コーエーテクモ、PS3「信長の野望 Online」開発者インタビュー
いよいよ明日発売! PS3版「信On」の開発秘話や見どころをたっぷり紹介


12月10日 収録

コーエーテクモ ジェミニビル


 コーエーテクモゲームスは、12月22日にプレイステーション 3用MMORPG「信長の野望 Online ~新星の章~(以下、信On)」を発売する。PS3版「信On」はすでにサービス中のPS2版、Windows版に続く新しいプラットフォーム展開となる。PS2版やWindows版から、テクスチャーの解像度を4倍に上げるなどグラフィックスのクオリティが大幅に向上している。

 またPS3版の発売に合わせて12月22日にアップデートが実施され、現在のチュートリアルがさらに初心者向けに改善されるなど、主に初心者支援を目的とした仕様変更が行なわれる。既存ユーザー向けにはダンジョン「松島」の入場条件緩和、1月のアップデートで「藤岡屋かわら版」に技能覚醒の育成が可能になる新しいクエストが追加される。

 今回は、発売を控えた開発にお邪魔して、開発プロデューサーの渡辺知宏氏と、開発ディレクターの今村一太氏に話を聞いてきた。PS3版やアップデート情報に加え、合戦や天下人システムの今後の展望についても情報を入手してきた。


調整に苦心したという水の表現はなかなかの出来。既存ユーザーでもすぐには場所がわからないのではないかと思うくらいの変化だ




■ グラフィックの美しさと処理の高速化の両立に苦心

開発プロデューサーの渡辺知宏氏
開発ディレクターの今村一太氏

編: PS3版への反応はどうですか?

渡辺知宏氏: ご好評いただいているようです。

今村一太氏: 通常版と同じくらいプレミアムBOXの方が予約が入っていているようです。

編: 目標はどのくらいですか?

渡辺氏: ゲーム内の人口が倍になるくらい来ていただけると盛り上がりますね。

編: PS3版と同時に新サーバーをオープンする予定はあるのですか?

今村氏: 今のところ予定はないです。

編: PS3版でグラフィックの雰囲気がかなり変わってますね。テクスチャーはどのくらいの解像度なのですか?

渡辺氏: PS2版の4倍が基本サイズです。

今村氏: テクスチャーの解像度はWindows版とPS2版は実は同じなのです。ポリゴン数と、表示するモニターの解像度が違うので見た目の差が出ています。今回のPS3版ではテクスチャーの解像度自体を4倍にしていますので、アップになっても綺麗に見えます。

編: キャラクターも背景もすべてクオリティが上がっているのですか?

渡辺氏: 基本は背景ですね。キャラクターはもともとそれなりの解像度がありましたから、キャラクターの解像度の変更はありません。ただシェーダーが違うので、セルフシャドウで影の表現が綺麗に見えるようになっています。背景も、今までは影がなかったので、PS3版では立体感や質感が全く違います。動的に太陽の位置に合わせて建物に影を落とすようになっていますので、臨場感もあります。今までは影は固定で付けていたのが、PS3版で時間に合わせて変わっていきます。


左がPS3版、右がWindows版の「松島」。その違いは一目瞭然

今村氏: 今までPS2版で、直接テクスチャーに影を描きこんでいたのを直さなくてはいけなかったので、そこは全面的に直しています。

編: モーションやエフェクトは変わってないのですか?

今村氏: 基本的な動きは変わっていないですが、エフェクトは当然クオリティアップしています。

編: フレームレートは?

今村氏: 基本的に30で動かすというところはどのハードでも変わっていないです。ただPS3では描画の関係で自動的にフレームレートが落ちたりすることは少ないと思います。

編: 描画の設定はカスタマイズできるのですか?

渡辺氏: ハードが固定なので、画質に関しては、こちらで最適化したもので統一された形になっています。

編: 重いコンテンツをプレイする際に備えて、グラフィックス設定を落とすという機能はないのですか?

渡辺氏: Windows版ではハードの性能が違うのでいくつか段階を入れているのですが、PS3はハードがみんな同じですから。

編: 合戦で見えなくなったりといったことはないのですか?

