ニュース
大賞は「Splatoon」! 日本ゲーム大賞2016受賞作発表
2016年9月16日 08:00
今年で開催20周年を迎えた「日本ゲーム大賞」。誰もが想像しなかった新しい発想の作品、大流行により時代の象徴となった作品と、これまで様々なジャンル、様々な表現の作品が受賞してきた歴史ある賞だけに、この日、会場に集まった各メーカーの制作スタッフの代表者たちは、いずれも緊張の面持ちに包まれていた。
それでは、2016年の受賞作品を紹介していこう。
■ 年間作品部門 大賞
「Splatoon」(任天堂)
■ 年間作品部門 優秀賞
「ウィッチャー3 ワイルドハント」(開発:CD Projekt RED、ローカライズ:スパイク・チュンソフト)
「妖怪ウォッチバスターズ 赤猫団/白犬隊」(レベルファイブ)
「METAL GEAR SOLID V : THE PHANTOM PAIN」(KONAMI)
「スーパーマリオメーカー」(任天堂)
「モンスターハンタークロス」(カプコン)
「Minecraft」(Microsoft)
「Fallout 4」(ベセスダ・ソフトワークス)
「ドラゴンクエストビルダーズ」(スクウェア・エニックス)
「DARK SOULS 3」(フロム・ソフトウェア)
■ ゲームデザイナーズ大賞
「Life Is Strange」(開発:DONTNOD Entertainment、ローカライズ:スクウェア・エニックス)
■ ベストセールス賞
「モンスターハンタークロス」(CAPCOM)
■ グローバル賞 日本作品部門
「大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U」(任天堂)
■ グローバル賞 海外作品部門
「コールオブデューティー:ブラックオプス3」(Activision / Treyarch)
■ 経済産業大臣賞
「ドラゴンクエスト 30周年プロジェクトチーム」(スクウェア・エニックス)
経済産業大臣賞
「ドラゴンクエスト 30周年プロジェクトチーム」
堀井氏「30年前に初めて『ドラゴンクエスト』を作った際は、まさかこんなに長く続くシリーズになるとは思いませんでした。これまでシリーズを支えてくれたファンの皆様、スタッフの方々に感謝します」
市村氏「この賞はゲーム業界に貢献された方がいただく賞だと思っておりますので、プロジェクトとしての取り組みを評価していただいたことは、驚きとともに大変光栄なことだと感じております。あわせて、30年前に『ドラゴンクエスト』を作ってくれた堀井さんをはじめ、原作スタッフの皆様にも感謝を送りたいと思います。僕自身、『ドラゴンクエスト』が大好きでこの業界に携わり、このポジションで仕事をしている以上、僕らだからこそできる“ドラクエの30周年のお祝い”って何だろう、と、3年ほど前から考えておりました。志を共にする仲間と一緒にここに辿り着くことができたのは、作品を支えてくれるファンのおかげだと思っております。ありがとうございます」。
グローバル賞 日本作品部門
「大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U」
――2年連続の受賞となったが?
桜井氏「この賞は“世界で1番販売した日本の作品に贈られる”と聞いていましたので、本作が2年連続の受賞となったことにはかなり驚いたと同時に、開発者として素直に喜べないことでもあるのです。というのも、日本のゲーム作品が世界累計販売トップ10から、ついに姿を消したという情報を事前に聞いていたからです。ごく一部の人々が熱狂的になるような作品というのもゲームとして正しい姿ではあると思いますが、反面、より多くの人々に作品が届いたほうがやはり素晴らしいと思います。日本のゲーム作品の存在感を示すために、私も頑張ります。皆さんも一緒に頑張りましょう」。
グローバル賞 海外作品部門
「コールオブデューティー:ブラックオプス3」
「ActivisionとTreyarchを代表して、心から御礼申し上げます。私たちの素晴らしいパートナーであるソニー・インタラクティブエンタテインメント、そして、日本の『コールオブデューティー』のファンの皆様に、心から感謝致します。もうすぐ私たちの新しい作品をお見せすることができます。これからもよろしくお願いいたします」。
ベストセールス賞
「モンスターハンタークロス」
小嶋氏「本作はナンバリングタイトルではありませんが、ナンバリングタイトルではないだけに様々な挑戦を行ないました。それが販売数に繋がったものと思っております。もちろん、何が1番かといえば、遊んでくれたハンターの皆様のおかげです」。
一瀬氏「ただただ感謝の一言です。ありがとうございました」。
ゲームデザイナーズ大賞
「Life Is Strange」
――この賞は、ゲームクリエイターがゲームクリエイターに贈る賞であるが?
