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日本ゲーム大賞2016 フューチャー部門受賞作発表

来場者の期待を集めたタイトルは……?

9月15日~18日 開催

会場:幕張メッセ

入場料:一般前売券 1,000円(税込)

一般当日券 1,200円(税込)
小学生以下無料
今年も鷲崎健さんと前田美咲さんの司会進行によって受賞作が発表されていった

 東京ゲームショウ2016会場内での来場者投票にて選出される「日本ゲーム大賞2016 フューチャー部門」受賞作品の発表授賞式が開催された。

 「日本ゲーム大賞2016 フューチャー部門」は、東京ゲームショウ2016の会場内に展示された未発売作品を対象とし、イベント来場者からの投票により受賞作が選ばれる。今回はビッグタイトルや意欲的な新作が多数展示されていたこともあり、式は多くの来場者からの注目を集めていた。

日本ゲーム大賞2016 フューチャー部門受賞作品(発表順)

「龍が如く6 命の詩。」(セガゲームス)
「ファイナルファンタジーXV」(スクウェア・エニックス)
「バイオハザード7 レジデント イービル」(カプコン)
「めがみめぐり」(カプコン)
「モンスターハンター ストーリーズ」(カプコン)
「Hrizon Zero Dawn」(開発:Guerrilla Games、ローカライズ:ソニー・インタラクティブエンタテインメント)
「仁王」(コーエーテクモゲームス)
「サマーレッスン:宮本ひかり セブンデイズルーム」(バンダイナムコエンターテインメント)
「人喰いの大鷲トリコ」(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)
「GRAVITY DAZE 2」(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)

「龍が如く6 命の詩。」
選考理由:キャスティングの豪華さが想像を超えるレベル。遊びの幅も高レベルでユーザーの期待に応えている

名越氏「シリーズ開始から11年間で9回目の受賞となりますが、毎回ドキドキしています。特に今作は桐生一馬というキャラクターにとって区切りとなる作品なので、どうしても賞を頂きたいと願っていました。受賞できたことに心から感謝しています」

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名越氏「豪華キャストはこのシリーズのモットーであり、皆さんも期待している点だと思います。ビートたけしさんをはじめとして、誰もが一目見て必ず顔と名前が一致する方々が揃いました。そして今回は楽曲面でも、初めてゲームに楽曲提供されるという山下達郎さんにお願いすることができました。自分の中で「龍が如く」を作ってきた時間は、ゲームにテレビや映画に負けないエンターテイメント性をどこまで持たせられるのかという挑戦の10年間でした。その集大成として、本作が形になったと言えます。ドラマの面も濃厚にしてあり、年齢を問わず幅広いユーザーに楽しんでもらい、また涙できる作品に仕上がっています」

【質疑応答】
週刊ファミ通編集長 林氏「『龍が如く』と山下達郎さんは予測できない組み合わせでしたが、選ばれた理由は?」

名越氏「『龍が如く』は“裏社会もの”という側面があり、音楽のジャンルでいうとロックやヒップホップなどのイメージがつきやすいと思います。しかし今回は、ルックスと裏腹に根底に流れる感動的な人間ドラマを皆さんに感じ取ってもらいたかった。その感動的な部分を中心に捉えた場合、山下さんの楽曲は間違いなく当てはまっていると思ってお願いしました。会場で流れている映像を見ていただいた方には納得してもらえたと思います」

林氏「“桐生伝説最終章”と銘打たれた物語に込めた思いを聞かせてください」

名越氏「僕はリアルな人間の一生をゲームとともに見届けたいと思っています。桐生一馬は48歳になりました。遥ちゃんも1作目では9歳でしたが、当時冗談半分で『もしシリーズ化したら、この子が成長していずれは恋愛もして……』と話していたことが現実になるまで続けることができたのは幸せなことです。でもやはり人生は永遠ではないし、僕は桐生一馬にはかっこいい人でいてほしいので、、1番かっこよく終われるところを何年も前から考えていて、それはたぶんここだろうと感じて決断をしました」。

「ファイナルファンタジーXV」
選考理由:日本を代表するゲームとして世界に挑戦する作品を作り上げ、シリーズに向けられる期待に答えた点。また映画やアニメなどの新しいアプローチも評価された。

橋本氏「本作は発表から約10年の歳月が経っており、フューチャー賞を頂けたことはこれからの発売に向けての弾みとさせていただきたい。ファンの皆様の応援があってこその躍進、本当に感謝しています」

