CJIJ/コーエー、「真・三國無双 Online」開発者インタビュー
「Revolution 5」の開発秘話や、気になるPS3版の情報をゲット!


11月10日収録

CJインターネットジャパン本社



「Revolution 5」では3つの新武器や「属性付加」システムなどが入る

 「真・三國無双 Online ~神将乱舞~(以下、真・三國無双 Online)」の大型アップデート「Revolution 5」が11月17日に実装された。「真・三國無双 Online」は大勢の敵をなぎ倒す爽快感が売りのアクションゲーム「無双」シリーズ唯一のオンラインゲーム。オフラインのシリーズに負けない派手なアクションで、仲間と共同でのNPC戦だけでなく、最大12対12の対人戦も楽しめる。

 「Revolution 5」では、218年から始まる新章「荊州鳴動」や、武器に炎や氷などの属性を付ける「属性付加」、新しい対NPCコンテンツ「賊討伐」、新動物副将「熊猫(パンダ)」など多くの新要素が楽しめる。これらの要素について、コーエーの「真・三國無双 Online」開発プロデューサーの藤重和博氏と、開発ディレクターの越後谷和広氏にインタビューした。

 インタビューでは新章で実装される新しい遊びのポイントや、開発秘話だけでなく、2010年に発売予定のプレイステーション 3(以下、PS3)版についての情報も入手できた。もう遊んでいる人も、PS3版待ちの人も、インタビューから新章の雰囲気を感じてほしい。



■ いよいよ「魏呉蜀」の三国鼎立時代がスタート。南蛮は永遠のNPC勢力

コーエーの「真・三國無双 Online」開発プロデューサー、藤重和博氏(左)と同、開発ディレクターの越後谷和広氏(右)
「荊州鳴動」のイメージキャラクターは荊州の領主となった関羽

Q:いよいよ「荊州鳴動」がスタートしますが、従来のシナリオとはどこが変わるのでしょうか?

越後谷和広氏: シナリオの状態以外で大きく変わった部分はないのですが、今まで劉備の勢力はずっと弱小勢力だったのが、今回ようやく魏・呉・蜀の三国の状態で最初からプレイできるようになりました。そういう意味では劉備勢力のファンにとっては、ようやく対等な勢力としてスタートする事ができるので、やりがいがあるのではないかと思います。

 今、“魏・呉・蜀”という言葉を使いましたが、実は今までゲーム内では魏・呉・蜀という言葉は使っていなかったのです。曹操勢力なとどあえて言っていたのですが、今回ようやく魏・呉・蜀という耳慣れた言葉で、魏軍対呉軍などという言い方もできて、三国志らしい形になってきたかなと思います。

Q:今までプレーヤーの勢力比はどうだったのですか?

藤重和博氏: 均等が理想ですが、若干の偏りはありました。

越後谷氏: 初めて来ていただける方は劉備軍が若干多めになる傾向があります。逆に長く居ていただけている方は、いろいろな勢力に仕えてみようという傾向があって、新しいシナリオが入ると、例えば袁紹がいた時には袁紹に仕えてみようといったように、普段あまり仕えられない所を積極的に選ぶ傾向があります。

Q:新章が始まるという事で、転生で士官先を変える動きが活発になっていたりするのでしょうか?

越後谷氏: まだようやく発表された段階なので、次はどうしようという話を今ちょうど始めた所ではないでしょうか。過去に行ったことがない勢力はどこだろうと、現役の方は考えていると思います。

Q:南蛮に所属できないのは、残念がるユーザーさんもいそうですね。

越後谷氏: 南蛮はあまりにも特殊ですから。南蛮があるとみんなそこに行ってしまうのではないかという怖さがあったので、永遠の中立というか、永遠のNPC勢力として存在してもらおうと思っています。南蛮で天下統一させたいという夢もあるかとは思うのですが、まずは三国の中で戦っていただこうかなと。

Q:南蛮は位置的に蜀の南にあるので、主に劉備勢力の人が戦うことになるのでしょうか?

越後谷氏: 最初はそうなると思います。そのうちに「争奪」の場となる可能性が高いですね。その時にどこが取り合う事になるのかは、流れ次第でしょう。

Q:南蛮勢力は滅びる事もあるのですか?

