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「FIFA 17」はシリーズ最大の変化を迎えた!

Frostbiteエンジンで初のストーリーモード搭載。プレイフィールも違う!

6月12日 開催(現地時間)

会場:Novo Theatre

EA Play会場、「FIFA 17」試遊コーナー
クリエイティブディレクターのMatthew Prior氏

 ロサンゼルス現地時間6月12日、Electronic Artsのプライベートイベント「EA Play」が開催され、人気サッカーゲームシリーズ「FIFA 17」の詳細が明らかになった。

 「FIFA 17」では「Battlefield」シリーズ等で使われてきたEAオリジナルのゲームエンジンFrostbiteを採用し、ゲーム要素のオーバーホールが行なわれたほか、演出の圧倒的な強化が図られ、シリーズを通じて最大の変化が取り込まれた作品となる。

 EA Playでは本作がプレイアブル出展されており、ピッチ上の手触りや、新モード「The Journey」のゲームシステムを確認することができた。本作のクリエイティブ・ディレクターを務めるMat Prior氏へぶつけた質問の回答も交えつつ、お伝えする。

【FIFA 17 - The Journey - Official Trailer】

シリーズ初のストーリーモード「The Journey」

「The Journey」モードの主人公、Alex Hunter
ロッカールームの模様も濃密に描かれる。Frostbiteエンジンならではの演出だ
そしてプレミアリーグのピッチへ

 クリエイティブ・ディレクターのMatthew Prior氏によれば、「FIFA 17」でFrostbiteエンジンを導入したことにより、多くのことが可能になったという。その中でも最大のものとなるのが、シリーズ初の搭載となるストーリーモード「The Journey」だ。

 「The Journey」は、従来のキャリアモード(Be A Pro)とはまた違った、全く新しい視点でサッカー選手のキャリアを描くモードだ。主人公となるのは17歳の若き架空選手Alex Hunter。プレミアリーグを舞台に、無名の選手が試合に起用され、シーズンを通じて様々なドラマを生み出していく模様が、その選手自身の視点で展開していく。

 本モードでは、Alex Hunterがピッチ内外で直面する状況が濃密なカットシーンで描かれつつ、プレーヤーに様々な選択の機会を提供する。例えば話す言葉の選択だ。試合直前のロッカールームでの会話、アシスタントコーチの指示を受けてピッチに送り出される際に発する言葉、試合後のインタビューでの受け答えなど、様々な機会でセリフの選択が可能で、それによってプレーヤーの精神状態や、監督・ファンからの評価が変化する。例えば試合後に尊大なコメントをすると、ファンからの人気は高まるが、監督からの評価が下がってしまうといった感じだ。

 同時に、ピッチ上でのプレイぶりも新たな物語を紡ぎだすエンジンとなる。例えば今回の試遊では、マンチェスターユナイテッドの一員としての初陣で、いきなりの活躍が求められるシチュエーションとなっていた(ちなみに実際のゲームでは、キャリア開始時に契約するチームをプレミアリーグ内で任意に選べる)。

 リーグ戦は佳境にあり、マンチェスター・ユナイテッドは6位、勝点3をとらなければヨーロッパリーグ圏外に沈むという状況だ。リバプールとの試合、後半に入ってスコアは1-1。新米のAlex Hunterは黄色いビブスをつけてベンチから試合を見守っている。ここでモウリーニョ監督はHunterの初投入を決意。大事な試合の後半でプレミアリーグ初出場を果たしたHunterには、「評点7.0以上で監督に好印象を与える」、「ゴールまたはアシストを記録する」、「チームを勝ち越させる」という3つのミッションが与えられ、ピッチに送り出される。

 与えられたミッションを達成できるかどうかは、プレーヤーのスキル次第。センターフォワードの位置に置かれたAlex Hunterを操作し、パスを呼び込み、敵のプレッシャーを交わしながら、個人的な活躍とチームの勝利を伺う。うまくやれば、チームをリーグ優勝に近づけ、監督からの覚えもめでたく、ファンの支持も得られる。こうした試合での活躍と、ピッチ外での会話といった様々な選択を通じ、1人のサッカー選手としてのキャリアを濃密に追体験する、それが「The Journey」モードというわけだ。

 いわばサッカーを軸に構築されたRPG(ロールプレイングゲーム)。Matthew Prior氏によれば、会話の選択と試合でのふるまいが相互にフィードバックしてシナリオが変化していく仕組みで、プレイするごとに全く異なるドラマが描き出されていくという。

 サッカーゲームとして全く新しい試みになるゲームモードであり、これまでとは違った層にも「FIFA」の魅力を訴求するものになりそうだ。また、従来のキャリアモードはこれとは別に引き続き搭載されるそうなので、任意の選手や監督でプレイしたい方はご安心を。

Alex Hunterという、プレミアリーグへのデビューを迎えた若き選手のキャリアを描き出す「The Journey」。ストーリードリブンのゲームスタイルはサッカーゲームとしては非常にユニーク

Frostbiteエンジンでプレイフィールも大幅変化

ボタン2回押しで低弾道シュートが放てるなど新操作も
プレイスキックの操作システムも大幅に変わり、以前とは完全に別物だ

 「FIFA 17」では、Frostbiteエンジンの採用によりピッチ内の基本的なゲームプレイ要素もオーバーホールされる形となった。キャラクター操作のフィーリング、フィジカルプレイ、AIの賢さに至るまで、ほとんど全部だ。Matthew Prior氏はこの開発に2年をかけたと語っている。

 実際に試合をプレイしてみると、キャラクターの動きが前作にもまして滑らかになっていることに気がつく。1歩1歩、重心の移動をしっかりと感じられつつも、操作には機敏に反応してくれる、ヌルっとした手触りだ。特に「FIFA 16」以前では非現実的な動きになりがちだった各種フェイント動作も極めて自然な動きに仕上がっている。

 特に違いを感じられるのは、AI制御の動きだ。選手たちは非常に積極的にスペースを突く動きをしてくれて、敵ゴール近くまでボールを運んで押しこむシチュエーションでは、最終ライン上に4~5人の選手が飛び込んできたりする。サイドバックのオーバーラップや中盤の追い越し、ダイアゴナルランで裏をつくといった動きも積極的で、プレーヤーが意図的に走り込みをトリガーさせる必要がほとんどないほどだ。

 Matthew Prior氏によれば、こういった変化は「FIFA 16」でのフィードバックを受けてのことだ。「FIFA 16」のAIによるディフェンスは非常に強固である一方、攻め手に関してはAIの動きが非積極的で、プレーヤーが走りこみ指示を出さないとチャンスを作りにくい部分があった。そこで本作では、AIによるサポートランを大幅に強化し、自然な流れでより多くのチャンスメイクが可能なバランスとしたわけだ。もちろん、攻守の切り替えを含めた各選手の上下動はより激しいものになる。このあめ、攻防ともにピッチ全体の動きを把握することの重要性が高まっている。

 もうひとつ、プレースキックのシステムが大幅に変わっている。これまではキッカー視点で大雑把に方向とパワーを指定して蹴るものだったが、今作では通常の見下ろし視点で、ボールを落とす位置を示すカーソルを使って狙いをつけられるようになった。これにはAIの進化も関係している。例えばコーナーキック時、ボックス内では極めて激しいポジションの奪い合いが起きる。そんな中で適切なタイミングと位置を見極められるかどうか。見下ろし視点のほうが状況を把握しやすく、より戦略的にプレイできることは確かだ。

 このように多数の変化が見られる「FIFA 17」。シリーズを通じて最も大きな変化を果たす1作となっていることは間違いない。