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【コラム】男気溢れる海賊の世界!「戦の海賊」を本気で推してみる
少年マンガの王道と魅力が詰まった男のドラマを堪能しろ!
2016年6月27日 00:00
唐突だが、無難な挨拶や枕詞なんかは抜きにして、オレと「戦の海賊」の出会いから語ろう。
昨年の8月頃にセガゲームスから呼び出されて体験会に行くことになった。ぶっちゃけるとまず「戦の海賊」というタイトルを聞いて「……なんというかシンプルすぎてどうなんだ?」と思い、あまり興味が湧かなかったことはヒミツだ。そんなオレが他の仕事が押したのをいいことに遅刻したりしながら、あまり気乗りしない気持ちで「戦の海賊」をプレイし始めた。
会場では開発機でのプレイだったので先のデータまで収録されており、はしょって先の面もプレイすることができた。メーカーのマーケティング担当の方が気を回して「先のデータでプレイしますか?」と話しかけてきた。オレはこれを遮り、「今いいところで、ストーリーが気になって仕方が無いので!」とぴしゃり! 「はぁ……すいません」と困惑する担当者さんのことなんか気にとめることなく、ずっとストーリーを追っていったのだった。
会場からは1人去り、2人去り……仕事に帰って行くプレス関係者。初めてバトルで負けてストーリーに行き詰まったころに顔を上げると会場にはオレ1人。早く帰りたがっているセガゲームスのマーケ担当者に引きつった笑顔で追い出されるしかなかった。
男が男を認める素敵ドラマが展開
「努力、根性、友情」は某少年マンガ誌の王道と言われている。この「戦の海賊」はその少年マンガの王道を行くドラマだ。ピンチに次ぐピンチ、より強い敵との遭遇。マップのラストには強力な艦隊との死闘が待っている。
絶体絶命のピンチには、仲間になった王女リティスや航海士(でも食事当番)である戦術の天才ラリサといった優秀な部下が突破口を開いてくれる。「えー!」とか言いながらワクワクとしたストーリーが展開していく。なにより登場キャラクター達の、ストーリーの盛り上げ方が上手い! プレーヤーが自然とノってくる展開に流れていくのだ。厳しい戦いが予想されるが、勝つことは無理じゃない……自分の努力で勝てる絶妙なレベル。その展開が上手いのだ。
そして友情だ。実は「戦の海賊」は男臭いドラマだ。そして海賊の一筋縄ではいかない表裏が描かれている。ただ単に協力して友情を育んで……といったベタな友情ものではない。そこは海賊! 利害が一致しないと動かない。しかし、自分の信念に反することにも動かない。相手を認めていれば、敵であれ力を貸すこともある。その時は命を張って戦いに挑むのだ。
また、部下を信じているからこそ……そして敵でありながらその信念と力を認めているからこそのドラマが展開することもある。
バルフォアという大海賊がいるのだが、大海賊でありながら現在ではあまりにも強大な敵である冥龍団に力を貸さざるを得ない状況にある。本人もそういった現状をよしとしていないが、配下の海賊のためにも仕方なく力を貸している。
そこに主人公達が現われる。先に進むためにはバルフォアと戦わざるを得ない。バルフォアも冥龍団のことが気にくわないが、すんなりと主人公達を先に進めることはできない。その時バルフォアは敵である主人公達に向けて裏から単身部下を送り込み一計を案じる。バルフォアと部下との間の信頼感、それを感じ取った主人公達はその案に乗る……。その裏にある男達の心情とドラマを感じ取った時、プレーヤーは熱くなるのだ!
