チームがあり、そこで開発が進められている。言語は、英語、中国語、韓国語、日本語に対応しており、いきなり日本語でプレイすることができた。
VR最大の特徴は没入感だが、本作は、既存のVRFPSからさらに一歩進んだリアリティを感じさせる。よくVRFPSでは、本物の銃の形をしたデバイスを使って臨場感を出すが、本作では使うのは通常のViveコントローラーだけ。そのコントローラーが、アメリカの短機関銃であるトムソン銃になったり、バズーカになったり、手りゅう弾になったり、重機関銃になったりする。
本作では、手だけではなく、バーチャルな空間に自分の装備が描かれている。ゴーグルをつけて自分を見下ろすと、腰の周りにぶら下がるマガジンが見える。このマガジンは左手を腰のあたりに持っていくと握ることができ、右手に持ったトムソン銃に装着して使う。
バズーカは、最初に左手で転がっている弾を掴んで、砲身に装填しなければならない。それも、近づければ勝手に入るとかではなく、ちゃんと砲身を縦に向けて、上から弾を滑り込ませる。そして肩にかけて発射する。実は肩にかけなくても発射できるのだが、自然な流れとして、肩にかけずにはいられない。それほどリアルなのだ。
手りゅう弾は、筆者が一番感動した武器だ。手りゅう弾も周りの武器箱に入っているので、右手で掴んで投げる。このとき、安全ピンを抜く必要があるのだが、左手で抜くのではなく、口元に近づけると、プッとはずれる。そう、やはり激戦の最中には手りゅう弾の安全ピンは口で抜くのがロマンなのだ。
重機関銃は両手で持って、右手で発射する。こちらも、特に両手で持つ必要はおそらくないのだろうが、持たずにはいられない。「Front Defense」に出てくる武器は、上記のようにどれもプレイしている人たちが、別に必要なくてもロールプレイしたくなるようなリアルさがある。そして結構すぐに弾切れするので、戦闘中はしょっちゅう腰からマガジンを再装填することになる。
ぼーっと突っ立って撃っているとすぐに殺されてしまうので、土嚢に隠れながら打つのだが、人によってはトムソン銃を両手でホールドし、頭を出した瞬間に撃ってまたすぐに伏せるという、本当にリアルな戦場にいるかのような挙動を見せてくれる。
今はまだ開発中なので、現在はVivelandでしか遊べないが、今年の第2四半期頃、Steamからのリリースも予定されているそうだ。現在はソロプレイ専用のゲームだが、将来的にはマルチプレイも想定されている。
Vive StudiosがパブリッシングするVR用アーケードゲーム
「Arcade Saga」は、未来的なステージでスポーツライクなミニゲームが遊べるVR用のアーケードゲーム。遊ぶことができるのは、マルチプレイが可能な「Smash」や、「Fracture」、「Bowshot」など3つ。筆者は、「Fracture」を試してみた。これは立体的で巨大なブロック崩しという感じのゲーム。バットと、ボールを引き寄せる吸引機のようなマシンを持って、ボールを引き寄せてはバットで打って、目の前のブロックを消していく。
跳ね返ってきたボールは、スカッシュのように撃ち返すことができる。ある程度ステージを進めていくとボスが出現する。ボスとの戦いでは、ボールを引き寄せるマシンが攻撃を受けて使えなくなったりと、単なるアーケードゲームというより、バトルを楽しむアクションゲームのような雰囲気を味わうことができた。
別のブースでは、縦に並んだ2人が、細い通路を飛んでくるボールを打ち返す「Smash」で遊んでいた。どちらのゲームも未来的でスピード感があり、爽快だった。「Arcade Saga」は2016年12月9日から、Steamで配信されている。価格は2,980円(税込)。
「特撮体感VR大怪獣カプドン」や「乖離性ミリオンアーサーVR」など日本産も人気!
「特撮体感VR大怪獣カプドン」は、吉祥寺のプラサカプコンで稼働中のVRコンテンツ。大怪獣カプドンになって、破壊の限りを尽くすのだが、実は子どもを守るためという涙ぐましい理由がある。
プレイ中にずっと流れる淡々としたラジオの実況が、昭和のゴジラ映画をほうふつとさせる。両手足にトラッカーが装着されているので、足でキックしてビルを破壊したり、車を踏みつぶしたりすることもできる。ステージごとに指定された目標を制限時間以内に達成できれば、子どもを取り返して次のステージに進むことができる。
このコンテンツが遊べるブースでは、正月にラスベガスのCESで発表されたばかりの「Viveトラッカー」や、ヘッドフォン付きのストラップ「Vive Deluxe Audio Strap」が使われていた。この新しいストラップは、後頭部のダイヤルで固定する強さを調整することができる。筆者はHTC Viveを所有しているが、両側からマジックテープで締める従来のものに比べると、装着が簡単になり、安定感も増していた。ヘッドフォンも、耳のある場所におろすだけで、装着がかなり早くなった。
「乖離性ミリオンアーサーVR」は、スマートフォンの人気ゲーム「乖離性ミリオンアーサー」をVR用に作ったコンテンツ。日本ではドスパラなどで体験会が行なわれているものと同様のバージョンを試すことができた。本作は、4人のアーサーたちと一緒にカードカードバトルで目の前の敵と戦うというコンテンツ。ブース内では、クロマキー合成でゲーム内に入ったような映像が展示されていたが、目の前に浮かぶユーザーインターフェースを操作しつつ戦う感じは、ライトノベルに登場するVRMMOにも似ていて、未来感を感じることができた。
他にも、下には雲しかない場所にかかったぐらぐら動く金網の足場を渡って、飛来してきたドラゴンの背中に飛び移るアトラクションゲームや、VR完全対応を果たしたバンダイナムコのカーレースゲーム「Project CARS」などが展示されていた。VRを動かすためのPCには、ZOTACのGTX 1080搭載NUC「ZOTAC MAGNUS EN1080」が使われており、ステージイベントには、バックパック型のVR Ready PC「ZOTAC VR GO」も使われていた。