今村氏: さすがに大勢がいる場所では消えたり、近くのもののみを表示するという形にはなるのですが、PS2版に比べればたくさんの人数を表示する事ができます。

編: 先ほど「眩迷の浅瀬(げんめいのあさせ)」を見せてもらいましたが、水の表現が非常に綺麗ですね。

渡辺氏: 水の調整はかなり頑張りました。PS3では色の調整が大変で、例えば波が揺れるようなものについても設定がいろいろとできるのです。どれくらい反射するのかとか、色はどうかとか、透明度とか、あとは揺れの表現をどうするのかとか。そういったパラメーターを1つ1つ調整しました。もともとステージを作る時に、幻想的な空間をちゃんと設計して作っていたのですが、それがPS3の能力ですごくきれいに表現できました。たぶんフィールドを作った人も、こんなにきれいになるとはと驚いているのではないでしょうか?

今村氏: 余談なのですが、コーエーテクモではマスタアップ前にCGスタッフの人が集まってチェックをする場があるのですが、そこでこの画面を見せた時に「おお、こんなに変わったんだ」と驚いていたくらいですね。敵の質感もアップしています。サンショウウオの“ぬめぬめ感”もアップしています。

渡辺氏: あとはBGMが5.1chサラウンドになっているので音も楽しんで欲しいです。「迷眩の浅瀬」は音楽との調和がいいですね。和むな~という感じで。仕事中に和める空間です。


既存ユーザーにはお馴染みの「海1」こと「眩迷の浅瀬」と「海2」こと「ワダツミの宮」。行き慣れたダンジョンも見違えて見える

編: PS3版の開発で苦労したのはどういう部分ですか?

今村氏: 綺麗になった分データが大きくなっているので、読み込みに時間がかかるのです。でも皆さんはPS3だから早くなって当たり前だと思われるでしょう。そこで、PS2よりも早く読み込むために色々な工夫をしました。Windows版はメモリの量がPS3の何倍もあるので、どうしてもメモリ上にあるものとハードディスクから読み込むので若干差が出てしまうところも何カ所かあったのですが、そこを色々と工夫してWindows版とほとんど遜色がないくらいのスピードを実現する事ができました。

編: PS2版とWindows版では戦闘前後の画面切り替えスピードが結構違っていたりして、そこが合戦や対人戦では特に意味を持ってきますから、ユーザーとしても気になる部分ですね。

今村氏: そうですね。そういった部分ではかなり気を使いました。

渡辺氏: そのタイミングがズレるだけでも全然ゲームにならないということもありますから。PS3版の開発初期にはすごく遅かったのです。「これではまずい」と必死になって直した結果問題のないレベルになりました。高速化は最後のギリギリまでやっていました。

 一時期は、本当に早くなるのかと見えない時期もありました。1つの高速化をするのに、データ構造や処理の流れを1度すべて作り直さなければならなりませんでした。マスターアップギリギリまで粘って調整を行ない、なんとか結果を出すことができましたが、そこまで「パフォーマンスが出なかったらどうしようとドキドキしてました。

 PS3というハードはかなり特殊で、特定のポリゴンモデルではPS2よりも速度が遅くなってしまうような部分もあるのです。だからPS2のものをそのまま持ってくるだけでは遅いので、PS3用に最適化したものに置き換えたりといったことも行なっています。

編: それはモデル自体を作り直しているのですか?

渡辺氏: 綺麗になるような形で作り直しています。PS2では大きなポリゴンをバンバン使っていた感じなのですが、PS3ではちょっと細かいポリゴンをたくさん出した方が早いとか、そういうところです。でっかいものがドンとあるだけよりも綺麗に見えますから。木や草の表現はかなりブラッシュアップされています。


尾張の田園風景。遥か彼方まで見渡せて、遠くの敵が動いているのも見える
春日山近くの船着き場。ここから出る船旅でも、今までとは違う風景が楽しめそうだ駿河の街道沿いから富士山を遠望する。垂れこめた雨雲など空の変化にも注目して欲しい

編: フィールドはかなり遠くまで見えるようになっていますね。

渡辺氏: だいたい1km以上遠くまで見えています。PS3の他のゲームでも例がないくらい遠くまで見えているのではないでしょうか?