越後谷氏: いずれはどこかに吸収される形にはなるかと思います

Q:はやりそれは蜀の可能性が高いでしょうか?

越後谷氏: そこはわからないです。あくまでも「争奪」の結果なので。

Q:南蛮があるから、今回は蜀を選んでおこうという人は多そうですね。

越後谷氏: どうでしょうね。思った以上に三国のどこも大好きという方が多いのです。ここが嫌いという方はあまり見られないので、そういう意味ではそれほど偏りはないかなと思っています。始めた頃には大部分が劉備に行ってしまうのではないかと心配していたのですが、思っていた以上に均等にわかれるな、というのが率直な感想です。

Q:南蛮方面用の「特務」などはありますか?

越後谷氏: 特別に用意しているわけではないですが、「激突」などで異勢力と戦う時にそこに南蛮の武将が登場する事は当然あります。

Q:戦場に関して、新たに追加するものはありますか?

越後谷氏: 今回は「乱戦」のステージで、新しく「山道」を追加しました。「乱戦」は久しく追加要素がなかったので、今回久しぶりの追加です。今までのマップよりも少し狭いマップで遊んでいただこうかなと思いまして「山道」を「乱戦」に投入してみました。

Q:南蛮らしいステージや、あるいは象兵が登場したりする事はないのですか?

越後谷氏: 今回はないですが、今後検討していきます。

藤重氏: ゾウは過去の「無双」シリーズの中で人気が高いので、こちらとしてもどのような形で登場させるかを検討中です。

Q:登場させる気はあるという事ですか?

藤重氏: 満々です(笑)。ただし、乗り越えなければならない壁がいくつかあるので、それを調整している所です。

Q:ゾウを出すことに何か不都合な点があるのですか?

藤重氏: 単純にアクションをどうするかという問題もありますし、通信量の問題も若干出てくるのです。後はルール的にどうするかといった部分にも、色々と調整しなければならない部分があります。

Q:あとは順序的には馬が先だろうということもありますよね。

藤重氏: そうですね。いろいろ考えていきたいなと思っています。乗り物となると、いろいろ考えて一気に入れる事になるので、やるとなれば、ゾウを1体入れればいいだけという事ではなくなりますから。



■ 孔明の秘蔵っ子「姜維」や、張飛の娘「星彩」ら次世代の英傑が登場

「苦肉の計」は周瑜や黄忠らが登場する赤壁の戦い中のエピソード

Q:新章では新しい武将が登場したり、引退する武将が出てきたりと武将のラインナップが変わりましたね。

越後谷氏: 完全に後ろの世代になっていきますので、今まで登場していなかった若い英傑が登場する形になっていきます。年代上いなくなっていく武将もいるのですが、新しく登場するニューカマーもいますので彼らのファンはご期待ください。

Q:周瑜などの人気武将がいなくなって、残念がるユーザーの方も多そうですね(笑)。

越後谷氏: どちらかというと、そこは年代の雰囲気を感じていただくのが1番かなと思っています。無理にねじ曲げて登場させるよりは、あくまでも原作に沿っていた方が感情移入がしやすいだろうと。だから割とオードソックスに設定しています。

Q:今後、どういった武将が登場してきますか?

越後谷氏: 蜀でいうと「星彩」ですとか、「姜維」などですね。

Q:年代は209年から何年くらいまでですか?

越後谷氏: だいたい3~40年後くらいまでですね。

Q:次章のシナリオは五丈原になるのでしょうか?

越後谷氏: 次をどうするかは、まだ検討中です。特に何をすると決めてはいないです。五丈原までには、まだいろいろとネタはありますからね(笑)。

Q:「列伝特務」の中に「苦肉の計」が実装されますね。

越後谷氏: 「列伝特務」に関しては、ゲームでこれまでにあった逸話を中心に採用しています。今回はもう荊州が舞台で完全に三国鼎立時代ですから、その前の赤壁の戦いであるとか、これまでどういう事があったかという所を中心に「列伝」で紹介していければと考えています。

Q:赤壁が終わるから「苦肉の計」が入るということなのですね。

越後谷氏: そうです。「列伝特務」はシナリオに登場してこないような懐かしい武将に会える場所ですから。

Q:「列伝特務」については、今後も続々と追加予定だという事ですか、どのようなシナリオが入るのでしょうか?

