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アイドルのライブをVRコンテンツで超至近距離体験!?
モノビットVR、「アップアップガールズ(仮)」を360度カメラで収録
2016年7月6日 00:00
モノビットのVRコンテンツ制作専門チーム「モノビットVR」は、アイドルユニット「アップアップガールズ(仮)」のVRコンテンツを制作するため、7月3日、お台場のZeppDiverCityにてメディア向けにコンテンツの収録を公開した。このコンテンツ、さらに後述するミニドラマも、近日公開日を発表するという。今回はその収録の模様を紹介したい。
アップアップガールズ(仮)は、2011年に結成されたアイドルグループで、メンバーは仙石みなみさん、古川小夏さん、森咲樹さん、佐藤綾乃さん、佐保明梨さん、関根梓さん、新井愛瞳さんの7人。7人の個性豊かなボーカルと、激しいダンスパフォーマンスで人気を集めている。富士山の山頂でのライブなども行なっている。11月には日本武道館での単独公演も決定している。
今回の収録は、同日の夜に開催されるアップアップガールズ(仮)のライブステージ「Zeppツアー“The Seven PARTY LIVE Alien@Zepp Diver City」に先がけた“リハーサル”の1つとして行なわれた。“本番”では2時間行なわれるライブから、20分の部分を抽出し、本番と同じ舞台、照明、衣装、楽曲でアップアップガールズ(仮)が歌い、ダンスをする。
ライブと異なるのは、ステージの真ん中に360度撮影が可能なカメラを設置し、アップアップガールズ(仮)はそのカメラの前で楽曲を歌い、頻繁にカメラを囲んだパフォーマンスをするところだ。今後公開されるVRコンテンツでは、アップアップガールズ(仮)のすぐそばで彼女たちのパフォーマンスを見ることができる上に、時には彼女たちに囲まれ、至近距離でカメラ目線で語りかけられたりする。ファンの夢を叶える内容が期待される。
ただ、今回の収録された映像から、今後どういったコンテンツになるかは、まだこれからとのこと。まず「ライブ風景を360度撮影しよう」というテーマでの収録となっている。アイドルの踊る姿を至近距離で撮影し、カメラを囲んで周囲からアイドルが話しかけてくるシーンも頻繁に挿入されている。このコンテンツをどのような見せ方にするか、インタラクティブ性をどう盛り込んでいくか、対応ハードはどのようなものか、これからの情報に注目である。
しかし、実際の“収録素材”としては、ライブは難しい素材だ。ライブは全体的に暗く、そこに鮮烈なフラッシュやレーザービーム、スポットライトなど激しいライトの演出が入る。アップアップガールズ(仮)たちのダンスも激しく、音もまた大きい。なによりステージの真ん中にカメラを置くというのは、踊っている彼女たちの動きを制限しかねないので、通常はOKが出ない案件である。
この難しい素材を収録するために、アップアップガールズ(仮)とライブ会場の協力、そしてモノビットVR側は“スペシャルチーム”を結成して収録に臨んだ。カメラはキヤノンマーケティングジャパンの協力で用意されており、機材協力、技術アドバイスなどのサポートを担当、高画質の収録を実現したという。
実際のライブでは彼女たちのダンスと歌の激しさ、音と光の演出に圧倒された。暗く、動きが激しく、収録上ストロボはたけないので撮影は難しかったが、一部の写真をお見せしたい。VRコンテンツではステージ上のカメラでこのライブを見ることができる。カメラに向かってのパフォーマンスもノリノリで、とても楽しそうだった。VRコンテンツとしてどのようなものになるか、期待したい。
20分の収録で圧倒されたのは、アップアップガールズ(仮)達の運動量だ。時には激しく、時にはかわいらしく、彼女たちは20分間ノンストップで歌い、踊り続けていた。今回は360度カメラのある特別な撮影のため、ステージに向かうだけでなく、カメラに向かった演出も交えてのパフォーマンスだが、それも自然に織り込んでの収録となった。彼女たちはこれからさらにリハーサルを重ね、そして夜には2時間のライブが待っている。アイドルの“凄さ”を垣間見た気がした。
収録後、スタッフから話を聞くことができた。プロデューサーを務めたモノビットVRの大久保悌伸氏は、「今回の試みは今後も含めたコンテンツ収録のテスト」と語った。モノビットVRでは社外のスタッフも含めた形で「スペシャルチーム」を結成しVRコンテンツを制作していく。これまでのノウハウも積んだスタッフによって様々なコンテンツを作っていく予定だ。
本収録はキヤノンマーケティングジャパンの機材の協力、サポートにより行なわれた。それでも、「アイドルのコンサート」というのはかなり収録が厳しい素材となる。周りは暗く、光の演出は強く、そしてアイドル達がどう映り込むかも今回初の試みなので、どうなっていくか、どんなコンテンツになるかは未知数な部分もある。そういった実験的な要素が多い中でアップアップガールズ(仮)の協力が得られたのは幸運だったという。
「ステージのど真ん中にカメラを置くなんて、普通はいやがられる。それをリハーサルを収録するという形で許可していただいて、協力していただいた。本当に、普通はないことです。とてもありがたかったですね」と大久保氏は語った。アップアップガールズ(仮)とは他にもVRコンテンツの展開も予定しているという。VRコンテンツへの見せ方やうまい撮り方、表現の仕方を今回のように試しながら、技術を蓄積しているとのことだ。
テクニカルプロデューサーを務める石ヶ谷宜昭氏は、本コンテンツに関して、「画質」のアドバンテージを語った。VRコンテンツは映像コンテンツに関わったスタッフ達の経験を活かせる場であるという。収録でデータに生じるノイズ、色味、見せ方……現在のVRコンテンツは収録することに力を入れている一方で、映像コンテンツとしてのクオリティ、見せ方への注力が足りないと感じさせられる作品もある。
石ヶ谷氏はこういった見せ方、フィルタの使い方……あるコンテンツはシャープに、こちらのコンテンツはソフトに、といったようにコンテンツの素材で見せ方を調整することでVRコンテンツの楽しさ、クオリティをもっと上げることができるのではないかと考えている。石ヶ谷氏は2013年からVRコンテンツに関わっており、数多くの作品を手がけている。そのノウハウを今作に活かしていきたいと語った。
さらにアップアップガールズ(仮)とはこのLIVEリハーサル収録以前に、アップアップガールズ(仮)各メンバーが制服姿で甘酸っぱい青春LOVEストーリーを演じる、VRミニドラマ「アプガが僕に恋をした(仮)」の撮影をしており、こちらも近日公開予定だという。
アップアップガールズ(仮)はこのドラマ撮影でカメラの特性を理解しており、“見せ方”をLIVEリハーサル収録にも活かしている。ミニドラマでもカメラの画質にはこだわっており、“吐息を感じる距離での撮影”を楽しめるとのことで、こちらも期待して欲しい。
また、7月31日にはアップアップガールズ(仮)のAKIBAカルチャーズ劇場でのイベントの中でVRコーナーを設置。ここだけで楽しめるアナザー版の公開も行なわれるとのことだ。
VRコンテンツとはどのようなものとなるか、まさにこれから様々なコンテンツが今以上増えてくる。この“流行”の中で様々なメーカーがアプローチを行なっている。今回のユーザー(カメラ)を中心にアイドル達が歌い、踊るというのは、どういった体験ができるのか、楽しみだ。ファンにとっての夢が実現したコンテンツになるのか注目である。これらのノウハウを活かしてモノビットVRがどんなコンテンツを制作していくかにも期待したい。