編: 現在のところフィールドは今はあまり活用されていませんが、今後フィールドをもっと使う予定はあるのですか?

渡辺氏: フィールドを全面的に使って遊ぶようなことをやっていきたいと思っています。これだけ綺麗ならここを使って遊ばないともったいないと思いますから(笑)。ゲームの方向性を変えるくらいの変化ですね。

編: PS3版に合わせて新しい髪型が追加されていますが、これはPS2版でも選べるのですか?

今村氏: 選べます。

編: PS2版のハードディスク容量はもうかなり厳しいのではないかと心配ですが。

今村氏: たしかに厳しい部分もありますが、まだ大丈夫です。

渡辺氏: ハードディスクの容量についてはかなり気をつけています。「新星の章」実装時に1度領域の拡張をやりましたので、まだ余裕があるようにはなっています。

編: PS3版が出ることで、PS2版から乗り換える人も多そうですね。

渡辺氏: ぜひ乗り換えていただきたいですね。世界がぜんぜん変わりますから。今までの場所もくっきり見えてくることですごく新鮮で、新たな発見があると思うのですね。1つ1つのライティング調整も、Windows版以上に時間をかけていますのですごくきれいな形でステージを見ることができます。


PS3版には男女2種類の新髪型が追加される。また、今までは髪型変更まで選べなかった髪型がスタート時から選択できるようになる




■ チュートリアルで行き詰まる部分を徹底的に見直し

「最新版の成長スピードに慣れると、今までのものが面倒に感じられるほどです」と今村氏

編: 12月22日のアップデートでチュートリアルがどのように変わるのですか?

今村氏: 流れを大きくいじったわけではなく、難易度の調整と、NPCと徒党を組めるという部分が1番大きな変更点になります。

編: 難易度調整はどういったところですか?

今村氏: 初期ゾーンの「隠れ里」で依頼を受けると目的の場所を示す矢印が出るようになりました。それとプレイデータから、いきなり街の外に出てそのまま迷子になって辞めてしまう方が意外と多いことがわかったので、街中での最初の依頼が終わるまでは、外に出ようとするとメッセージが出て、出られないようになっています。

編: 最初に倒すネズミの数も減っていますね

今村氏: 最初にいきなり4匹倒すのは面倒くさいだろうというところと、後は育っていく成長ラインもあるのですが、なるべく繰り返しやる部分で削れるところは削っていっています。

渡辺氏: 序盤のチュートリアルでは、何回もやることで覚える必要はないと思うのです。そこに時間をかけるのではなくて、テンポよく先の方に進んでいただいて楽しんでいただけるような形にしています。昔のMMOだと各10体ずつ倒していたような時代もありましたが、今の時代では4体でも多いなと感じるので。


依頼を受けると、チャット欄に目的地を示す矢印が出るようになった街中の初期クエストが終了するまでは、メッセージがでて外へ出ることができなくなった

編: 成長のスピードがかなり速くなっているのですね。

今村氏: そうですね。開発現場でもこの12月バージョンのモニターをやっていたのですが、今はもう本番サーバーのほうで1からキャラクターを育てるのが面倒に感じるくらいです。

編: 廃城に行くクエストは、中級クエストの中では初めて徒党を組む場所になっていたと思いますが、NPCと徒党を組めるようにしたのはどういう理由からですか?

今村氏: そこで詰まるユーザーさんが非常に多かったからです。「信On」の1番の魅力は徒党を組んでの戦闘だと思います。ただデータを洗い直してみたところ、徒党を組まないままゲームを進めてそのまま辞めてしまわれるユーザーさんがかなりいらっしゃるということがわかったので、まずはNPCと徒党を組んでもらうようにしました。仲間がいることで戦術の幅も広がるし、攻略がぐっと楽しくなります。まずはNPCと一緒にそれを味わってもらい、中級クエストの辺りまで進めてもらったうえで、既存のプレーヤーの中に入りやすくなるように最終的にはつなげていきたいなと思っています。

編: 中級クエストはまったく徒党を組まなくても進められるようになるのですか?