越後谷氏: 諸葛亮の博望坡(はくぼうは)の計略であるとかも検討中ですし、ここに至るまでの有名な話の中からいくつかピックアップして、こんな話になっていたのだなと盛り上がっていただければと思っています。



■ 武器へ付加することによって「乱戦」の戦略性をより高める

「先行して服飾への属性付加を入れたことで土台はできた」と越後谷氏
「属性付加」で属性攻撃が発動する強力な武器が作れるようになる

Q:武器への「属性付加」について聞かせてください。今回の仕様変更によって武器がかなり強化されましたね。

越後谷氏: 前回の「Revolution 4」の時に服飾に属性が付加できるようになりました。そこから数カ月が経過して、土台ができてきたかなと思いましたから、今度は武器に付加ができるようにするタイミングかなという事で実装しました。もちろん属性自体は凄く強いものなのですが、属性以外のアイテムを装備できるようになるので、事実上3つのアイテムを装備できるようになるという感覚です。そういう意味でさらに戦術性が高まるのではないかと思います。色々と作戦を練っていただければと。あとは単純に武器に色が付くという部分で、錬成がより純粋に楽しめるものになっているのではないかと思います。見た目と、実際の効果の両方で錬成を楽しんでいただきたいです。

Q:武器の「属性付加」が導入される事によって、単純に自分のキャラクターは強くなると理解していいですか?

越後谷氏: 若干強くなると思います。「特務」などが今までより簡単にこなせるようになる可能性はありますね。

Q:属性付加を行なうと、武器の色だけではなく身体にエフェクトが出るようになりますね。ああいったものはアジア市場で好まれる部分だと思いますが、あのエフェクトはランクによって変化するのでしょうか?

藤重氏: この人はどの属性が出るよ、と教える事をまず第一にしているので、段階の差は特に考えていないです。

Q:属性を付加する難易度は高いのでしょうか?

越後谷氏: それほど難しくはありません。何度かやり直していただければ成功すると思います。最初のうちは錬成スキルのレベルが低いので失敗の可能性が高いかもしれませんが、地道にやっていただければレベルが上がっていきますので、だんだんと自分の目的のものが錬成しやすくなります。成功率はランクによって難しくなりますので、それなりに時間はかかると思います。最高レベルまで高めようと思えば、結構な時間が必要になるかもしれません。その作業の中でどういう効果を付けていくのが1番いいのかを試していただきながら考えていただくいい機会だと思います。

Q:「属性付加」システムの今後の拡張予定を教えてください。

越後谷氏: 武器の発展以上に他の錬成効果がないかどうか、いま検討中です。

Q:といいますと?

越後谷氏: 属性ではなく、今は「改造」というコマンドでやっていますが、武器を元に戻せるようなものが錬成でできたら面白いのではないかといった事を考えています。

Q:武器の属性ランクが6とか7になっていくような進化形も考えているのですか?

越後谷氏: そうですね。それもあわせて両面で考えていきたいと思っています。

Q:ちなみに「属性付加」のランクだけではなく、武器自体のランクはどうですか?

藤重氏: 武器自体のランクは基本的にもう少し上げていくと思います。段階的にですね。

Q:武器のランクが6や7になると、さらに見た目が派手になりそうですね。

藤重氏: 直近ではないですが、今後お楽しみにしていただきたいです。

越後谷氏: おそらく「属性付加」を一通り楽しんでいただいて、落ち着いてきた頃かなと思います。あまり新要素を続々と投入すると逆に迷うかなという部分もあるので、馴染んだ頃にと考えています。

Q:「属性付加」のバリエーションを増やす予定はあるのですか?

越後谷氏: バリエーションについては今の所は考えていません。もし出てくるとしたら、まったく新しい属性という形になるのでしょうが、今の5種類でも結構たくさんあると思うのです。実際に戦う人からすると、対処に迷う部分はあるかなと思うのです。特に初心者の方は、いきなり5種類というだけでも結構大変かなと。上級者向けのコンテンツなので、ある程度熟成が必要かなと思っています。

Q:「直接アイテム」を装備している場合には、発動する属性は「直接アイテム」が優先されるとの事ですが、「属性付加」とアイテムで違う属性を付けた場合、アイテムが優先されるという事ですか?

