インタビュー

【E3 2014】SCE WWスタジオプレジデント 吉田修平氏インタビュー

日本メーカーのPS4タイトルやインディーズへの取り組みは?

6月10日〜6月12日開催(現地時間)



会場:Los Angeles Convention Center

 E3会場ではインディーズタイトルを含め、非常にたくさんのタイトルを展示していたSony ComputerEntertainment America(SCEA)。E3に先がけて行なわれた「Playstation E3 press conference 2014」でも様々な施策や、多数の新作タイトルで話題を集めた。

 今後のSCEA、そしてソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアはどのように展開をしていくのか? 今回SCEワールドワイドスタジオ プレジデントの吉田修平氏へ合同インタビューを行ない話を聞くことができた。PS4の日本メーカーの参入の現状は? インディーズタイトルやProject Morpheusへの取り組みは? 気になるポイントを質問した。

SCEの予想を超えた“実況”の大人気。没入感を研究中の 「Project Morpheus」

SCEワールドワイドスタジオ プレジデントの吉田修平氏
「PLAY ROOM」のゲームでは、は評価時にAR(拡張現実)の演出が入る
「Project Morpheus」は会場で大人気だった

――まず最初に「Playstation E3 press conference 2014」の感想を聞かせてください。今回はゲームの情報に加えて、サービスのアピールを行なっているのも印象的でした。

吉田氏: ゲームだけでなく、サービスにも触れたのは意図したことです。ただ、ゲームが中心であるということは気をつけました。ゲーム機であるということが、最もユーザーさんが期待していることだと思うんです。

 最初に「Destiny」を持ってきたのは、去年との違いを出すためでもあります。今年はPS4をメインに作るメーカーが増えてきていて、PS3がメインの去年と違う。「Destiny」はシングルプレイとマルチプレイの境界線を感じさせないゲーム性なども、私たちがこれから見せたい遊びの形に近かったです。ゲームのクオリティに関しても実績のあるメーカーであり、待望のタイトルがようやく遊べるんだ、 今週からPS4でβテストで遊べるんだ、というところで真っ先にお知らせしたかったです。

――PS4発売からの、普及の手応えはどうでしょうか?

吉田氏: 私たちの予想を上回っています。生産しても足りず、不足を指摘されています。東京ゲームショウの時点で予測していたのが500万台、実際は700万台です。特にカメラは、そこまで売れないんじゃないかと思っていたのが、ライブストリーミングなどで好評で、特に足りなくなっています。

 ライブストリーミングやシェア機能の人気もこちらの予想を越えていました。PS4の目玉機能ですが、それでもここまで人気を獲得できたのは驚きました。サービスの面でもニコ生の追加に加え、YouTubeでもチャンネルを持てるようにします。

 ユーザーが発信する機会に関しては、こちらからも働きかけていきます。「PLAY ROOM」を使って、自分の部屋を放送局にする。これにさらに楽しい機能を盛り込んでいきます。
「放送局作成ツール」というべきもので、現在は左右反転になっている画面が戻せて、バックグラウンドで自分の好きな曲を流す。こちらから4択の質問をし、選んでもらう。絵を描いて風船のように浮かべておいくなど、飾りつけなども力を入れます。このツールは今年の夏に配信予定です。これでどんな放送がされるか、とても楽しみです。

――実況の流行は世界的な動きなんでしょうか?

吉田氏: そうです。また、開発者とユーザーの距離の接近も感じています。デベロッパー自身が自分のゲームの解説をする場合もあるし、開発者が舌を巻くほどにうまいプレーヤーは何千ものフォロワーがつく。また実況がうまい人、しゃべりがうまい人も人気を集めている。

 これは、実況がゲームの1部になったなと、実感させられるところでもあります。私自身も他の人の実況を見て、「こんなやり方があるのか!」とか改めて感じて、とても面白いんですよね。「DARK SOULS II」では、自分と同じくらいのペースで進んでいる人の実況を見ながらプレイしていたのですが、プレイしているだけより2倍面白い。

――カメラに関してはAR(拡張現実)の研究も盛んな印象を受けましたが、こちらはまだゲームとの融合がもう少しという印象があります。

吉田氏: ARは子供にはとても喜ばれるのですが、大人にとっては“テレビの中だけのこと”と認識してしまって、少し入り込めないのかなと。没入感という意味では、 「Project Morpheus」でのVR(バーチャル リアリティ)はすごいですよ。 こちらは大人が熱狂します。

 今回のE3では新しく2つのデモを出しています。ただ気をつけているのは、現在のものは、あくまでプロトタイプであり、コンシューマー製品ではないという点です。現在のまま市場に出るのではなく、様々な改良点がある。誰でも楽しく遊べるものにする。しっかりした没入感をもたらす。現在の科学は、かなり没入感に関して良い線をいっています。ただパネルの精度や、レーテンシーなどはもっと改良できる。

 ソフトに関しては本当に面白い。「Deep」という海底を探査するゲームでは、海の底から見上げる感じをきちんと体験できる。今回は「ストリートリュージュ」 というタイトルで、オリンピックなどに出てくる1人用のそり「リュージュ」を道路でやっちゃおう、というものなのですが、車なども走っている道路を、高速で駆け抜けていく。そのスピードはめちゃくちゃ面白いです。

 VRはいったことのない場所に行ったような気持ちにさせてくれる。高いゲーム性を持つ物も良いとも思うのですが、異世界にいってお姫様と話をするだけでも楽しい。ですから今のゲームユーザーさんよりさらに幅広いユーザーさんに受け入れられると思います。

――没入感がすごすぎると、SF小説のように現実を常に意識する仕掛けも必要になりそうですね。いつ頃商品化となるでしょうですか?