今村氏: NPCと組んである程度は進められますが、節目ではプレーヤーどうして組まないと難易度的に難しいところもあります。PS3が始まった段階で新しく始められる方もいらっしゃるかと思いますし、今までPS2版やWinwods版で遊んでいたプレーヤーの中にも新しい髪型が選べるということで、また1からキャラクターを育てる方もいらっしゃると思いますので、そこは自発的に徒党を組んでいっていただければと思っています。最初に徒党を組む時には心理的な障壁もあると思いますが、集めるのに時間がかかるという障壁もあったと思います。PS3版が発売されて、新規のプレーヤーさんが増えることで時間の障壁は下がるのではないかと考えています。


中級クエストの中にある、廃城のボス討伐クエストでNPCと徒党を組めるようになった

編: 12月のアップデートではほかにどういった要素が入るのですか?

今村氏: 新しく始められる方に向けての中級者クエストなどに手を入れているということと、ほかには細かいことですがゲーム内からFAQが見られるようになりました。機能からも選べますが、簡易チャットから呼び出すこともできます。

渡辺氏: ホームページにあるFAQがゲーム内から見られるようになります。FAQがワンショットで出ることで、初めてこのゲームで遊ばれる方がなるべく行き詰まることなく遊べるようにしました。PS3ユーザーの皆さんにとっては、わざわざホームページを見るというのは大変だと思いますから。

今村氏: 後は簡易チャットが総入れ替えされて、使いやすいものに入れ換わっています。既に遊ばれている方はカスタマイズされて使っているのであまりわからないかもしれませんが、初心者の方に最初に使いやすいようにしました。

編: 12月のアップデートは主に初心者向けのものになるのですね。既存プレーヤー向けの要素はありますか?

今村氏: 既存のプレーヤーの皆さん向けには松島の1徒党化と一般開放ですね。

編: どういう形で開放されることになるのですか?

今村氏: 鬼門比叡山と同じような形で開放します。今まで複数徒党でなければ攻略できなかったところを、1徒党でも攻略可能なように調整をしています。

編 :今まで複数徒党で倒さなくてはならなかった要素はどうなるのですか?

今村氏: それはオプションクエストとして、メインルートとは違う要素として遊ぶようになっています。

編: ボス徒党が戦闘中に、他の徒党が倒さなくてはならない敵がいましたが、ああいった部分はどうなるのですか?

今村氏: アイテムを使って敵を出現させたなくしたりとか、いくつかの方法があるのですが、同時に戦う必要はなくなります。


PS3版ではフォントが新しく追加された。またUIが職ごとに違っている。自分好みにカスタマイズも可能だ鍛冶屋の初期UI「堅固な金」神職の初期UI「鳳凰の白」
傾奇者の初期UI「華やかな橙」薬師の初期UI「草木の緑」侍の初期UI「勇壮な赤」
ホームページのFAQと同じものをゲーム内から見られるようになったキャラクター育成や合戦など、わかりにくい部分をすぐに調べられる簡易チャットの初期マクロが実用的になった。「お見事です」も登録されている




■ 技能覚醒が育つ新かわら版クエストは九州の攻略

「次回アップデートで実装されるダンジョンには負担になるような形で3,000ポイントのボーナスは入れません」と両氏
「かわら版」クエストで技能覚醒が貯まるようになる

編: 1月のアップデートについてお伺いします。こちらのアップデートは既存ユーザーに向けた内容になるようですね。

渡辺氏: まずは12月のアップデートで新規に向けた対応をするので、こちらはゲームに慣れた皆さんに次のコンテンツをプレイしていただくというアップデートになります。既存プレーヤーの方にとっては、短時間に遊べるコンテンツの追加で、新規プレーヤーの皆さんにとっては上級者の人と短時間で遊べるコンテンツを一緒に遊ぶ事で交流が生まれるという形で次のアップデートを考えています。

編: 覚醒ポイントの入る「かわら版クエスト」ということですが、どういう形になるのですか?

