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gloops International CEO冨田由紀治氏インタビュー
日本で快進撃を続けるSAPのグローバル戦略を聞く


3月収録

会場: gloops International本社



 昨年、日本のソーシャルゲーム界を賑わせたのがgloopsだ。2010年7月にMobage向けにリリースしたソーシャルゲーム「大乱闘!! ギルドバトル」を皮切りに、以後2カ月に1本ペースで新作を投入。現在までに「大乱闘!!」シリーズ12タイトル、「大熱狂!!」シリーズ2タイトルを擁し、それぞれ数十万から300万人規模のユーザーを獲得し、Mobage陣営の中でもとびきりの大勢力を構築している。非上場企業であるため売上高は不明だが、すでに200億円は優に超えているとみられる。

 2012年に入ってからも、カプコンと共同開発のソーシャルゲーム「みんなとモンハンカードマスター」のサービスを開始したり、「大熱狂!!」シリーズ最新作「大熱狂!!メジャーリーグカード」のリリースに合わせて、MLB開幕戦のメインスポンサーやテキサス・レンジャーズとのパートナーシップ契約を結ぶなど活動をさらに活発化させつつある。

 そして同社にとって今年大きなチャレンジとなるのが海外展開となる。2011年11月に米国、2011年12月にベトナムにそれぞれ子会社を設立し、既存のコンテンツに頼らない、現地開発によるグローバル展開を目指している。今回はgloopsで海外事業を統括するgloops国際事業開発担当執行役員兼gloops International CEOの冨田由紀治(とみたゆきはる)氏に、同社の海外展開戦略について話を伺った。

【gloops International】
gloops International本社の様子。といっても実はまだレンタルオフィスによる仮営業状態で、すぐ隣のスペースは他の企業が入居していた。春よりサンフランシスコのファイナンシャルディストリクトに正式なオフィスを構える予定だという


■ gloopsの海外法人設立の経緯について

gloops国際事業開発担当執行役員兼gloops International CEOの冨田由紀治氏
現在Facebook Mobile向けに展開している「Legend Cards」。あくまでトライアルとして捉えており、この路線は継続しないとしている
経済発展著しいベトナム。ここから日本向けではなく、北米を中心とした英語圏向けにソーシャルゲームを提供していくという

――まず、北米法人設立の経緯とその目的について教えて下さい

冨田氏: gloopsのスローガンに、「We're seeking fun!!」というものがあります。これまでは日本だけでしたが、今後は世界中に届けていきたいということです。目的については3年ぐらいのスパンで考えていて、最終的にはこのマーケットで大きく成長することですが、まず今年はまだ何もないので、2012年はUSマーケットに受けるゲームエンジンをひとつ完成させます。そのエンジンを使ったゲームを同時平行して開発を進め、アメリカの2ラインある開発スタジオから1タイトルずつ、ベトナムの2ラインの開発スタジオから1タイトルずつ。計4タイトルを年内にiOS、Android、Mobage Globalの3つのプラットフォーム向けに展開していきます。

――その新しいエンジンで、開発している4つのタイトルとはどのようなゲームですか?

冨田氏: ジャンルはいろいろですが、いずれもハードコアRPG系のソーシャルゲームです。日本でよく言われるところの“ぽちぽち型”、メニュードリブン型を作っていきます。想定しているのは、現状でいうと、Y Combinatorから出資を受けているThinking Apeというカナダの開発会社が作っている「Kingdoms at War」。iOSのランキング30位に入るか入らないかというところですが、注目しています。それからこれもY Combinatorから出資を受けているAddmiredのハードコアRPGなどにも注目しています。我々は日本で培ってきたハードコアRPGのノウハウに加えて、ユーザー同士が一緒に遊ぶというところに絶対的な強みを持っています。それはイベントの仕掛け方だったり、運用のノウハウだったりです。そういった部分はアメリカでも通用するのではないかと思っています。

――今ある日本の人気タイトルをローカライズして展開するのではなく、自社開発、それも現地開発というところがおもしろいなと思ったのですが、まずベトナムについては、日本向けではなく、北米向けのソーシャルゲームを開発しているのですか?

