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SIEJAプレジデント盛田厚氏「タイトルが出そろったプレイステーション 4に期待してほしい!」

9月15日~18日 開催

会場:幕張メッセ

入場料:一般前売券 1,000円(税込)

一般当日券 1,200円(税込)
小学生以下無料

 「東京ゲームショウ2016」の初日となる9月15日に、ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア(SIEJA)のプレジデントを務める盛田厚氏にインタビューをする機会を得たので、ここでご紹介していこう。

強力なラインナップとともに、ハード面でも新型プレイステーション 4、プレイステーション 4 Proが加わり、新ラインナップ強力に推し進めていく

――今後のPlayStation Vitaの展開について教えてください。

盛田氏:ご存じだと思うのですが、PS Vitaと「Minecraft」のおかげですごく拡大できました。2年間くらいかけて取り組んできたのですが、イベントをやって子どもたちにアンケートを採ると、まだPS Vitaを持っていないとか、「Minecraft」を買っていないという子が結構いて、単純計算で行くと、まだ倍売れてもおかしくないと思っています。ですのでPS Vitaと「Minecraft」のキャラバンというのは、この年末も加えてずっと続けていきたいと思っています。「ドラゴンクエストビルダーズ」(スクウェア・エニックス)も含めてですが、子ども層へのアプローチと拡大というのは重要だと思っています。そこは力を入れていきたい。

 子ども層にリーチしたいというのは、着任した2年前から思っていることなのですが、子どもの頃からコントローラーを使ってくれているか、使ってくれないかというのはすごく重要で、子どもの頃にピアノを弾いていなければ、大人になっても太刀打ちできないのと同じですよね。子どもが慣れ親しんでくれるというのは重要です。しかし案外と子どもたちはコントローラーを使ってゲームをプレイしていないんじゃないかと。十分とはいわなくても、PS Vitaでかなり子ども層を拡大できたので、子どもたちにゲームの楽しさを知ってほしい。そう言う意味で、子どもたちに愛されるキャラクターを作り上げることによって層を広げていきたい。それに加えて、ソニーグループには数多くのグループ会社がありますので、みんなで連携することによって、何かおもしろいことができるのではないか。そこにチャレンジしたいです。

 これは具体的に何、と言えるところまでは来ていないのですが、来年くらいには何か、お話ができると思います。リアルなイベントもあるかもしれませんが、アニメだったり音楽だったりゲームだったり、いろいろな展開はやっていきたいですし。できればそれらが連動していて、こっちとこっちが合わさると楽しいとか、そういったことをやりたいですね。

――プレイステーション 4 Proも出ましたが、それは裾野を広げるというか、ユーザー層を拡大するということなのでしょうか?

盛田氏:今回、新型のPS4とPS4 Proを出したというのは、いかにプレイステーションのユーザーを拡大するかというのが目的です。日本でいうと、この9月にタイトルが揃い、本当に日本に揃えたかった、ユーザーが待ち望んでいたタイトルがほぼ出そろったのではないでしょうか。そのタイミングに合わせて、我々はマジックプライス(購入者が買いやすい価格帯)だと思っているのですが、新型のPS4を出したというところですね。ですので買うかどうか悩んでいた人、迷っていた人たちに一気に拡大していきたいというのが1つ。

 もう1つはプレイステーションはこれまで、ライフサイクルが長かったんですね。今は市場環境が変わってきていて、PCやスマートフォンが1年サイクルで新しい機種が出ている。我々のチャレンジとして、これまででいうと今は中間地点なんですが、そこにハイエンドモデルを出すことによって、PCユーザーとか、アップグレードされていくPCを見ている人たちにPS4を、買い換えを含めてもっと楽しんでもらおうということにチャレンジしたい、というのがPS4 Proなので。拡大していきたいということと、横に広げたいということを、これを通じて図っていきたいですね。

――PS4 Proはどれくらいのユーザーに受け入れられるとお考えですか?

盛田氏:台数は言えないですが、PS4を遊んでいただいていて、ハイエンドを望まれている層とか、PCゲームのユーザー、あるいは4Kのテレビを持っている人、買おうと思っている人など、ハイエンドのゲームを楽しみたいと思っている人がターゲットですね。

――先日「PlayStation Now」がPCに対応したり、スマートデバイス向けのゲームを作るフォワードワークスが設立されるなどの動きがありました。SIEにとってPCやスマートフォンというのはどのような位置づけになるのでしょうか。

盛田氏:すごく大きなくくりで、ゲームというエンタテインメントを楽しんでもらうという視点からいうとどれも同じなので、ゲームを生業としている会社として、市場の大きいところは何かやった方がいいのではないか、というのはありますね。そういう意味でいくとPlayStation NowのPC対応というのは、今必ずしもPS4を持っていなくてもプレイステーションの体験ができるという、その体験を広げていくという意味はあります。

 フォワードワークスはスマートフォンという、日本で多くの人が遊んでいるデバイスに、我々のノウハウを活用しゲームを提供したいというのが考えです。我々はゲームというものが、すごく楽しい、最高の体験をできるものだと思っています。できないことができるのが楽しいのであって、できることができるのは普通のこと。それができるのがコンソールゲームだと思いますので。最高の体験を提供できるのはプレイステーション、というのは忘れてはいけないと思っています。