今村氏: 九州のダンジョンを使ったかわら版クエストを今作成しています。

編: 九州の攻略がかわら版クエストになるのですか?

今村氏: そうです。どういった形で提供していくかは、まだ調整中ですが、ただ1つのフィールドを全部となると時間がかかるので、ステージごとにいくつかに区切ってより短時間でお楽しみいただけるような形での提供を考えています。今のところはステージを1つ1つ依頼を受けて順番にこなしていくという形を想定しています。

編: 技能覚醒のポイントは、現在の人取橋のボーナスような形ではなく、報酬として一気に入るようになるのですか?

今村氏: そこはまだ調整中ですが、人取橋のように戦闘ごとに入る仕組みを考えています。ただしノルマ制ではなく、1回のかわら版で完結する形になる予定です。

編: 現在九州をクリアするともらえる友好度や経験値や潜在はどうなるのですか?

今村氏: そういったものも、ちゃんとクエストをこなすともらえるようにはする予定です。

渡辺氏: 攻略のためのお手伝いをしてあげるという意味合いがありますので、友好度が貯まらないと行く意味がないでしょうから。ストーリーを進めて行くためのベースになるようにも作られています。攻略も、少しずつ短時間で攻略できるような形にしたいです。

編: 覚醒値はどのくらい入るのですか?

今村氏: まだ調整中ですが、やっていただけないと意味がないので、魅力のあるものにはしたいなと思っています。

編: 覚醒ボーナスのために人取橋のポイントを貯めるのが大変という声もありますが

今村氏: そこは今1番大きな課題の1つと捉えています。こちらの想定としては、3,000ポイントをやってくださいという想定で提供しているわけではなくて、それぞれのテンポで遊んでくださいという想定だったのですが、やはり熱心な方はここまで貯まりますというものがあると、やらないといけないという義務感で考えられてしまいます。

 次のダンジョンを実装する時には、今まで3,000ポイントまで貯められていたのを2,000にするというような調整ではなく、今まで頑張ってくださっていたプレーヤーの皆さんにも納得していただけるような形で負担にならない形で遊んでいただけるようなものにしようと、いろいろ知恵を絞っているところです。


九州ダンジョンが「かわら版」クエストで攻略可能になる

編: 2月には特化のバランス調整が予定されていますが、秋から連続で行なわれた一連の調整の意図を教えてください

今村氏: 9月と10月の2回の調整は術攻撃と物理攻撃のバランスを取るために行ないました。プレーヤーの皆さんは1アカウントの中で2キャラ、3キャラを育てられているのが普通のスタイルだと思いますが、その中で統計を取ってどの特化がどのくらいログインされているか、プレイされているのかを調べています。その中で特定の特化が減っていたりとか、あるいは特定の特化ばかりが増えていたりとかそういうことがあった場合に調整していくという方針で進めています。

編: 現在把握している傾向はどのようなものですか?

今村氏: 9月と10月の調整は直接攻撃が術攻撃よりも最低のベースラインが低く、術攻撃が優勢になっていたところを、直接攻撃のダメージを上げつつ、術攻撃をすると直接攻撃が効きやすくなる、直接攻撃をすると術攻撃が効きやすくなるようにして、徒党を組む場合に両方いた方がいいですよという形にしました。今はそれで様子を見ている感じですね。キャラクターバランスに変更を加えた直後には、変更があった特化がぱっと増えるのです。それが維持されていくのか、減っていくのかを現在は見ている感じです。

編: 新技能の追加などで、そろそろまた技能枠が足りなくなってきていますが、拡張の予定はありますか?

今村氏: 今のところはありません。いずれかのタイミングでは追加しなければいけないなと考えていますが、データの拡張は作業として大きなものになるので、時期を見て考えたいと思っています。


アタッカー技能の調整が一段落して、現在は経緯の観察中ということだ




■ 合戦の見直しは春以降。天下一決定戦はタイミングを見て

合戦は「信On」のメインコンテンツだが、様々な課題も抱えている

編: 現状の合戦について批判の声が大きいように感じますが?

