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Taipei Game Show 2017で見かけたVRインディータイトル
会場で見かけた個性派ぞろいのVRタイトルを紹介
2017年1月21日 18:51
台北で開催中のTaipei Game Show 2017の会場2階に設けられた「B2B Zone & Indie Game Festa (IGF)」には、ビジネスブースやインディーブースなどに多くのVRコンテンツが出展されていた。
機種もHTC ViveやOculus Riftだけではなく、スマートフォンをゴーグルにセットするタイプやPS VRでの出展もあった。今回紹介している5タイトル以外にも、FPSタイプのものや、剣と盾を持って骸骨と戦うゲーム、ドラゴンになって空を飛び回るゲームなど想像力の翼を広げまくった様々ジャンルのゲームが出展されていた。このレポートでは、Indie Game Festaに出展されていたVRタイトルの中から、筆者が遊んで面白いと思ったゲームとデバイス1つを紹介したい。
「CUBIANS VR」
韓国のゲームスタジオIKINA GAMESが開発しているVive用のディフェンスゲーム。プレーヤーは最初、魔法使いの研究室のような場所にいる。部屋の中には、スペルブックや、ユニットの見本や、ステージを始めるためのトリガーとなるウォータードームなどが並んでいる。
両手のコントローラーは、VR画面内では白い手になり、トリガーボタンを押すと何かをつまむ動作をする。ウォータードームの1つを掴んで、頭にかぶせるような仕草をすると、その世界の中に入っていく。
ステージはいると、自分の目の前にはチェッカー模様が敷かれた縦長のグラウンドのような場所がある。これがディフェンスゲームの戦場だ。すぐに、奥からは小さなキューブの生き物が攻めてくる。自分のすぐ手前には、いくつかの台があり、台の上にはランダムにいろいろなキャラクターが現れる。それをつまんでフィールドに置くと、敵に向かって進軍し始める。つまんでいる時にもじたばた暴れるしぐさが見ていてかわいい。
使えるユニットは、兵隊やスケルトンドラゴン、ゴリラのようなメカにのった兵士、歩く花、回復もしてくれる魔法使い、空を飛んで攻撃するグリフィンやドラゴンなど100種類以上の兵士がいる。試遊版ではかなりの数のユニットを使うことができたが、製品版では材料を集めて兵士を作るというクラフト要素があるようだ。
また戦闘中に、あたかも開いた本を持っているかのように左手のひらを上に向けると、スペルカードが刺さった本が現れる。スペルカードは、つまんでから、好き場所に放り投げることで、敵にファイアボールをぶつける魔法や、フィールドの中に竜巻を沸き起こす魔法など、プレーヤーが好きな場所に使って直接敵を迎撃するために使える。
戦っているユニットのアニメーションは、かなり細かく、生き生きと動く小さな兵隊たちを眺めているだけでも楽しい。目の前の盤上をずっと見下ろすので、VR酔いしやすいという人でも遊びやすいゲームといえるだろう。
「VR Battle Arena」
韓国のNumix Media Worksがテーマパーク用に開発しているFPSゲーム。テーマ―パークのアトラクションとして、専用の銃と、その場で足を滑らせることで移動できる歩行用のデバイスも併せて開発されている。将来的には、6対6や12対12のマルチプレイが想定されている。
今回試遊台できたのは、ソロで遊ぶVive用のゾンビシューティング。建物に囲まれた中庭に立つ自分に向かって、四方からゾンビが向かってくる。玉数の制限などはなく、とにかく撃ちまくれという単純明快なルール。しかし、次第にゾンビの数が増えていき、ちょっと大きめのHPが高そうなやつが混じってくると、なかなか対応しきれなくなっていく。
気が付くと真後ろにゾンビが迫っており、振り向きざまに間近にいたりすると思わず悲鳴が漏れてしまった。本作は2人での協力プレイも可能だそうなので、お互いに背中を守りながら戦えば、さらに熱い展開になりそうだ。
専用に開発したという銃は、トリガー部分にViveのコントローラーがはめ込めるようになっており、現在のところOculusでの開発は考えていないということだった。今年の5月に韓国のテーマパークでサービスを開始するのを皮切りに、現在は世界中の複数の施設と話し合いを持っている最中だそうだ。
「Monster VS Awakens」
本作は、香港のゲームスタジオFight4Dream Limitedが開発している、怪獣になり切って都市を破壊するVive用VRゲーム。プレーヤーは、海溝のそこから発見された怪獣Somnillaとなって、街を破壊する。開発は。ゴジラをイメージしたというだけあって、動きなど自分で操作していても、ゴジラっぽいなと思う部分が多々あった。
画面は、ポリゴンイラスト風の可愛い感じで、普段は手しか見えていない怪獣も、実は結構ヘタレ顔のかわいい外見をしている。とはいえ、破壊力はゴジラ並みだ。
怪獣は、両手に持ったコントローラーを交互に前に突き出すような仕草によって前進する。これは、実際にやるとわかるのだが、着ぐるみ時代の怪獣の歩き方を再現したものだ。着ぐるみの怪獣は、手を前で構えて、体をゆすりながら歩いていたものだが、コントローラーを交互に前に出すとちょうど、そのときの手の軌跡になるのだ。