越後谷氏: そうです。武器の「属性付加」によって複数の属性を持てるようになるわけですが、そこも組み合わせが増えてこんがらがるよりは、どれか1つという形がシンプルでいいかなと思いました。

Q:2つの属性が同時に発動することはないのですか?

越後谷氏: 今はありません。何か1つという事で、アイテムを持っていればアイテムが優先されますし、拠点の中にいれば、拠点が優先されます。そういうルールでどれか最優先のものが出るという形になっています。

Q:服飾に付加できる属性防御の性能と、武器の「属性付加」はどちらが強いのですか?

越後谷氏: アイテムを除いた形ですと、最終的には服飾の方が強くなります。

Q:では本当に強い服飾を持てば、属性攻撃の確率をほとんど0にできるということですか?

越後谷氏: ただ、防げるのは1種類だけです。属性防御の確率を高めるためには、どの属性かに集中しなければならないので、他の属性に対しては無防備になってしまいます。そういう意味ではどう配分するかの選択が大切になりますね。

Q:ちなみに現在はどの属性が人気がありますか?

越後谷氏: やはり炎が多いですね。逆に風のように、あまり普段は見かけないけれど、喰らうとすごく大変になってしまうというものをあえて付けている方もいます。炎は予想が付く部分なので、そこはアクションでかわして見せるという形もあるかなと思います。

Q:上級者は、パターンを読まれないように、5属性分の武器を揃えるみたいなことになりそうですね。

越後谷氏: こちらの考えとはまた違う部分で、自分の技量だけでなんとかしてみせるという方もいらっしゃるので、そこは個人の考え方次第かと思います。

Q:1つの属性を極めても「この人はいつも炎だから」と読まれてしまうと対策されてしまいますからね。

越後谷氏: そういうトレンドのようなものはありますね。実際、属性の使用率も結構チェックしているのですけれど、最近使われていなかった「斬」の属性が突然人気になったり、これについてはバランス調整の効果もあったのですが。誰かが凄い使い方を発見すると、口コミで広がったりもします。自分では使い方を知らなかった属性を人から聞いて、こんな使い方もあるのかと使い始めるような形で、徐々に切り替わっていくのかなと思います。

Q:炎属性に人気がある理由は何ですか?

越後谷氏: コンボを安定してつなげられる所が大きいのではないでしょうか。一番安定しているのだと思います。

Q:では服飾としては炎属性をしっかりと防いでおくのがセオリーとなりそうですね。

越後谷氏: そうですね。「真・無双乱舞」のように最初から炎のエフェクトが付く攻撃があったりもするので、より炎に出会う確率が高いというイメージがあると思うのです。それも炎が人気になる理由の1つかもしれません。

Q:いま服飾への「属性付加」はかなりのプレーヤーが行なっているのですか?

越後谷氏: そうですね。結構な数の方に遊んでいただいて、ありがたいと思っています。家に置ける家具だけではなくて、市場に共用できる家具を置いているのですが、そこも結構利用されています。試しに置いてみようか、くらいの考えだったのですが、思った以上に皆様に利用していただいて、色々なニーズがあるのだなと新鮮に思いました。自宅に置ける家具は軍資金がかからないのですが、市場の家具を使うには軍資金が必要なのです。軍資金は大事にされるのかなと思っていたら、結構軍資金を使っていただけていて「皆さんお金持ちだなあ」と(笑)。私自身はたまにログインすると金欠なので、稼いでいらっしゃるなと。



■ 「鉄笛」はトリッキーな武器、「盤刀」は初心者向け?

笛を吹いて戦う「鉄笛」は攻撃方法もエフェクトもトリッキー
オーソドックスな初心者向け武器「盤刀」
オフラインシリーズでも人気のある「旋棍」

Q:新しく導入される武器について、それぞれの傾向と対策を教えていただけますか?

