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33年ぶりの新作「ボコスカウォーズII」発売記念で、ゲーム界のレジェンド集合!?
発売記念イベントで“まさか”の追加コンテンツ制作を発表!
2016年11月11日 08:00
ピグミースタジオは11月10日、プレイステーション 4/Xbox One用シミュレーションRPG「ボコスカウォーズII」の発売を記念したイベント「『ボコスカウォーズII』発売記念イベント in カルカル」を開催した。
同イベントは、1作目に引き続き制作を手がけた「ボコスカウォーズII」監督のラショウ氏と同作プロデューサーの夢工場長/小清水史氏を中心に、実に33年ぶりに新作の発売となった「ボコスカウォーズ」の歴史を振り返る3時間にもわたる壮大な内容となった。しかしそこはラショウ氏のひょうひょうとしたキャラクターもあり、笑いの絶えない3時間だった。
「ボコスカウォーズ」は、シャープのパソコン「X1」で開発され、アスキー(当時)から発売された伝説のシミュレーションRPGとしてオールドゲーマーのみならず知られるタイトル。その後ファミコンに移植され、ファン層を拡大。その独特なゲーム性は今なお語り継がれるとともに、海外も含めてファンは多い。プレーヤーを選ぶとも言えるが、同時にファンにとっては中毒性の高いゲームとも言える。
「ボコスカウォーズII」も数々の新フィーチャーが盛り込まれながらも、グラフィックスをはじめその手触り感に変わりはない(今回、グラフィックスはラショウ氏のイラストバージョンに切り替えることができる!)。ゲーム自体は横スクロールで、プレーヤーは「スレン王」として味方ユニット「兵卒」ならびに「騎士」を操作しながら、敵ユニットを撃破し、最奥部にいる最終ボス「暴君オゴレス」を倒すために突き進んでいく。
今回のイベントは、サカモト教授による「ボコスカウォーズ」の楽曲演奏で幕開け。そして、ラショウ氏がこれまで「ボコスカウォーズ」に関わってきた人たちに感謝状を贈っていく展開となった。感謝状にはそれぞれ部門があり、関連する話題に花が咲いた。
まずは、「ボコスカ伝承賞」として、漫画家のRYU-TMR氏が招かれた。レトロゲームを取り扱った連載でまず取り上げたのが「ボコスカウォーズ」と言うことでの受賞となった。
続いては「ボコスカ飛翔賞」として橋本澄彦氏が受賞。その昔「ボコスカウォーズ」は第1回アスキーソフトウェアコンテストグランプリを受賞し、パッケージ化された経緯がある。そこで関わり合いがあったのが橋本氏。ラショウ氏は「頭が上がらない」と恐縮気味。橋本氏は当時を振り返り「左スクロールということで新鮮だった。チームを組んで左に進軍していくだけで、変わったゲームだなと思った(笑)」とコメント。
「ボコスカ継承賞」を受賞したのは、元ログイン編集長の高橋ピョン太氏。実は高橋氏はプログラマー出身ということで、ベースとなったX1版からPC-8801版への移植を担当。X1はスプライト機能を持っていたが、PC-8801シリーズはその機能を持たなかったため、かなり苦労があったようだ。アスキーからは、当時最新機種だった「PC-8801mkII SR」への移植を依頼され、最新パソコンを触れるのであれば……と引き受けたが、最終的にはPC-8801への移植も担当することとなり、つらい思いをしたとか。技術的な苦労はあったが高橋氏によれば「どう早く動かすかという点とあの音楽を再現する以外は、ラショウさんのプログラムは移植しやすかった」と振り返った。
今回のイベントでは本当に様々なゲストが招かれていて、「ボコスカ拡散賞」を受賞した芸人のバイク川崎バイクさんもその1人。「BKB」の頭文字をもじってギャグにする芸風のバイク川崎バイクさんだが、「ボコスカウォーズ」と相性が良いだろうと言うことで、今後の宣伝活動に期待して一方的に授与! 戸惑いながらもギャグを連発し会場を笑いの渦に巻き込んだ。
