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今秋発売「ウィニングイレブン 2017」は駆け引きの面白さを追求!

アシスタント・プロデューサー田谷淳一氏が語る進化点をチェック

6月14日~16日開催

会場:Los Angeles Convention Center

「ウイニングイレブン 2017」
今作ではアーセナルの公式ライセンスを取得

 KONAMIは今秋、人気サッカーゲームシリーズの最新作「ウイニングイレブン 2017」(プレイステーション 4/3)を発売する。海外では「Pro Evolution Soccer 2017(PES2017)」として知られる本作だが、E3 2016の会場にて、本作のアシスタント・プロデューサーを務める田谷淳一氏に直撃し、お話を伺うことができた。

 毎年進化を続けている「ウィニングイレブン」シリーズだが、FOX ENGINEを採用して3作目となる本作はトラップやパスといったボールコントロール、あるいはチーム戦術の柔軟性といった、サッカーゲームとして特に基本となる面で大きな進化を遂げている。

 今回の取材で特に印象に残ったのは、田谷氏が「サッカーの駆け引き」を常に強調していた点。「ウイニングイレブン 2017」では、対人戦の面白さを深める様々な工夫が込められているのだ。

【ウイニングイレブン 2017 / ティザートレーラー】

多方面の進化で、サッカーの駆け引きをより広く、より深く!

本作のアシスタント・プロデューサーを務めるコナミデジタルエンタテインメント 田谷淳一氏
実際にプレイしつつ、田谷氏の解説を受けることができた
奪われた瞬間に大勢で奪い返す“ゲーゲンプレス”。コンセプトアレンジの一種として発動できる

 「ウイニングイレブン 2017」には前作から大量の改良を加えられているが、ゲームプレイ面で特に大きな新要素となっているのが、チーム戦術にダイナミックな変化を加えることができる“コンセプトアレンジ”という機能だ。これについて田谷氏は次のように説明してくれた。

田谷氏:「これまでは攻撃時と守備時の全体的な戦術設定をチームコンセプトという機能で設定することができましたが、そこにさらにコンセプトアレンジという機能で、サッカーの基本的な局面の戦術であったり、最近流行りの戦術を再現することができます。ベースの戦術に色付けする形で、自分のやりやすい形を作り出せる機能ですね。かなりわかりやすく効果が出るようになっています。ぜひ、自分のチームに合わせていろいろなアレンジを試していただければ嬉しいですね」

 コンセプトアレンジには、攻守それぞれで用いられる複数の戦術パターンがあり、それらを試合中にON/OFFすることで戦い方に変化を加えることができる機能だ。例えば攻撃時に両サイドバックが押し上がり、かわりに1ボランチが下がって3バックを形成する“アタッキングフルバック”。センターフォワードが中盤に参加してチャンスメイクを狙う“偽9”、ボールサイドに選手が寄ってきてショートパスを回しやすくする“チキタカ”。守備時には、特定の相手にきついプレッシャー与え続ける“タイトマーキング”、ボールを奪われた瞬間に大勢でプレスをかけてショートカウンターを狙う“ゲーゲンプレス”などなどのコンセプトアレンジが存在。こういった戦術パターンを適宜発動することによって、試合の局面に応じた、あるいはプレーヤーの戦術センスに応じたサッカーを展開することができる。

 実際にチキタカとアタッキングフルバック、タイトマーキング、ゲーゲンプレスを同時に使用してみたところ、その効果は絶大。周囲のAI選手が積極的にサポートに動いてくれ、サイドバックも高い位置に陣取ってボール回しに参加してくれるので、ゴール前でしつこくボールを回せるようになる。守備時にはゲーゲンプレスの効果で相手ボールホルダー周囲にいる選手がわっとプレッシャーを掛けに行く形。その代わり、かわされてしまうと背後はスペースだらけで、即カウンターを受けるし、スタミナの消耗も激しい。こういったリスク・リターンが生まれるのがサッカーの面白いところだ。

 こういった戦術オプションを任意に選んでON/OFFできることで、プレーヤーそれぞれが考える理想のサッカーを展開しやすくなるというのが非常に大きな進化点だ。また、本作では一時期シリーズから消えていた攻守バランスの設定機能が復活しており、さらにチーム全体の動きに変化を加えることが可能。こういった機能追加によって、本作では戦術的な駆け引きが非常に深化している。

的確な位置でボールを受け、ファーストタッチで相手を交わす

 そして実際にプレイしてみて気がつくのが、キャラクター動作の自然さ。特に「ウイニングイレブン」シリーズは、トラップの際にキャラクターが自動的に動くことで操作感に“硬さ”を感じることが多かったが、今作ではそれが全く無くなっているのだ。

田谷氏:「仰るとおりで、いままでのシリーズでは、スティックを入れていてもパスに寄るのを優先していたのですが、今作ではある程度自由に受け方を調整できるようになりました。例えばハイボールを競る際に、離れた位置から走りこむように受ければボールに強く当たることができますが、相手に入られて奪われる恐れが増します。それを避けるためにボールに近づいて受けるかどうか。あるいは今のポジションで待って、相手が突っ込んでくるところで逆をとりたいとか、リアルなサッカーでやるような駆け引きが可能になりました」。

