ゲームをモチーフとした模型の展示会「16bitModels」が、8月6日にコトブキヤ秋葉原館5Fイベントスペースにて開催された。ホビーメーカーランペイジの造形監督岩井秀氏が発起人となって実現したこの展示会に、作品を出展したモデラー24名は全員がゲームファン。おのおのが好きなゲームをモチーフとした27作品が展示され、多くの来場者が会場に足を運んでいた。
この展示会のもう1つのテーマとして設けられていたのが「2000年以前の作品」ということ。今好きなゲームではなく、かつて自分が好きだったゲームというくくりで、作者の世代を象徴するタイトルの作品が集まった。会場で取材対応をしてくれた岩井氏は「『16bit』というタイトルでありながらも、あまり幅を狭めすぎず、作り手もお客さんも広く楽しめるような設定にしました」と説明する。具体的な予定はまだないが、第2回を開催したいという思いもあるそうだ。
ゲームファンとして、そして対象の世代にもマッチした筆者にとっては、非常に見応えのある展示会となった。2回目が開催されるなら、ぜひまた見に行きたいと考えている。(※追記:次回「16bitModelsFC」が2017年春に開催されることが決定したとのこと)
ここからは展示会に出展された全27作品を紹介する。見出しには作品タイトルと制作者名(敬称略)を表記している。
セガの1986年のアーケード体感ゲーム「アウトラン」がモチーフ。ゲーム中のマイカーである、真っ赤なフェラーリ・テスタロッサ(に見える「赤いスポーツカー」)を、フジミの1/16キットをベースにフル改造。前後のライトのほか、インパネにも電飾がほどこされている 1994年のタイトーのシューティング「ダライアス外伝」のボス達が集合。「グレートシング」(マッコウクジラ)を中心に、「ストームコーザー」(オニキンメ)、キングフォスル(シーラカンス)、「バーミリオンコロナタス」(タツノオトシゴ)の4体。あの警告音が聞こえてくるようだ SNKプレイモアの人気シリーズ「METAL SLUG」より、メタルスラッグと「フィオ」ことフィオリーナ・ジェルミをチョイス。ウェーブのキットに改造を施し、スクラッチのフィオのフィギュアを添えている。ベースは遺跡がイメージとのことで、フィオが初登場した「メタルスラッグ2」(1998年)のロゴプレートも ナムコの名作「ゼビウス」(1983年)より、主人公機「ソルバルウ」を1/32スケールでスクラッチ。ファンには馴染み深いバックショットのアングルが映える大スケールで、ノズルには青色LEDによる電飾もほどこされている。小さめのベースが、遠近法で高空を飛んでいるように見える 今回の展示会にはなんと3機のソルバルウが出展されていた。こちらはややスマートに見える造形で、機体には制作者独自のデザインアレンジも見られる。ノズルは4カ所を電飾。ディスプレイ台はゲーム画面をイメージさせるドットパターンがあしらわれたプレートを3枚組み合わせている こちらのソルバルウは、ウェーブの1/72キットを制作者の印象に合わせてバランス調整を施した作品。バックにはエリア1の最初に登場する地上物「バーラ」と「ゾルバク」のある情景を設置している。ソルバルウの制作者全員が機体に背景をあしらっていて、その印象の強さがうかがえる アイレムが1987年にリリースした傑作シューティング「R-TYPE」より、主人公機「R-9」を1/100で制作。もちろんこのゲームの象徴である「フォース」も、その存在感をアピールしている。ディスプレイ台は、ステージ1のスペースコロニーの背景をイメージしているようだ 【「I GOT CAUGHT!(挟まっちまった!)」/こっしー】
ナムコの1999年作品「エースコンバット3 エレクトロスフィア」屈指の名シーン、「X-49ナイトレーベン」にキースの機体(XFA-36A)が突っ込んだところを再現。ナイトレーベンから噴く煙が会場の空調によってそよぎ、いい味を出していた。出展作品の中で最も新しい時代のタイトルがモチーフだ 一世を風靡したカプコンの対戦格闘ゲーム「ストリートファイターII」の最初のボーナスステージである車破壊シーンのジオラマ。プレーヤーキャラクターは「春麗」で、必殺技の「百烈脚」をくり出している。もちろん壊す車はT社のC車だ!? ベースの文字はさりげなく電飾されていた 【「encounter」/ephemeris(イフェメリス)】
ファルコムからPC用アクションRPG「ザナドゥ」(1985年)より、ゲームのパッケージ写真を現代に蘇らせたジオラマ。ベースにはアンセムの12インチシングル「ザナドゥ」のジャケットが使われていた。取材時筆者は気付かなかったのだが、実は隠れキャラもいた!?(右奥の柱の影) 【「DIE YOU EVIL DRUAGA!!」/岩井秀】
ナムコのアーケードゲーム「ドルアーガの塔」(1984年)の主人公「ギル」とボスの「」ドルアーガ」のラストバトルをジオラマ化。塔をモチーフとしたベースの周囲には、主人公のギルがそれまで戦ってきた敵キャラクターが配置されている。ギルの周囲に転がったハイパーナイトの鎧など、描写も細かい 単純な恐竜のボックスジオラマと思うなかれ、これはタイトーの対戦格闘ゲーム「ダイノレックス」(1992年)がモチーフだ。その証拠となるのが、奥の肉食恐竜(ケラトサウルス!?)のかたわらに見える人間のフィギュア。ゲーム中に現れる、ムチを持った恐竜使いだ カプコンの「パワードギア」(1994年)と「サイバーボッツ」(1995年)の2作品に登場する主役メカのひとつ「ブロディア」を中心に、各作品での搭乗者である「ラッシュ」と「ジン・サオトメ」をジオラマの前後に配置。ブロディアとその台座には電飾が施されている 【「CRAZY TAXI nfnfWORLD」/竹下やすひろ】
