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Taipei Game Show 2017おすすめインディーゲームを紹介!
泣きゲーから馬鹿ゲーまで、今すぐ遊びたい個性的なゲームが集合
2017年1月20日 00:00
Taipei Game Show(TGS)の初日には「B2B Zone & Indie Game Festa (IGF)」に多くの参加者が足を運んだ。このゾーンには、25カ国から、213の中・小規模スタジオとインディーのクリエイター、マーケティングやペイメントサービスの会社などがブースを出展している。
年々規模を拡大しているIGFだが、今年は日本からも多くのクリエイターが参加していた。インディーゲームのイベントは、いまや世界中のあちこちで開催されており、どのイベントも国際色が非常に豊かだ。今回も、台湾や日本、香港、韓国など東アジアだけでなく、マレーシアやアメリカ、オーストリアなどから個性的なゲームをひっさげた開発者が集合していた。
話を聞いていても、「今度はシンガポールのイベントに行きます」という話や、「今度韓国のイベントでスピーカーとして登壇する」など、どのクリエイターもまったく臆することなく世界中を飛び回っている姿には感動すら覚えた。今回はそんなイベント会場で筆者が気になったゲームや、日本語で遊べるゲームを中心に紹介したい。
日本からも個性的なゲームが数多く参加
「PRINCIPIA: Master of Science(プリンキピア マスター・オブ・サイエンス)」
tomeappが開発している実在の科学者が多数登場し、17世紀の科学界を再現したWindows用のシミュレーションゲーム。本作は、2000年に開催された「第4回アスキーエンタテインメントソフトウェアコンテスト」で準グランプリを受賞したゲームを、グラフィックスや音楽を一新し、現代のクオリティで作り直したもの。2016年9月からSteamとPLAYISMで販売されている。価格は980円/9.90ドル。
プレーヤーは歴史上の科学者を1人、自分のキャラクターとして選び、その科学者としてテーマを選んで研究をしたり、論文を書いたりして名声を高めていく。ヨーロッパ各地のアカデミーでは、そこに所属している他の科学者も様々なテーマについて研究している。その研究で第一人者となり、アカデミー内で出世したり、歴史に名を遺すのがゲームの目的だ。
名声が高まると、研究資金の申し出があったり、他の研究者を批判したり、されたりと、当時の科学者たちの活動を体験することができる。かなりマニアックなテーマなので人を選ぶゲームだが、シミュレーション部分は分かりやすく、チュートリアルも親切に作られている。
音楽は元任天堂サウンドグループで「トモコレ」などのBGMを担当していた椎葉大翼(だいすけ)氏がすべての楽曲を担当。弦楽器で生収録された、17世紀ヨーロッパのサロン音楽風BGMが作品に味わいを添えている。トレーラーで聞くことができるので、ぜひ見てみて欲しい。
「プリンキピア マスター・オブ・サイエンス」のページ
http://tomeapp.jp/principia-mos
「TAROTICA VOO DOO(タロティカ・ブードゥー)」
TPM.CO SOFT WORKSが開発している、Windows用の一種の脱出ゲーム。一種の、と書いたのは本作がかなり独特のシステムでなかなかこれというジャンルに収まりきらないからだ。代表者、東郷生志氏の思い入れが詰まった本作。開発期間は5年。間に数年間空白があるので総製作期間は8年にも及ぶという。
本作のドット絵風のグラフィックスは、すべて手書きで作られている。10分くらいで書いたように見える歪んだ絵は、その見た目からは想像がつかないほど滑らかにアニメーションしたり、細かい演出が仕込まれていて、結構病みつきになる味わいがある。
使用するボタンは十字キーとBボタン。ゲームは、飛行機が墜落するオープニングからスタートする。なぞの屋敷にたどり着いた主人公はそこに入ろうとする。十字キーでマップ上のカーソルを操作して、点線で囲まれた場所でBボタンを押すと何かが起こる。それはドアや窓を開ける動作だったり、ライトをつけたり消したりといったアクションだったりするが、時には敵に遭遇することもある。