 こういった改良で思い通りの操作ができて気持よくプレイできるだけでなく、ボールの受け方を様々に工夫することで、球際の駆け引きという部分もさらに進化しているというわけだ。それはトラップの瞬間も同様で、本作ではファーストタッチの駆け引きにも工夫が加えられている。

田谷氏:「“リアルタッチ”と呼んでいるのですが、トラップをかなり力を入れて改善しています。ボールを受ける動きだけでなくて、ボールを受ける前の動きも含めてですね。例えばボールに寄りながら受ける、あるいは逆に下がりながら受けるといったことができるようになりました。またファーストタッチの方向や強さも、スティックとダッシュボタンの組み合わせだけで簡単に調整できますので、相手が寄ってくるようであれば逆をつくようにボールを置いて、ワンタッチで交わすようなプレイも自然にできるようになっています」。

 プレッシャーを受けて狭い場所でやりあう状況では、フィジカルを使ったボール運びも重要になってくる。体の強さを活かしてディフェンダーを抑えこみながらボールキープする、あるいは、足を出されてバランスを崩しても粘る。本作ではこういった、一言で言えば“強さ”の部分を2つのパラメータに分けることで、各選手の能力をきちんと再現しているとのことだ。

田谷氏:「従来は“ボディコントロール”というパラメータで表現していたフィジカルの強さを、今回“フィジカルコンタクト”と“ボディバランス”というパラメータに分けました。それにより、当たられてもよろけないというタイプの体の強さと、バランスを崩しても転ばずにボールを運んでいける能力というのを再現できるようになりました。後者は例えば、香川とかネイマールみたいな感じですね」。

体の強さを活かしてポジショニング
バランスを崩してもプレイを継続できる能力
しっかりとした姿勢で蹴れば、これまで以上に理想的なパスが出せる

 こういった改良のおかげで、バランスを崩した状態でのボールコントロール、という要素も駆け引きとして重要性が増した。そこで活きてくるのが、本作で“プレサイズパス”と呼ばれる、パス動作の改良点だ。

田谷氏:「『ウイイレ』らしい、ポンポンとパスを繋ぐ気持ちよさを残しつつも、無理な態勢や無理な方向に対しては、弾道もそれなりにブレたパスが出るようになっています。逆にスキルの高い選手ですと、良い姿勢できちんとパスターゲットを視野に収めれば、いままでよりも良いパスができます。そういった差別化で、駆け引きの要素をさらに増やしています」。

 実際に試合をプレイしてみると、前作とはまた違ったレベルでドリブルやパスの判断を求められるようになっている印象だ。特にプレッシャーのかかる場面でどういったプレイを展開するか。当たられてよろけた状態でもパスを出すか、それとも、いったんスピードを落として姿勢を落ち着かせてから次のプレイにつなげるか。本作のピッチ上には、リアルのサッカーで見られる様々状況が実際に現れるようになっている。

田谷氏:「このあたり、全ての改善点は駆け引きの深みや幅を強化するためを考えています。サッカーゲームは対戦ゲームですので、駆け引きをどれだけ実際のサッカーに近く、楽しい物にできるかが、ゲームとして大事なところです。そこをより深く楽しんでもらうためにも、実は今作では若干ながらゲームスピードを下げているんですよ。パスや選手の走るスピード等を調整し、よりリアルに近い、駆け引きがやりやすいというところを目指しています」。

プレーヤーそれぞれの戦術傾向が分析・表示され、ピッチ外の駆け引きに活用できる

 このほか、ピッチ外の改良でも駆け引き要素が増している。それが“プレー分析データ”という機能。オンライン・オフラインを問わず、1対1対戦時にプレーヤーの戦績が詳しく記録・分析されるようになり、プレーヤーの戦術傾向がデータとして確認できるようになった。カウンター主体か、ポゼッション主体か、ディフェンスは高い位置でやるのか、それとも低い位置で待ち構えるのか、といったデータだ。このデータは各対戦モードでのマッチング時にお互いに見ることができるので、実際に試合を始める前に、相手のプレイ傾向に応じて“コンセプトアレンジ”の組み合わせを考えることができる。キックオフの笛が鳴る前からサッカーの駆け引きが始まるのだ。

田谷氏:「サッカーゲームは駆け引きを楽しむゲームですから、相手をいかに出しぬいて、いかに裏をかいて得点をとるか、というところが1番楽しいところだと思っています。プレイ傾向のデータを用いたゲーム前の戦術設定も駆け引きのひとつですし、ピッチ上ではトラップのところから駆け引きがあって、もちろんドリブルも、緩急で抜いていくなどの駆け引きがあります。ぜひ本作を手にとっていただいて、そういった駆け引きの面白さを感じていただければなと思います」。

 より進化した「ウイニングイレブン 2017」で、サッカーの駆け引きの面白さを感じて欲しい。それが田谷氏のメッセージだ。