越後谷氏: まず「鉄笛(てってき)」ですけれど、見ての通り本来は戦闘向けではないものです。明らかに相手からしても自分が使ってもトリッキーなので、最初出くわして見た事がない方は驚くかなと思います。そういう意味では驚くに値するだけの強さは備えています。トリッキーさを楽しんでいただければいいと思います。

 「旋棍(せんこん)」は過去のオフラインの「無双」シリーズを遊んでいただいている方にはかなり人気の高いおなじみの武器です。こちらは攻撃の早さと軽快さを楽しんでいただければいいかなと思います。

 「盤刀(ばんとう)」は、こちらもかなりおなじみの武器なんですね。刀ですから、かなりオーソドックスです。この3つの中で初心者の方が1番使い易い武器ではないでしょうか。リーチもそれなりにあるので攻撃が届かないという事もあまりないですし、黄忠の使用武器ということでチャージ攻撃が弓という味付けもあったりします。オードソックスかつ、意外性も楽しんでいただければと思います。

Q:そういえば、「真・三國無双 Online」には他の「無双」シリーズにある弓が実装されていませんね。

越後谷氏: 接近の格闘を楽しんでいただきたいので入れていないのです。

藤重氏: 弓ってどうしても隠れて打ったりと、やる方もやられる方も爽快ではなくなるという心配がありまして、今は武器の候補としては除外しています。今後の状況によっては入るかもしれません。

越後谷氏: あとは、たぶん強いと思うのですね。4人が一斉に誰かを狙う事もできてしまうので、ゲーム性が変わってしまう気がするのです。あくまで近接格闘ゲームなので、今のところ弓は考えていません。チャージ攻撃の弓は、何かに標準を定めて射るといったものではなくて、その攻撃の時にだけ取り出して撃つという感じです。

Q:今回「属性付加」が導入されて武器はさらに強化されますが、服飾に関してはいままであまり性能に変化がないですが、これは何か理由があるのでしょうか?

越後谷氏: 基本的に、強さは武器に集中させるという方針があります。服飾に関しては、格好で選んで欲しいと思っているのです。だからなるべく最強装備といったものは用意しないようにしています。大将軍マントのような頑張った人にそれなりの報酬を、というものは当然ありますが、普段着る服はむしろアバター的に「俺はこの服がいいんだ」と見た目で選んで欲しいので、パラメーターで優劣を付けたくないのです。

Q:服飾の基本的な発想は、武器による攻撃から身を守る防具というよりはアクセサリーの一種ということですよね。

越後谷氏: そちらの方向で考えています。

Q:今後、服飾の進化の方向性にはどのようなアプローチが考えられますか?

越後谷氏: 全装備がプラス9や10になることはあるかもしれませんが、どれか1つが飛び抜けるというようにはしないですね。

藤重氏: トータルでプラス8の服飾とプラス9の服飾を比べたら、パラメーター値をすべて合算するとプラス9の服飾の方が高くなるかもしれませんが、1つ1つのパラメーターで見比べると、全てが8の服飾よりも高いという風にはならないようにはしないですね。

Q:例えばMMOROGだと、誰かが盾役だったり、アタッカーだったり特定の役割に付いた上でプレイしますが、「真・三國無双 Online」ではそういった役割分担がないですよね。それは服飾に差がないことも影響しているのではないでしょうか。

越後谷氏: 例えば「多節鞭」という武器は「乱戦」だと「究極強化」で防御力が3倍になる「背水」という能力が最初から使えるので、比較的盾に近い使われ方をしていることがあります。

藤重氏: 服飾に依存するのではなくて、何か武器の方に特殊能力を付けて、そういった事ができるようにしています。もう武器と心中くらいの考えで武器に集中するような感じで。

Q:その当たりのグランドデザインは今後大きくはかわらないだろうという事ですか?

藤重氏: 今は大きく変える予定はありません。今後状況を見て変えた方がいいかなというタイミングが来るかもしれませんが、今はまだまだ武器の方でできる事があるかなと思っています。



■ 「賊討伐」はクリアタイムによって獲得できるアイテムが変化

「賊討伐は今後、様々に拡張の余地があるコンテンツです」と越後谷氏
短い時間で達成条件をクリアしていくタイムアタック的なコンテンツ

Q:「激突娘娘(ゲキトツニャンニャン)」から「賊討伐」を受けられるようになりましたが、これは既存の「すぐに激突」のようなオートマッチングシステムで参加できるのですか?