冨田氏: そうです。グローバル展開向けのタイトルです。日本も今後やる可能性がありますが、今はまだ決まっていません。昨年11月に「レジェンドカード」の英語版をFacebook向けに展開したのが最初の仕事です。「レジェンドカード」の英語版については、日本のタイトルがどの程度欧米で通用するかのリサーチのために行なったもので、このアプローチは続きません(笑)。現在開発しているのは2本ともiOS、Android、Mobage Global向けの新規開発のグローバルタイトルです。

――ベトナムのスタッフの陣容は?

冨田氏: 日本人が5人で、あとはすべてベトナム人です。CEO、プロデューサー、エンジニアが日本人でこの5人の指導の下、25人のベトナム人が開発を行なっています。この30人で2ラインの開発体制を整えています。

――ゲーム開発という点ではベトナムはまだまだ発展途上という印象を持っていますが、実際に雇用してみて資質という点ではいかがですか?

冨田氏: 勤勉です。学ぶ姿勢が旺盛で、働き方、考え方も柔軟に取り入れてくれます。

――ゲーム開発に関しては?

冨田氏: 彼らはもともと携帯向けの開発経験はありますから、我々の指示に対して理解することはできました。あとは我々のノウハウを教え込むだけです。

――そもそも論としてなぜベトナムに開発拠点を持とうと考えたのですか?

冨田氏: 基本的な技術はすでに持っていますし、労働力、人件費といった点でも魅力的です。平均年齢27歳の国ということで今後も成長が期待できます。あとは英語圏なので英語を喋れる人間が多いということですね。それでいて米国企業が参入しにくい。

――それはどういう理由から?

冨田氏: ベトナム戦争時代からの話で、USとベトナムの国交の関係でなかなかUS企業が入っていかないという事情があります。US企業が少ないので、優秀な人材がUSに流れることもありませんし、人材の流動が置きにくいので人件費が高騰しない。中国、インドはすでに人件費が高騰してしまいましたよね。

――いまアジアは市場としてとてもホットだと思いますが、そのアジアを開発拠点に、なぜわざわざ北米向けのゲームを作ろうと考えたのですか?

冨田氏: アジア市場でホットなのは中国だと思いますが、外国企業にとって中国で成功できるかどうかはまだわからないところがあります。一方、USに関してはiOS、Android市場がしっかりできています。たとえばiOS市場は4,000億円市場になっていますし、Androidは300億円市場になっているので、マネタイズがしっかりできる点でまずはUSと判断しました。将来的には中国市場も視野に入れていきますが、まだリサーチ段階です。

――次に米国法人についてですが、なぜ拠点をサンフランシスコにしたのですか?

冨田氏: ソーシャルゲームを作るスタッフはやはり若手クリエイターが多いのですが、若手の人材を集めようと思うと、カリフォルニアでもサンノゼやパロアルトでは難しいところがあって、人材の集めやすさという点でサンフランシスコということになりました。

――しかし、人件費という点ではベトナムとは逆に非常に高い。

冨田氏: それは確かにその通りですが、我々はまだ何もないので、時間を買うという点で一種の投資だと捉えています。

――なるほど。ZyngaやPlayFishなどの北米のソーシャルゲームメーカーのゲームは、日本と比べて、ARPUは高いですが、その代わりユーザー数が多い。gloopsが目指す北米サービスはどういった風景を想定していますか?

冨田氏: まずはマンスリーARPUはZyngaと同程度を目指します。そこで無理をするつもりはありません。

――サンフランシスコは、開発拠点ではなく、ビジネス拠点と位置づけていますが、これは具体的にどういったビジネスを展開していくつもりですか?

冨田氏: マーケットの分析と会員の獲得、こちらでユーザーアクイジッションと呼ばれる行為ですね。そしてゲームエンジンの開発と並行してアメリカとベトナムの開発スタジオが使えるフレームワークの構築などを行なっていきます。

――運営はどうするのですか?