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橋本氏「本シリーズの累計は1億1千万本を超えてまいりました。最新作は本年11月29日に発売ということで、長らくお待たせしました。現在は世界中のファンの皆様に向けて体験イベントも開催中で、世界に誇る弊社の様々な技術と渾身の力を込めて開発しております。かつてはフルCGでなければ描写できなかったハイエンドグラフィックスを、リアルタイムで再現できるほど完成度の高いものとなっています。主人公たちの絡みも舞台や映画さながらのシーンが連続してまいります。召喚獣やモンスターもリアルな仕上がりになっているので、バトルの面も楽しみにしてください」

【質疑応答】
月刊Vジャンプ編集長 伊能氏「いよいよ発売ということで、今の気持ちをお聞かせください」

橋本氏「ハードの変更など紆余曲折ありましたが、時代の流れと我々のやりたかったことがやっと合致する瞬間が来たなと思っています」

伊能氏「日本を代表するタイトルへの期待は高いですが、作品の仕上がりはいかがでしょうか?」

橋本氏「世界中のユーザーやメディアの方々に実際に遊んでもらい高い評価を頂いているので、今はその完成度を磨き上げる段階に突入しています」

伊能氏「発売日、大丈夫なんですよね!?」

橋本氏「もう大丈夫です(笑)。11月29日を楽しみにしていてください!」

「バイオハザード7 レジデント イービル」

選考理由:7作目にして原点のホラーに返った作品となっており、さらにPS VRを使って新しいアプローチに挑戦した点を評価して

川田氏「東京ゲームショウが今年で20周年を迎え、同時に『バイオハザード』シリーズも20周年となりました。よき節目に受賞させていただき大変嬉しく思います」

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川田氏「シリーズ7作目の本作から、新たに様々なチャレンジを行ないました。ゲームエンジンも新開発し、コンセプト面も“恐怖”というものを改めて見直して、ユーザーに怖がってもらえる仕上がりになっています。もちろんただ怖いだけではなく、ゲームとしても面白い内容になっているので、期待して待っていてください」

神田氏「2015年のE3での技術デモ『KITCHEN』の発表以来、ユーザーのリアクションを汲み取りながらPS VR完全対応タイトルとして開発を進め、今年6月に本作のタイトルを公開しました。今回のゲームショウ以降は『バイオハザード』らしく、恐怖をアピールしていきたいです」

【質疑応答】
電撃PlayStation編集長 西岡氏「試遊ブースでユーザーが悲鳴を上げている光景が印象的でしたが、開発者としての感想はいかがですか?」

川田氏「『怖すぎるんじゃないか?』と言われることも多く、事前に身構えられるのは少し心配です。でもゲームを通して遊んでもらえば、エンターテイメントとしてよくできた作品だと感じてもらえると思います。単に怖いだけのゲームではないので、ぜひ最後まで遊んでもらいたいです」

西岡氏「これまでのシリーズと意識して変えている部分はありますか?」

川田氏「全般的に大きく変わっています。カメラの視点が主観視点に変わったことで、よりダイレクトに恐怖を感じてもらえる作品を目指しています」

「めがみめぐり」

選考理由:交通系ICカードと連動した新しいゲームシステムと、プレーヤーとのコミュニケーションを記憶し成長する新技術が評価された。

小林氏「この作品はシリーズタイトルが多いなか、完全新作として3DS用に開発しています。いろいろな仕掛けなど技術的にも意欲的な作品となっており、自信を持って制作を進めております」。

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野中氏「本作は新開発の「めがみスピークエンジン」という、ユーザーが入力した単語をフルボイスで発音しながら会話する技術を投入したお喋りコミュニケーションゲームです。新米ツクモガミのツクモちゃんを、会話を通じて育てていくという内容になっています。全国10種類の交通系ICカードと連動することで、ユーザーが利用した駅や買い物の情報をツクモちゃんとのコミュミケーションに取り入れることができます」

【質疑応答】
林氏「一見するとカプコンらしからぬ雰囲気ですが、こういった尖った作品を作るのが昔ながらのカプコンらしさだとも感じます。社内でも通りにくい企画だったと思いますが、立ち上げから今日までの経緯を聞かせてください」

小林氏「本当に苦労の連続なタイトルで、元々は野中が3DSで交通系ICカードを使った作品を作りたいという企画から始まりました。最初はツクモちゃんもいない状態から始まり、ICカードを使って電車に乗り、その情報からキャラクターとコミュニケーションをするという形に発展していきました。カプコンとしても珍しいタイトルなので、社内の理解を得るのは大変でした」