足元を逃げ惑う人間は、ひょいとつまんで口元に持っていくと、食べて自分の体力を回復することができる。最初は、人間を食うのかと衝撃を受けたが、自分が殺されかける段になるとそんなことは言っておられず、捕まえまくりの食べまくりだった。
さらに怪獣Somnillaは、口からビームを吐くことができる。両手のグリップボタンを長押しすると、だんだん口元に光が集まり、水を放射するようなレーザーが街を薙ぎ払う。このとき、レーザーは頭の動きに追随するので、ゴジラがよくやるように、頭を横に動かすことで、街を横なぎに焼きつくすことができる。これがかなり楽しい。
単に街を壊しているだけでも楽しいが、一応ゲームらしく目標が設定されている。最初は車を10台破壊せよ、それをクリアすると人を14人食べろと、次々に新しい目標が提示される。目標をクリアしつつ、破壊の限りを尽くして、人間との戦いに勝利しよう。
2016年11月からSteamでアーリーアクセスがスタートしている。価格は358NTドル。現在は英語と中国語(簡体、繁体)のみの対応だが、2月ごろに日本語にも対応する予定があるということだ。
「lunar eclipse 天狗食月」
「lunar eclipse 天狗食月」は、香港のゲームスタジオKaiju Denが開発している、スマートフォンを使ったモバイル向けホラーVRゲーム。中国では天狗(天のイヌ)が月を食べることで月食が起きるという故事があり、タイトルの「天狗食月」はそれにちなんでいる。月食は中国では、凶兆とされており、ゲーム内にも上部分が欠けた不気味な赤い月が登場する。
ゲームは、1980年代の中国ホラー映画がモチーフになっている。舞台は1900年代、清朝末期のある屋敷。テキストやセリフはなく、廃墟のようなその家になぜ入るのかの説明は一切ない。
ゲームは一人称視点で、家の中を歩き回って謎を解いていくアドベンチャーゲーム形式。その場で足踏みをするか、歩いている感じに体を上下させれば、画面が奥へと進んでいく。ホラーゲームの場合、この自分で歩くという部分に、とてつもない精神的な負荷がかかる。
自分で歩かなければストーリーが進まないのだが、奥が真っ暗な老化を進んで行ったり、ずらりと棺桶が並ぶ部屋をうろうろしたりするのは、かなりの勇気が必要だ。廊下の壁に隠れながら、曲がった廊下の先をそっとうかがうと、なんだか禍々しい感じのものがうねうねしている。本当に、ホラー映画の登場人物になった気分だ。
画面中央には小さな白い○印があり、何かを調べるときにはここをアイテムに合わせたまましばらく待てば、何らかのアクションが起きる。本作の恐怖は、ふいに襲ってくるお化け屋敷的なドッキリ感なので、時には悲鳴を上げるような事態が発生することもある。
まだまだ開発中だという本作。ローンチは2年以内を目指しているということで、今回は雰囲気がわかる程度の体験版だったが、ホラーゲームとしての潜在力はかなり感じることができた。今後の開発進捗に注目したい。
「Stifled」
Indie Game Awardでベストイノベーションを受賞した「Stifled」は、シンガポールのゲームスタジオGattai Gamesが出展した、今回インディーゾーンで唯一のPS VR向けのタイトルだ。本作は昨年の東京ゲームショウにも参考出展されており、遊んだ人もいるかもしれない。
本作は、そんな暗闇を進むのに「音」を利用する。プレーヤーは交通事故を起こした車から脱出すると、周りはまったく何も見えない暗闇が広がる。ビンや石が地面に落ちる音、自分の声、川のせせらぎなど、すべての音が反響して暗闇の中に周辺の景色を白いアウトラインで描き出す。ただし、見えるのは音が届く範囲だけで、音が消えると後を追うように白い線も消えていく。
プレーヤーはコントローラーでキャラクターを操作しながら、ボタンを押してアイテムを拾ったり投げたり、声を出したりしつつ、その反響で見える道を進んでいく。森の中を進んで、遊び方に慣れてきたころ山中に家が現れる。入ってしばらく探索していると、ふいに奥から悲鳴が響き渡る。悲鳴は赤い音の波を伴っており、悲鳴が聞こえた方向の風景が瞬間赤く染まる。
本作は、今年の中頃に発売予定だが、西洋市場をメインに据えたゲームのため、サポートされる言語は英語、スペイン語、ポルトガル語のみ。また、今年Steamから、VRの代わりにマイクを使って自分の声で探索をする
PC版も発売が予定されている。
「VAIR」
他のVRタイトルとは少し毛色が違うものだが、映像メディア学の博士号を持つ安本匡佑氏が代表取締役を務める会社CENOTEが展示していた、VR機器を使ったデバイスを紹介したい。VR機器は、その特性上13才以下の小さな子供は使うことができない。安本氏はそんな弱点を克服するために考案されたのが、VR機器のトラッキング機能だけを使ったデバイス「VAIR」だ。
「VAIR」は、ヘッドマウントディスプレイを使わないVRというコンセプトで作られた3つめのプロトタイプ。銃の上にスマートフォンが装着されており、よく見るとバレルの部分にはViveコントローラーがはめ込まれている。トラッキングによって作り出される映像をスマートフォンに送ることで、スマートフォンの画面を見ながら、コントローラーのトリガーボタンを銃のトリガーとして映像内にインタラクトすることができる。
美術畑出身らしく、石膏像が並ぶ射的場のようなテスト映像に向かって、トリガーを引くと弾が発射される。何発か当たると、ぐらりと傾いて落ちていった。まだ試作段階で商品化は決まっていないそうだが、VRのいろいろな可能性を感じることができた。