冨田氏: それはアメリカはアメリカ、ベトナムはベトナムが個々に運営します。それはプロジェクト毎に責任の所在を明確にするという狙いがあります。逆に、フレームワークのように共通化できるものは両方で使ってコストを抑えます。ソーシャルゲームは作った人が運営するというのが基本です。広告のバイイングに関してはスケールメリットを出すために、アメリカ、ベトナムで一緒にやっていきますが、その方針についてはそれぞれが判断します。CPI(Cost Per Install)が1人1ドルだったら、セットでやることで1人0.9ドル、0.8ドルとコストメリットを出していきます。

――自社パブリッシングにこだわる理由は?

冨田氏: それが1番ノウハウが貯まるからです。

――自社パブリッシングと並行してMobage Globalにも展開していくということですが、あえてハイブリッドで展開する理由は?

冨田氏: Mobageはすでに北米市場でのノウハウ、経験値が魅力です。特にマーケティングやユーザー獲得などには注目しています。今後、iOS版の展開も予定されているので楽しみですね。

――リリースによれば、M&Aも仕掛けていくとありますが?

冨田氏: 細かいことはまだお話しできませんが、良い案件があれば積極的に仕掛けていきたいですね。

――対象は?

冨田氏: 開発スタジオです。コンシューマーゲームではなく、ソーシャルゲームを専門に手がけているようなメーカーです。

――グリーやDeNAが過去に仕掛けたような、大手の買収ということもありうるわけですか?

冨田氏: それはないです(笑)。身の丈にあったM&Aを仕掛けていきます。



■ いまだ成功事例のない北米ソーシャルゲーム市場で日本が勝つ方法とは?

Addmiredの「iMob 2」。いわゆる“マフィア系”をベースに、スロットゲームやポーカーゲームなど複数のミニゲームを組み合わせた発展系となる
A Thinking Apeの「Kingdoms at War」。スマホで遊ぶストラテジーゲーム。こちらもマフィア系のエッセンスが濃厚で、さくさく感が楽しい。スマホ版に加え、ブラウザ版も存在する
ソーシャルゲーム界のガリバーとして世界に君臨するZynga。iOS向けにもすでに20タイトル以上を提供しているが、冨田氏の認識では、まだモバイルプラットフォームの勝者は決まっていないという

――冨田さんが現在注目している北米のソーシャルゲームがあれば教えて下さい。

冨田氏: Addmiredの「i Mob2」、それから先ほどもお伝えしたThinking apeの「Kingdoms at War」です。理由は我々が目指しているコアソーシャルゲームのジャンルの先駆者であるというところですね。チーム/ギルドを組んで一緒に遊ぶという点でもゲーム性も似通っているので、我々も強みを出せるのではないかと期待しています。

――北米のソーシャルゲーム市場で、日本より優れていると思えることは何かありますか?

冨田氏: リアルタイムチャットが優れてますね。ユーザーがユーザーを呼ぶというリテンション、ユーザーをつなぎ止める担保として有効に機能していますね。

――スマートフォンのネイティブアプリでチャットをやりながらゲームを遊ぶわけですか?

冨田氏: そうです。テキストチャットです。日本ではまだあまり見られませんよね。ユーザー同士が話し合って楽しさを実感するというのはとても大事ですね。北米市場ではまだソーシャルゲームで勝ったと言い切れるメーカーは存在しません。あのZyngaといえどもスマートフォンの分野では勝ってませんし、この分野はまだまだチャンスがあると思っています。

――北米のソーシャルゲーム市場の勝者になりたいと?

