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「バイオハザード アンブレラコア」“パッチング脳”で考える戦場のサウンド
実弾射撃にサバイバルゲーム、実体験が新たなアイディアを生む!
2016年8月26日 13:52
「バイオハザード」シリーズ初の対戦型特化のシューターとして6月に発売されたカプコンのプレイステーション 4/Windows「バイオハザード アンブレラコア」。L2/R2の押し込み具合でアクションが変化する「アナログカバー」など特徴的なアクションシステムや、建物内の接近戦にゾンビを入れ込む「CQBZ」という戦闘スタイルで、これまでの「バイオハザード」とは違ったイメージを持つタイトルに仕上がっている。
それはサウンド面でも同様で、本作では、プレーヤーのアクションに応じてBGMがリアルタイムにリミックスしていくサウンドシステムが導入されている。
CEDEC 2016の講演では、カプコンCS制作統括プロダクション部サウンド開発室サウンドディレクターの北村一樹氏とカプコンCS制作統括プロダクション部サウンド開発室コンポーザーの成田暁彦氏より、本作における音響演出の考え方が語られていった。
実体験が新たな「戦場のサウンドデザイン」を生む!
まず登壇したのは、サウンドデザインを担当した北村氏。北村氏は本作のサウンドデザインを考える際に、趣味と実益を兼ねてタイにある実弾射撃場とカプコン社内で定期開催されているサバイバルゲームに赴き、まずはゲーム内と同じような状況を実体験していった。
北村氏はそこで得た経験を元にデザインを構築していったが、何よりもまずは実体験してみることで、ゲームサウンドの安易なセオリーを見つめなおすことができるほか、それらの経験が元となって様々なアイディアが出てくるようになるのでオススメだとした。
講演では、経験が元となったサウンドデザインの例がいくつか紹介された。たとえば実弾射撃から得た「射撃を続けるとマガジンが軽くなってきて、撃発の衝撃が軽くなってくる“ような気がする”」という経験から、残弾数が少なくなるに連れて撃発音にフィルターをかけて、音階が尻上がりになっていくようにしている。射撃の際のフィーリングを再現するとともに、音からリロードのタイミングが判断できるようになるメリットもあったとした。
また「狙いに集中すると、前方向への集中力は高まるが体の横や背後への感覚が薄れる」という経験から、スコープを覗き込んだ時に、その方向の音がより聞こえるようになるが、逆に左右や背後で発生している音は聞こえなくなる。
このほかにも様々な実体験をもとにした「小ネタ」が本作では採用されているそうだが、北村氏はこうした異なる要素と要素を結びつけて新たな発見を生み出していく考え方を「パッチング脳」と呼んでいるという。
この「パッチング」はアナログシンセサイザーのモジュールをケーブルで繋いで音色を変化させていく行為から来ていて、「何かと何かをとにかく繋いでみる」考えを指している。この考えを「鍛える」ことで、ゲーム制作では様々に役立つことがあるので、オススメだと北村氏は述べた。
プレーヤーの行動に起因する「アクティブBGMリミックス」
続いて成田氏は、BGM制作の視点から工夫した事例を紹介していった。「バイオハザード アンブレラコア」における音楽性はエレクトロニック・ダンス・ミュージックにすると決めていたが、最初に作った楽曲に対して「コミカルすぎる」という意見が挙がり、最終的にはここに「『バイオ』らしさ」である「汚れた感じ」を加えることで、本作の音楽コンセプトが決定された。
またプレイ中に流れる楽曲は、プレーヤーが選択する戦略から「テンション」を5種類にわけ、各テンション内でランダムに曲が流れるようになっている。
さらに本作の特徴と言えるのが、プレーヤーのアクションをトリガーとして、様々なフィルターやリミックスが加わっている。例を挙げると、ほふく前進の際にはリズムトラックがミュートになる、リロードをするとリズムトラックがリバース音になる、カバーリングのON/OFF、また武器持ち替え時には、短いフレーズが追加で鳴る。
これらを成田氏は「アクティブBGMリミックス」と呼んでおり、プレーヤーの行動に起因してBGMがリミックスされることで、ゲームに“音ゲー”的な要素が加わり、ゲームの盛り上がりを演出することができたとした。
実はこれらのアイディアは北村氏による「エイム時に聞こえる音にフィルターがかかる」というシステムをプロデューサーが面白がったことを受けて思いついたものであるとし、北村氏と成田氏の考えが「パッチング」された良い例であったようだ。
本作は8月19日にver.1.06が加わったばかりであり、今後もさらなるアップデートが重ねられていくと予想される。これまでの「バイオハザード」シリーズとは違うBGM体験ができるので、ぜひチェックしていただきたい。