越後谷氏: システムはオートマッチングを採用していますが、パーティーでも1人でも入っていただけます。基本的には集まっていただくような形を考えています。使い方は様々だと思います。

Q:通常の「特務」とはどういったところが違うのですか?

越後谷氏: 「特務」の場合は最初から人数が決まっているのですが、「賊討伐」は人数が1人から4人まで自由に遊べます。新しい形での協力的な要素で、人数に縛られずに時間がある方が集まって楽しめるというものです。あまり待ち時間なく戦闘を楽しめる要素として、今回提供させていただきました。

Q:待ち時間という問題を解決するためのコンテンツということですか?

越後谷氏: 問題とは思っていませんが、より色々な遊び方をしていただくためです。今回シナリオも変わって、勢力の組み替えで今まで遊んだ事のない方とも会うと思うのです。そこでみんなで遊べる新しいコミュニティがあってもいいのではないかと。1人から4人まで自由に遊べる今回のような遊びがある事で、よりコミュニケーションが図りやすいのではないかということで、このタイミングで提供しました。

Q:何か特別な報酬はあるのですか?

越後谷氏: 基本的には「激突」などと同じです。こちらの方がおそらく慣れるとよりレアなアイテムを獲得しやすくなるかなと思います。いままでは激突の中で、相手と戦いながら武器を拾ったりというプレイが多かったと思います。「賊討伐」は相手が入って来ないので、より安心してアイテムの獲得に没頭するかなと思います。

Q:イメージとしては相手のいない「激突」という感じですか?

越後谷氏: システムとしては「特務」に近いです。ミッションをクリアする形になっています。途中に勝利条件が出て、それをこなすとさらにいいアイテムを持っている武将が出てくるという、やり込み型のシステムになっています。

Q:「賊討伐」に「激突娘娘」からアクセスする意味がよくわからなかったのですが。

藤重氏: 「激突娘娘」はよりカジュアルにコンテンツを楽しむためのものなのです。例えばオートマッチングもそうですし、要は便利な機能をできるだけここから提供しようと考えているのです。「特務」などはいろいろな設定がある中で、ある程度リプレイ性があって、評価「E」から「S」へと追求していくのでしょうが、ちょっと時間が余った時にやってみよう、とか、敵がNPCであったりと、より気軽に安心して遊べるものをここに入れていくつもりです。

Q:なるほど。「激突娘娘」という名前ですが、別に「激突」にこだわっているわけではないという事ですか。

藤重氏: そうですね。名前は響きで決めたので。混乱のない範囲で、ここに追加していけばいいかなと思っています。

Q:「賊討伐」は普通のプレーヤーが日々遊ぶような、日常的なコンテンツになりますか?

藤重氏: 日々遊ぶコンテンツにもなりえると思います。先ほど越後谷も言いましたが、アイテムを手に入れたいと思った時に、「激突」に行く方もいるでしょうが、こちらを選ぶ方もいるでしょう。アイテムを取るのが目的であれば、割り切ってこちらでという事になるかもしれません。

Q:勝利条件や報酬が変化するということですが、どういった形になるのですか?

越後谷氏: 上に制限時間が表示されるのですが、これがかなり短めなのです。普段「特務」では10分くらいなのですが、最初からリミットに近い数字だったりするので。ただし勝利条件をクリアすると、時間が追加されてさらにその中でミッションをクリアしてくださいという形になります。

Q:何段階くらいあるのですか?