冨田氏: そうですね。

――なるほど。それでは、その北米市場で勝つための展開戦略を教えて下さい。

冨田氏: 基本的には適切なCPIでユーザーを地道に集めて、オーガニック、バイラルで広げていくということです。ユーザーがユーザーを呼ぶというところにこだわってやっていきたいですね。

――それはどこもやられているところだと思うのです。大半は出してみたはいいが、そのままランクが下がってフェードアウトしていく例ばかりです。日本のメーカーのソーシャルゲームは、まだ北米市場ではどこも成功していません。ここをどうひっくり返すのかに興味があります。

冨田氏: そこについてはいろいろ考えていますが、まだこれというものはありませんね。検討中の段階です。現時点で言えるのは、ユーザー同士のバイラルであり、ユーザーを呼ぶサイクルを生み出すためには、ユーザーにどれだけ飽きさせずに、楽しいと思って貰わなければなりません。そのためには運用力の勝負だと思っています。こちらのソーシャルゲームはポンとリリースして、後はユーザーが勝手に遊ぶという感じなのですが、ここも先ほどのThinking Apeさんなんかも運用でカバーしてるところがありますから、僕らも同じところで攻めていきたいです。

――運用力というのは具体的に何を指しているのですか?

冨田氏: ユーザーが常に楽しいと思えるようなイベントを提供する。我々が仕掛けるオンラインイベントもそうですし、時節イベントもそうですし、ユーザー側が企画できるボスが出現するようなイベントなどもそうです。

――なるほど、時節イベントをベトナムからアメリカに向けて仕掛けたりもするわけですか?

冨田氏: そうですね。ただ、アメリカとベトナムは日本より時差が少ないので、そこまで大変ではないと思っています。

――現在はgloops単独のビジネスですが、今後、北米のゲームメーカーと協業するという選択肢もあるのですか?

冨田氏: すでにアメリカのいくつかのゲームメーカーから、gloopsの日本での成功を聞いて、ウチと一緒にやりませんかとお声がけをいただいていますので、その点については近い将来にまたお話できることもあるかなと思います。

――それはコンシューマーゲームで有力なIPを持ったメーカーとの協業も含まれる?

冨田氏: そういったことも今後なくはないと思います。

――冨田さん自身は3月5日に赴任したばかりというこですが、まずは何から始めていきたいですか?

冨田氏: この北米市場で我々の運用力がどこまで通じるのか試してみたいです。

――その運用力の鍵を握るGMスタッフ、コミュニティサポートの人員もここサンフランシスコで雇用し、起用するのですか?

冨田氏: そうです。基本的に現地スタッフがメインになります。現在、13名の人員がおりますが、2カ月後には32名前後になります。うち20名は現地採用となります。

――20名の内訳は?

冨田氏: 開発、運営、マーケティングを担当するスタッフです。日米ハイブリッドのスタジオができますので、お互いのナレッジを持ち寄ってどういう風にやれるのか、ここがひとつ楽しみなところです。

――ソーシャルゲームに加えて、フレームワークも手がけるということですが、どのような特徴がありますか?

冨田氏: それをお話ししてしまうとネタバレになってしまうので控えさせて下さい。その1回で成功するかどうかはわかりませんし、何度かトライするつもりです。

――そのゲームエンジンの開発責任者は、日本の池田CTOになるのですか?

冨田氏: いえ、アメリカの責任のもとでやります。

――インタビューではgloopsの強みを活かす、どこまで通用するか試してみたいというお話を伺いましたが、なぜ日本のコンテンツ開発力を活かす方向で展開しないのですか?

冨田氏: これは、日本のものを持ってきて成功する市場ではないという基本認識があります。ですからあえて日本のコンテンツは持ってこず、アメリカ主導で作ったタイトルで勝負をかけるつもりです。これまで日本メーカーが日本のコンテンツをそのまま持ってきてカルチャライゼーションを行なって展開するというのを見てきていますが、なかなか成功した例を聞きません。ですから我々はUS独自でノウハウを蓄積して、アメリカ独自の人材とスキルをセットで活かす形で、効果を最大化していきたいです。