吉田氏: まだ研究中ですが、視界をふさぎすぎないとか、コントローラーをケーブルがついたままだと危ないとか考えています。ハードはまだまだ改良が必要ですし、ソフトは現在のものでもいけそうですが、ガイドブックやノウハウ集が必要です。商品化はまだ具体的にはお答えできません。ソニーストアに試遊台を置くのもいいかなとも思っていますが、体験してもらえればわかってもらえる、イベント的なものだと思います。

 そのためには、「Oculus RIFT(オキュラス リフト)」でもいい。こちらが普及してVRを認知させてもらった上で、今後我々もがんばることで貢献できるかなと。“共闘”で良いんじゃないかと。いろいろな業界からの問い合わせも多いですね。

吉田氏一押しの「Bloodborne」。日本の開発者に求められるインディーズへの参入

「Bloodborne」の注目度は非常に高かった
「Bloodborne」ではかなり苦戦したという吉田氏。発売したらやり込む気満々とのこと

――ゲームの方に話を戻します。フロムソフトウェアとの「Bloodborne」はどのようなゲームになりますか?

吉田氏: ゲーム好きにはたまらない、死にながら進んでいくような難易度と、PS4ならではの世界観の表現、雰囲気、そしてレベルデザインを実現しています。モンスターの怖さなども格別です。E3では実機デモも関係者向けに行なっています。

 私もプレイしたのですが、これが難しい。この手応えがお気に入りです。「Bloodborne」は盾で敵の攻撃を耐え忍ぶゲームではなく、ショットガンも活用し果敢に攻撃を行なうゲームです。

――「Playstation E3 press conference 2014」ではやはり日本のメーカのタイトルが少なかったと思います。

吉田氏: 家庭用ゲームの規模が大きくなってきて、投資金額が大きくなってくると地元市場が小さい日本は不利なんじゃないか、と思うところもあります。「メタルギア」シリーズなど世界に受け入れられている場合は異なりますが、他のタイトルの規模で難しい部分はあるのかなと。

 一方でインディーズは欧米で盛んで、「NO MAN'S SKY」は4人で作っている。発想や工夫、野心があれば作れる。日本のメーカーさんもぜひチャレンジして欲しいですね。現在期待しているのは、インディーズで評判が良いのは、過去の2Dのゲーム、ゲーム性がピュアな方向に戻っているのじゃないかと。

 日本では過去2Dのゲームを作っていた方が残っている。そういった方が、セルフパブリッシングで、勝負をして欲しいと思っています。2Dシューターや、プラットフォームアクション、格闘ゲームなどが今見直されています。日本の過去名作シリーズを作った人の、2Dゲームの新作など、結構受けるのではないかと。

 ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア(SCEJA)はインディーズ専門のチームを作り、イベントなどに働きかけをしています。今年の東京ゲームショウでも出展料をSCEジャパンアジアが負担するという形をとるなど、積極的に働きかけています。インディーズでの成功例を出せるようなサポートをしていきたいと思います。日本ではまだインディーズを紹介してユーザーを増やしていくフェイズなのかと。日本社会も変わってきているので、期待感はあります。

――次に「PS Now」ですが、今回はPS3のタイトルが中心で、PS2のタイトルが出ませんでした。

吉田氏: 今回はまず、PS3からというだけで、増やしていきます。メーカーさんへは積極的に声をかけていますし、ユーザーへタイトルを提供できる機会になると思います。ぱっと見て、ぱっとプレイできる、手軽に遊べるようになるかなと。

 個人的にはリマスター、HDへのアップグレードした形で出すのは、ユーザーさんはうれしいんじゃないかと。HD化の方が、クリエイターが作りたかった物に近かったのかもしれませんし、過去の資産をそのままの形で出すのではなく、見た目や内容をよくして出すのはクリエイターもうれしいんじゃないかと。

 この前、「GRAVITY DAZE」の外山君が「忍者くん」をプレイして実況をしていたのがとても面白かった。それは、PS4のゲームになったから可能なんです。過去のゲームをもっと楽しめるというのも、過去の資産をそのまま使うだけではないメリットだと思います。「PS Now」はまず北米からで、日本のサービスは未定です。

―― 海外メディアから「人喰いの大鷲トリコ」の開発中止の噂が出ました。こちらはどうでしょうか? また、「Octodad: Dadliest Catch」の日本での発売は?

吉田氏: (記事が書かれた)IGNからは訂正記事が出ましたね。今は「開発中である」ということ以外アナウンスできません。きちんと報告できる時にします。皆様から寄せられる意見も私は見ています。「Octodad」はSCEJA一押しなので、まだ未定ですが出します。

 日本ではPS Vitaにも注力しつつ、PS4の日本のメーカーのタイトルを増やしていきたいし、インディーズのタイトルをもっと紹介したいと思います。欧米の良質なインディーズのタイトルは日本でも同時期に発売していきたい。また、ネットワークの新しい遊びも提示していきたいですね。

――日本のユーザーへのメッセージを。

吉田氏: E3ではたくさんのタイトルを発表しました。特に「Bloodborne」は私も期待しているタイトルで出たらメチャメチャハマると思います。超期待して欲しいですね。

(勝田哲也)