越後谷氏: 今は4段階です。その最後にボスが出てきて、そのボスがいいアイテムを落とすという感じですね。

Q:言わばタイムアタック的なコンテンツですね。

越後谷氏: そうですね。タイムアタックの中でクリアするタイムによって、アイテムの質が変わっていきます。スタート地点は同じで、戦闘の中で分岐していきます。

Q:クリアタイムによって、次に出てくる勝利条件が変わってくるという事ですか? 1番いいアイテムを手に入れようと思ったら、最短クリアを目指す必要があるという事ですね。

越後谷氏: そうですね。後は、参加する人数によっても難易度が変わってきます。人数が多くなるほど、若干易しめになるよう仕上げています。

Q:だんだんと慣れていくと、作業的なプレイが多くなりそうですね

越後谷氏: 突き詰めるとタイムアタックなので、コース取りみたいなものが出てくる可能性はあるでしょうね。それはそれで、色々と研究していただければいいのかなと思います。

藤重氏: 1人でやってもクリアを楽しめるようなバランスにはしてありますから、1人から4人までその時いる人数で遊んで頂ければいいのではないかと思います。



■ 1人に1匹のパンダを持って欲しい。「街中がパンダで埋め尽くされてもいい」

「難易度は高くないので、ぜひ手に入れて欲しい」というパンダ

Q:「出撃勧誘」はユーザーの利便性を上げるために導入されるのですか?

越後谷氏: そうですね。便利機能です。

藤重氏: 色々と考えていく中で、ちょうど「乱戦」とかを含めて機能的に入れられたので、今回実装しました。

Q:導入までに時間がかかりましたが、今まで入らなかったのは、何か理由があったのですか?

藤重氏: 内部的にいろいろな構想があったので、そこを調整していました。

越後谷氏: どこまでなら嫌に思われないかという部分を含めて、どういった形が1番満足していただける形かなと、仕様の細かい部分を色々と検討しました。「自動勧誘」はデフォルトでONになっているので、ルームを作る人が誘わない場合は誘わない設定にしていただく事になります。

Q:誘いたくない人に自動勧誘がいってしまう心配は?

越後谷氏: 絶交の方には飛ばないです。そこは当然設定しています。後は「勧誘希望」をOFFにしていたり、「離席」設定にしていると誘われなくなります。他にも「特務」の報告をしていたりと、いわゆるビジー状態の方は誘わなくなります。あくまで広場を走っているとか、比較的ヒマかもしれないという方にお声がけする形です。

Q:格が近いユーザーが誘われるとありますが、どの程度の範囲になるのでしょうか?

越後谷氏: まずは自分と同じ格から誘っていきます。同じくらいの実力の方で組んでいただくのが、お互いにとっていいと思いますから。

Q:「熊猫(パンダ)」は何か特別な攻撃スキルを持っているのですか?

越後谷氏: スキル自体は、他の副将とほぼ変わりません。「無双乱舞」の時には必殺技っぽいモーションをします。飛び上がってドンというふうな。たぶん最初は驚かれると思います。

Q:最初は中立で出てくるという事ですが、出現確率はどの程度でしょうか?

越後谷氏: 主に「乱戦」なのですが、今回は「激突」でも出るようにしています。おそらく皆さん、ぜひ獲得したいと思っているでしょうから、かなり出現確率を上げたつもりです。ですから、特にレアなものではないです。

Q:カラーバリエーションはあるのですか?

越後谷氏: ありません。実は途中考えなくもなかったのですが、見た瞬間に「やめておこう」となりました(笑)。いろいろ試してはみたのですが。

Q:パンダというと雲南のイメージですが、どこの戦場でも出るのでしょうか?

越後谷氏: 特にこの地形でなければといった条件はつけていません。とりあえず今回は、1人1体のパンダを持って欲しいと思っているので、ぜひ獲得していただきたいです。街中がパンダだらけになって欲しいです。

Q:今回パンダを選んだ理由は?

藤重氏: 最初狼から入って違うものを入れていくというバリエーションの中で、何かに偏るよりは色々なものを入れていきたいと考え、そろそろパンダがいいかなというのが最大の理由です。

Q:従来の人間タイプの副将については、何かアップデート計画はありますか?

越後谷氏: 実は人間の副将がさらに成長する方向で考えています。さらにいかつい、かっこいい所までレベルアップさせるかどうかをいま検討中ですね。



■ PS3版の開発は順調。解像度はHD/SDの両方式に対応

「もう少ししたら詳しい話をできるかも」と藤重氏

Q:東京ゲームショウで発表されたプレイステーション 3版の開発の進捗はいかがですか?

