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「Gears of War 4」がついに中国上陸か!?

有力タイトルのリリースが続くMicrosoft China。Xbox OneとWindows 10の両輪で展開へ

7月28日~7月31日開催



会場:Shanghai New International Expo Center

 SIESHと並んで、今年も主要プラットフォーマーの一角としてブース出展したMicrosoft China。今年からグローバルで展開を始めたXbox Play Anywhere構想に基づき、中国市場でもまたXbox OneとWindows 10の両方で展開していく方針で、ブースはXbox OneとWindows 10 PCが約半々の割合で展示され、PCゲームパブリッシャーとしての側面も併せ持つメーカーへと変貌を遂げていた。

【Xbox One専業から、Windows 10と兼業へ】
Microsoftブースでは、E3で発表されたばかりの新型Xbox One「Xbox One S」に混じって、タワーPCを展示し、PCゲームも提供していくことをアピール。試遊機もWindowsマシンが多く、昨年とはがらりと印象を変えている

今年のラインナップには「Gears of War 4」が含まれている!
現在の中国でのタイトルラインナップ。かなり強力なAAAタイトルが含まれている
「Gears of War 4」クローズドブース
ブースではWindows 10版「Gears of War Ultimate Collection」
「ファイナルファンタジーXV」ディレクター田畑端氏はXboxのステージイベントにも登場
Xbox Oneのキラーコンテンツのひとつ「Cuphead」も中国上陸

 そして今年の目玉はなんといってもXboxを代表する人気シリーズ最新作「Gears of War 4」の出展だ。北米でもMature指定、日本ではその表現の激しさから発売を断念するほどのゲームだが、世界でもっとも厳しいセンサーシップが存在する中国で、「Gears of War 4」を電撃的に出展したのだ。

 もっとも出展はクローズドブースで、誰でも自由に見られる状態ではなかったものの、クローズドブースの中では米Microsoftのスタッフが英語版を操作し、E3と同等のデモをPC版の実機で披露していた。

 デモの内容は、廃屋が立ち並ぶ屋外を舞台に、手足の長いモンスターが遠方から大きな跳躍を繰り返してプレーヤーら一行に飛びかかってくる。主人公は仲間と協力して、飛びかかってきたモンスターを跳ね返し、物理的に蹴散らし、そしてチェーンソーで真っ二つにしていく。妙な色の血しぶきが乱れ飛び、肉片が乱れ飛ぶという、阿鼻叫喚の光景が繰り広げられる。まさしく「Gears of War」最新作といった感じの内容だった。

 しかしそれにしても、中国におけるセンサーシップの厳しさを知る人間として最初に思うのは、「『GOW4』を本当に中国で発売できるのだろうか?」ということだ。

 ちなみに、SIESHは今年最大規模の傑作「アンチャーテッド4(邦題:アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝)」を未だに中国展開出来ないでいる。理由は中国当局のセンサーシップを通過できないためで、具体的な理由については誰も語らないものの、看守を撃ち殺したり、脱獄をしたり、反社会的なシーンがNGになっているのだと思われる。これらの要素は、ゲームのストーリー上切り離せないもので、修正を断念しやむなく発売を断念したようだ。

 中国ではこうした泣く泣く発売を諦めるというタイトルが多く、Microsoft China自身も、「Watch Dogs」簡体字版をローンチに合わせて出展し、何事もなかったかのように発売中止に追い込まれている。

 こうしたことからSIESHでは、センサーシップを通過しないタイトルは最初から申請するのを避け、「GT Sport」のような純然たるスポーツゲームや、「FFXV」のような中国コンテンツ産業の育成に寄与すると考えられる優良コンテンツを優先的に申請するようにしている。

 しかし、Microsoft Chinaは、そうした“配慮”は一切行なわず、あくまで正攻法で中国展開を図り、その結果、「Darksoul III」や「The Witcher III」、「Fallout 4」、「Quantum Break」などなど、AAAクラスのバイオレンスタイトルの中国発売に成功している。

 しかも、実はすでに「Gears of War」の中国展開にも成功しているのだ。2015年8月にリリースした「Gears of War Ultimate Collection」をWindows 10版限定で中国展開しているのである。

 関係者に聞いたところ、PC版だからといってセンサーシップが存在しないわけではないものの、担当者が異なるため、レギュレーションがかなり異なるという。PCゲームは、コンソールゲームと比較して長い歴史を持ち、ValveのSteamやEAのOriginなどオンラインストアも古くから存在し、規制するにも規制仕切れなかったといういきさつもあり、比較的緩い状態が継続しているようだ。このため「Gears of War 4」も「Gears of War Ultimate Collection」に続いてWindows 10版のみセンサーシップを通過させて中国で販売するつもりだと思われる。

 中国当局に配慮しながら少数精鋭でセンサーシップを通そうとするSIESHに対して、Microsoft Chinaはあくまで正面突破を図ろうとしており、同じコンソールゲームプラットフォーマーとはいえ、そのアプローチはまさに真逆と言える。一見、VRを持つSIESHが有利に見えるが、Windows 10というアプローチを手に入れたMicrosoft Chinaもかなり強力な援軍到来と言えそうで、中国コンソールゲーム戦争 第2ラウンドの行方がどうなるのか、今後の両社の展開に注目していきたいところだ。