林氏「新規タイトルとして、1番の見どころを野中さんにお聞きしたいです」

野中氏「ツクモちゃんとのコミュニケーションにつきます。新技術を導入していることで話題性が出ていますが、中身はカプコンらしくこだわり尽くしたコミュニケーションゲームになっています。そのこだわりのゲーム性を女の子とのコミュニケーションに落とし込んだ結果をぜひ見ていただきたいです」

「モンスターハンター ストーリーズ」
選考理由:モンスターハンターの世界観を見事に継承したうえで、ジャンルを変えて遊びの幅を深く広げた点。

辻本氏「本作はアクションゲームとして展開してきたシリーズをもとに、別の形でタイトルを立ち上げたいという気持ちで企画しました。RPGというジャンルにはシリーズとして初めて飛びこみますが、モンハンの名に恥じないゲームを作ることを目指しています。1作目ですがスタッフ一同が大作RPGを作る気持ちで挑んでいるので、ぜひ手に取って遊んでください」。

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辻本氏「今回はシリーズ初のRPGとなります。これまでシリーズに登場した様々なモンスターを、より身近に感じてもらいたく、従来のハンターという職業とは別にライダーという新たな職業を設けました。ライダーはモンスターと共に生活している民族で、ハンターとはまた違う視点でモンスターを見ています。様々な災いや謎が展開するストーリーとともに、モンスターを集めて自分なりに育て上げる楽しさを味わってもらいたいです」。

【質疑応答】
伊能氏「ビジュアルがとてもいい形に仕上がっていると感じます。シリーズ作品を別の形で手がける際はビジュアルの設定など難しいと思いますが、今の形に至った経緯や苦労は?」

辻本氏「モンスターにスポットを当てたゲームにしたかったので、彼らに愛着が湧くようなビジュアルを目指しました。テーマとして“絆と目覚め”という要素をシナリオに盛り込んでいるので、冒険心を感じられる絵にしたかった。絵のタッチは現在の形になるまでに色々な案を検証し、1番マッチするものを選びました」

伊能氏「シリーズのファンと、新しいユーザーにそれぞれアピールしたい点は?」

辻本氏「シリーズをプレイしていたユーザーは、これまで得たモンスターの知識を活用できます。パワー・テクニック・スピードという項目があり、モンスターによって『こいつはこういう行動をしそう』というクセを見抜いて戦えます。また火や氷といった属性も従来通り絡んでくるので、そういった知識も活かしてもらえます。これまで狩る対象だったモンスターが、別の立場から見たらどのように描かれるのかに注目してもらいたい。新しいユーザーには、まずジャンルがRPGということで、アクションが苦手でとっつきにくかった人もこの機会にシリーズを知ってほしい。時間をかけて自分やオトモを強化していけば、必ずゴールまでたどり着けるようになっているので、ぜひプレイしてもらいたいです」。

「Hrizon Zero Dawn」
選考理由:トップクラスのグラフィックスと興味深い世界観など、圧倒的なクオリティが評価された。

石立氏「ゲリラゲームズのチームは今朝日本を経ってしまいましたが、直前にこの結果を伝えることができ、とても喜んでいました。日本のローカライズチームも式に出席したかったのですが、制作が大詰めのためどうしても作業から離れられませんでした。彼らもいい日本語版を届けられるよう頑張っています。また、受賞を伝えたゲリラゲームズチームからメッセージを預かってきました」。

(ゲリラゲームズからのメッセージ)
「日本の皆さんに投票していただき、フューチャー賞を受賞できたことを誇りに思います。ぜひ皆さんに遊んでもらいたいので、いい形のものを届けられるよう頑張ります」。

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石立氏「本作は『KILLZONE』シリーズで有名なゲリラゲームズが手がけるオープンワールドのアクションRPGです。舞台は人類の文明が失われ、原始人のような状態からようやく復活してきた時代。世界は人類の代わりに様々な機械たちが地上の王者として闊歩しています。そんな状況の中で、主人公のアーロイという女性ハンターがなぜ人類は滅んだのかという謎を求めながら、機械を狩ったり、他の人類と出会い協力したり、あるいは戦ったりします。アクションの手触りが大変素晴らしいので、ぜひ実際に遊んでもらいたいです」

【質疑応答】
西岡氏「新規タイトルとしては期待度がとても高いが、どんな感想を持っていますか?」

石立氏「E3やgamescomでも非常に好評で、TGSでもこういった賞をいただき、期待の高さは痛感しています。ゲリラゲームズもその点は重く受け止めており、今年中の発売を目指していましたが、残念ながら当初の発売日を変更させてもらいました。しかしそのぶん新規IPとは思えないほど完成度の高い作品になっています」