こういった味のあるキャラクターがバンバンと登場する。圧倒的な力で主人公の前に立ちはだかるレフもその一人。破壊的な暴力的気質を持ちながらも、一本筋を通った敵として物語を引っ張ってくれる。
とまぁ、こういった男臭いドラマに中年男性としてはグッとくるわけだが、各マップにはそれぞれストーリーをクリアするためのサブドラマとも言うべきドラマも展開している。これもまた兄弟愛だったり恋愛ドラマだったりなかなかに楽しめる。1番最初に“王道”と書いたが、それは退屈な展開ではない。押さえるべきツボが押さえられているところが王道であって、その展開自体は千変万化、驚きに満ちている。
キャラ推しだけでは終らない。充実したゲームシステム
ここまではストーリー推し、キャラ推しで語ってきたが、ゲームシステム的にも満足のいく物になっている。スマートフォン用ゲームと言えば最近ではずいぶんとリッチコンテンツが増えてきたが、ポチリゲー(ボタンを押していれば先に進むカード集めゲー)が多いのもまた事実。
しかしそこはそれ、コンシューマーゲームの制作も長く手がけてきたスタッフ渾身のタイトルだけあってセガゲームスらしい凝ったシステムとなっている。逆に言えばただ暇つぶしにプレイしたいと思っている人にとっては、ちょっと不向きなタイトルかもしれない。
そして構成要素がやたらと多い。海賊船があって集めていくのだが、もちろん海賊船には海賊が乗っていなければならず、その海賊には手下が付いている。それぞれ独立していて育て上げていかなければならない。
まず海賊船。前衛と後衛があり、どういった船を配置するのかで戦略が変わってくる。さらにはどの海賊を乗せるかでも相性があったりして、どの海賊をどの船に乗せ手戦うかはそれぞれのプレーヤーの選択に掛かってくる。海賊たちもそれぞれスキルを持っていて、プレーヤーの戦略にあわせて有効なスキルを持った海賊を配していくことで戦闘が楽になるだろう。
もちろん好きなキャラクターで揃えるという手もある。オレなんかは前述の通り“筋肉むきむきの渋い中年男性”が好きなので(誤解を招く表現)、そういったキャラクターで揃えてしまう。以前山下まみさんにお話を伺った時は「女の子で揃えてしまいますね」と仰っていたように女の子キャラでまとめてしまうそうだ。効率を狙って“使える”キャラクターも良いけど、愛あるキャラクターでゲームを進めるマゾプレイもおつなもの。その懐の深さがあるのが「戦の海賊」というわけだ。
さらにさらに海賊の配下には、なんと部下がいる。もしかしたらプレーヤーの中には最初この部下の存在に気付かない人もいるかもしれない。自分の拠点にある「海賊宿舎」を覗いてみると「子分の設定」をする事ができる。子分と言っても一律ではなくて、それぞれにレベルがあり、体力が優れていたり、砲撃が得意だったり、海の上を移動するスピードが速かったり、特徴がある。これらの子分の能力は海賊たちに反映される。プレーヤーの戦略が生まれることになる。
例えば砲手としての性能が高い海賊キャラに体力の高い子分を付けて“フォロー”するか、さらに砲撃技術や装填技術の高い子分を付け攻撃力を上げて“攻めの姿勢”を貫くか? プレーヤーの性格が出るところだろう。このほかにも、泳ぐ速度が速い「スイマー」や、クリティカルが発生しやすい「必殺の秘術」、スキルが速く溜まる「スキルマスター」なんて技能を持つ子分もいる。海賊自身を成長させることも必要だが子分の配置や育成も重要な要素なのだ。
マップでストーリーを進めるには定められたスタミナが必要だが、スタミナが切れれば、ちくちくと海賊船のパワーアップ、海賊と子分の育成、海賊のスカウト……さらには拠点の育成など、やることはたくさん用意されている。これらをこなしているウチにスタミナが回復してまたマップで新たなるストーリーを楽しむ……。
まさに底なし沼! ずっとゲームをプレイし続けられるという、地獄極楽ゲームなわけだ。
大人が読んでも満足いく物語をしっかりとゲームとして楽しめる
こういった仕事をしているとゲームメーカーさんとお話しすることが多いわけだが、弊誌の性格上、コンシューマーゲームの話題も多く、挨拶代わりに出てくる「最近はまってるゲームは?」の問いにはコンシューマーのタイトルが挙がることが多い。しかし昨年中盤から後半にかけては、オレは「戦の海賊」を挙げていた。熱いストーリー展開が気になって進めるウチにゲームのシステムを覚えていく。この理想的なスパイラルが「戦の海賊」にはある。
現在、ギルドシステムが導入されているので、他ユーザーと協力コンテンツとしてギルド戦も用意されている。ギルドに入るといろいろな情報が入ってくるのが大きい。どういったキャラクターが有利だとか、海賊船の強化方法についても相談することができるだろう。悩んだ時に1人でポチポチやるのが楽しい人もいれば、そうでない人もいるだろう。これまた「戦の海賊」の懐の深いところだが、1人でも十分楽しめてしまうところがある。プレーヤーの興味の赴くままにプレイできるのだ。
サービス開始から半年程度は、マップの「死海」などいくつかで急激に敵が強くなる瞬間があり、苦労させられたが、バランス調整も行なわれ、いくつかのイベントが開催され強力なイベントキャラクターも配信され、さらに遊びやすくなり、クリアできなかった人でも今プレイすればクリアできるようになっている。
さすがに先の方に進むと、海賊のレベルも海賊船を強化する素材集めもインフレ化してきて大変なことになるが、その先には新しい海賊船が登場したり楽しみな展開も待っていると思うので、そのモチベーションは維持できるだろう。
ストレートな少年マンガ的な王道のストーリー展開ながら、ただ単純明快なだけでなく、大人が読んでも満足いく物語を縦軸にしっかりしたゲーム性で肉付けされている。先ほども言ったとおり1人でも十分楽しめるので、いまプレイしはじめても全く心配いらない。
ありそうでない「戦の海賊」の世界観をぜひ楽しんで欲しいと思うのだ。
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