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ニッポン放送×Cerevo×グッスマ共同開発のラジオ「Hint」発表
Webとラジオを連動させる次世代ラジオ、クラウドファンディングを開始
2016年7月21日 00:00
ニッポン放送は7月20日、Cerevo、グッドスマイルカンパニーとの共同開発による次世代ラジオ「Hint(ヒント)」を共同発表会にて発表した。
「Hint」は、ニッポン放送のアナウンサーで、ガジェットファンとして知られる吉田尚記氏が「カッコいいラジオが欲しい」という思いのもと、家電ベンチャー企業のCerevoとフィギュアメーカーのグッドスマイルカンパニーが協力のもと、クラウドファンディングを通じて製品化を目指すというプロジェクトにより発売される。発表会では、吉田氏とともに各社の主要人物が、その開発の経緯や製品の概要について解説した。
製品コンセプトをニッポン放送が、ハードウェアの仕様設計や試作機の開発をCerevoが、製品のデザインをグッドスマイルカンパニーが担当したこの円筒形デザインのラジオは、上部に上向きの無指向性スピーカーを設置し、部屋のどこにいても、どこに置いても同じようにクリアな音で聞こえるという設計で、さらにラジオ放送の主流である「人の声」を聞くことに最適化されている。
デザインはグッドスマイルカンパニーのヘッドフォン「THP-01」のデザインなども手掛けている、デザイナーのメチクロ氏が担当。そもそものきっかけは、吉田氏が安藝氏にこの「THP-01」を贈られ、そのお礼を返すときに「ヘッドフォンが作れるなら、ラジオも作れませんか?」と声をかけたのが、きっかけになったそうである。
メチクロ氏はラジオを作るという話を聞いたときは、最初はあまりピンとこなかったが、吉田氏の案内でニッポン放送の番組や局内を見学し、そのコンセプトを聞いたところで、デザインの絵が浮かんだそうである。直径80mm、高さ287mmというサイズは、ワインボトルにも近いサイズで、横置きや斜め置きができるワインのラックにもピッタリだそうだ。
受信には高性能DSPチップを採用し、よりクリアな音声を実現しつつ、電源をONすることで即受信ができるアナログラジオのような使い勝手を誇っている。受信はFM放送のみの対応ながら、「ワイドFM(FM補完放送)」に対応することで、新たに割り当てられたFM周波数により、本来AMラジオであるニッポン放送も、このラジオではダイヤルを93.0に合わせることで受信できるようになっている。
そしてこのラジオの最大の特徴が、ラジオの特定の音声を受信すると、近くにあるスマートフォンに自動的にURLを通知するという機能を持っていること。これは放送局がラジオを通して「DTMF音」という電話のプッシュ音を送信すると、このラジオに内蔵されたBLEビーコンがその音をデータに変換し、本体のLEDが点灯すると同時に、近くにあるスマートフォンにBluetoothでデータを送信し、通知としてURLを表示させることができるのだ。スマホ側では簡単な設定をしておくだけでOKで、ラジオからDTMF音が流れた瞬間に通知の領域にそのURLが送られてくるという機能である。
いわゆる「続きはWEBで」というキャッチを、直接スマホにURLを送ることで解決してしまうというもので、例えば番組のゲストの情報やメールやプレゼント応募の宛先などを、放送を通じてスマホに送れるのである。現在はまだDTMF音によるデータ放送は発信されていないが、将来的には吉田氏の番組などからこの機能を活用した放送展開を予定しているとのことだ。
冒頭でも述べたようにこのプロジェクトは、クラウドファンディングの「CAMPFIRE」にて支援を募っている。支援金額は21,500円(税込)からで、リターンとして本体や限定カラーの出荷のほか、吉田氏によるミニラジオ番組の音源の進呈やスタジオ見学など、ラジオ局らしい特典も用意されている。出荷は2017年3月を予定しているとのことだ。
スタイリッシュなデザインとこれまでにない機能を備えたラジオ「Hint」。昨今はサイマルラジオなどの台頭により、実機のラジオに触れる機会が少ないという人も増えているが、このプロジェクトの「ラジオ局が作る、本気のラジオ」というコピーに興味が湧いたなら、支援をしてみてはいかがだろうか。