越後谷氏: いたって順調です。社内ではもう普通にプレイできますから。PC版との対戦もできています。

Q:マスターアップが近そうですね。

藤重氏: それは言えません(笑)。一応2010年ですから。

Q:PS3版独自のウリは何になりそうでしょうか。

藤重氏: サービスに関しては、基本的にPC版の方とPS3版の方で差を付けるという事はあまり考えていません。実際にプレイしていく中で、PS3版の方の方がプレイしやすいから強いとか、そうならないように基本的に調整します。

Q:グラフィックスに関してはいかがですか?

越後谷氏: ずいぶん良い感じにはなってきました。PS3は専用ハードなので、独自の事ができるように。

Q:PC版よりも画面が綺麗だということですか?

藤重氏: 環境によるでしょうね。シェーダーなどでできる事もちがいますし。使える表現がこちらにはあるけれど、こちらにはないというものが出てしまうのですよ。基本的にはPC版の高品質設定と同等レベルのグラフィックスになると思います。

Q:フレームレートはいかがですか?

藤重氏: フレームレートは今は結構高く維持できていますね。固定ではなく可変です。

Q:表示解像度はどうなるのですか?

越後谷氏: HD(High Definition)とSD(Standard Definition)の両対応です。そこはちょっとこだわりました。

藤重氏: SDを用意してあげないと、HD環境のない方が遊び辛くなるからです。今までコーエーの他のタイトルではやっていないんですが、今回は対戦ゲームなので、遊びやすさを考えてできるだけ平等になるようにしました。今後テレビのモニターは変わっていくと思いますが、現状で必ずしも全員がHD環境というわけではないですから。せっかく今回PS3で出して広く遊んでもらおうという時に、テレビがHDではないからといって、遊べなくなったり、本来のパフォーマンスを味わっていただけないというのはもったいないので、今回は初期の段階でいろいろとレイアウト様式を決めたときに、2つ持とうという事になりました。

Q:これはSD環境のゲームファンにとっては嬉しいニュースですね。

藤重氏: そう思っていただけると、私たちも力をいれた甲斐があります。



■ 自社タイトルとのコラボレーションも積極的に行なっていきたい

Q:過去に「レッドクリフ」や「蒼天航路」とのコラボレーションがありましたが、今後似たような形でのコラボレーションの予定はありますか?

越後谷氏: いま直近で何かをという事はないのですが、随時お話はいただいていますので前向きに取り組んでいきたいと思います。オフラインの「無双」シリーズとのコラボレーションについても、直近に話があるわけではありませんが、コーエーでは他のタイトルとコラボレーションをして相乗効果を図ろうとしていますから、例えば「モバイルジョイ」の携帯サイトと連動するような仕組みを入れたり、タイトル間で連動するような仕組みを入れたりしています。

Q:ゲーム大会のようなものは企画されないのですか?

藤重氏: ゲーム大会のようなものは、実は海外では色々と準備していたりするのです。ですからそういったイベントにネガティブな所は運営のCJIJさんにもないと思いますので、そこは時期を見て開催していきたいかなと思います。海外のパートナー様からも世界大会のようなものへのご意見をいただいたりするので、できる方向では考えています。

Q:来年にもやりたいという所ですか?

藤重氏: そうですね。そのように考えています。実際にできるかどうかは別の話ですが、色々とご意見をいただく中で、それをやらないとは考えないので、やるためにはどういうハードルを越えていかなければならないのかを色々とディスカッションしています。

Q:最後にユーザーさんに向けてメッセージをいただけますか?

越後谷氏: 今回いろいろとシナリオも変わって気分一新な形です。コンセプト的には、新しい時代の、新しいマルチプレイのやり方という事で、「賊討伐」とか「属性付加」のような要素を楽しんでいただけるとこちらとしてもありがたいと思っています。今後ともよろしくお願いします。

藤重氏: 「真・三國無双 Online」もリニューアルしてもう2年が経ちます。色々と楽しんでいただいている中で、今回の「Revolution 5」は私どもとしても大規模に実装しているつもりですので、ぜひリリースされたら皆さんに楽しんでいただきたいなと思います。


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(2009年 11月 17日)

[Reported by 中村聖司 / 中村聖司]