「ありがとうございます。まずは日本発売に向けたローカライズを担当してくれた日本のスタッフの皆様に感謝します。本作の開発には多大なる情熱を注ぎました。世界中のプレーヤーに評価をいただけたことを感謝いたします。これまでも各メディアの方々に様々な評価をいただき、これ以上の驚きはないだろうと思っていましたが、この賞を受賞し、さらに驚いています。DONTNOD Entertainmentのスタッフのほとんどは日本のクリエイターの作品に影響を受けており、プロになった今も日本の作品のクリエイティヴな面に驚かされております。そうした、尊敬やまない日本のクリエイターの方々に、本作を選出いただき光栄に思います。この作品と多くの時間を過ごしてくれた皆様、本当にありがとうございました」。
年間作品部門 優秀賞
「ウィッチャー3 ワイルドハント」
(スパイク・チュンソフト本間氏により、開発チームCD Projekt REDのコメント、代弁)
「このような名誉ある賞に選出いただき、誇りに思います。優秀であることを称賛されることは、開発者にとって光栄なことです。何故なら、多くの開発者が優秀であることを目標にしていますが、それを達成できる人は、ほんのわずかな人に限られるからです。その優秀さを具現化したこの賞を受賞できるという事実は、何事にも変えられない喜びです。我々CD Projekt REDは、今後もこの賞を糧に新作の開発に邁進していきます」。
「妖怪ウォッチバスターズ 赤猫団/白犬隊」
日野氏「『妖怪ウォッチ』は、もともと家族みんなで楽しめるように作った作品です。この作品は4人で一緒に遊ぶことができるスピンアウト作品ですが、大人と子供が一緒に楽しむ姿を多くの場所で見ることができて本当に嬉しいです」。
本村氏「『妖怪ウォッチ』のアクションゲームって、どういう作品にするのがいいのかな? と考えた際に、“真剣に遊ばないアクションゲーム”があってもいいのではないかと思って本作の開発に着手しました。4人で笑いながら遊べるギャグアクションと言うべきでしょうか。開発チーム全員でアイデアを出し合って笑える要素を詰め込んだ結果、楽しんでいただけたという皆様の声を聞くことができて嬉しく思います」。
「METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN」
堀内氏「大変栄誉な賞をいただくことになり、まことにありがとうございます。本作やこれまでの『メタルギア』シリーズを応援してくれたファンの皆様のおかげだと感じております。今後とも『メタルギア』シリーズを皆様に喜んでいただける作品として続けていけるよう、全力で努力していきたいと思っておりますので、引き続き応援の程、よろしくお願いいたします」。
「スーパーマリオメーカー」
「歴史ある賞を受賞し、大変感激しております。昨年9月の発売以来、現在も、簡単なコースから難しいコース、謎解きが必要なコース等、様々なコースを世界中のユーザーから投稿していただいています。開発スタッフも、ユーザーの皆様による独創的なコースの数々に毎日驚かされております。そんなコースに挑む動画をネットで配信したり、それを見て楽しんだりと、ファンによってそれぞれの楽しみ方でこの作品にふれてくれることを大変嬉しく思います。そういった、作品によるユーザー同士のコミュニケーションが、より多くの人々を楽しませている一因ではないかと感じております」。
「モンスターハンタークロス」
――ベストセールス賞も受賞し、二冠。
一瀬氏「開発一同より、感謝の気持ちをこめまして、ありがとうございます。今回の『モンハン』はお祭り感のある内容にしようと話し合い、チームメンバー一同により、いかにして楽しさや面白さを『モンスターハンター』の世界観の中で充実させていけるか、検討して制作しました。アクション部分をより強化した個性豊かなスタイルや狩技、アイルーの操作等、新しい面がファンの皆様に評価していただけたのではないかと思います」。
小嶋氏「繰り返しますが、本当にありがとうございました」。
「Minecraft」
(日本マイクロソフト野間氏により、海外開発チームの代弁)