西岡氏「ローカライズプロデューサーとして期待してほしい点は?」。

石立氏「SIEとしては『アンチャーデッド』シリーズと同じチームがローカライズを担当していて、チーフの谷口がとてもRPG好きということもあり、彼女のローカライズが素晴らしいという点です。それから敵の機械の動きを見極めて倒す戦略性の高さも期待してもらいたい」。

「仁王」

選考理由:キャラクターもアクションも骨太で、徹底的に和のテイストにこだわった点が評価された。

鯉沼氏「フューチャー部門ということで、本作が頂いてもいいものかと迷いもありました。2005年の制作発表から10年以上が経ってしまいましたが、いよいよ完成の目途が立ち来年の2月9日に発売を迎えられます。3回の作り直しの甲斐があり、面白いものができた手ごたえがあるので期待してください」。

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鯉沼氏「最初の発表では“戦国ダークファンタジー”から始まり、最終的に“戦国死にゲー”という非常に痺れるアクションゲームとなりました。時代は戦国時代、徳川家康や石田三成が生きた時代で三浦按針=ウィリアム・アダムスという人物を主人公に、彼が日本に渡ってきて、どう物語が繰り広げられていくのか。アクションとともにストーリーもしっかりしたものになっています。これまでアルファ版とベータ版を世界各国で公開して、ユーザーの意見を盛り込んで作ってきました。ぜひ多くの人に遊んでもらいたいです」。

【質疑応答】
林氏「“戦国死にゲー”ということで、実際はどれぐらいの歯ごたえのある難易度なのか気になります」。

鯉沼氏「アルファ版の時点では国内では難しすぎるとか、海外ではちょうどいいなどさまざまが意見がありました。ベータ版では難易度については満足との評価が得られましたが、もう少し快適に遊びたいという意見が挙がっており、徐々に反映と調整をしています。最終的にはワールドワイドに遊びやすいものを提供したい」。

林氏「本作はTeam NINJAにとっても新しいチャレンジとなったのでは?」。

鯉沼「発表当初はコーエーテクモではなくコーエーとして作っておりまして、その後シブサワとTeam NINJAが作ることになり、私が合流しダークファンタジーとストーリー面を確立した上で死にゲーという方向を打ち出しました。さすがTeam NINJAはアクションゲームを作る技量が高く、そのセンスが活きたタイトルになりました」。

「サマーレッスン:宮本ひかり セブンデイズルーム」

選考理由:PS VRを代表する作品として注目を集め、VRというジャンルのひとつの形を築くだろうという期待。

玉置氏「このような権威ある賞を頂き大変嬉しいです。日本ゲーム大賞という名前の賞で、日本のキャラクター表現にこだわって皆さんが作ってこられた作品の系譜に、本作も加われるチャンスをいただいた思いでありがたく感じています。本作はVRを用いたキャラクターコンテンツであり、それがフューチャー賞を頂けたこと、本作が日本のゲーム業界の中で、未来の選択肢のひとつとしてあり得ると感じていただけたことが光栄です」。

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玉置氏「本作はキャラクターに主眼を置いたVRコンテンツです。ヒロインの宮本ひかりの家庭教師になり、コミュニケーションをしていくゲームとなります。1番の注目点は、VR空間の中で自分の目と鼻の先にキャラクターが本当に存在すると信じられるほど、実感を伴った体験ができる点です。技術デモから製品版へと進化するにあたり、家庭教師としての遊びも数多く盛り込んでいます。その遊びを中心として、様々なシチュエーションやコミュニケーションを長期的に開発し展開していくプロジェクトになっています」。

【質疑応答】
伊能氏「今年のゲームショウはVRの印象が強く、その中でも本作は代表作と感じられます。ここに至るまでの経緯や感想を聞かせてください」。

玉置氏「本当に目の前にキャラクターがいるという体験が素晴らしいことはわかっていましたが、それがユーザーに支持してもらえるかどうか、覚悟を決める必要がありました。この方向性は日本のゲーム業界にとってアリなんだという覚悟を決める時に、ユーザーから『サマーレッスンはいつ製品化されるのか』という声をたくさん頂いたおかげでここまで来れたことは間違いありません」

伊能氏「この先にVRを使ってやりたいことや、思い描いていることは何ですか?」

玉置氏「まず『サマーレッスンでこんなことをやりたい』というユーザーからの要望をたくさん頂いています。その中から実現できそうなことをピックアップしていきたい。“キャラクターが本当にそこにいる”ことがテーマなので、もっとその感覚が味わえるような体験や、目の前にいるキャラクターとやってみたいことなど、期待に応える展開を目指したいです」。