右下にある「せいしん」の中には剣と盾をもった人物が描かれている。上ボタンで攻撃したボタンで防御ができる。敵は攻撃と待機を繰り返すので、攻撃の間は防御して、待機したタイミングに攻撃するのだが、ほんの数発攻撃を食らっただけで死んでしまうのでなかなか難しい。とはいえ戦闘で成長したりといったゲームではなく、戦闘もパズルの一部として、勝てる戦い方を見つけ出すことが重視されている。
本作は2017年にSteamからローンチされる予定で、現在は開発の最終段階を作業中だそうだ。サンプル版は100円で販売されている。
TPM.CO SOFT WORKSのページ
http://www.tpmcosoft.com/
「ヒーラーは二度死ぬ」
Pon Pon Gamesが開発している「ヒーラーは二度死ぬ」は、自分がヒーラーになって、一緒に戦う勇者の命を守るゲーム。こう書くと単なるRPGのようだが、実際にはタワーディフェンスゲーム的な要素を取り入れた、斬新なゲームデザインを採用している。
ヒーラーであるプレーヤーと勇者はダンジョンの探索に訪れ、その後引き返す途中でモンスターの襲撃にあう。狭い道に横並びになったモンスターと勇者が戦っている後ろで、プレーヤーはヒーラーとなって勇者のHPを回復する。
勇者の体は、頭、右腕、左腕、胴体、足に分かれている。それぞれが、必殺技を使うためのゲージ上昇、攻撃力、防御力、HP上限、回避力などに紐づいており、HPが0になるとその部位が持つステータスぶん弱体化する。勇者は殴られて、ガンガンHPが減っていくので、どの部位を回復するのかを素早く選びつつ、いくつかある回復手段で回復していく。
モンスターはいくつかのウェーブに分かれており、ウェーブが進むにつれて、ヒーラーの使えるスキルが増えていき、 アイテムを作ったり、HPが0になった部位を復活させることができるようになる。
敵の中には詠唱を唱えた次のターンに痛い攻撃を仕掛けてくるものや、攻撃の代わりに特殊なアクションをするものなどがいる。どのモンスターを攻撃するのかは、プレーヤーが支持することができるので、なるべく痛い攻撃を仕掛けてくる危ない奴を優先して倒していく。持っている松明がすべて燃え尽きる前に、すべてのウェーブを乗り切れば無事脱出できる。失敗すると、画面が小さくなっていき、実はヒーラーが見ていた夢だったんだよというオチのもと、ゲーム冒頭のカットシーンから再スタートする。この繰り返されるリプレイが、タイトルの由来だそうだ。
本作は、昨年よりPlayStation StoreからPS4版が、SteamからWindows版が配信されている。
Pon Pon Gamesのページ
http://ponpongames.genin.jp/
「GREEN」
ゲームクリエイターの青山真弥氏が開発した「GREEN」は、キューブ型のキャラクターを操作してステージを移動するパズル性の強いアクションゲーム。実は青山氏はプログラムが書けないため、「アクションゲームツクール」で製作されているのだという。
キューブの形をしたキャラクターは、自分と同じサイズのキューブを生み出すことができる。これを足場にして進んでいくのだが、壁にキューブを当てて下に滑り落したり、あらかじめすべての足場を用意してから動いたりと、考えながら進んでいくのが非常に楽しい。
東京ゲームショウのインディーブースに展示したツクール版が非常に好評だったため、現在は、プラットフォームから配信するために、Unityで再開発を進めているそうだ。ツクール版はホームページからダウンロードして遊ぶことができる。
「GREEN」のページ
http://site706721-9355-7544.strikingly.com/
宗教格ゲー、ホラーADV、泣きアクションなど個性的な海外スタジオのゲームたち
「Fight of Gods」