渡辺氏: 今の合戦は、攻略法が見つかったり、色々と戦法が固定化している部分があるので、何かしら盛り上げていくようなものを至急入れていかなくてはいけないと思っています。今はどちらかというとダンジョンなど攻略コンテンツのアップデートを行なっていますが、それが終わった段階で合戦に手を入れていきたいと思っています。合戦は敷居が高いと感じて、今まで参加されていなかった皆さんや、PS3で新しく入られる皆さんも、みんなで楽しめる合戦場を目指してアップデートしたいです。

編: 来年頭にはPS3からのユーザーも合戦場に来るでしょうから、そのくらいで何かが必要になるのではありませんか?

渡辺氏: 時期はまだお伝えできないのですが、急いで何かをいれても効果的なものにはならないと思うので、じっくりとちゃんとした形で入れていかなくてはいけないと思っています。

編: 現在予定されているアップデートの後ろに入るという形ですか?

今村氏: タイミング的にはそのあたりになるのではないかと思っています。

編: 今の合戦からかなり変わるということですか?

渡辺氏: そうではないです。まずは、合戦へ参加する足がかりになる入門的なものにしたいと思っています。

今村氏: あまり大きく変えてしまうと、今合戦を楽しんでいただいているプレーヤーの方々の不満につながりますので、そこには影響を与えないようにして、とりあえず合戦に触れてみてもらって、そこで継続して、やはり勢力を動かしていくというのが「信On」の中でも1番の醍醐味なのでそこに人が流れるような形を作っていきたいと思います。その形を作っていくのが春辺りになるかもしれませんが、大きな目的です。

編: 今は中陣を取られても取り戻さなかったり、副将だけを倒し続けるといった戦法が問題視されていますが、その部分の改善策はどのように考えていますか?

今村氏: そこだけを変えてもまた、新しい方法が出てきてしまうと思うので、いま多面的にこういう方法はどうだろうと議論をしているところではあります。

編: 開発側でこんな合戦にしたいと想定しているスタイルはあるのですか?

今村氏: その勢力に所属する人が、その勢力のために100%に近い形で参加していくのが理想だと思っています。そのためにはやはりレベル差だったり、対人に対する抵抗感であったりとかいろいろと課題はあると思いますのでそれをいかにして取り払うのかというところと、先ほどのルールの穴をつくような戦術が取られる問題というものと、この2つの問題をなんとか解消できないか色々と考えているところです。

渡辺氏: 合戦はコアプレーヤーの方が中心となっていますが、合戦未経験者の方々でも混じりやすくなるように検討しています。目標とするのはプレーヤーの皆さんにとって負担にならない程度に行きたい範囲で合戦場で活動を行なって天下統一につながっていくという流れで、よりカジュアルで皆さんが全員参加できるようなコンテンツにしていきたいと思っています。

 今はコアな方たちが、いくつかの決まりごとを定めて戦略を立てながら熱くプレイされています。そのほかにも、それぞれの方が自分たちのやりたいことをやる中で少しずつでもいいので合戦に何かしらの影響を与えて、それぞれの役割を感じられるようになって、その結果が合戦の結果につながるようにしたいです。そうなることで、少しずつでも勢力争いに参加していると実感できればいいなと。今までも時間が長いとか、色々な問題がありました。でもどんどん敷居を下げるかたちで気楽に参加できるようにしたいです。

今村氏: 戦国時代にいるんだという実感を感じるには、合戦に関わっていくのが1番大きいと思いますから。


「新星の章」スタートから9カ月近くが経過して、各ワールドの情勢も次第に硬直化し始めている

編: 中級クエストにも合戦関連のチュートリアルがありますが、今はボリューム的に少ないですね

今村氏: 中級クエストではありませんが、それに近い形でクエストで合戦に簡単に参加できるような仕組みは考えています。

編: 初心者が行きやすくするのですか?

今村氏: クエストで役割を固定するのは、初心者にとってもわかりやすいと思います。そう言った形を考えています。

編: 天下人システムはスタートから1年か1年半程度で決着がつくというお話しでしたが、実際いつなのかという日程は具体的に決まっているのですか?