「人喰いの大鷲トリコ」
選考理由:世界的に待望されており、独特の世界観と独特のシステムを高いレベルで実現した点。

北尾氏「本作は去年もフューチャー部門を頂いており、その受賞後に延期を発表することになってしまいました。楽しみにしてくれていた皆様には本当に申し訳なく思っています。それにも関わらず、今年も沢山の投票を頂けたことは本当にありがく感じています」。

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北尾氏「本作は古代遺跡を舞台に、少年と大鷲トリコの冒険を描くアクションアドベンチャーです。人間と人喰いの大鷲という、本来は一緒に行動するはずのない両者が絆を紡いでいく作品になっています。注力しているのはトリコのリアリティー。トリコは架空の生物ですが、この世界のどこかに本当にいるようなリアリティーを追及しています。ゲームではありますが、ゲームの中に本物の命が宿ったような体験をお届けしたいです」。

【質疑応答】
西岡氏「雰囲気がとても大切なゲームだと思いますが、プロモーション展開をする際に気を付けている点は何ですか?」

北尾氏「このゲームはいろいろなものを見せてしまうと、それが即ちネタバレになってしまうので、“あまり見せない”ことを意識しながら、どうやって沢山の人に知ってもらえるかを工夫しています。ビジュアルイメージやロゴも非常にこだわって作られているので、素材は少ないがひとつひとつを大事に大きく扱うことを目指しました」。

西岡氏「プレイアブル出展の回数が非常に少ない本作ですが、プレイするとどんなゲームだと感じるのでしょう?」。

北尾氏「トリコのリアリティーというか、本当に生き物と一緒に行動している気持ちになれます。トリコは樽が大好物で食べるのですが、その樽を口に放ってあげる時に間違えて顔に当てたりすると、思わず画面に向かって謝ってしまいます。本物の動物と戯れている感じを味わえると思います」。

「GRAVITY DAZE 2」

選考理由:2012年の年間作品部門を受賞した前作から、ハードを変更したことで独特の操作性と世界観を進化させ、ユーザーの期待に答えた点。

外山氏「近年稀に見るほど大作が粒揃いの年に、こうして支持を頂けて本当に嬉しく思います。我々は携帯機から始まったチームでコアメンバーの数も多くはありません。職人気質で制作しているチームなので、今回の受賞は心から励みになります」。

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外山氏「本作は前作に比べて全てがスケールアップしています。それはマップの広さや作り込み、ストーリーなど全ての要素に及びます。アクションもシンプルながら爽快感のある前作のテイストを忘れず、そこにやりこみの楽しさや奥深さも加えました。そのうえで主人公キトゥンの物語の完結編となる作品なので、前作からの結末が気になる方にはぜひ遊んでもらいたいです」。

【質疑応答】
林氏「前作は比類のない独特の個性を持つ作品でしたが、ハードがPS4になったことでその個性がより広がったと感じます。今回特に注目してほしい点はどこですか?」。

外山氏「“重力アクション”というコンセプトにおいて、PS4の性能から受ける恩恵は大きいです。主人公の何気ないアクションで影響を受ける周囲の物の挙動など、説得力が格段に増しています。風景の自然な空気感もアップしているので、前作よりも遥かに高い没入感を味わってもらえると思います」。

林氏「アクション的にもできることが増えていますか?」

外山氏「“重力を操る”という言葉で難しそうに感じるかもしれませんが、シンプルな操作性を崩さずに出来ることを増やしました。重力特性を変えるシステムと合わせて簡単操作で多様なアクションが可能になっています」。

日本ゲーム大賞選考委員 浜村弘一氏 講評

 「率直な印象として、ハイエンドゲームがようやく来たなと感じました。今回の受賞作は10作品中8作品がハイエンドゲームとなっています。海外ではハイエンドが驚異的なスピードで普及していますが、日本はどうしても携帯ゲーム中心になりがちです。そんな状況でこれだけハイエンドのゲームが受賞したというのは、注目すべきことだと思います。ちょうどこの年末から年明けにかけて、シリーズのナンバリングや完全な新作タイトル、さらに構想10年以上という大きな作品までがズラッと並びます。さながら“惑星直列”のような状況になるので、おそらく強烈な引力が発生するはず。この引力によってゲーム業界がまた大きく動く予感がします。さらに今回のフューチャー部門は、ゲームの未来を作るようなVRのタイトルも投票によって選ばれています。また携帯ゲーム機の分野でも、ICカードを使った新機軸の作品や、ビッグタイトルのRPG化などもあり、年末年始はこういった面白いゲームが市場をけん引していってくれるのではないかと期待しています」。