■ 「大乱闘!!」シリーズは海外では展開せず。徹底した“現地化”が成功への近道

「大乱闘!!」シリーズ最新作となる「大召喚!!マジゲート」。gloopsのタイトルにはすでに一種の“勝利の方程式”が存在しているが、海外展開ではあえてそれらは使わないという
取材の帰りに立ち寄ったサンフランシスコのVerizonのショップでは、4G LTEのアピールに余念がなかった。米国の回線事情が一気に改善されるのではないかと期待されている
インタビュー終了後、新規タイトルについて内容を漏らさないという約束で少しだけ見せてもらった。日本の「大乱闘!!」シリーズの面影はまったくなく、指摘されなければgloopsのタイトルとはまず気づかない。恐るべき同化施策だ

――これは重要な質問になりますが、日本で人気の「大乱闘!!」シリーズはアメリカでは展開しない?

冨田氏: しません。

――それは割り切った判断ですね。多少意地悪な質問ですが、アメリカには日本の文化のファンもいますが、彼らに向けて展開することも考えていない?

冨田氏: ないですね。そこのニッチを狙って成功した企業はないと思います。マイノリティには受け入れられるかもしれませんが、我々が獲得していきたいのはマジョリティのゲームファンです。

――「大熱狂!! メジャーリーグ」もやらないのですか?

冨田氏: それは検討していきたいところです。

――もうひとつ確認ですが、2011年11月に「Legend Cards」をFacebook Mobile向けに北米展開を開始したと発表していますが、こちらは現在どのような状況なのですか?

冨田氏: 「Legend Cards」はあくまでテストケースなので、成功や失敗という指標で計るつもりはないのですが、今後もリサーチを目的にサービスは続けていきます。USマーケットで我々の運営力がどの程度通用するかを把握する上では十分に役に立っています。

――いま北米ではFacebook Mobileがゲームプラットフォームとして立ち上がりつつありますよね。そういう意味では先手を打ったとも言えると思うのですが、こちらに向けての今後ラインナップの拡充はあるのですか?

冨田氏: その点についてはFacebookの担当者とも話をしていますが、ゲームプラットフォームとしてはまだまだ試行錯誤の段階だということを感じています。ですので、まずはiOS、Androidの2つを攻めていきたいですね。

――なるほど。提供形態はネイティブアプリのみですか?

冨田氏: 正確にはネイティブ+HTML5ですね。ブラウザで動作させることに関してひとつ問題となるのは北米の3G回線の遅さです。ただ、昨年末と比べて北米には4G LTEが来ていて、満足できるスピードが出ています。この点も我々にとっては追い風になっていると感じていますね。

――確かにgloopsが提供するソーシャルゲームはリアルタイム性が高いものが多いですが、今後はLTE推奨、必須といったものも出てくるのですか?

冨田氏: そこまではないですね。LTEならさらにサクサク遊べるというぐらいです。

――北米では日本以上にブラウザ向けのソーシャルゲームが流行っていますが、こちらへの展開予定は?

冨田氏: ないです。我々はやはりモバイルに強みを持っている会社なのでそこはモバイル向けにリソースを集中させたいです。

――北米での新規タイトルの提供時期を教えて下さい。

冨田氏: 現在ベトナムで開発しているタイトルを2本、今春にリリースします。北米で開発しているものに関してはそれぞれ夏ぐらいのサービスを目指しています。ベトナムのタイトルは完成間近。北米もあと数カ月ですね。

――実はこのオフィスでもうプロトタイプが動いているのですか?

冨田氏: いや、まだそこまで行っていません(笑)。

――この4本は、すべてハードコアRPGですか?

冨田氏: そうです。世界観はそれぞれ異なりますが、遊び方は近いかもしれませんね。

――ゲーム性について、新しい要素は何か取り入れますか?

冨田氏: もちろんです。詳しくはまだお話しできませんが、Thinking Apeさんのタイトルなんかはよく勉強させてもらっています。まずは彼らをキャッチアップして、北米で成功する軸を作って勝負をかけていきたいですね。

――ベトナムのタイトルについてはどのようなゲームになりますか?