台湾のDigital Crafterが開発しているWindows用の対戦格闘ゲーム。ゼウスやイエス・キリスト、如来、アテナなど世界の神様で戦う対戦格闘ゲーム。ゲームとしてはオーソドックスな造りだが、見た目のインパクトが素晴らしく、通りゆく人たちの注目を集めていた。
例えばイエスを使うと、十字架に張り付けられた登場シーンから、十字架をへし折って脱出し、手に打ち付けられた破片を武器に戦う。コンボゲージが貯まると発動する必殺技「聖霊飛翔」では、神々しい輝きと清らかなSEと共に、天に召されるイエスが多段ヒットを決める。如来は蓮華座に座り、光背を背負った黄金の仏像スタイルで登場し、攻撃をすると梵鐘のゴーンという音が響いたりと、インディーらしいこだわりと自由さにあふれたゲームになっている。
初期に使えるキャラクターは10体で、今後さらに5体がダウンロードコンテンツとして追加される予定。そのうちの1体は、日本の天照大神だということだ。格闘ゲームを作るのは初めてだが、開発者は大の格ゲーマニアだという本作。今はまだ開発中で、今年の夏にSteamからのローンチを目指している。
「Fight of Gods」のFacebookページ
https://www.facebook.com/FightofGods
「返校 Detention」
19日に発表されたIndie Game Awardでベストデザイン賞に選ばれた台湾スタジオRed Candle GamesのPC用のアドベンチャーゲーム。1960年代の台湾を舞台に、中国絵画のようなレトロな味わいのあるグラフィックスが高く評価された。
迷い込んでしまった不気味な世界の学校から脱出するためのドラマを描くというホラー色の強い作品だ。タイトルの「返校」は学校に戻るという意味だが、英語名は引き留めるという意味。中国の神話や、道教、仏教などアジアならではのモチーフが持ち込まれ、ストーリーを進めていくうちに、学校に隠された恐ろしい秘密が明らかになっていく。
1月13日にSteamから英語と中国語版の配信を開始している。価格は299台湾ドル。
「返校 Detention」の紹介ページ
http://redcandlegames.com/detention/?lang=jp
「Sally's Law(サリーの法則)」
韓国人の2人兄弟によるゲームスタジオNanali Studiosが作っている「Sally's Law」は、アクションとパズルを組み合わせた泣きゲーだ。
プレーヤーは姫だるまのような丸い姿の女性と父親。最初に娘を操作して落とし穴や段差のあるコースを端まで進む。ころころと転がる娘のスピードは緩やかで、代わりに進んでいる合間に娘の心情をつづった文章が画面に表示される。娘は絵本作家を夢見て都会へ出ているが、父親が倒れたと聞いて久しぶりの故郷へと向かう。。
娘でコースの端まで行くと、視点が変わり、再びコースのスタート地点から、今度は父親のキャラクターを操作する。この時、父親の眼下には、先ほど自分で操作した娘がおり、自分が操作した通りの動きを繰り返す。父親は、娘が壁に当たらないよう、先回りして壁を拓くためのスイッチを押す。娘でプレイしたときには壁は勝手に開いていたのだが、実は父親が押していたのだとそのときわかる。そして父親のキャラクターを動かしている時には、今度は父親の心情が画面に表示される。
父親の体はなんとなく透けていて、わずかに輝いている。だが、父親が生きているのか、それとも死んでいるのかは、ゲーム内では言及されない。ストーリーを進めていくと、2人の思い出や物語が語られていく。お互いのことを思いつつも、決して出会うことはない。最後に2人が会えるのかは、結末を見て欲しい。
アクション&パズルという、ドラマチックな物語とは無縁そうなジャンルでありながら、非常に抒情的なゲームで、ある日本人の参加者はプレイしているうちに、自分の娘とダブって涙が出そうになったと語っていた。
本作の日本語版は、Android/iOS版が昨年12月から、ポラリスエックスのパブリッシングで配信されている。ビジネスモデルは基本プレイ無料のアイテム課金制で、買い切り960円。
Nanali Studiosのページ
http://www.nanali.net/