今村氏: まだ確定はしていないです。

編: 天下分け目の合戦が発生する条件などはあるのですか?

今村氏: こうなったら発生するというルールがあるわけではなく、イベントというかタイミング的な形で発生するものではあります。

編: では起きる時期は、全ワールド同じなのですか?

今村氏: そうです。その時期に1位と2位にいる勢力による天下一決定戦になる予定です。発生時期は、どのあたりにすれば1番盛り上がるか、アップデートのタイミングもあるので、このアップデートの後にあると盛り上がるだろうという形で今窺っている感じではあります。

渡辺氏: 合戦の色々なところのアップデートをしたうえで、合戦がもっと盛んに行なわれた上で、天下統一に向けて動いていくという形でタイミングを測ってやっていきたいと思います。そうでなければ、途中でいきなり「はい終わり」という形になってしまいますから。

今村氏: 今合戦に参加されている人たちだけではなく、大勢のプレーヤーが合戦に参加するような土壌を整えたうえで、天下一を決める合戦というものをやりたいと思っています。




■ すべての人たちが勢力争いに影響を与えられるようなゲームに

「人取橋実装後の方針転換に合わせて、第三陣のダンジョンを作り直した」と今村氏

編: 2月のひなまつりはどのようなイベントになるのですか?

渡辺氏: オーソドックスにひな祭りを題材としたイベントを考えています。以前に1度イベントとして、ひな人形を出したのですがあれ以来あのイベントはやっていなかったので、もう1度ひなまつりの報酬が全面的に出るようなものを考えています。ひな人形の数が多いので、今回は、そのための収納箱を作れないかと考えています。

編: 報酬の人形が以前とまったく同じだと、既に持っている人にとってはうま味の少ないイベントになりませんか?

渡辺氏: そこは今考えているところです。ただひな祭りの人形は種類が決まっているので、勝手に適当なものを追加はできないので、なにか別のお楽しみ系のものを入れたいなと思っています。

編: 2月にひなまつりというと少し早いイメージですが

今村氏: 2月といっても2月の終わりくらいからひなまつりの辺りまでという感じです。

編: 「新星の章」は今どれくらい入っているのですか?

渡辺氏: まだまだこれからお楽しみいただける要素を追加していく予定です。

編: 「大航海時代 Online」のチャプターに比べて実装ペースがやや遅いですね。PS3があったからですか?

今村氏: PS3の開発に労力が割かれてしまったというのもあるのですが、方針の転換が大きいです。「新星の章」が始まって、一門ダンジョンを提供してきたのですが、その反応として多くの皆さんから遊びづらいとか、人を集めるのに時間がかかるといった部分に関していろいろとご意見をいただきました。そこで「第二陣」を出した辺りから方針変更に踏み切り、よりプレーヤーの皆さんの立場にたった考えで、直せるところをまずは直していこうという方針に変わりました。

 実は「人取橋」を入れた時点で次のダンジョンは8割くらいはできていたのですが、それをもう1度遊びやすい新しい一門ダンジョンにするということで作り直しをしました。そういったところで時間がかかってしまったのです。まずはプレーヤーの皆さんが問題に思われている部わから取り組んでいこうということで、結果的に次のダンジョンが遅れてしまって「第三陣」という形で規模を大きくして一度に実装させていただくような形になりました。

編: 「第二陣」を2つに分けるという予定が、「第三陣」にまとまったということですか。

今村氏: そうです。ただその結果によって「新星の章」でプレーヤーの皆さんに遊んでいただくダンジョンの数が減ったわけではなくて、「新星の章」のダンジョンの数はあらかじめ決まっているのですが、「第二陣」の中で2つ出すのではなく、他の要素も加えて「第三陣」としてお届けするということになりました。

編: 今後「一門」はどういったポジションのものになっていくのですか?