セガのドライブアクション「クレイジータクシー」と「おさわり探偵 なめこ栽培キット」が競演。市街を暴れ回るタクシーに、なめこ達が定員オーバー気味に詰め込まれている。ベースには小型の液晶モニターを設置し、ゲームのデモ画面が映し出されていた 【「Do Virtuaroids Dream of Electric Devil?」/フクイマサヒロ】
セガのロボット対戦アクション「電脳戦機バーチャロン」(1995年)より、VR空間に登場する中ボス「ヤガランデ」と、それに対峙する「テムジン」のジオラマ。ヤガランデの巨大感を出すために、ヤガランデは1/100、テムジンは1/165と、異なるスケールで製作されている こちらは続編「電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム」(1998年)の外伝ストーリー「フラグメンタリー・パッサージュ」に登場する「テムジン試作二号機」(左)と、謎の黒い機体「アファームド GBH(ゲーベーハー)」。ゲーム本編には登場しない、対象的な白と黒の機体を立体化している 「電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム」のプレーヤー機「ライデン」を象徴する、両肩のレーザーを上空へと撃ち出すパーフェクト勝利時のポーズ。青く光るレーザーはなんと会場の天井にまで伸びる電飾。これが大げさな演出ではないことは、ファンならご存じの通り 【「クルーズチェイサー ブラスティー」/柳生圭太】
スクウェアより1986年に発売されたPC向けRPG「クルーズチェイサー ブラスティー」の主人公機「ブラスティー」。日本サンライズがアニメーションを手掛けたというゲームの戦闘シーンの画面を、ディスプレイボックスにて再現。30年前のゲームながら洗練されたデザインを忠実に立体化している こちらも「クルーズチェイサー ブラスティー」のラスボス「エリクセン」を立体化。隣に設置されていたブラスティーと同じディスプレイに並べたくなる存在だ。今回出展された中でもかなりマニアックなキャラクターで、筆者もその存在を知らなかった 【「1/72 メタルスレイダーグローリー」/射尾卓弥】
HAL研究所が1991年に発売した伝説のファミコンタイトル「メタルスレイダーグローリー」の主人公機「グローリー」。機体の特徴的なシルエットを崩すことなく、制作者独自の解釈も入ったデザインで立体化されている。ポーズを付けた姿も見てみたくなる テクノソフトのシューティングゲーム「サンダーフォースV」より、自機の「ガントレット」を、ゲームのオープニングに沿って5機編隊で製作。ベースのブルーは、ステージ1の海のイメージだろうか。その奥には機体のディテールを見せるターンテーブルでのディスプレイも設置された ゲームアーツのシューティング「シルフィード」(1986年)より、格納庫で出撃を待つ自機の様子をジオラマ化している。そのデザインはメガCD版のもので、要所に施された電飾により暗い会場に映えていた。小指の先ほどの小さなフィギュアには、反射したレーザーを当てて光らせているそうだ 現在もファンの多いセガのシューティング「ファンタジーゾーン」(1986年)の主人公機「オパオパ」を、制作者独自のアレンジを加えて立体化している。生物とメカの中間的なイメージのあるオパオパだが、この作品ではどちらかというとメカ的な主張が強く、翼や脚などのデザインに注目 UPLのマニアックなアーケードアクション「ミュータントナイト」(1987年)より、主人公の「ミュートロンくん」を立体化。ディスプレイベースにあるのは、ゲーム画面の残機表示と思われ、その大きさと比較すると、本体はパワーアップして巨大化したときのイメージのようだ 【「Bomb Suit,『キメラ(Chimera)』」/伊藤源造(DrunkDog)】
「マシーネンクリーガー」にでも出てきそうなこの造形は、なんとハドソンの名作「ボンバーマン」(1985年)である。爆弾防護服とパワードスーツを融合したという、制作者の大胆過ぎるアレンジに、多くの来場者が驚きの声を上げていた ナムコが1986年にリリースしたアーケードゲーム「源平討魔伝」より、中ボスとして登場する「源義経」を製作。鎧や烏帽子などシルエットは忠実に再現しつつ、顔のデザインなどには制作者によるアレンジが見られる。ゲーム中で高笑いをする様子とは対照的な落ち着いたポージングが印象的だ タイトーの「ナイトストライカー」(1989年)に登場する自機「インターグレイ」が、ゲーム中のPゾーンで人間型ロボットに変形する様子を、差し替えなしの完全変形で再現。顔などのゲーム画面で見えないところは、オリジナルのデザインとなっている。来場者に変形を試してもらうことを考えて、剛性を高めて設計したそうだ