「世代を越えて楽しんでいただけているようで、関係者一同、嬉しく思っております。この誉れ高い賞を2年連続で受賞できるとは思いませんでした。これを実現できたのは私たちの力だけではなく、このタイトルを愛し、プレイしていただいたユーザーコミュニティの皆様のおかげです。『Minecraft』はファンの皆様が作り上げたものです。今回は特に、日本のユーザーの皆様に感謝の言葉を伝えさせていただきます。日本の皆様は、数多くの独創的なプレイスタイル、スタッフが全く想定していなかった新しいプレイスタイルを、コミュニティに共有してくれました。そのことも含め、最高の賞であると思っております」。
「Fallout 4」
(意訳)
「私たちのチームワークにより、この栄えある賞を勝ち取ったことを大変光栄に思います。ファンの皆様、ありがとうございます」。
「ドラゴンクエストビルダーズ」
――「ドラゴンクエスト」開発チームは経済産業大臣賞も受賞し、二冠。
堀井氏「初めてこの作品を見た時は“「ドラゴンクエスト」としてどうなんだ?”と思いましたが、実際にプレイしたら、とても面白く、かつ、とても“「ドラゴンクエスト」っぽい”作品に仕上がっておりました。私が初めて『ドラゴンクエスト1』のマップを作った時も、ブロックで製図したものです。この作品が、その初心を思い出させてくれました」。
大西氏「本作は自由に物作りを楽しむサンドボックス的な要素と、ストーリーを楽しむRPG的な要素を融合した新しい『ドラゴンクエスト』。それが受け入れられるかどうかとドキドキしておりましたが、この賞を受賞したことで、皆様に受け入れてもらえたことを実感し、嬉しく思います。あと、(司会の)伊集院さんが本作をやりこんでくださっているのを存じております。サブタイトルは“アレフガルドを復活せよ”なのに、アレフガルドを破壊しているような……」。
(伊集院氏、苦笑するも)
――そういった正反対のプレイでも遊べるし、町を構築するプレイ、ストーリーを追うプレイ等、あらゆるプレイスタイルに対応している。
大西氏「自由度の高い作品にストーリーを入れることは本当に大変ですが、バランスを含め、上手く作ることができたかなと感じております」。
「DARK SOULS 3」
「本作はシリーズの大きな区切りとして開発したものですので、ユーザーの皆様に素晴らしい賞に選んでいただき、光栄に思っております。開発チーム、営業チームを代表してお礼を申し上げます」。
年間作品部門 大賞
「Splatoon」
――ファン代表のご家族にトロフィーを授与された感想は?
(野上氏、感極まり、しばらく声に詰まるが、)
「こうしてファンの子からトロフィーをいただけたことが本当に嬉しくて……。小さなお子様からお母様まで一緒に楽しんでくださっているようで、本当に嬉しく思います。それだけでなく、真剣に、いわゆるガチでゲームを楽しむプレーヤーの皆様にも非常に熱い支持をいただいています。ネットには本作のコミュニティが存在しており、ユーザーによる試合や大会が行なわれたりと、それが『Splatoon』を牽引する要因にもなっていまると思いますので、大賞に選んでいただけたのは、ユーザーの皆様のご支持のおかげだと思っております。本当にありがとうございます。来週末から行なわれる“Splatoon甲子園”でも、ユーザー同士の熱い戦いが見られると思いますので、ご参加いただいたり視聴したりして、一緒に『Splatoon』を盛り上げていければと思います。今後ともよろしくお願いいたします」。
――新しい作品を作るプレッシャーがあったと思うが?
野上氏「本日ノミネートされたシリーズ系の作品に比べれば、まだまだヒヨッコな作品ですが、僕たちは、ゲームやゲーム以外の様々な物事に育てられてきた世代だと思っておりますので、そういった情熱や愛情をこの作品に注いできたつもりです。“ゲームに育てられた世代”が作った作品が、大人から現代の小さなお子様に至るまで、たくさんのご支持をいただけている。この結果は、我々開発スタッフにとって非常に喜ばしいものです」。
画質やボリューム、リアリティにこだわる作品が世界規模で増え、VRが話題となる一方、独創性や爽快感、世代を越えて楽しめるわかりやすさとアイデア等、ゲームというエンターテインメントに求められる個性が光る作品が多かった、今年の日本ゲーム大賞。
会場では、日本ゲーム大賞開催以降の20年間で受賞した作品を展示・試遊可能なブースも設けている。皆さんも、過去、現在、未来のゲームの在り方に、想いを馳せてみてはいかがだろうか。