インタビュー

【E3 2013】地球最強のレースゲーム「Forza Motorsport 5」プレビュー

コックピットで光が踊る! 痺れるブレーキパッドの振動! 3レイヤーで表現されたボディ!これが次世代レースゲームだ!!

6月11日~13日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

McLaren P1が鎮座する「Forza Motorsport 5」コーナー

 「Forza Motorsport 5」を5月のXbox Oneローンチイベントで見た瞬間、「これはまた最強レースゲームの座を更新したな」と確信すると同時に深く安堵した。昨年リリースされた派生フランチャイズ「Forza Horizon」が不発気味に終わり、このオープンワールドのアクションレース路線が「Forza」のメインストリームになったらこのシリーズは終わってしまうと思ったからだ。

 しかし、実際に仕上がってきた「Forza Motorsport 5」は、最強の名をほしいままにした前作「Forza Motorsport 4」の正統進化を、キッカリ2年のスパンで次世代機でやってのけていた。1080p/60フレームというシリーズとしての生命線はしっかり維持しつつ、さらにグラフィックス水準を底上げし、Windows Azuleのテクノロジーを駆使したクラウド要素や、前作「Forza4」の車眺め回しモード「AutoVista」をパワーアップした「ForzaVista」の搭載、そしてスーパーカーの手作り感まで正確に伝えるために生み出された3レイヤーによるカーボディの表現などなど、その素晴らしさはまさに枚挙にいとまが無い。

 私は、この感動を可能な限り正確に伝えたいと思い、E3の会期中、取材の合間を見つけては毎日「Forza Motorsport 5」ブースに通い、McLaren P1の写真を撮ったり、動画撮ったり、眺めたおしたりして、仕事と称して趣味の世界に没頭しただけでなく、試遊の列に並んで乗り心地を確かめ、列に並びながらスタッフと雑談をかわし、レースゲーム好きのメディアと情報交換をしたり、1日数回の実機デモにも参加し、さらにMicrosoftの現地スタッフに頼み倒して開発者インタビューも行なってきた。

 これら取材で得た情報を元に、「Forza Motorsport 5」はどこがどう素晴らしいレースゲームなのかということを、グラフィックス、クラウドプレイ、ユーザーインターフェイス、その他の4項目にわけて詳しく説明していきたい。なお、ここに記載している内容は、E3時点での予定や計画も含まれており、製品版では変わる可能性もあるので、その点ご注意いただきたい。

 「Forza Motorsport 5」は、Xbox Oneのローンチタイトルとして2013年11月の発売が予定されており、時期未定ながら日本での展開も予定されている。価格は59.99ドル。

【「Forza Motorsport 5」E3 2013トレーラー】

【Forza Motorsport 5コーナー】
連日盛況だったブースの様子

【McLaren P1】
世界生産予定台数375台限定の「McLaren P1」。日本での販売価格は9,661万5,000円。1日に何度かシートに座れるイベントも行なわれていたようだが、すべて逃してしまった。痛恨の極みである

【McLaren P1回転デモ】

グラフィックスについて

リアルタイムライティングの衝撃
ForzaVista。ボディの質感と、ボディへの環境の写り込みが劇的に変化している
カーボンやタイヤの質感までリアルに表現されているのがわかるだろうか。この質感の違いによる写り込みの変化まで再現しているところが凄い

 グラフィックスに関しては、レースシーンと、ForzaVistaの2つに分かれるが、まずレースシーンに関しては、Turn 10自身が広言しているように、レースゲームとしては「Forza Motorsport 4」で一応の完成を見ているため、車そのものグラフィックスはあまり変化しておらず、その代わりに、車をいかに現実世界と同様に見せるかに力が注がれている。具体的には車へのライティングやボディへの映り込み、コース上のオブジェクトへの描きこみ、もやなどのエフェクト表現などが前作にも増して注力されている。

 とりわけ衝撃的とも言えるものがリアルタイムライティングだ。「Forza 5」のコースは常に大量の光で溢れ、ハレーションを起こしたり、にじんで見えたり、ボディ全体を美しく照らすのに一役買っている。もっともわかりやすいのがコックピットビューで、「Forza 5」のコックピットビューは、太陽光を正面に受けるとレンズフレアが強く出て、ゲーム内のことながらバイザーやサングラスが欲しいぐらいまぶしくなる。

 この太陽光は、ダッシュボードやハンドル、サイドブレーキなど、コックピット全体に対して適用され、カーブの激しいコースなどは、車体の向きを変えるに従って、車内で光と影が踊りまわり、さらにフロントガラスにはダッシュボードの情景が写り込み、トータルで見ると圧倒的なリアリティとなる。逆に木々の下を走るような場合でも、その樹木の影が細かくボディやコックピット内にリアルタイムで落ちる。現在では多くのレースゲームがコックピットビューを採用するようになってきたが、それらと見え方を比較すると、その大きな違いがわかるはず。「Forza 5」はますますコックピットビューが楽しいレースゲームになっている。

 遠景の表現についても、書き割り感がさらに減り、オブジェクトの表現がさらに細かくなっている。また取材によれば、コース表現もミリ単位で表現され、斜面の表現などがより細かくなっているという。今回は新コースの「プラハ」のみしか体験できなかったため、前作と比べてどうかというところはわからなかったが、既存コースもおしなべてパワーアップしているようだ。

 「ForzaVista」は、前作で「AutoVista」と呼んでいた、超ハイポリゴンの車を眺め回せるモードで、前作は選び抜かれた20数台しか「AutoVista」の対象になっていなかったが、「ForzaVista」では数百台規模(詳細は夏に発表)で楽しめるようだ。ちなみにこのモードのデモを受けてすぐ気づいたのは、眺め回す速度、つまり視点移動速度が大幅にスピードアップしていることだ。前作では超ハイポリゴンデータを制御するために、視点を変える際に少しずつウェイトがあって、若干いらいらしたが、「Forza 5」ではそれがほどんどなくなり、グリグリ見回せるようになっている。

 そしてこのForzaVistaで衝撃を受けるのは、車に対する環境の映り込みの美しさ、自然さだ。今回、車のボディ表現をベース、メタル、クリアコートの3層のレイヤーで表現し、車に採用されているマテリアルの質感や傷による変化をリアルに再現する。ForzaVistaでは、カーボンやスチールなど材質の違いによる映り込みの変化を綺麗に付けているのをハッキリ確認することができ、その自然さ、美しさにうっとりとしてしまうこと請け合いだ。

 最後に忘れてはならないのが、大規模な市街コースの復活だ。今回のデモで走ることができた「プラハ」は「Forza」シリーズとしては待望の市街コースとなる。「Forza」シリーズでは1080p/60フレームにこだわるため、オブジェクトの多い市街コースは意図的に避けてきたという背景がある。今回のデモでは、あえて新収録の「プラハ」を持ってくるなど、従来との違いをアピールしている。これもXbox Oneのパワーのなせる技といったところだろうか。

【ForzaVista】
圧倒的なハイポリゴンデータの車を眺め回せるForzaVistaモード。「Forza 5」ではマテリアルの質感の表現もパワーアップし、より楽しめるようになっている

(中村聖司)