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VR空間でうららと再会! 「Linked-door loves Space Channel 5」
他のプレーヤーとVR空間を共有、auが模索する新時代コミュニケーション
2016年9月17日 08:00
TGS2016では様々なVRコンテンツが展示されているが、話題を集めた作品の1つがauがVR体験コーナーで展示した「Linked-door loves Space Channel 5」だろう。様々なアプローチでVRコンテンツを製作するモノビットの技術に、auが提示する新しいコミュニケーションの形、そしてグランディングによる「スペースチャンネル5」の世界観の提示が加わったユニークなコンテンツが体験できるのだ。
「スペースチャンネル5」はセガがドリームキャストで展開したコンテンツであり、その世界観から多くのユーザーを魅了し、今なお人気がある。VRコーナーには様々なコンテンツがあるが、“「スペースチャンネル5」に再会したい!”したいというユーザーは多く、ビジネスデイですら朝早くに予約でいっぱいになる人気だった。今回はコンテンツのレポートをしていきたい。
リゾート空間で楽しむコミュニケーション。しかし突然宇宙人襲来!
今回出展されたのはauが模索する新しいコミュニケーションの形「Linked-door」の特別バージョン。「Linked-door」ではプレーヤーは“ドア”を通じてVR空間を旅する。ドアの先には様々な世界があり、他のプレーヤーと交流が楽しめる。
プレーヤーは携帯電話で電話をかけるように相手を呼び出すと、相手の空間に“ドア”が現われ、それをくぐることで様々な世界に行ける。今回の「Linked-door loves Space Channel 5」では、ガイドのフォローを受けながら、別室にいるプレーヤーと交流を楽しみ、さらに「スペースチャンネル5」の世界に飛び込み、ガイドを含めた3人でうららを応援、モロ星人に踊らされている人々を助けるのに協力することとなる。
プレーヤーはまずHTC Viveを身につける。そこで自分のアバターを男か女かを選択。その後ガイドにお指示に従い、目の前に現われたドアを開け中を通って様々な世界に行くことになる。通常のVRコンテンツと異なり、別室にいるもう1人のプレーヤーも世界を共有しており、コミュニケーションが楽しめるのが大きな特徴だ。
プレーヤーは最初真っ白な何もない空間にいる。周りを見回すとガイドともう一人、別室でHTC Viveを身につけているプレーヤーのアバターも見える。そしてガイドの声と共に目の前にドアが現われ、くぐると開放的な南の島のビーチに移動する。個々では自分を追いかけてくるかわいらしい子犬がいる。手に持ったデバイスを近づけ、なでるように動かすと犬は甘えた声を出し、笑顔を浮かべる。
次の空間はホテルのテラスで夕闇に包まれつつある海を見ていると言うシチュエーション。テーブルの上のグラスを取ってふれあわせることで乾杯できたり、反対にあるダーツをプレイできたりする。
筆者がプレイした時はもう1人のプレーヤーがかなりの暴れん坊で、いきなり両手にグラスを持ってしまったためにガイドと3人での乾杯ができなかったり、ガイドが何かを言う前にぶんぶんダーツを投げてしまっていた。
そういう行動を見ていると、逆にこちらは行儀良くなってしまう。こういう感覚はまさにオンラインゲームだと感じた。落ち着きがないプレーヤーを前に、こちらは冷静になってしまうというのは、MMORPGで多くの人が経験したことがあるのではないだろうか。
そうしていると突然ガイドがこちらに呼びかけてくる。どうやら宇宙ステーションを宇宙人が襲撃しているらしい。現われたドアをくぐるとそこは「スペースチャンネル5」の世界。自分の周りでは宇宙人に踊らされている人々と、そしてそれに立ち向かう“うらら”がいる。プレーヤーはガイドの指示の元、手を振ってうららを応援する。
音楽はどんどんハイテンポになって、思わずこちらも踊るように激しく手を振ってしまう。アクションとしてはシンプルだが、思わず軽く汗をかいてしまった。なんと言っても360度、すべての世界が「スペースチャンネル5」の世界というのは、それだけで本当に楽しい。挑戦したプレーヤーの中には本当にうららと踊ってしまう人もいたり、見ていてもとても楽しかった。
会場でグランディングの代表取締役であり、「スペースチャンネル5」でアシスタント・プロデューサーを務めた岡村峰子氏に話を聞いたのだが、「スペースチャンネル5」の世界には入れるというところに強く手応えを感じたとのこと。今回はあくまでテストに近いコンテンツであるが、今後何ができるかも考えていきたいということだった。
また、今回「スペースチャンネル5」の世界をVR空間化したことで、改めて世界観やコンセプトが時代を超え、今でも全く古びていないことに制作者である岡村氏自身も驚いてるとのことだった。今後どのような展開があるかも期待したいところだ。
ビジネスコーナーで出展していたモノビットスタッフにも話を聞いたのだが、今回のコンテンツ開発は、モノビットカフェをauでの担当者が訪れ、「新しいコミュニケーション」というテーマで何かできないかを相談されたのがきっかけだったとのこと。「モノビットエンジン」を活用することでのコミュニケーションの方法も色々な活用を考えているという。
そして、モノビット自身はチャットシステムにとどまらず、さらに一歩踏み込み、VRでMMORPGを実現できないかの模索も行なっており、基幹となる技術を開発しているとのこと。こちらの展開も大いに注目していきたい。