そして、「ボコスカファン賞」を受賞したのがグラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏。ラショウ氏はイタチョコシステムというソフトハウスで独自のゲーム開発を行なうとともに、お店を構えて手売りしていた。いわばインディの元祖ともいえる販売形態で、そのイタチョコシステムのお店に通っていたのが、当時ヒューマンの社員だった須田氏だった。須田氏によれば、昼休憩に通っていたのだという。
須田氏が1番最初に購入したのが「弁当の素晴らしさをあの2度3度」。しかし須田氏によれば「どうやって遊べば良いかわからず、鞄にしまった」とか。「野犬ロデム」も難しくてゲームを進めることができなかったと振り返る。それでもその独特のグラフィックスとセンスはインパクトが大きいようで、つい最近のインディゲームのイベント「BitSummit」でもラショウ氏の作品を購入したんだとか。プロレス好きの須田氏は「ラショウ氏はインディゲームの元祖であり、業界のラッシャー木村!」と激賞した。
このほかにもケータイ版の「ボコスカウォーズ」のリリースや、Wiiヴァーチャルコンソール版を手がけた鈴木孝司氏に「ボコスカ普及賞」が贈られた。
「ボコスカウォーズ」といえば音楽も重要な要素の1つだが、もちろん用意されているのが「ボコスカ歌唱賞」と「ボコスカ音楽賞」。「ボコスカ歌唱賞」は歌手の桃井はるこさんが、そして「ボコスカ音楽賞」はサカモト教授が受賞。
桃井さんはファミコン版の「ボコスカウォーズ」……綺麗なパッケージに入った、なんと私物!……を持参し披露。ただ、歌詞が書かれた取扱説明書が入っていないという痛恨の一撃を受けていた。一方サカモト教授は「ボコスカウォーズ」の音楽の特徴をクラシックのバッハとジャズのハービー・ハンコックを引き合いに出して解説。「我々では思いつかない音楽」とのサカモト教授の説明を、ラショウ氏はうれしそうに聞いていた。そして受賞のラストに桃井さんが特別に「ボコスカウォーズII」の楽曲を熱唱。特別な条件をクリアしなければ聴けない6番まで歌い上げた。
そしてラストは「ボコスカグランプリ」。「ボコスカウォーズ」を守り抜いたとして、アスキーからエンターブレイン、KADOKAWAで法務や知財部を担当した熊本裕子氏が受賞となった。ラショウ氏は「感謝しかない」とコメント。
ラショウ氏は「ボコスカウォーズII」について「シミュレーションRPGの元祖として、その後に登場したソフトの良いところを参考にして面白いソフトを作るべきか? と考えた。しかし、シミュレーションRPGの始祖鳥(元祖)としてそのまま出すのが面白いと思った。そこからプロトタイプを作り、遊びこんで(ブラッシュアップ)していった」と「ボコスカウォーズ」らしさにこだわったことを明かした。
さらに「『ボコスカウォーズ』復活を知ったファンの皆さんの喜びの声を聞いて、『絶対に完成してやろう』と思いました。クセのあるゲームなので、私にとっても問題作になると思う。それと世に伝えてくれるのは、ファンの皆さん。本当の、本当のグランプリはファンの皆さんです」と語った。
そしてラストに、ファンにとってうれしいお知らせとして、小清水氏から「今後の展開」が発表となった。小清水氏は「『ボコスカウォーズII』はずっと遊べるようにしたい」として、「ボコスカウォーズII」に追加コンテンツとして様々なマップの追加やアップグレードを行なっていく予定だという。
追加マップの一環の構想として今回公開されたのは、実際の歴史を題材にしたモード。「源平合戦」をテーマにしたマップで、「実際の歴史を『ボコスカ』風にシミュレートしたらどうなるのか?」といったテーマがあるらしい。
1作目から2作目のリリースまで33年間かかった「ボコスカウォーズ」シリーズだが、この追加コンテンツに関しては「短いスパンでポンポン出したい(小清水氏)」ということだ。
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