今村氏: 勢力が天下を目指していく中で、その下に一門がたくさんあってその一門が競いあったり、助け合ったりして勢力を盛り上げていくというのが理想の形だと考えています。実際には異なる勢力の中で一門を組んで楽しまれている方も大勢おられるので、そのあたりをどうしていくかが今後の課題だと思っています。

渡辺氏: 一門は仲良く遊べる気楽なところがあると思うので、その中でもっと遊び方を増やしていきたいなと思います。もっと気兼ねなく遊べるようなことができると思うので、もっと一門の中で遊べて盛り上がるようにしていきたいです。

 しかし一門も、その中でだけコミュニケーションをして欲しいというものではありません。一門も大事だけれども、それ以外のコミュニケーションも大切にして遊んで行くというのが「信On」の目標とする一門の形です。ですから狭い人たちだけで遊ぶようなものにはしていかないです。もともとの方針は少し違っていたのですが、システム上の制約でそうできなかった部分があったので、そういった部分をなくしていくと共に、コミュニティの形を変えても同じように遊べるようにしていきたいと思っています。

編: 私設会話のような位置づけになるわけですか?

渡辺氏: その中に遊びを増やしていけるという部分が一門のメリットなので、そこを増やしていきたいです。


季節の風物詩、花火もPS3でひときわ美しくなった。美麗なグラフィックスが遊びの幅を増やす起点となるか?

編: 今後「信On」はこれからどんなゲームになっていくのでしょうか?

渡辺氏: 「新星の章」である程度「信On」の目標が見えてきました。やはり天下統一をするゲームだと思います。ですからそこに参加する人たちをどれだけ増やして楽しんでいただけるかということに力を入れていきたいと思います。今はコアな方が中心となってプレイされていますが、それだけではなくそれぞれの人たちが自分のプレイの中で何かしら勢力争いに関わって、天下統一までの道筋ができる。その道筋の結果、遊んでいる人たちの環境に変化が出てくるというようなゲーム性を「新星の章」でやりたいと思っています。これからも勢力の争いがより白熱していくような形で考えています。まずは誰でも参加できる合戦場をこれからの「信On」で作っていきたいと思います。

今村氏: 12月16日からPlayStation Homeに「信On」のラウンジがオープンしました。城が見える日本庭園がコンセプトなのですが、そこへ行くと腰刀というlayStation Homeのアバター用アイテムがもらえたりします。他にもアバター用に今回のPS3用のメインビジュアルに使用している侍と忍者の装備を販売しますので、それと合わせて着てもらえるといいと思います。またラウンジ内ではプロモーションムービーが流れていますので、ぜひ皆さんに見ていただければと思います。

編: 最後にファンに向けたメッセージをお願いします。

今村氏: かなり開発に難航して、ユーザーの皆さんにお届けするのがお約束した2010年中ギリギリになってしまって申し訳ないと思います。そのぶん時間がかかっただけあっていいものになったと思いますので、この機に「信On」を初めていただく新しいプレーヤーの方はもちろん、一度「信On」から離れられたお客様も生まれ変わった「信On」をPS3で遊んでみていただきたいと思います。

渡辺氏: 本当にお待たせいたしました。我々開発陣としても、納得できる信長の野望にしたくて1つ直すとその周りも直したくなるという繰り返しでした。PS3のよりカジュアル志向の高い方でも遊べるようなコンテンツを整えて、新しい方が入ってきやすいような環境にできたと思います。アップデートの方でも、1人で遊べるというところから少しずつ友達を増やしていけるようなシステムにしていますし、FAQなどを整備して新しい人でも楽しめるMMORPGになったと思います。

 これだけ長く運営をして積み重ねてきたコンテンツがありますので、この生まれ変わったグラフィックの中でもう一度遊んでいただくと、多分ずっと遊べるものになっていると思います。今、PS3版を始めるというのは、これからの「信On」も絶対に盛り上げていくステップだと思っています。これを入れることで今後のサーバーのアップデートが今まで以上のクオリティで出せるようになると考えています。ですからこれからも綺麗になったグラフィックでより面白いゲームを目指してアップデートを繰り返していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

編: ありがとうございました。


(C)2003-2010 TECMO KOEI GAMES CO., LTD. All rights reserved.

(2010年 12月 21日)

[Reported by 石井聡]