冨田氏: それはお話しできません。サービスが始まってからのお楽しみとさせてください(笑)。ソーシャルゲームはなんといっても初速が勝負なので、見られたら2カ月後には真似されてしまいますから、ギリギリまで伏せておきたいところです。テーマについてはアメリカ市場に受けいれられやすいものを選んでいます。

――タイトルに関する自信は?

冨田氏: それはわからないですね。始めてみなければわからないです。

――いま見えている4タイトルの目標のユーザー数と売上はどの程度を見ていますか?

冨田氏: 具体的な数値は言えないのですが、努力目標としてはアメリカのトップ25に入るぐらいの成功を収めたいですね。

――日本からはトップ25の価値がわからないのですが、トップ25はどれぐらいの人気タイトルということになるんですか?

冨田氏: 聞き方がうまいですね(笑)。アメリカでトップ25といったら余裕で月に100万ドル(約8,400万円)ぐらいにはなりますよね。

――そのマネタイズの部分についてですが、日本のガチャという方法論を使わないとすると、どうやって売上を上げていくのですか?

冨田氏: そこに関してはまずはオーソドックスなフリーミアムのビジネスモデルからはじめてみるつもりです。

――あくまでガチャはやらないわけですか?

冨田氏: やりません。アメリカではまったく受け入れられないので、それはやりません。「Legend Cards」でも一部のマイノリティだけが利用しているような状態ですね。

――御社の収益はガチャの部分が大きいですから、そういう意味では新たなビジネスモデルへのチャレンジですね?

冨田氏: そうですね。ガチャに関しては、我々はそこが目的ではなく、あくまでチームで勝利するための手段です。目的はチーム対戦の楽しさを提供することですから、その手段を変えることにためらいはありませんし、その穴は埋められると思っています。

――それは具体的にどうやって埋めるのですか?

冨田氏: そこに関してはまだ検討中ですが、ガチャに取って代わる仕組みを編み出していくのも、我々に課せられたタスクのひとつです。

――なるほど、そのソーシャル的な連帯感的な部分ですか。

冨田氏: そうですね。たとえば攻め、守り、魔術と3つの役割があったとして、それぞれがアイテムを購入しなければボスには勝てないとか。これはあくまで一例に過ぎませんが、ガチャ以外の方法はいくらでもあると思います。

――ゲームの対応言語は?

冨田氏: 英語のみです。マルチリンガルでやって失敗しているところが多いです。ローカライズは簡単ではないと思います。言語のローカライズはできても、文化のローカライズまでは容易ではないので、まずは英語のみで

――冨田さんは海外担当ということで、もっと大枠の話について質問します。現在、ベトナム、北米に支社がありますが、今後はどのような展開を行なっていくつもりですか?

冨田氏: まずはサンフランシスコとベトナムを利益の上がる事業体へ導いていくことです。具体的にはタイトルのどれかひとつをトップ25まで持っていく。そうすればゲームエンジンの横展開が可能になってきますから、より広く深く攻めていけるようになりますよね?

――横展開というと?

冨田氏: Storm8さんなどが得意としている手法ですが、有り体にいえば“ガワ替え”です。同じエンジンで、別の世界観のゲームをどんどん提供していくことです。

――なるほど、それでは3拠点目、4拠点目を作ることは現時点ではまったく考えていないわけですか。

冨田氏: そうですね、まったく考えていません。

――北米展開が成功した先の目標というのは何か考えていますか?

冨田氏: うーん、難しいですね。強いていえば、グローバルでモバイルソーシャルゲームの勝者とgloopsが言われるようになるのが目標ですね。Zyngaさんもモバイルは成功したとは言えませんから、まだチャンスはあると思います。

――米国法人のトップとしてゲームファンにメッセージをお願いします。

冨田氏: ユーザーに楽しさを届けるという想いでやっておりますので、ぜひご期待いただければと思います。現時点でコミットできることがあるとすれば、おもしろいゲームをアメリカの皆さんに届けるということです。

――ありがとうございました。頑張って下さい。


(2012年 3月 23日)

[Reported by 中村聖司]