――PS4が発売された時に、大学生をモチーフにしたライフスタイルを提案するようなCMが流れたかと思います。今後何かこのような動きがあれば教えてください。

盛田氏:やりたいことと現在の立ち位置を比較すれば、やりたいことはずっと先にあると思いますし、1つ1つマイルストーンがあるとすれば、まだ届いていないことは多々あると思っています。そこを実現していくための、新しい楽しみが生まれるかということが大事です。そういう意味でいくと、1つのツールとしてPS4があり、イベント「PlayStation祭」があると思っています。

 まずはみんなが楽しむ場を作っていきたい。eスポーツも一緒になって盛り上げていきたいですし、強い人たち、うまい人たちが戦うというイベントもやりたいし、みんなで気楽に楽しめるようなこともやっていきたい。それに加えて、それを“見る”ということ。今ではYouTubeやゲーム実況などを見て子どもたちが盛り上がっているので、1つのムーブメントのようなものにしていけるといいですね。ゲーム対戦をみんなで見る、それを応援する。日本代表が出てきたら応援する。国ごとや地域ごとに戦ったり、いろいろなものを越えてできるのがインターネットですよね。さまざまなボーダーを越えた対戦というのもあり得ると思いますし。そこは「PlayStation祭」でやっていけたらと思っています。その先にいろいろな連携ってあると思います。単純に、SIEが押しつけるものではうまくいかないので、まずはその場を作ることが大事だと考えています。

写真は先日発表された「キッズの星」プロジェクト。社内では様々なプロジェクトが動いているようだ

――「PlayStation祭」の反響はどうでしたか?

盛田氏:イベント自体はずっとやってきていて、去年もやったわけですが、それを有機的に繋げていき、単発のイベントとなっていたものを「お祭り」で繋げていくと、最終的には大きなものに作り上げられるんじゃないかと思って実施しました。夏に開催したイベントはその1つなので、イベントとしてはすごく盛り上がりましたが、次も単発として盛り上げるのが大事なのと、それを繋げていくことと、見るとどう楽しいか、これを作り上げることが、これから取り組んでいくことのひとつです。

 我々としてやりたいのは、ゲームの楽しさを伝えるということ。これは絶対にやらなければいけないことですが、もう1つ、プレイステーションというのが全家庭に入っているような状態を生み出すことを考えていくと、「VR」というのはそれを実現するためには最高なテクノロジーだと思います。いろいろなコンテンツが来てくれるように、作れるようにしたいですね。

――いよいよPlayStation VRが発売になるわけですが、この2年間を振り返ってどう思われますか。

盛田氏:PS VRは盛り上がっているとはいいながらまだ販売していませんので、市場自体はないですよね。最初に試作を見たときから、ハードウェアのテクノロジ自体も進化しているし、コンテンツの作り方も、みんながノウハウを貯めて洗練されてきている。

――PlayStation VRは予約を受け付けるとすぐに受け付けが終了してしまう(ほどの人気のある)状況ですが、これは予測されていましたか。

盛田氏:思っていた以上に好調です。予測するのも難しいですけれども。先ほども言いましたように、PlayStation VRは将来に向けて可能性のあるテクノロジーだと思っています。来年か再来年以降にテクノロジーの進化を見せていかなければいけないので、今年は何台売れたからよかったというよりも、買ってくれた人が満足してくれて、楽しかった、またやりますとか、人に勧める、自慢するとかという状況にいかに持っていくかが来年に向けてすごく重要になってくると考えています。ハードウェアのクオリティもそうですし、コンテンツのクオリティもフォローしていかなければいけないと思っています。今年はそちらが大事ですね。

――今回のプレイステーションブースで見てほしいところはありますか。

盛田氏:2つあります。1つはタイトルがそろってきていて、それが試遊できるようになっていますので、是非タイトルの充実を体験していただきたいということ。もう1つは、PS VRですね。VRって体験するのが論より証拠なので、体験してほしいです。今年は我々だけじゃなくてVRが盛り上がると思うのですが、大事に育てていきたいので、VRの体験で「こんなものか」と思われてはいけない。我々は満足するコンテンツを作ることを目指しているので、体験していただいて楽しんでいただきたいというのはありますし、ご意見もいただければそれを糧にして次のステップにいきたいです。いろいろな意見をいただきたいですね。

――今後のプレイステーションビジネスの軸足、展望についてお聞かせください。

盛田氏:新型PS4、PS4 Pro、PlayStation Vitaの新色、PlayStation VRと並べるとたくさんあるように見えますが、我々が思っているのは、これでトータルのプレイステーションをご提供していくということ。ハイエンドのユーザーにはライフサイクル中盤に出てくるPS4 Proを提供していき、価格が下がるのを待っていた人、タイトルを待っていた人に買っていただきたいのが新型PS4で、これで横を拡大していきたい。あとは子ども層に持ってほしいPS Vita、ゲームの世界を広げるPS VR。我々の中では大きなプレイステーション戦略の中ではバッティングしたり齟齬はないと思っています。是非みんなでプレイステーションとゲームを盛り上げていきましょう。

――ありがとうございました。